病院のカビ対策|漏水時の初動と病棟の施工計画
2024/10/01
病院のカビ対策|漏水時の初動と病棟の施工計画
地域医療支援病院などの施設管理担当者へ
病院で天井の水染み、壁のカビ、空調周辺の臭いを見つけた場合、まず発生区域を記録し、施設管理と感染対策の担当者へ共有します。病棟を使用したままの除去作業では、清掃方法だけでなく、患者の移動、共用空調、工事中の粉じん、復旧後の確認が関わります。
地域医療支援病院を含む病院施設のカビ対策では、診療機能を踏まえた施工計画が必要です。この記事では、建物の漏水・結露への対応と、院内の関係部署との調整に使える確認事項をまとめます。院内感染の評価や診療継続の判断は、施設の方針と医療の担当者に従ってください。
目次
発見場所と影響する区域を院内で共有する
部屋単位だけでなく隣接室と共用設備も確認
発見時の報告は「カビがある」という一言ではなく、部屋番号、位置、広さの目安、濡れの有無、発見日時をそろえます。全景と近接の写真を残し、直前の雨、空調運転、配管工事との関係も記録してください。
同じ配管や空調系統を使う隣接室、上下階にも影響がないか、設備担当者へ確認を依頼します。水滴が落ちている、天井材がたわんでいる、電気設備が濡れている場合は、その場で清掃を始めず施設の緊急対応手順に沿って連絡します。
写真を外部へ共有するときは、患者の顔、氏名、ベッド表示、診療画面などが写らないようにします。施工業者へ患者個人の診療情報を送る必要はありません。
部屋番号の境界だけで影響範囲を決めない
漏水を見つけた病室と、調査が必要な範囲は同じとは限りません。上下階の配管、天井裏、空調系統などが関係する場合は、設備図面と現地の情報を合わせて担当者が確認します。隣室に同じ汚れがないことだけで、その区域を確認対象から外さないようにします。
一方、同じ病棟の全室が同じ状態とも限りません。確認した部屋、まだ見ていない部屋、共通設備の関係が不明な部屋を分けます。対象を過小にも過大にも扱わず、調査の進捗に応じて範囲を更新することが大切です。
部屋の一部が使用できない場合は、患者の移動だけでなく、診療や看護に必要な設備がどこで使えるかも院内で整理します。作業場所を空けることと、移動先の環境や機能を確保することは別の確認です。施工の都合だけを理由に移動先を決めないでください。
夜間の報告から翌朝の判断へつなぐ
夜勤中に発見した場合、設備担当が現地へ来るまでの状態と、その後に確認した原因を分けて共有します。「水漏れ対応済み」という一言では、応急対応だけか、水の供給源の修理まで終わったかが分かりません。修理した対象と、濡れたまま残る建材を区別して引き継ぎます。
報告のために濡れた天井板を押したり、設備へ触れたりする必要はありません。現在見えている状態を院内手順に沿って伝え、現場で追加確認が必要な場合は担当者を決めます。確認のために人が集まり、通常の通行や処置を妨げないようにすることも、初動の整理に含まれます。
病棟・地下・空調で水分の原因を調べる
清掃不足と決めつけず設備・建物を調査
病棟の窓周辺では結露、天井では屋根・外壁・上階配管からの漏水、空調周囲では排水不良や断熱部分の不具合などを切り分けます。地下や倉庫では外部からの水の侵入、壁際の湿り、物品の密集も確認対象です。
臭いや変色がある場所と、水が入り始めた場所が同じとは限りません。「雨の日に悪化」「冷房運転中に濡れる」「休止していた部屋で発見」といった条件が調査の手掛かりになります。
清掃、建物修理、空調整備、内装復旧は担当業者が異なることがあります。除カビの範囲だけでなく、原因調査と修理がどの見積もりに含まれるかも確認します。
感染対策担当と設備担当の役割を決める
診療の判断と建物の施工判断をつなぐ
院内での窓口を決め、施設管理、感染対策、対象部署、清掃担当、施工業者が必要な情報を共有できるようにします。設備担当者は配管・空調・建材の状況を確認し、対象部署は患者利用や物品移動の制約を整理します。
