夏休み中に必ず押さえたい!学校・幼稚園・保育施設の「カビ点検マニュアル」――2024年根室高校の臨時休校例から学ぶリスクと対策
2025/07/30
夏休み中に必ず押さえたい!学校・幼稚園・保育施設の「カビ点検マニュアル」――2024年根室高校の臨時休校例から学ぶリスクと対策
“学校 カビ 点検” “体育館 カビ 臭い” “教室 湿度 管理”――落下菌検査と換気ルート確認で学びの場を守る
こんにちは、MIST工法®カビバスターズ本部です。夏休みに入ると、子どもたちの歓声が消えた静かな校舎にひそやかに忍び寄るのが“カビの脅威”です。昨年2024年8月、北海道根室市の道立根室高校では、外壁工事の足場シートで覆われた校舎に湿気がこもり、教室や廊下、机・イスの表面にまでカビが大繁殖。8月28日から30日までの3日間、計約1,000人の生徒が臨時休校を余儀なくされ、4名が目の充血や吐き気など体調不良を訴えました。学期初めの貴重な授業が削られ、部活動の大会調整や保護者対応にも大きな影響が出たこの出来事は、「たった数日の放置が学校運営を揺るがす」ことを強烈に示した実例と言えるでしょう。
文部科学省の学校環境衛生基準では、教室内の落下細菌(寒天平板を5分間開放し培養した平均コロニー数)を「1教室平均10CFU以下が望ましい」と明記しています 。さらに研究報告では、浮遊真菌濃度の目安を2,000CFU/m³以下、より安全を期すなら50CFU/m³以下とする動きも見られます 。しかし実際には、体育館の床下や器具庫、更衣室のロッカー裏など“死角”が多く、湿度や換気を怠ると短期間で許容値を超過するケースが後を絶ちません。
本記事では、夏休み期間中に行うべきカビ点検の具体的手順を「教室・更衣室・器具庫の換気ルート確認」「落下菌検査の簡便なやり方」「部活動後の汗・水分対策」の三つのチェックポイントに分けて解説します。さらに、空気中カビ数に関する自治体の最新動向もご紹介。もし点検中にカビの異臭や発生を確認した場合は、全国に拠点を持つMIST工法®カビバスターズが無料でご相談を承ります。安全・安心な新学期を迎えるため、ぜひ本マニュアルを活用し、子どもたちの学びの場を守りましょう。
目次
夏休みこそチャンス!施設内カビ点検の必要性
無人の校舎で進行する“静かな災害”――夏休み中に点検すべき理由
1. 根室高校・2024年臨時休校事例で見るリスク
2024年の盛夏、北海道根室市にある道立根室高等学校は、わずか数日のあいだに校舎全体がカビに覆われるという異常事態に直面しました。発端はお盆前後から続いた雨と、外壁改修工事のために校舎が防護シートで包まれていたことです。普段は海風が吹き抜ける立地にもかかわらず、シートが通気を遮断し、内部には温室のような高温多湿環境が形成されました。夏休みで空調運転が抑えられていたことも追い打ちとなり、教室・職員室・体育館の床下や器具庫の壁面などで灰緑色のカビが急速に拡大。目視で確認できる頃には、机やイスの裏面、カーテン、プリント類にまで胞子が付着し、独特のかび臭が校内に広がっていました。
学校側が最初に異変を察知したのは8月26日の出校日でした。教員が巡回点検を行った結果、第一棟三階の普通教室で壁紙の浮きと黒いシミを発見。直後に実施した簡易落下菌検査では、国の学校環境衛生基準を大幅に超えるコロニー数が記録され、空気中の浮遊真菌濃度も安全目安を上回る数値を示しました。翌27日朝には複数の生徒が目のかゆみや喉の痛みを訴え、緊急の職員会議で校医と保健所を交えた協議を実施。その結果、児童生徒の健康被害を最優先に考え、28日から30日までの三日間を臨時休校とする判断が下されました。
休校措置により、夏期講習・部活動の計画はすべて白紙に戻り、再開後の授業も期末考査範囲の圧縮や補習の追加で対応せざるを得ませんでした。さらに、進学クラスの模試日程や全国大会を控えた部活動の遠征準備が重なっていたことから、教職員は日程再調整と保護者説明に追われました。除カビ作業自体も大きな負担です。専門業者による夜間のオゾン燻蒸、HEPAフィルター付きの業務用除湿機の導入、壁紙の張り替え、体育用具の高温乾燥などに合計で300万円近い臨時費用が発生し、自治体への補助申請と予算組み直しが必要になりました。
