2025年建築基準法改正で義務化!高気密住宅に潜む“隠れカビ”と24時間換気の落とし穴
2025/06/28
2025年建築基準法改正で義務化!高気密住宅に潜む“隠れカビ”と24時間換気の落とし穴
省エネ等級4必須時代に備える—MIST工法®カビバスターズが教える『カビゼロ住宅』の新常識
こんにちは。MIST工法®カビバスターズ本部の公式ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。私たちは「カビのない健やかな暮らしを全国へ」を合言葉に、戸建住宅から大型商業施設、歴史的建造物に至るまで、年間一万件を超えるカビ問題を解決してまいりました。その豊富な現場経験で培った知見を、できるだけわかりやすく皆さまにお届けすることが本ブログの使命です。さて、2025年4月に施行される建築基準法改正では、省エネ性能等級4以上への適合がすべての新築住宅に義務づけられ、併せて24時間換気システムの設置と適切な運用が求められます。高気密・高断熱化がもたらす快適性や省エネ性の向上は大きなメリットである一方で、通気設計の不足や換気口の閉塞、フィルターのメンテナンス不足などが原因となり、壁体内や床下、押入れの奥など目に触れない場所で“隠れカビ”が静かに増殖するリスクが高まっています。「新築だから安心」という油断が、数年後の健康被害や資産価値の低下につながるケースも少なくありません。本記事では、改正法のポイントと高気密住宅特有のカビリスク、そしてMIST工法®ならではの化学的・物理的ハイブリッドアプローチによる根本解決策を、専門家の視点で具体的に解説します。家づくりやリフォームを検討されている方はもちろん、すでに高気密住宅にお住まいで結露やにおいが気になるという方も、ぜひ最後までお読みいただき、今後の住まいづくりやメンテナンスにお役立てください。それでは、本題に入りましょう。
目次
はじめに ― 改正法がもたらす新しい住まいの課題
高気密住宅がもたらす快適性と省エネ性能――その裏側に潜む“隠れカビ”リスクを見逃さないための視点とは?
2025年4月に施行される建築基準法改正は、「住宅性能表示制度」の省エネ基準を大幅に引き上げ、すべての新築住宅に省エネ等級4以上の適合と24時間換気システムの導入を義務づける画期的な一歩となります。これにより、気密・断熱性能を極限まで高めた“魔法瓶のような家”が業界スタンダードとなり、冷暖房効率や一次エネルギー消費は大幅に改善される見込みです。しかし同時に、外気との自然な空気交換に頼れない構造ゆえの新たな課題――それが室内および壁体内に潜むカビ問題です。
高気密化された空間では、たとえ表面上の室温・湿度が適正でも、柱・合板・断熱層など目視できない部位に湿気が滞留しやすくなります。特に日本の多湿な気候では、梅雨から夏にかけて外気湿度が急上昇し、換気ダクトやスリーブ部の結露を通じて壁体内へ湿気が侵入しやすく、カビの養分となるホコリや木質成分に付着して増殖が進行します。さらに24時間換気は「設置しただけ」では機能せず、設計時の風量バランス・給排気経路、フィルターやファンの定期的な清掃・交換が不可欠です。残念ながら引き渡し後にメンテナンスが徹底されず、数年で換気性能が半減するケースも少なくありません。
カビが発生すると、住宅の資産価値が下がるだけでなく、胞子や揮発性有機化合物(MVOC)が居住者の健康に影響を及ぼします。鼻炎や喘息、シックハウス症候群の症状が報告される一方で、「新築だからカビは生えないはず」と誤解され、発見が遅れる傾向があります。MIST工法®カビバスターズには、こうした“隠れカビ”案件の相談が年々増加しており、特に築1〜3年の物件が全体の約4割を占めています。省エネ義務化が導入される今後は、さらに相談件数が増えることが予想され、早期の情報共有と予防啓発が急務です。