施工方法や利用区域の変更が診療に与える影響は、院内の担当者が評価します。業者が「作業できます」と回答しても、それだけで病棟の使用継続が決まるわけではありません。
打ち合わせ事項は、作業対象、立入制限、空調操作、清掃・廃棄、連絡先、利用再開を確認する人まで書面化します。夜間や休日にも連絡が取れる担当を決めておくと、作業中の変更を共有しやすくなります。
除カビの方法と作業区画を施工前に確認
薬剤・養生・撤去・換気を具体的に確認
MIST工法®による除カビを検討する場合も、施工する建材、使用薬剤、作業区画、養生、乾燥・換気、残留物の清掃について説明を求めます。方法の名称だけで、すべての病室や設備へ同じ条件で使用できるとは判断しません。
建材の内部が傷んでいる場合は、表面処理に加えて撤去・交換が必要かを確認します。撤去を伴う作業では、粉じんや搬出物が利用中の区域へ影響しない計画が重要です。共用空調の操作や区画の設定は、設備設計と院内の方針に合わせて担当者と調整します。
医療機器、器具、薬剤、滅菌物の取り扱いは、メーカーと院内の手順に従います。建物の除カビを医療機器の洗浄・消毒・滅菌の代わりにしないでください。
工事の内容が変わると、区画の条件も変わる
最初は表面清掃を予定していても、天井材の撤去や下地補修が必要になると、粉じんの発生や搬出量が変わります。見積もりの追加だけでなく、院内で確認した作業条件の見直しも必要かを協議します。最初に決めた区画を、そのまま全ての追加作業へ当てはめないことが重要です。
CDCの医療施設向け勧告では、着工前の感染管理上の評価と、工事中の区画や設備の管理が扱われています。国内での具体的な方法は院内手順と設備の条件へ合わせて決めます。海外資料の数値を一律に導入するのではなく、作業内容、周囲の利用、空調の関係を担当者が評価する考え方を参考にします。
装置の設置と、計画した機能の確認を分ける
HEPAフィルターのある装置を置いたことだけで、作業区画から粉じんが出ないと判断できるわけではありません。吸排気の位置、区画の隙間、扉の開閉、周囲の設備との関係を含めて計画どおりか確認します。装置の商品名と、現地で成立している条件は別の情報です。
空気の量、圧力差、粒子の測定は、それぞれ異なる項目です。何を確認するための測定かを説明してもらい、一つの数字だけを区画管理全体の結果として扱わないようにします。必要な方法と確認頻度は、院内の担当と設備の専門家が作業条件に合わせて決めます。
途中の異常を誰が受け取るか
区画の破損、計画していない濡れ、設備の停止などが起きた場合に、施工班だけで続行を決めない体制を作ります。院内の窓口が不在になる時間は代わりの担当を決め、作業の中断や再開について必要な判断へつなげます。
日々の作業終了時と、工事全体の完了時も区別します。翌日も工事する区画をどう保つか、夜間の巡回で何を確認するかをあらかじめ共有しておけば、通常の清掃や設備操作で工事条件が変わる取り違えを減らせます。
漏水発生から復旧までの進め方
修理・乾燥・除去・復旧を一つの工程として整理
1.報告と初動
施設の緊急連絡先へ報告し、濡れた区域と利用状況を確認します。設備に触れる作業や立入制限は、院内の指示に従います。
2.原因調査と修理
屋根・外壁・給排水・空調などの原因を調べ、水分の供給を止める工事を計画します。
3.材料の評価と除去
濡れた建材や物品を再使用できるか、交換が必要かを担当者が判断します。清掃や除カビだけで対応できる範囲を確認します。
4.乾燥と復旧
乾燥状況を確認して内装を復旧します。施工前後の写真、修理内容、設備運転の確認を残します。
5.利用再開と経過確認
院内で合意した条件を満たすか確認し、再開後も同じ箇所の濡れや臭いを点検します。