このケースが示す最大の教訓は、「無人期間の長さ」がリスクを指数関数的に高める点です。夏休み中は空調運転を最小限に抑える学校が多く、窓開放や人の出入りも激減します。そこに外壁工事や体育館の床張り替えといった改修が重なれば、通気ルートが遮断され、湿度70%以上・気温20〜30℃というカビ増殖の理想条件が短期間で揃います。さらに、根室高校のように海霧が発生しやすい地域では外気自体の湿度が高く、夜間に結露が起こりやすいことも見逃せません。
もう一つのリスクは「気付きの遅れ」です。カビの初期段階は目に見えにくく、空調停止で省エネモードになっていると臭気センサーや温湿度計も作動していない場合があります。根室高校でも、カビ臭に初めて気付いたのは一部の部活動生徒でしたが、活動後の汗や消毒液のニオイと混同され、報告が遅れたと言われています。こうした“サインの見逃し”が被害拡大へ直結しました。
もし夏休み突入前に、教室・更衣室・器具庫の換気ルート点検と落下菌検査をセットで実施していれば、空気中の真菌濃度上昇を早期に把握できた可能性があります。また、体育館やプール施設での部活動後に汗を含んだタオル・ユニフォームを校内で干したことも湿度を高める要因となりました。部室に業務用サーキュレーターと除湿機を常時稼働させるだけでも被害の拡大を抑えられたでしょう。
根室高校の事例は「無人期間」「工事による密閉」「気象条件」という三つの要素が重なった典型例です。しかし、これは決して特殊なケースではなく、全国どの学校・幼稚園・保育施設でも起こり得る“静かな災害”です。夏休みはカビ対策のゴールデンタイム――この言葉が単なるキャッチコピーではなく、施設の安全と学びの継続を守るための必須行動指針であることを、根室高校の経験は私たちに強烈に示しています。
点検前に押さえる基礎知識
カビを知れば対策が見える――点検精度を高めるための基礎講座
1. カビの発生条件と健康影響
カビは「高湿度・適温・栄養源・停滞した空気」の四条件さえ揃えば24時間以内に発芽し、48〜72時間で肉眼でも確認できるコロニーを形成する極めて適応力の高い微生物です。具体的には室温20〜30℃、相対湿度70%以上、ホコリや木材、紙、布といった有機物が存在し、かつ空気が淀む場所――教室の後部ロッカーや器具庫の隅、窓枠の結露部など――が“温床”になります。夏休み中の校舎は空調停止により湿度が上昇しやすく、加えて人の動きが少ないため空気循環が低下するため、理科室の標本箱や図書室の書架裏など目につきにくい箇所で急激に増殖する危険があります。
カビが放出する胞子や代謝物質は人体に様々な影響を及ぼします。最も一般的なのはアレルギー性鼻炎や喘息の悪化で、微細な胞子が気道深部に侵入するとヒスタミン分泌を誘発し、くしゃみ・咳・呼吸困難を引き起こします。また、黒カビ属に代表される一部の真菌はマイコトキシンと呼ばれる毒素を生成し、長期的には免疫低下や皮膚炎の原因となることも報告されています。児童生徒は呼吸量が多く免疫系が未成熟なため影響を受けやすく、目の充血や倦怠感など“学校に行きたくない”サインの遠因になることもあります。さらにカビ臭(MVOC)は集中力を低下させ、学習効率や体育活動時のパフォーマンスにも影響すると指摘されています。保健室や家庭からの欠席連絡が増えたとき、背後に“目に見えないカビ汚染”が潜んでいないかを疑う視点が不可欠です。
2. 国の学校環境衛生基準(空気中カビ数)の概要
文部科学省が定める「学校環境衛生基準」は、児童生徒の健康を守るために教室空気の温度・湿度・二酸化炭素濃度などと並び、カビ(真菌)を含む生物学的因子についても評価指標を提示しています。代表的なのが“落下菌検査”で、直径9cmの寒天平板を教室中央の机上1.0mに5分間開放し、培養後に発生したコロニー数を数える方法です。基準では「1教室平均10CFU以下が望ましい」とされ、11〜30CFUは注意域、それ以上は改善が必要と判断されます。浮遊真菌濃度を直接測定する場合、国際的な目安として50CFU/m³以下を安全域とする報告も多く、国内の自治体では“2000CFU/m³以下”を暫定目標に設定する例もあります。