本稿では、まず改正法が目指す住宅性能向上の意義を理解したうえで、なぜ高気密住宅にカビリスクが潜むのかを科学的視点で解説します。そして、24時間換気の落とし穴と効果的な運用ポイントを具体的に示し、最後にMIST工法®が提唱する「化学的除菌×物理的除去×再発防止コーティング」の三位一体アプローチをご紹介します。これから家を建てる方も、すでに高気密住宅にお住まいの方も、本記事を通じて“カビゼロ住宅”への第一歩を踏み出していただければ幸いです。
なお、本記事の各章では施工現場の実測データや具体的な事例写真も交えて解説しますので、住まいのセルフチェックや専門家への相談時にぜひご活用ください。
2025年建築基準法改正の概要
脱炭素社会へのロードマップと健康・快適性を両立させるための制度アップデート
1 省エネ性能等級4義務化の背景
2025年4月の建築基準法改正では、すべての新築住宅が省エネ性能等級4以上への適合を義務づけられます。等級4は、外皮平均熱貫流率(Ua値)や一次エネルギー消費量の基準値を全国八つの気候区分別に定め、年間冷暖房負荷を大幅に低減できる水準です。背景には、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現に向けた住宅部門のCO₂削減目標があります。家庭部門のエネルギー消費は依然として増加傾向にあり、住宅の断熱・気密向上なしに排出削減は達成できません。さらに、光熱費高騰やエネルギー安全保障への不安が高まる中で、住まいのライフサイクルコストを抑えながら健康的な室内環境を確保することも重要課題です。
国はこれまで長期優良住宅制度やZEH補助金などで高性能住宅を促進してきましたが、市場全体の底上げには至りませんでした。今回の法改正は「任意基準」から「義務基準」への転換点であり、設計・施工段階での断熱材性能、開口部の断熱サッシ採用、気密測定などを確実に実施することが求められます。高性能化は快適性と省エネの両立というメリットをもたらす一方、室内外の温湿度差が大きくなり「内部結露」のリスクが高まる側面もあるため、換気計画と併せた総合的な住環境設計が必須です。
2 24時間換気システムの設置・運用要件
改正法では、機械換気による連続換気を「設計図書で明示し、完成後も性能を維持すること」が明文化され、居住者の運用までを含む仕組みづくりが求められます。具体的には、建物全体で1時間あたり0.5回以上の換気回数を確保し、給気と排気のバランスが取れたシステム設計を行うことが前提です。第一種換気(給排気とも機械)を採用する場合は熱交換素子の定期点検、第三種換気(機械排気・自然給気)の場合は給気口フィルターの清掃手順を居住者に周知しなければなりません。
さらに、換気ルートの短絡や風量不足を防ぐためにダクト抵抗計算やファン選定を適切に行い、完了時には風量測定と報告書提出が義務化されます。運用段階では、フィルター目詰まりによる風量低下やファンの経年劣化が発生しても、居住者が気付きにくい点が課題でした。改正後は取扱説明書に加え、スマート換気制御や定期メンテナンス契約を盛り込む事業者が増える見込みです。
とはいえ、24時間換気が常時稼働していても、湿度や温度、使用人数の変化に応じた運転モード切替や局所換気との連携が不十分だと、壁体内や床下に湿気が滞留し、カビが発生する恐れがあります。高気密高断熱住宅では「換気=空気を入れ替える装置」から「湿度と熱をマネジメントするインフラ」へ発想を転換し、換気計画・断熱気密・防露設計を一体で考慮することが、新時代のスタンダードとなります。
高気密住宅に潜む“隠れカビ”とは
暮らしの快適性が裏目に?高断熱化で密閉された住宅に潜む“見えないカビ生態系”を科学する
1 壁体内・床下・収納部位で起こるカビ増殖メカニズム
