良いカビ・悪いカビ図鑑|味噌・醤油・チーズをつくるカビと家に生える黒カビの違い
2026/08/04
こんにちは。日本全国のカビトラブルに対応している、MIST工法®カビバスターズ本部です。
「カビ」と聞くと、お風呂の黒い汚れ、押し入れのカビ臭、壁紙に広がる黒ずみなど、できれば見たくないものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、すべてのカビが私たちにとって悪い存在というわけではありません。
例えば、味噌や醤油、日本酒など、日本の食文化を支えている麹菌もカビの仲間です。麹菌は、蒸した米や麦などに繁殖し、でんぷんやたんぱく質を分解する酵素をつくることで、発酵食品の甘味やうま味、香りを引き出します。日本醸造学会は2006年に麹菌を日本の「国菌」に認定しており、まさに日本の食文化を支える大切な微生物といえます。
また、チーズの熟成には特定のカビが利用され、青カビの仲間から発見された物質は、抗菌薬ペニシリンの開発につながりました。1928年、アレクサンダー・フレミングは、培養皿に生えたカビの周囲で細菌の増殖が抑えられていることを発見し、その物質をペニシリンと名づけました。
このように、カビには食品製造や医療に役立つものがあります。ただし、ここで注意しなければならないのは、味噌やチーズに利用される管理されたカビと、住宅の壁・床下・天井裏・エアコン内部などで意図せず増殖するカビは、同じように考えられないということです。
住宅内のカビは、種類だけで単純に「良い」「悪い」と判断できるものではありません。どの場所に、どの程度の量が存在し、室内空気中にどれほど飛散しているのか、建材がなぜ湿っているのかまで確認する必要があります。厚生労働省の資料でも、室内のカビはアレルギーの原因や喘息の再発・悪化に関係する可能性が示されています。
特に現代の建物は、気密性や断熱性が高い一方で、雨漏り、結露、漏水、換気不足、空気の流れの偏りなどが発生すると、湿気が壁の中や床下に滞留しやすくなります。表面の黒カビだけを拭き取っても、建材内部に水分が残り、発生原因が改善されていなければ、再びカビが現れる可能性があります。
そのため、MIST工法®カビバスターズでは、目に見えるカビだけで判断せず、室内建材の含水率を測定し、カビが増殖しやすい水分状態になっていないかを確認します。必要に応じてファイバースコープを使用し、壁の中や天井裏など、通常は見えない部分の状態も調査します。
さらに、風量計を用いて換気量や室内の負圧状態を確認することもあります。換気設備が動いていても、給気と排気のバランスが崩れていると、壁内・床下・天井裏などから湿気やカビ臭を含んだ空気を室内へ引き込んでいる場合があるためです。
「黒いから危険」「白いから安全」「見えないから問題ない」と、色や見た目だけでカビを判断することはできません。カビ問題が心配な場合は、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査により、室内に存在するカビ菌の量や種類を確認することをおすすめします。
今回の記事では、味噌・醤油・日本酒を支える麹菌、チーズに利用されるカビ、医療の発展に貢献した青カビなどの「暮らしに役立つカビ」と、住宅内で増殖する黒カビや見えないカビの違いを、図鑑のように分かりやすくご紹介します。
カビは、ただ取り除けば終わる問題ではありません。どこから水分が入り、なぜ湿気がたまり、どこまでカビが広がっているのかを調べ、発生原因を改善することが再発防止の第一歩です。
ご自身で対処できない広範囲のカビ、何度掃除しても再発する黒カビ、原因が分からないカビ臭、壁の中や床下が疑われるカビトラブルは、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。日本全国のカビ問題に対し、見た目だけでは分からない原因を追究し、建物の状態に応じた改善方法をご提案いたします。
目次
「カビ=悪者」は本当?実は私たちの暮らしを支えるカビもある
良いカビと悪いカビは、種類だけでなく「使われ方」と「発生場所」で決まる
「カビ」と聞くと、多くの方がお風呂の目地に広がる黒い汚れや、押し入れのカビ臭、壁紙に浮き出た黒ずみなどを思い浮かべるのではないでしょうか。そのため、カビはすべて不衛生で、見つけたらすぐに取り除くべき悪者だと思われがちです。