検査結果が基準値を超えた場合、基準は換気量の増加、湿度管理、表面清掃、抗菌塗料やHEPAフィルター導入など段階的な改善措置を推奨しています。ポイントは“数値+場所”で評価することです。例えば落下菌が同じ教室でも前方より後方で多い場合は空気の流れが滞っている証拠であり、換気扇や扉の開放時間、サーキュレーターの配置を見直す必要があります。また、検査は年1回の定期実施が原則ですが、改修工事や長期休暇前後など環境条件が大きく変わるタイミングで追加測定を行うことで、基準値超過を早期に把握し臨時休校リスクを最小化できます。数値化された指標は教育委員会や保護者への説明資料としても信頼性が高く、改善予算を確保する際の根拠資料として大きな説得力を持ちます。
カビ点検チェックリスト
校舎の死角を見逃さない実践チェックリスト
1. 教室:換気ルートと湿度管理
教室は一日中閉鎖されやすく、黒板側と廊下側で空気の流れが停滞するとカビが一気に広がります。まず確認したいのは「給気と排気のペア」が確保されているかという点です。対角線上に窓やガラリが設けられていても、ブラインドや掲示物が空気の通り道をふさいでいれば換気量は激減します。窓まわりのカーテンレール、掲示板の裏、パイプ椅子の収納ラックなどを手でなぞり、粉状の黒ずみが付けば要注意サイン。次に相対湿度をチェックしましょう。夏季は40〜60%を目標に、データロガー付き温湿度計で朝・昼・放課後の値を測定し、黒板横に一覧表として貼り出すと教員全員で共有できます。外気が多湿の日はエアコンの除湿モードを優先し、運転開始前後に窓を30秒だけ全開にして短時間で湿気を排出する「パージ換気」を取り入れると効率的です。さらに、教室後方のロッカー上や窓下のカーテンすそはホコリが溜まりやすく、カビの栄養源となるため週1回のモップ掛けと消毒用アルコール拭きをルーチン化してください。清掃後に机や棚を壁から5cm以上離して配置し、空気層を作るだけでも壁面温度が下がり結露を抑えられます。最後に、夏休み中はタイマーコンセントでサーキュレーターと除湿機を1日3回、各30分自動運転させると無人期間でも安定して湿度を管理できます。
2. 更衣室:ロッカー・床面の注意点
更衣室は汗を含んだ衣類や湿ったタオルが持ち込まれるため、学校内で最もカビの栄養と水分が集まる場所と言っても過言ではありません。ロッカーは通気孔が小さいうえ、扉裏に吊るした芳香剤やミラーが空気孔をふさぎ、内部湿度が70%以上に達するケースが頻発します。夏休み前には必ず全扉を開放し、内部を中性洗剤で拭き上げた後、アルコール消毒→乾燥剤(二酸化ケイ素系)を底にセットして再封鎖します。運動部の多い学校では、練習後にユニフォームを一時的にビニール袋へ入れてロッカーに放置する生徒が少なくありません。ビニールは水蒸気を閉じ込め、数時間でカビ臭の発生源になります。指導要領に「濡れた衣類は持ち帰りまたは専用乾燥室へ」と明文化し、部活動顧問と連携して徹底しましょう。床面もチェックポイントです。タイルカーペットやゴムマットの継ぎ目に溜まった皮脂や砂はカビが根を張りやすく、特に排水溝付近は細菌も増殖し悪臭の原因になります。週末には床を外せる部分だけでも持ち上げ、裏側を陰干しするか、熱風乾燥機で65℃以上20分を目安に乾燥させると菌糸を死滅させられます。照明が暗い更衣室ではカビの発見が遅れるため、LEDセンサーライトで明るさを保ち、異臭に気付きやすい環境を作ることも重要です。
3. 器具庫・体育館:器具管理と“カビ臭”のサイン