高気密住宅では、外気との隙間風を極限まで排除するため、壁体内に設けられた気密シートや断熱層が水蒸気の移動経路を限定し、わずかな施工誤差や貫通部のシーリング不良があっても内部結露が発生しやすい。室内で発生した水蒸気は暖房運転時に対流と拡散で壁体内へと移動し、断熱材の外側、つまり外気に近い側で露点温度に達すると液化する。これが柱や合板、グラスウールに吸着・滞留し、カビに必要な「水活性」を長時間確保する温床になる。特に柱・筋交いなどの木材にはセルロースやリグニンが豊富に含まれ、カビの一次栄養源として機能するため、菌糸は材内へ深く侵入して構造強度を徐々に低下させる。また、気密性能を高めるための連続した断熱ラインは、逆に換気空気が壁内を通過する経路を遮断するため、水分を放散する“逃げ場”が失われる。
床下でも同様に、土壌からの湿気上昇や基礎貫通配管の結露が重なり、気密シートの上面や大引き・根太裏でカビが繁殖する。さらに床下点検口が収納内部やキッチンキャビネット内に設置されるケースでは、床下と収納空間が負圧で連通し、収納品に胞子が付着しやすい。収納部位そのものも扉を長時間閉じることが多く、照明熱も届きにくいため温度勾配が小さく結露が長引く。衣類や段ボール、布団といった多孔質素材は湿気を吸うと同時にカビの栄養分となり、短期間で胞子量が指数関数的に増加する。
見逃されやすいのが、換気ダクトや電線貫通部で生じる微小な気流。暖房時には室内空気が壁体内へ押し出され、冷房時には逆流して外気を吸い込み、湿気とともに胞子を壁体内へ巻き込む。このサイクルが一日単位で繰り返されることで、温湿度変化に強い複数種のカビが共存し、微生態系が形成される。結果として、見た目に汚染が現れる頃には構造材深部まで菌糸が入り込み、市販の除カビ剤では表面を漂白するのみで根絶が困難になる。
2 新築〜3年以内に多発するトラブル事例
「新築だからカビとは無縁」という思い込みは、引き渡し後わずか1〜3年で裏切られることがある。実際にMIST工法®カビバスターズへ寄せられる相談のうち、築3年未満の物件は全体の4割近くを占め、年々増加している。その典型例が、断熱等級の高い分譲住宅でリビングの腰壁内部にびっしりと黒色真菌が繁殖していたケースだ。原因はエアコン配管スリーブ周辺の気密処理不足。冬期に暖房した室内空気が壁体内へ流入し、外壁側で結露していたにもかかわらず、石膏ボード表面はビニールクロスで覆われていたため湿気が放散できず、数カ月で木胴縁が腐朽菌とカビに侵食された。
別の事例では、24時間換気の第三種配置を採用した平屋住宅で、換気扇フィルターの清掃忘れにより風量が半減。寝室収納の給気口からの流入空気が不足し、押入れ奥の冷橋部(コールドスポット)で湿度が80%を超える状態が続き、保管していた羽毛布団が青カビで全面被覆された。押入れ底板をはがして確認すると、束石周囲の大引き裏にまでカビが進行しており、床下全域の除菌と断熱補修が必要となった。
マンションでも、新築2年目の高層物件で北側洋室のコンクリート躯体面が結露しやすく、家具を壁ぎわに密着させた結果、背面が可視カビに覆われ、VOCと胞子飛散により入居者が上気道炎を発症した事例がある。RC造は気密性能が高く熱容量も大きいため、一旦冷えた壁面が長時間低温を維持し、家具背後の閉鎖空間で湿気の逃げ場がなくなることが主因だった。
さらに、靴箱内やユニットバス天井裏など見落とされがちな小空間も要注意だ。新築1年目で含水率が高い木質パネルや防火被覆材が乾燥途上にあるときに、換気不足や局所的な温湿度差が重なると、短期間で白色系カビが一面に拡がる。とりわけ浴室天井裏は温水配管と換気ダクトが交差し、配管結露水が保温材に染み込んでカビを誘発しやすい場所である。
これらの事例に共通する教訓は、高性能住宅ほど“管理型”の住まいであるという点だ。高気密・高断熱のメリットを最大化するには、計画換気の風量維持、冷暖房と除湿の適切なバランス運転、そして目視できない部位の定期点検が不可欠である。初期施工の気密精度が高くても、機器の経年劣化や住まい方の変化で環境条件は刻々と変わる。新築から3年以内こそ隠れカビを最小限に抑える“最初の分岐点”であり、早期に問題を発見して対処すれば、大掛かりな解体工事を回避できる可能性が高まる。逆に気付かずに5年以上経過すると、構造材の腐朽や断熱材の性能低下が進行し、補修費用が倍増する恐れがある。カビ被害は時間が経つほど指数関数的にリスクが拡大するため、「におい」「結露」「色ムラ」といった小さなサインを見逃さず、専門家に相談する姿勢が求められる。