しかし、カビの仲間には、私たちの食生活や医療、産業を支えているものも存在します。味噌、醤油、日本酒、みりん、酢などをつくる際に利用される麹菌も、真菌と呼ばれるカビの仲間です。チーズの熟成に使われる青カビや白カビ、医薬品の発展に大きく貢献したカビなど、人間が適切に管理しながら役立てている種類もあります。
つまり、カビは一律に「良い」「悪い」と分類できるものではありません。重要なのは、どのようなカビが、どの場所で、どの程度増殖し、どのように管理されているかという点です。
管理されたカビと、勝手に増えたカビはまったく違う
味噌や醤油などの製造に使われる麹菌は、温度、湿度、原材料、衛生状態などを整えた環境で、人が目的を持って培養しています。食品づくりに適した菌株が選ばれ、品質を確認しながら利用されているため、安定した発酵や熟成につなげることができます。
一方、住宅の壁、床下、天井裏、押し入れ、クローゼット、エアコン内部などに発生するカビは、人が利用するために育てたものではありません。結露、雨漏り、漏水、換気不足、建材に残った水分などを利用して、意図しない場所で勝手に増殖しています。
このような住宅内のカビは、見た目が小さくても周囲へ胞子を飛散させている可能性があります。表面に見えている部分だけではなく、壁紙の裏側や石こうボード、木材、断熱材などに広がっている場合もあるため、単なる汚れとして判断するのは危険です。
食品に利用されるカビが「管理された畑で育てる作物」だとすれば、住宅内に発生するカビは「建物の見えない場所まで広がる雑草」のようなものです。表面だけを取り除いても、水分や湿気という成長条件が残っていれば、再び増えてしまいます。
色だけで「安全なカビ」と「危険なカビ」は判断できない
住宅内で見つかるカビには、黒色、白色、青色、緑色、黄色など、さまざまな見た目があります。しかし、黒いカビだから必ず危険、白いカビだから安全というように、色だけで性質を判断することはできません。
同じ種類のカビでも、光、栄養、水分、増殖段階などによって見え方が変わることがあります。また、複数のカビや細菌、ほこりなどが混在している場合もあります。そのため、写真や目視だけで正確な種類を特定することは困難です。
住宅のカビ問題を判断する際には、次の点を確認することが重要です。
どの場所にカビが発生しているか
どの程度の範囲まで広がっているか
室内空気中にどれほど飛散しているか
建材にカビが増殖しやすい水分が残っていないか
結露、漏水、雨漏り、換気不足などの原因がないか
「良いカビもあるのだから、家のカビもそれほど心配しなくてよい」という考え方は適切ではありません。食品や医療に利用されるカビは、目的と管理方法が明確です。一方、住宅内で意図せず発生したカビは、種類や広がり方、発生原因が分からない状態にあります。
住宅のカビは「種類・量・場所・原因」で評価する
住宅内のカビを正しく評価するためには、カビの名前だけを調べればよいわけではありません。どの種類が存在するのかに加え、その量や発生場所、建物の水分状態まで総合的に確認する必要があります。
MIST工法®カビバスターズでは、一般社団法人微生物対策協会と連携し、必要に応じて真菌(カビ菌)検査をご案内しています。真菌検査を行うことで、見た目だけでは分からない室内のカビ菌の状態を確認し、住宅内に増殖源が存在する可能性を検討できます。
さらに、建材の含水率検査によって、壁、床、天井などにカビが増殖しやすい水分が残っていないかを調べます。必要に応じてファイバースコープを使用し、壁の中など通常は見えない部分の状態を確認するほか、風量計によって給気と排気のバランスや室内の負圧状態を調査することもあります。
換気扇が動いていても、給気が不足して室内が強い負圧になっていると、床下や壁内、天井裏などから湿気やカビ臭を含んだ空気を室内へ引き込む場合があります。そのため、表面のカビを取り除くだけでなく、カビが発生した建物側の原因まで追究することが重要です。
カビには、私たちの暮らしに役立つ種類もあります。しかし、住宅内で勝手に増殖しているカビは、食品づくりに利用される管理されたカビとは別の問題です。
何度掃除しても再発する、広い範囲にカビが発生している、カビ臭が消えない、壁の中や床下から臭いがするなど、ご自身では原因を特定できない場合は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。日本全国のカビトラブルに対応し、目に見えるカビだけでなく、水分、換気、建物内部の状態まで確認しながら、再発につながる原因の把握を進めます。
日本の食文化を支える麹菌とは?