体育館は天井高があり換気が行き届いていると思われがちですが、実際には床下換気口が塞がったり、観覧席下の空洞に湿気がこもったりと死角が多い空間です。器具庫では木製跳び箱の革部分、バレーボールやバドミントンのネット、体操マットのポリエステル繊維がカビの温床になります。まずは収納物を壁から10cm以上離して並べ、背面にも空気が循環する棚板を採用してください。雨天後の授業や大会で使用したマットは、折り畳む前に床面へブルーシートを敷き、工業用送風機で表裏を30分ずつ乾燥させると再発率を大幅に下げられます。器具庫の扉を開けた瞬間に「古い畳のような甘い匂い」がしたら、揮発性カビ代謝物(MVOC)が漂っているサインです。臭気を感じたら即座に湿度計を確認し、65%を超えていれば除湿機を最大モードで連続運転しながら原因箇所の可視化(紫外線ライト照射やATP拭き取り検査)を行いましょう。体育館本体も、舞台幕裏や照明バトン付近、梁に溜まったホコリが胞子を抱え込むため、年1回は高所作業車で梁上を清掃する計画を立てると安心です。床下点検口がある場合は、夏休み中に開口して通風ファンを設置し、木床の含水率を12%以下に保つことを目標にしてください。最後に、緊急時に備えてオゾン脱臭器やHEPAフィルター付き大型空気清浄機を常時設置しておくと、スポーツ大会直前でも迅速に空気質を回復できます。
落下菌検査の実践マニュアル
誰でもできる落下菌測定――学校現場で確実に数値化するためのステップバイステップ手引き
1. 必要な器材と準備
落下菌検査は、専門家でなくても決められた器材さえ揃えれば正確なデータが取れる点が大きな利点です。最重要アイテムは寒天培地を充填した直径90㎜のペトリ皿で、一般的には標準寒天(TSA)かサブロー寒天(SDA)を使用します。これを人数分+予備として最低10枚確保すると同一環境での平均値が算出しやすくなります。次に滅菌済みピンセットとラテックス手袋、70%エタノール入りスプレー、設置台となる高さ1m前後の三脚、培養後の安全輸送用ジップバッグが必要です。温度記録を行うためのデジタル温度計・湿度計、培養庫(35℃±1℃)あるいは恒温ボックスも必須。もし恒温設備がない場合は発泡スチロール箱と保温剤で代用し、ペットボトルに40℃の湯を入れて温度を維持する方法も有効です。さらに、サンプリング日時・場所・天候・換気状況を記録するチェックシートを用意し、検査担当者がダブルチェックで記入できる体制を整えます。最後に、検査開始前には必ず検査区域の床清掃と机上の拭き上げを行い、落下菌以外の埃や食べかすが結果を左右しない環境を作ることが成功への第一歩です。
2. 検査手順(設置→培養→計測)
手順は「設置」「培養」「計測」の三段階で構成されます。まず設置段階では、ペトリ皿の蓋を静かに開け、培地面を上にして三脚の上に置きます。設置高さは呼吸域を想定した机上約1mが推奨値。教室の場合は中央・窓際・出入口付近の最低3点、体育館や器具庫では空気の対流を考慮し死角になりやすい隅にも配置します。開放時間は文科省基準の5分を厳守し、途中で人が近づき過ぎないよう注意テープで囲むと確実です。次に培養段階。蓋を閉じたペトリ皿をジップバッグに入れ、あらかじめ35℃に予熱した培養庫に48時間静置します。培養中は上下逆転を避け、結露滴が落下しないよう培地面を下にして水平を保つことが重要です。最後が計測。培養終了後ただちに皿を取り出し、透明定規とシャーピーで直径を測定しながらコロニー数を目視カウントします。コロニーが重なり判別困難な場合は、直径を基準に「融合群」を1個として扱うか、マスキングテープでセクタ分割し再カウントすると誤差を減らせます。カウント後は結果シートに転記し、写真を撮って証拠保全しておくと後日の比較や報告書作成がスムーズです。
3. 判定基準と結果の読み解き方