24時間換気システムの落とし穴
設計図だけでは守れない空気の流れ――24時間換気を“機能不全”にする見落とし要因
1 換気計画の盲点と気圧バランスの崩れ
24時間換気システムは「居室全体を1時間あたり0.5回以上入れ替える」という設計値で語られがちですが、実際の室内環境は気圧バランスのわずかな乱れで大きく変動します。たとえば排気ファンを複数台まとめて北側に集中させれば、強風時に負圧が過度に高まり、給気口から予定以上の外気が流入し、逆に室内の暖気が壁体内の配線貫通部から漏れ出す“隠れ通気”が起こります。リビングと水回りで換気量が均一化されていない場合、暖房運転中のリビングは正圧、湿気の多い洗面脱衣室は負圧となり、室間気流が発生して湿気と胞子を拡散させる結果に。さらに、多層階住宅ではスタック効果によって上階が正圧、下階が負圧になりやすく、床下→壁体内→小屋裏への空気移動が促進されます。これを防ぐには各給排気口の位置・数・風量を住宅全体の気圧シミュレーションで検証し、空調やレンジフードなど他の機械設備との同時運転試験を行うことが必須です。ところが現場では「設計通りに機器を取り付ける」ことが優先され、手直ししづらい気密貫通部やダクト配管の曲がり部で圧損が増え、完成時には図面上の計算値から30%以上のズレが生じる例も珍しくありません。住み始めてからも窓開け換気や室内ドアの開閉、家具配置の変更が気流を改変し、設計当初のバランスは簡単に崩壊します。「換気量を確保したはずなのに結露が止まらない」という相談の多くは、この見えない気圧差を無視した計画の甘さが根本原因と言えます。
2 経年劣化・メンテナンス不足による性能低下
24時間換気システムが真価を発揮するのは「設置後も同じ風量を維持できている」場合に限られます。しかし現実には、運転開始から1年で給気フィルターに付着した花粉や砂塵が通気断面を狭め、風量は設計値の80%以下へ低下します。ファンモーターの軸受グリスが乾燥して回転数が落ちれば、3年後には50〜60%台まで下がることも。熱交換型第一種換気の場合、交換素子に付着した油脂やタバコ成分が熱回収効率を下げ、湿気戻り率を高めてしまい、壁体内への水蒸気移動が増大する負の連鎖に陥ります。第三種換気でも、排気ファンのフード内に鳥の巣や蜘蛛の巣が形成されると静圧が急増し、ダクト接続箇所で逆流を招くことがあります。これらは居住者の五感ではほとんど認識できず、風量測定器やCO₂センサーロガーで実測しなければ判明しません。にもかかわらず、日本の住宅では定期点検契約の締結率が低く、引き渡し後のメンテナンス頻度は“トラブルが起きたときのみ”という受動的対応が主流です。カビバスターズの現場では、フィルター交換ステッカーの日付が5年以上前のまま放置され、ファン内部が綿埃で目詰まりしているケースが後を絶ちません。性能低下が顕在化すると、壁体内の相対湿度は80%以上を超える時間帯が長くなり、カビ菌糸が構造材に侵入するリスクが加速度的に上がります。結局、安価なフィルター交換を怠ったために、後年大規模なカビ除去と内装解体を余儀なくされる事例が多数報告されています。換気システムは“設置後がスタートライン”であり、半年〜1年ごとの風量点検と消耗部品交換こそが、省エネと健康を両立させる最小コストの保険なのです。
実測データで見る室内環境とカビ発生リスク
センサーが語る“見えない危険信号”――数値で把握するカビ発生の臨界点
1 温湿度・CO₂・VOCの相関分析