工程は状況により前後・並行します。日数を先に固定せず、調査で分かった状態に応じて調整してください。
漏れた水と濡れた材料を確認して計画する
水道配管からの漏れ、排水に関係する漏れ、外部からの浸水では、濡れた材料への対応を同じに決められるとは限りません。水の性状が不明な場合は不明と伝え、見た目が透明だから通常の清掃でよいと決めつけないようにします。院内の担当者と施工担当が調査結果を踏まえて方法を選びます。
また、表面が拭ける材料と、内部まで濡れた吸水性の材料では確認する点が異なります。どの部分を残すか、何を交換するかを、色が落ちるかだけで決めないことが大切です。交換を提案された場合は、カビの付着、乾燥の難しさ、材料の傷みなど、判断の理由を説明してもらいます。
乾燥の確認を空気の湿度だけで終えない
除湿機で室内の数字が下がっても、天井や壁の内部まで乾いたとは限りません。復旧前には、どの材料のどの場所を確認したかを整理します。測定器を使う場合も、材料と方法に合った読み方が必要であり、別の材質の値との単純比較を避けます。
水分の原因が止まったこと、濡れた部分への処置が終わったこと、必要な乾燥が確認できたことを段階で分けます。壁紙や塗装を戻した後では見えなくなる範囲については、覆う前に確認する工程を確保してください。
原状復旧と設備の正常復帰を合わせる
工事用に変更した空調や換気の設定、閉鎖した開口、移動した物品をどう戻すかは、最終日に初めて確認する項目ではありません。復旧する担当と確認する担当を計画時に決めます。設備が動いていることと、対象室に必要な運転条件へ戻っていることを分けて確認します。
濡れた部位を交換して見た目が戻った場合も、修理した配管や外部の経路について必要な確認が残っていないかを確かめます。作業の写真だけでなく、どの問題を解消したかを対応づけると、後日の再発時にも確認先を判断しやすくなります。
患者・職員・物品の動線を分けて計画する
病棟を使いながら作業する場合の確認項目
作業区画への通路、資材の搬入、撤去材の搬出、患者や職員の通行が重ならないかを図面で確認します。エレベーターや廊下を共用する場合は、使用時間と清掃の担当も決めます。
物品を移す際は、清潔物と処理対象物の仮置き場所を分け、担当部署が使用可否を判断します。搬出のために病棟の扉や窓を開け続けるなど、設備運用を変える行為は事前に調整します。
工事のために一部の部屋が使えない場合は、院内で代替区域や日程を検討します。全館休止が必須とも、必ず稼働中に施工できるともいえません。現場条件を確認して範囲を決めます。
搬出の一回だけを見て経路を決めない
撤去材を出す時間以外にも、工具の出し入れ、休憩、資材補充、清掃などで作業員の移動があります。患者の移送や食事・物品の搬送と、どの時間に重なるかを確認します。専用経路が取れない場合の扱いは、院内の関係部署と具体的に決めます。
作業区域から出した道具や台車を、そのまま清潔物の一時置場へ持ち込まないよう、区分と院内で認められた処理を共有します。施工班の作業だけでなく、院内職員が物品を取りに入る場面も含めて運用を確認してください。
扉を開け続ければ搬出が速くなる場合でも、区画や設備の条件が変わる可能性があります。現場で運搬しやすい方法へ変更する前に、計画した分離が保てるかを確認します。廊下の一部を使う場合も、避難や緊急移動の経路を含めて院内で調整します。
工事終了後の戻す順序
一時移動した物を戻す前に、清掃や設備確認が済んでいるかを確認します。物品が入ってから再度天井を開けると、移動や養生を繰り返すことになるためです。戻せる物、確認が必要な物、使用を控えている物を院内の担当が区別します。
病棟の利用を再開する判断は、工事業者の退場時刻ではなく、院内で合意した確認に沿って行います。工事範囲の完了と診療環境の準備を別々に確認することで、見落としのあるまま通常運用へ戻ることを避けられます。