カビ数の評価は「平均コロニー数」と「分布特性」の二軸で行います。まず平均値は教室1室あたり10CFU以下が望ましいとされ、11~30CFUは注意域、31CFU以上は速やかな改善が必要です。ただし平均値が基準内でも、特定ポイントで突出している場合は局所汚染が疑われます。そのため標準偏差を算出し、値が平均の30%以上であれば換気不良や結露の偏在を示す警告サインと理解してください。また、体育館のような大空間では平均値に対し局所値が2倍以上になるケースが散見されるため、面積あたりサンプル密度を高めることで精度を担保します。次に結果の時間的推移に注目します。夏休み前後や雨天続きの期間で連続測定し、CFUが右肩上がりならば湿度管理が不十分、同じ場所で急減したなら清掃や乾燥処置が効果を示した証拠です。加えて、真菌種の肉眼判別が可能なら色調でリスクレベルを推定できます。白〜淡黄色の酵母様コロニーが多い場合は水分過多、黒〜暗緑の糸状菌が優勢なら木材や紙を栄養源にしている可能性が高く、内装材の点検が必要です。判定後はグラフ化して教職員会議で共有し、改善策(換気時間延長・除湿機増設・壁面断熱)を決定します。数値を定期的に記録し、基準値超過の際は保健所や専門業者に相談するフローを定めておくことで、臨時休校を回避しつつ持続的な環境管理が実現できます。
部活動後の汗・水分対策
汗と湿気を残さないための“放湿サイクル”を習慣化しよう
1. 部室・更衣室の通気と乾燥
部活動後の部室や更衣室は、汗を吸ったユニフォームやタオル、濡れたシューズが集中して持ち込まれるため、校舎内で最も湿度が高くなるゾーンです。まず実施したいのは「空気の流れを止めない」仕組みづくり。扉と窓(または換気扇)の対角線上で同時に開放できるように動線を整理し、部活動終了後は必ず30分以上の“クロスベンチレーション”をルール化します。さらに、床に直接置かれたバッグやシューズは通気を妨げるため、コの字型ラックやワイヤーシェルフを設置し、床面から10 cm以上浮かせて収納するのが効果的です。除湿機は1時間当たりの除湿量を部室の容積に合わせて選定し、タイマーで午前・午後に各1回、放課後に連続2時間運転させると湿度ピークを抑制できます。壁やロッカー裏側は温度が低く結露しやすいため、月1回は配置換えをして壁から5 cmの空気層を確保し、ファンで空気を循環させましょう。床面清掃では、スポンジモップで汗や砂を除去した後、アルカリ電解水で拭き上げると皮脂と菌糸の同時除去に効果的です。最後に、湿度ロガー付きの温湿度計を設置し、「75%を超えたら窓全開+除湿機強モード」といった閾値管理を掲示しておくことで、誰でも迷わず行動できる環境が生まれます。
2. ユニフォーム・スポーツ用具の速乾管理
濡れたユニフォームとスポーツ用具をいかに早く乾かすかが、カビ繁殖を防ぐ最大の鍵です。まずユニフォームは素材別に通気性が異なるため、ポリエステル系は45℃以下の温風乾燥、綿混紡は陰干し+サーキュレーター併用が推奨されます。部室内にハンガーパイプを天井近くに2列設置し、衣類間隔を15 cm以上空けると空気が均一に流れ乾燥時間が短縮。用具類では、バスケットボールやサッカーボールなど天然皮革製品の表面をアルコール含浸クロスで拭き、陰干し後に専用クリームで保湿処理を行うとひび割れとカビ汚染を同時に防げます。バレーボールネットや柔道畳など大型繊維製品は、使用後にロール状のまま保管せず、一度全開にして送風乾燥を行い、水分を飛ばしてから巻き取るのが理想です。また、乾燥工程を“見える化”するために乾燥ラックごとに番号を振り、当番生徒がチェックシートに「掛けた時間・取り込み時間・乾燥確認」を記入すると、乾かし忘れを未然に防げます。さらに、速乾スプレーや乾燥剤(シリカゲル)をロッカー底部に常備し、雨天練習時には多めに投入する運用を定着させれば、安全域まで含水率を下げることができます。週末や長期休暇前には洗濯機・乾燥機のフィルターを清掃し、排湿ダクトの詰まりを解消することも忘れずに行いましょう。
点検結果の評価と改善アクション
数値を行動に変える――即応と継続が被害を最小化する鍵
1. 異常が見つかった場合の初動対応
落下菌検査や目視点検で基準値超過・カビ斑点・強い異臭を確認したら、最初に行うべきは「封じ込め」と「情報共有」です。具体的には当該教室や更衣室を速やかに閉鎖し、換気扇と窓を全開にして陰圧状態を防ぎつつ空気を屋外へ排出します。その間に保健主事と施設管理担当、部活動顧問を招集し、発見地点・カビ種の色調・湿度計数値をホワイトボードに時系列で整理。「どこで」「いつ」「どの程度」の三要素を共有することで、無駄な重複対応を防げます。並行して、児童生徒への健康影響を確認するため保健室へアンケートフォームを開設し、咳・鼻炎・皮膚症状の有無を当日中に集計。症状報告が1割を超えた場合は校医と連携し、保護者へ“注意喚起メール”を配信します。