MIST工法®カビバスターズでは、住宅各所にデータロガーを設置し、5分間隔で温度・相対湿度・CO₂濃度・VOC総量(TVOC)を同時計測する実証調査を行っている。解析の結果、室温20〜25℃・相対湿度60%超・CO₂1400 ppm超の条件が同時に24時間のうち6時間以上続くと、黒色真菌の形成速度が対照群の約3倍に跳ね上がることが分かった。相対湿度は単独でもカビ増殖の決定要因だが、CO₂は「居住者密度」と「換気不足」を可視化する指標であり、上昇すると同時に室内湿度も高止まりする傾向を示す。さらにVOC濃度2 mg/m³以上の環境では、カビ由来のMVOC(かび臭)と家具・建材から放散されるホルムアルデヒドが複合的に増大し、微生物の代謝活性が加速した。統計的には、相対湿度70%を境にTVOC上昇カーブが傾きを変え、Pearson相関係数0.68と強い相関を示した。温度は25℃を超えると酵素活性が高まるが、30℃以上ではVOCの揮発速度が急増し、センサーが示す閾値を超えやすい。これら複数要素の同時モニタリングにより、カビが“爆発的成長”へ移行する臨界点を数値で特定でき、換気量増強や除湿機投入などの予防措置を適切なタイミングで講じられる。従来の「結露を見てから対処」では遅く、リアルタイムのデータに基づく予測保全こそが高気密住宅の新しい管理手法となる。
2 季節変動と居住者行動パターンの影響
年間データを解析すると、梅雨と台風シーズンだけが危険という常識は当てはまらない。冬期の暖房使用時、外気温と室温の大きな差により壁体内で“隠れ結露”が起こり、真冬でも相対湿度100%近くの状態が続くことが判明した。特に夜間は居住者が就寝しドアを閉めることで局所的に換気量が減少し、CO₂が2000 ppmを超える部屋も少なくない。朝に窓開け換気を行う家庭では一時的に湿度が下がるが、外気が乾燥していても壁体内の結露水は残存し、日中の昇温で蒸発し再び室内に放散される“湿気リバウンド”現象が観測された。
一方、夏場は冷房による除湿が機能する反面、設定温度を28℃以上に抑えて節電を試みると、除湿量が不足して相対湿度が70%を超えやすくなる。さらに在宅ワークが普及した近年、昼間の居住時間が延びて調理・洗濯・シャワーなどの水蒸気発生源が時間帯を問わず増加し、従来の設計換気量では追いつかないケースが増えている。週末にまとめて洗濯物を部屋干しする習慣がある家庭では、日曜夜の湿度上昇が顕著で、翌月曜の出勤中に換気量が低下することで、胞子が収納内に滞留しやすいことがデータで裏付けられた。
また、住宅内の生活動線も影響する。キッチンとリビングを隔てる引き戸を閉めるか開けるかで気圧分布が変わり、キッチンレンジフード運転時にはリビングが負圧となって床下の湿気を吸い上げる例が確認された。行動パターンをセンサーデータとひもづけて可視化すると、「家事集中時間帯」「家族の帰宅直後」「就寝中」の三つがカビリスクピークとなる傾向が顕著である。これらの知見は、居室ごとに可変風量制御(VAV)を導入したり、HVACと連動するスマート除湿機を設定したりする際のチューニング指標として活用できる。居住者の生活リズムを踏まえた動的な環境制御こそが、高気密住宅におけるカビゼロ実現の鍵となる。
MIST工法®によるカビゼロ住宅へのアプローチ
根絶と予防を同時に叶える三位一体ソリューション――MIST工法®で実現する“カビゼロ住宅”の決定版
1 化学的除菌×物理的除去のハイブリッド技術
MIST工法®の第一段階は「徹底的な現状把握」にあります。専用内視鏡とATPふき取り検査で壁体内や床下の微生物汚染度を数値化し、最深部まで侵入した菌糸の広がりを3Dマップ化。その診断結果に基づき、薬剤選定と除去手順を個別にカスタマイズします。化学的除菌では、医療機関レベルの第三種高度管理医療機器承認を受けた次亜塩素酸ナトリウム安定化剤を微粒子ミスト化し、0.4〜2.0μmの粒径で噴霧。粒子が気相で漂う時間を長く保つことで、木材繊維の深層に潜む芽胞性真菌や細孔内のバクテリアまで最大6ログ値(99.9999%)を失活させます。同時に、温度・湿度・pHのリアルタイム監視下で反応を制御し、揮発残渣の過度な付着を防止。薬液は反応後に水と微量塩に分解されるため、居住者の化学物質過敏症リスクを限りなくゼロに近づけます。