味噌・醤油・日本酒を生み出す、日本の「国菌」の力
味噌汁、醤油、甘酒、日本酒、みりん、米酢などは、日本の食卓に欠かせない存在です。これらの食品づくりで重要な役割を担っているのが、カビの仲間である「麹菌」です。
「カビを使って食品をつくる」と聞くと、不衛生ではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、発酵食品に利用される麹菌は、住宅の壁や浴室に勝手に生えるカビとは異なり、食品製造に適した菌を選び、温度・湿度・衛生状態を管理した環境で育てられています。
麹菌は、日本の発酵文化を長年支えてきた重要な微生物です。その働きは、食材を単に変化させるだけではありません。米や麦、大豆などの原料に含まれる成分を分解し、甘味やうま味、香りを引き出す役割を担っています。
麹菌は米や麦の成分を分解する
麹菌は、蒸した米、麦、大豆などの表面で成長しながら、さまざまな酵素をつくります。この酵素が、原料に含まれるでんぷんやたんぱく質を、より小さな成分へ分解します。
でんぷんが分解されると糖が生まれ、たんぱく質が分解されるとアミノ酸などのうま味成分が生まれます。この働きによって、味噌の深いコク、醤油の豊かな香り、甘酒の自然な甘さなどがつくられていくのです。
主な発酵食品と麹菌の役割を整理すると、次のようになります。
味噌:大豆などの原料を分解し、うま味と香りを引き出す
醤油:大豆や小麦の成分を分解し、味と色、香りをつくる
日本酒:米のでんぷんを糖へ変え、酵母による発酵を助ける
甘酒:米のでんぷんを糖へ分解し、自然な甘さを生み出す
みりん:もち米などの成分を分解し、甘味やうま味をつくる
米酢:酒づくりの工程を経て、酢酸発酵につながる土台をつくる
このように、麹菌は日本の調味料や発酵食品を陰で支える、いわば「小さな職人」のような存在です。
日本酒づくりでは麹菌と酵母が協力している
日本酒づくりでは、麹菌と酵母がそれぞれ異なる仕事をしています。
米に含まれるでんぷんは、そのままでは酵母が十分に利用できません。そこで、麹菌がつくる酵素によって、でんぷんを糖へ分解します。その糖を酵母が利用し、アルコール発酵を進めます。
つまり、麹菌が「酵母のための食べ物を準備する役」、酵母が「糖からアルコールをつくる役」を担当しているのです。
運動会に例えるなら、麹菌がバトンを渡し、酵母が次の走者として走るような関係です。どちらか一方だけでは、日本酒特有の味や香りを生み出すことはできません。
この複数の微生物が協力する発酵技術は、日本人が長い年月をかけて育ててきた知恵の一つです。
麹菌にもいくつかの種類がある
一般的に「麹菌」とひとまとめに呼ばれていますが、実際には用途に応じて異なる特徴を持つ菌が使われています。
代表的なものには、次のような麹菌があります。
黄麹菌
味噌、醤油、日本酒など、幅広い食品づくりに使われています。日本の発酵食品を代表する麹菌です。
白麹菌
焼酎などの製造に使われることが多い麹菌です。酸をつくる性質があり、製造中に不要な微生物が増殖するのを抑える役割もあります。
黒麹菌
泡盛や焼酎づくりなどで利用されています。黒い色をしていますが、食品製造用として適切に管理されている麹菌です。
ここで重要なのは、黒い色をしているから住宅の黒カビと同じとは限らないということです。
カビの色だけを見て、「黒いから全部同じ」「白いから安全」と判断することはできません。カビは種類だけでなく、育っている場所、増殖量、利用目的、管理状態まで含めて考える必要があります。
「国菌」は住宅のカビが安全という意味ではない
麹菌が日本の発酵文化に欠かせない存在だからといって、住宅内に発生するカビまで安全になるわけではありません。
食品づくりで使われる麹菌は、選ばれた菌を管理された環境で利用しています。一方、住宅内のカビは、どの種類が、どの程度増殖しているのか分からない状態です。
壁紙、木材、石こうボード、断熱材、畳、布製品、ほこりなどを栄養源として増殖し、胞子が室内空気中へ飛散している可能性もあります。また、目に見える部分とは別に、壁の中や床下、天井裏などで増殖していることもあります。