次に行うのが「原因源の除去」です。湿ったカーテンやマットなど可搬物はポリ袋で密封し屋外で日光乾燥。壁面・天井・ロッカー内部のカビは、0.05%次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗浄後、エタノールで中和し、最後に除湿機とサーキュレーターを同時稼働させて12時間以上乾燥させます。床下や器具庫など構造体内部が汚染源の場合は、被害範囲をレーザー距離計で測定し、管理職が見積依頼書を作成して専門業者に緊急連絡。作業日時を確定したら、教務主任が時間割変更案を作成し、臨時休校や教室移動の判断を校長・教育委員会に上申します。最後に、作業後24時間以内に再検査を実施し、基準値内に収まったことを保護者へ報告して信頼を確保する――これが初動対応の一連の流れです。
2. 継続的モニタリングと記録のコツ
初動で問題を解決しても、再発を防ぐには「見える化」と「ルーチン化」が欠かせません。まず、教室・更衣室・器具庫ごとにデータロガー付き温湿度計を常設し、15分間隔で自動記録。ログはWi‑Fi経由でクラウドにアップロードされ、担当者は週次でダッシュボードを閲覧するだけで異常値の有無が確認できます。しきい値を湿度70%・温度30℃に設定し、超過時にはメール通知が飛ぶようにしておくと、無人期間でも早期対応が可能です。
検査データは「月次サマリ表」で一本化しましょう。項目は日付・場所・温湿度平均・最大値・CFU数・対策メモの6列に絞り、Googleスプレッドシートで共有。色分け条件付き書式を使えば、基準超過セルが赤くハイライトされ、一目でリスク箇所が把握できます。さらに、年3回(学期末)のグラフ化を行い、教職員会議やPTA総会で提示することで、対策予算の説得材料にもなります。
日常運用では「責任者ローテーション」が鍵です。例えば運動部顧問と校務分掌を組み合わせ、毎週金曜に当番表を更新。担当者は週末の最終下校前に温湿度計と除湿機の稼働状況、換気扇フィルターの埃蓄積をチェックし、スマートフォンで写真を撮影してシートに添付します。こうすることでチェック忘れを防ぎ、担当者の属人化も回避できます。
最後に重要なのは“改善サイクル”の明文化です。基準値超過→対策実施→再検査→結果記録→報告→次回点検計画――このPDCAをフローチャートにして掲示し、誰でも手順をたどれるようにします。継続的モニタリングは、単なる数字集めではなく「臨時休校を未然に防ぎ、子どもたちの学びを守る」ための防衛線。数値と記録が蓄積されるほど、早期警戒システムとしての精度が高まり、校舎全体の衛生管理レベルが飛躍的に向上します。
年間を通じたカビ対策スケジュール
一年を通じて切れ目なく進める―校舎をカビから守る運用カレンダー
1. 季節ごとのチェックポイント
カビ対策は「発生を食い止める前倒し型」の管理が要です。まず**春(3〜4月)**は入学準備の清掃週間に合わせて全教室の換気扇フィルターを交換し、窓枠やカーテンレールの埃を除去します。新学期直後は備品が増えるため、机・ロッカーを壁から5 cm離して空気の通り道を確保するレイアウト調整も忘れずに行いましょう。
**梅雨期(6月)**は年間湿度が最も高くなるタイミングです。毎朝の開校時にサーキュレーターを対角線上に設置し、授業開始前の10分間で室内空気を入れ替える“モーニングパージ”をルール化します。体育館や器具庫は壁面から床へ伝う毛細管水分が増えるため、床下点検口を開けて湿気がこもらないようファンを稼働させ、木床の含水率を15%以下に維持します。
**夏(7月)**は期末試験終了後、空調フィルターと除湿機の水タンク清掃を徹底し、温湿度データロガーを無線化して無人期間の値をリアルタイム監視できる体制を整えます。雨天続きの年は、部活動の濡れた用具保管に備えて大型除湿機をレンタルし、部室に仮設乾燥ゾーンを作ると安心です。