一方、物理的除去は「剥離」「吸引」「浸透」の三工程で構成。剥離工程ではドライアイスブラストと超高圧ス teamウォーターを用途別に使い分け、熱変性を伴わない衝撃波で菌糸と栄養源を物理的に切断します。次にヘパフィルタ付きバキュームで微細粉塵を多段階捕集し、再 aerosol 化を防止。最後に中性酵素溶液を加圧注入し、木材細胞壁に残った残渣タンパクと糖質を分解・溶出させることで、菌糸再着床の足場を徹底的に排除します。これら化学と物理を連続して適用することで、目視検査ではゼロスコア、培養検査でも陰性を確認する高い再発防止率を実現。従来工法で課題だった「表面だけ白く漂白され、内部に菌糸が残る」現象を根本から解決します。
高気密住宅オーナーが今できるセルフチェック&メンテナンス
今日から始める“カビゼロ”メンテ――プロに頼らずとも効果大のセルフチェック術
1 換気フィルター清掃とダクト点検
24時間換気の要は「風量を落とさない」ことに尽きますが、その最前線で機能を左右するのが給気・排気フィルターです。まずは取扱説明書を確認し、推奨清掃サイクル(月1回、3か月に1回など)をスマートフォンのカレンダーに登録して“忘れ防止アラーム”を設定しましょう。作業は晴天日に実施し、ブレーカーまたはスイッチで換気ファンを停止してからフィルターを取り外します。台所用中性洗剤を薄めたぬるま湯で優しく振り洗いし、流水で十分すすいだ後、陰干しで完全乾燥させるのがポイント。濡れたまま戻すとホコリが凝固して目詰まりの原因になるため注意が必要です。
続いてダクト点検。まず排気フードの外部ガラリを目視し、クモの巣や落ち葉が付着していないか確認します。脚立を使用する場合は転落防止に養生シートを敷き、安全帯を装着しましょう。内部ダクトは、100円ショップの内視鏡USBカメラやスマホ対応スネークカメラを使うと簡易的に汚れ具合を確認できます。油脂汚れやホコリが付着している場合、柔らかいブラシ付き掃除機ノズルで軽く吸引し、その後アルコール除菌シートを巻き付けたロッドで汚れを拭き取ると効果的です。曲がり部は特に埃が溜まりやすいので念入りに。点検終了後は、換気ファンを再稼働させ、ティッシュを給気口に当てて負圧吸着具合を確認し、風量が極端に落ちていないか体感チェックを行います。最後に作業記録(清掃日・所要時間・気付いたこと)をノートやアプリに残すことで、次回メンテ時の比較・診断がスムーズになります。こうした“見える化”と“定期化”の二本柱が、機器寿命を延ばしカビリスクを最小限に留める最短ルートです。
2 生活習慣でできる結露・湿気対策
住まいの湿気は「発生源を抑える」「滞留させない」「逃がす」の三段階管理が基本。まず発生源を抑えるために、調理時はレンジフードを必ず強運転し、鍋やフライパンには蓋をして蒸気放出を三割以上削減します。浴室は入浴後すぐに冷水シャワーで壁面温度を下げ、スクイージーで水滴を切るだけで相対湿度が10%近く低下します。洗濯物の室内干しはサーキュレーターを併用し、風が布の両面を通り抜けるよう配置すると乾燥時間が半分になり、発生水蒸気量も大幅減。
次に滞留させない工夫。家具は外壁から5cm以上離し、背面に空気の通り道を確保します。特に北側のコンクリート壁は結露が起こりやすいため、吸湿剤シートを壁面側に貼付けると効果的。押入れやクローゼットは月1回以上扉を全開にし、布団や衣類を動かして空気を撹拌してください。冬季は就寝前後に寝室ドアを開放し、室内外の温湿度差を緩和するだけでも壁体内結露が抑えられます。
最後に逃がす技術。湿度60%を超えたら除湿機またはエアコンのドライ運転を早めに起動し、相対湿度を50〜55%でキープする癖を付けましょう。CO₂センサー付きのスマート除湿機であれば、在室時のCO₂上昇をトリガーに自動換気連動が可能になり、カビ発生三要素(湿度・温度・栄養)のうち“湿度”と“換気不足”を同時に制御できます。季節の変わり目には外気が乾燥している日中に短時間の窓開放を行い、室内の水蒸気を一気に排出する“リセット換気”を実施。外気温との差が小さい春秋は特に有効です。また、湿度ログを半年ごとに解析し、ピーク時期を家族で共有して対策月を決めると、実行率が飛躍的に高まります。こうした日常の“小さなルール化”が高気密住宅の健康寿命を延ばし、将来の大規模改修コストを未然に防ぐ最大の秘訣と言えるでしょう。