そのため、次のような考え方は避けなければなりません。
「麹菌もカビだから、家のカビもそれほど問題ではない」
「発酵食品にカビを使うから、黒カビも少しくらいなら大丈夫」
「昔からカビは身近にあるため、住宅内に生えても自然なことだ」
麹菌は、目的を持って管理された環境で使われています。住宅内に意図せず発生したカビとは、存在する意味も管理方法も異なります。
家の中で発酵食品のような臭いがしても要注意
住宅内で、味噌、土、古い倉庫、湿った木材のような臭いを感じることがあります。しかし、その臭いだけで麹菌がいると判断することはできません。
カビや細菌などの微生物が活動すると、さまざまなにおい成分が発生します。また、湿った建材、壁紙の接着剤、木材、排水、生活用品などが臭いの原因になっている場合もあります。
特に、次のような状態がある場合は、見えない場所でカビが増殖していないか確認が必要です。
換気してもカビ臭や土のような臭いが消えない
雨の日や湿度の高い日に臭いが強くなる
押し入れやクローゼットを開けると臭う
壁や床の一部だけが湿っている
壁紙に浮き、変色、はがれがある
エアコンを使用するとカビ臭を感じる
家にいるときだけ臭いが気になる
目に見えるカビがなくても、壁紙の裏側、床下、天井裏、エアコン内部、家具の裏などで増殖している可能性があります。
住宅のカビは検査と原因調査が重要
住宅内のカビ問題は、「何色のカビか」だけでは正確に判断できません。カビの種類や量、発生場所、建材の水分状態、換気環境などを総合的に確認する必要があります。
MIST工法®カビバスターズでは、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査をご案内しています。室内のカビ問題が心配な場合は、目視だけで判断せず、真菌検査によって室内環境の状態を確認することをおすすめします。
また、建材の含水率を測定し、壁や床、天井などにカビが増殖しやすい水分が残っていないかを確認します。必要に応じてファイバースコープで壁の中を調べ、風量計を使って給気と排気のバランスや室内の負圧状態も確認します。
現代の建物では、気密性が高いからこそ、湿気が一度入り込むと見えない場所に滞留することがあります。表面のカビだけを取り除いても、結露、漏水、換気不足、負圧などの発生原因が残っていれば、再発する可能性があります。
麹菌は、味噌や醤油、日本酒を生み出し、日本の食文化を支えてきた大切なカビです。しかし、住宅内で勝手に増殖するカビは、麹菌と同じ感覚で扱うことはできません。
何度掃除してもカビが再発する、原因不明の臭いが続く、壁の中や床下が心配という場合は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。日本全国のカビトラブルに対応し、目に見えるカビだけではなく、建物の水分状態や空気の流れまで調べながら、発生原因の追究と再発防止につながる改善を進めます。
チーズや医療にも活躍する青カビ
食品の熟成からペニシリンの発見まで、暮らしを変えたカビの力
青カビと聞くと、食パンや果物の表面に広がる青緑色のカビを思い浮かべる方が多いかもしれません。食品に意図せず発生した青カビは、基本的に食べずに処分する必要があります。
しかし、青カビの仲間すべてが、人にとって役に立たないわけではありません。特定の種類や菌株は、管理された環境でチーズの熟成に利用されているほか、医療の発展にも大きく貢献してきました。
大切なのは、青い色をしたカビを一律に「良いカビ」または「悪いカビ」と判断しないことです。食品製造に適した菌を、人が管理して利用しているのか。それとも住宅や食品に意図せず発生し、種類や増殖範囲が分からない状態なのかによって、その意味は大きく異なります。
ブルーチーズの模様は管理された青カビ
ブルーチーズを切ると、内部に青色や青緑色の模様が広がっています。この模様は、チーズの熟成に利用される青カビによるものです。