**秋(10〜11月)**は結露が始まる時期。朝夕の外気温低下で窓際の露点温度が下がるため、断熱シートや二重窓フィルムを貼って温度差を緩和します。文化祭後は展示物の紙くずが多く、カビの栄養源となるので速やかに廃棄しましょう。
**冬(12〜2月)**は暖房使用で乾燥しがちですが、授業間の一斉換気で一時的に結露が生じやすい季節でもあります。湿度が40%を下回ったら加湿器、60%を超えたら除湿機と運転モードを切り替え、二酸化炭素濃度センサーと連動させれば効率的です。これらを年間サイクルとしてPDCAを回すことで、校舎全体の衛生環境が安定し、突発的な臨時休校リスクを最小化できます。
2. 夏休み点検後のフォローアップ
夏休みに実施した集中点検の成果を確実に定着させるには、新学期初日の“リセット確認”が欠かせません。まず点検結果を一覧表にまとめ、想定通りの換気ルートが確保されているか、湿度が基準内かを始業前に再測定します。もし夏季講習や部活動で机・棚の配置が変わっていれば、速やかに壁からの空間を戻し、点検時と同条件に揃えます。
次に一週間後レビューを設定し、落下菌検査を簡易版で再実施します。数値が夏休み末の値と近似していれば維持管理が成功している証拠ですが、急上昇している場合は原因を特定し、授業スケジュールを調整してでも追加清掃や除湿措置を行います。
さらに月例モニタリングとして、9月〜11月の各月末に温湿度データを自動集計し、グラフ化して教職員会議で共有します。この際、前年度との比較グラフも提示すると改善効果が可視化され、予算獲得や保護者説明の説得力が高まります。
部活動対策では夏以降も汗と水分の持ち込みが続くため、毎週金曜を「放湿デー」とし、部室の濡れ物を完全撤収して乾燥機を連続運転させるルーチンを組み込みます。ユニフォームの置き忘れゼロを目標に、チェックリストを顧問と生徒代表でダブルサインする運用を定着させると効果的です。
最後に冬前プレチェックを11月下旬に実施し、結露対策資材の在庫確認、断熱フィルムの貼り替え、加湿器のフィルター清掃を行います。これにより夏場にリセットされた環境を冬季の乾燥と結露の両面リスクから守り、年間を通じて安定した空気環境を維持することができます。
まとめ ― 子どもたちの学びを守るために
未来へつなぐ安全な学び舎づくりの最終ステップ
子どもたちが安心して学び、成長できる環境を守ることは、私たち大人の責任であり使命です──本稿で述べてきたカビ点検と対策のフレームワークは、その責任を具体的なアクションへと転換するための道標にほかなりません。まず「無人期間のリスク」を正しく認識し、夏休みの集中点検を年間計画の起点に据えることで、校舎内部の見えない脅威を可視化できます。次に、落下菌検査をはじめとする数値化のプロセスを導入すれば、感覚や経験だけに頼らない科学的な判断が可能となり、保護者や自治体とのコミュニケーションも一段とスムーズになります。さらに、部活動後の汗・水分対策や季節ごとの換気・湿度管理をルーチンワークとして仕組み化することで、「点検→記録→改善→再点検」というPDCAサイクルが自然に回り始めます。
実例として紹介した根室高校の臨時休校は、カビ対策が後手に回ったことで学習機会と教育資源が失われた痛ましいケースでした。しかし逆に言えば、今回まとめたチェックリストとスケジュールを実践することで、同様の危機を未然に防ぎ、子どもたちの学びを守ることは十分に可能です。空気中のカビ数が基準を超えた場合は、換気改善・除湿機増設・清掃強化という基本の三本柱で早期対応を行い、必要に応じて専門業者と連携する体制を整えておくことが重要です。
最後に強調したいのは「誰か一人の努力ではなく、学校全体で取り組む」という視点です。校長・教頭・用務員・顧問教師・保健主事・生徒会——立場の違いを超えて情報を共有し、役割と権限を分担すれば、カビ対策は負担ではなく“学校文化”として定着していきます。その中で、どうしても対応が難しい状況や広範囲にわたる汚染が発生した際には、全国にネットワークを持つMIST工法®カビバスターズが力になります。遠慮なく相談し、専門知識と機材を活用することで、大切な学び舎を次世代へ安全に引き継ぎましょう。