まとめ ― 法改正をチャンスに変えるカビ対策の最前線
省エネ義務化の波を味方に――住まいの価値と健康を守る3ステップ行動計画
2025年4月の建築基準法改正は、高気密・高断熱住宅の普及を一気に前進させる一方で、「見えない湿気」がもたらすカビ問題を顕在化させる転換点でもあります。けれども裏を返せば、制度変更に合わせて正しい知識と対策を身につければ、住まいの寿命と資産価値、そして家族の健康を同時に守るチャンスになる――これが本稿の結論です。ここでは、これまで解説してきた要点を踏まえ、「設計・施工段階」「入居後の初期3年間」「長期維持管理」という三つの時間軸で実践すべきアクションを整理します。
第一のステップは**設計・施工段階での“未然防止”**です。省エネ等級4の達成に目を奪われがちですが、気密シートの連続性、スリーブやコンセントボックス周辺の気密処理、そして換気ダクトのルート設計と気流シミュレーションを怠らないことが、後々のカビリスクを大きく左右します。着工前に設計者と「壁体内結露計算」「換気風量測定計画」「気圧バランス試験」を明文化し、完了報告書として残す仕組みを整えましょう。
第二のステップは**入居後1〜3年間の“初期監視”**です。この期間は建材に含まれる水分が抜け切らず、室内環境が最も不安定になります。MIST-Guardのような環境センサーを活用し、温湿度60%超・CO₂1400 ppm超・TVOC2 mg/m³超が6時間以上続く日を自動ログ化することで、潜在的なカビリスクを可視化できます。異常値を検知したら早めに換気フィルター清掃や風量測定を行い、原因を特定して是正する――いわば医療における“健康診断”の役割を住宅にも導入することが重要です。早期発見・早期対応なら、部分的な薬剤処理と防湿補修で完結し、大規模解体を防げます。
第三のステップは**10年スパンでの“予防保全”**です。24時間換気のファンモーターは5〜7年で性能が低下し、フィルターは季節ごとに目詰まりします。半年ごとの清掃・点検、5年ごとの部品交換を定期化し、風量測定値を記録して経年変化を追跡しましょう。加えて、無機系抗菌コーティングの再施工や、行動パターンの変化に合わせた換気設定のリチューニングを行うことで、カビ再発率を限りなくゼロに近づけられます。
ここまで読んでいただいた皆さまには、「高性能=ノーメンテナンス」ではないという現実をご理解いただけたはずです。むしろ高性能住宅だからこそ、データに基づく運用と定期的な専門診断が不可欠です。法改正は制度面での後押しにすぎません。真に“カビゼロ住宅”を実現する鍵は、オーナー自身が住まいを「管理型インフラ」と捉え、設計者・施工者・専門メンテナンス会社とのパートナーシップを継続的に育むことにあります。
MIST工法®カビバスターズは、化学的除菌と物理的除去、そしてIoT監視を組み合わせた三位一体ソリューションで、施工後10年間にわたる安心を提供しています。法改正という大きな潮流を機に、ぜひ一度ご自宅の環境データを手に取り、未来のトラブルを“未然に消す”行動を始めてみてください。省エネも健康も両立する住まいづくりは、今日の一歩から――私たちはその伴走者として、いつでもご相談をお待ちしています。
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カビ取り・カビ対策専門業者MIST工法カビバスターズ本部
0120-052-127(平日9時から17時)
カビの救急箱
【検査機関】
一般社団法人微生物対策協会
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