未完了の項目がある場合は、担当と次の確認時点を共有してから引き継ぎます。
季節と設備運転に合わせて点検する
梅雨・冷房開始・暖房期の変化を記録
梅雨や長雨の時期は屋根・外壁からの漏水、冷房期は吹出口や配管まわりの濡れ、暖房期は窓や外壁側の結露など、季節によって確認する場所を変えます。長期間使っていなかった部屋は、再使用前に点検します。
記録する項目は、日時、温度・湿度、設備の運転状態、濡れ・臭いの有無です。湿度の数値だけで全体の状態を判断せず、壁際や収納など実際に問題が起きている場所も確認します。
換気・空調の設定は、診療区域の設備条件と院内手順に従います。カビ対策を理由に自己判断で換気量や扉の開閉条件を変更せず、設備担当者へ相談してください。
施工記録に残す内容と確認の例
実績の断定ではなく記録様式の参考例
以下は施工実績の紹介ではなく、院内で記録する項目の例です。
対象:病棟の天井に水染みと変色
発見記録:部屋番号、日時、全景・近接写真、滴下の有無
調査記録:点検した配管・空調・上階の範囲、確認できた原因、未確認の範囲
工事記録:修理内容、交換した建材、除去範囲、作業日、使用製品
再開確認:乾燥、清掃、設備復旧、物品の返却、確認担当者
経過観察:同じ場所の写真、再び濡れた場合の連絡先
菌検査を実施する場合は、目的、採取場所、方法、結果をどう使うかも記録します。数値だけを残すのではなく、施工範囲と対応づけると次回の判断に役立ちます。
病院のカビ対策でよくある質問
利用継続・費用・検査・再発防止の疑問
Q. 病棟を使いながら施工できますか?
A. 作業範囲、空調、患者動線、粉じんや薬剤の影響などで変わります。施工業者と院内の関係部署で確認して決めます。
Q. 菌検査で安全性を保証できますか?
A. 環境検査は採取時点・場所・条件に左右されます。一回の結果から院内全体の安全性や患者の症状の原因を断定することはできません。
Q. 費用の比較では何を確認しますか?
A. 面積のほか、調査、養生、夜間作業、設備停止、撤去、乾燥、復旧、検査の含有範囲を確認します。追加作業が必要になる条件も比較してください。
Q. 除去後は再発しませんか?
A. 漏水や結露などの原因が残れば再発する可能性があります。修理と設備管理を組み合わせ、再発時の対応範囲や保証条件は書面で確認します。
病院施設のカビ調査・除去について相談する
写真・図面・利用条件を整理して問い合わせ
カビバスターズへの相談では、所在地、施設の種類、発生区域、写真、漏水・設備不具合の有無、希望する調査日時をお知らせください。病棟が稼働中か、立入可能な時間帯、施設管理や感染対策の窓口も、差し支えない範囲で共有してください。
初回相談で原因や費用が確定するとは限りません。現地調査が必要な範囲、調査費の条件、対応地域・日程、修理や復旧を別業者へ依頼する必要があるかを確認します。
患者の個人情報を含む資料は送らず、建物と設備の状況が分かる情報に絞ってください。院内の運用に合わせて、調査から施工後の確認までの進め方を整理します。
病院施設のカビについて相談する / 0120-052-127
病院・クリニックのカビ取り対応
小規模な診療所のカビ対策と休診日の施工計画
漏水・壁内などのカビの原因調査
参考資料:CDC:医療施設の環境感染管理に関する勧告(英語)。国内での対応は、日本の関連基準と院内手順、担当専門職の判断に合わせて確認してください。
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カビ取り・カビ対策専門業者MIST工法カビバスターズ本部
0120-052-127(平日9時から17時)
カビの救急箱
【検査機関】
一般社団法人微生物対策協会
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