また、日常的な温湿度のロギングや月次サマリの作成、異常値アラートの設定といったICT活用は、限られた人員でも高精度な環境管理を実現する大きな助けになります。データは嘘をつきません。数値が蓄積されればされるほど、傾向が見え、対策の優先順位が明確になります。これは教育現場だけでなく、行政や地域社会との連携を深める根拠資料としても機能し、予算確保や改修計画の迅速な合意形成を後押しします。
カビは目に見えない“静かな災害”ですが、その脅威は決して小さくありません。だからこそ、早期発見・早期対応・継続監視という三つのステップを愚直に、そして楽しく実行していくことが未来への投資になります。子どもたちが安心して深呼吸し、意欲的に授業やスポーツに取り組める教室こそ、健全な学校生活の基盤です。この記事が、教職員や保護者、地域ボランティアの皆さまにとって、行動を起こすきっかけとなれば幸いです。
カビに関するご相談はMIST工法®カビバスターズへ
確かな専門力で全国対応――カビの悩みは迷わずプロに相談を
カビは放置すればするほど校舎や園舎、そして子どもたちの健康に深刻な影響を及ぼします。「ちょっと臭う」「壁紙に黒い点が出てきた」──そんな初期段階で手を打てば、費用も時間も最小限で済みますが、「どこに頼めばいいのかわからない」「本当にプロの力が必要なのか判断がつかない」という声をよく耳にします。全国にネットワークを展開するMIST工法®カビバスターズは、まさにその“判断に迷う瞬間”からサポートを開始します。
まず、現場の写真や簡単な状況説明を専用フォームや電話でお送りいただければ、経験豊富なスタッフが無料ヒアリングを実施。カビの色調や発生場所、周辺環境(湿度・気温・換気状況)などから、どの程度のリスクがあるかを見極め、応急的な換気方法や清掃手順を即時アドバイスします。これにより、「すぐに専門施工が必要か」「自校での対処で収まるか」を判断できるため、無駄な出費や臨時休校を防ぐことが可能です。
次のステップとして、必要に応じて現地調査を行います。全国各地に在籍するカビバスターズ認定スタッフが、落下菌検査・含水率測定・赤外線サーモグラフィによる結露診断を実施し、調査結果を数値と写真入りのレポート形式で提出。教育委員会やPTAへの説明資料としてそのまま活用できるため、校内合意形成や予算申請が格段にスムーズになります。
施工が必要と判断された場合でも、MIST工法®カビバスターズは「授業や行事の日程」を最優先にスケジュールを調整。夜間・休日・長期休暇中の短期集中施工に対応し、納期厳守で完了させます。さらに、施工後は再発防止を目的とした年間メンテナンスプランを提案。温湿度ロギングの無償貸与や定期点検のリマインド通知など、学校側の負担を最小限に抑えながら継続的に環境を見守ります。
「施工はまだ先でも、対策の指針が欲しい」「年度末の予算取りに向けて見積書だけ早めに用意したい」──そんな相談にも柔軟に対応。教育現場特有の事情を熟知したスタッフが、工事計画書や保護者説明用チラシのサンプル作成まで無料でサポートします。
カビ対策は“早期発見・早期対応”が成否を分ける鍵です。少しでも気になる症状や異臭、数値異常があれば、遠慮なくMIST工法®カビバスターズ本部までご相談ください。私たちは、子どもたちが安心して学びに集中できる環境を守るために、24時間体制で皆さまの声に耳を傾けています。学校・幼稚園・保育施設のカビ問題は、全国対応のプロフェッショナルとともに、確実かつ迅速に解決しましょう。
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カビ取り・カビ対策専門業者MIST工法カビバスターズ本部
0120-052-127(平日9時から17時)
カビの救急箱
【検査機関】
一般社団法人微生物対策協会
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