ブルーチーズでは、製造に適した青カビを使い、温度や湿度、空気の入り方、熟成期間などを管理しながら、特有の香りや味わいを引き出します。
青カビがチーズの成分を分解することで、独特の香り、塩味、刺激、コクなどが生まれます。世界各地には、それぞれ異なる製法や熟成環境でつくられるブルーチーズがあります。
ただし、市販のブルーチーズに使われる青カビが安全に管理されているからといって、冷蔵庫の中で別の食品に勝手に生えた青カビまで食べられるわけではありません。
家庭で食品に意図せずカビが発生した場合、表面だけを削り取って食べることは避けたほうが安全です。目に見える部分より内部へ菌糸が入り込んでいたり、周辺に胞子が付着したりしている可能性があるためです。
白カビもチーズの熟成に利用されている
カマンベールチーズなどの表面を覆う白い部分も、熟成に利用されるカビの仲間です。
白カビタイプのチーズでは、表面から熟成が進み、内部のたんぱく質や脂肪が分解されることで、やわらかな食感や特有の香りが生まれます。外側から中心へ向かって状態が変化していくことも、白カビチーズの特徴です。
この白カビも、食品製造用に選ばれた菌を、衛生状態が管理された環境で利用しています。
一方、住宅の壁紙、家具、革製品、畳、衣類などに生える白いカビは、チーズに利用される白カビと同じ感覚で考えることはできません。
住宅内に白い粉や綿のようなものが見られた場合、カビ以外に、ほこり、塩類、建材成分などの可能性もあります。そのため、見た目だけで安全性や種類を断定せず、発生場所や水分状態を確認する必要があります。
青カビの発見がペニシリンにつながった
青カビの仲間は、医療の歴史にも大きな影響を与えました。
1928年、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングは、細菌を培養していた容器に偶然カビが入り込み、そのカビの周囲では細菌が増殖していないことに気づきました。
フレミングは、カビが細菌の増殖を抑える物質をつくっていると考え、その物質を「ペニシリン」と名づけました。その後、研究者たちによって製造や利用の研究が進められ、ペニシリンは感染症治療に用いられる抗菌薬として発展していきました。
これは、普段なら実験の失敗として捨てられてしまうかもしれない現象から、重要な発見が生まれた例です。
ただし、「青カビからペニシリンが見つかった」という事実は、住宅に生えた青カビに薬としての効果があるという意味ではありません。
家庭内のカビを直接傷口に当てたり、自己判断で利用したりすることは危険です。医薬品は、有効成分を適切に製造・精製し、安全性や品質、使用量などを管理したうえで使用されます。
同じ青カビでも性質や用途は異なる
私たちは、カビを色で呼ぶことがよくあります。
「青カビ」「黒カビ」「白カビ」という呼び方は、見た目を伝えるには分かりやすい一方で、正確な種類を表しているとは限りません。
青色や青緑色に見えるカビの中にも、複数の属や種類があります。同じ種類であっても、菌株や生育環境によって性質が異なる場合があります。
そのため、次のような判断は避ける必要があります。
ブルーチーズのカビに似ているから安全
青カビはペニシリンの材料になるから問題ない
白いカビは見た目がきれいだから危険性が低い
黒いカビだけが住宅で問題になる
色が同じならすべて同じ種類のカビである
カビの評価には、色だけでなく、種類、量、発生場所、増殖範囲、水分状態などの情報が必要です。
食品工場のカビと住宅のカビは管理方法が違う
チーズなどの発酵食品をつくる場所では、使用する菌、原材料、温度、湿度、空気、熟成期間、衛生管理などが計画されています。
目的とするカビを育てる一方で、不要な微生物が混入しないように管理することも重要です。
これに対し、住宅で発生するカビには、次のような特徴があります。
どの種類が発生したのか分からない
いつから増殖しているのか分からない
壁の中など、見えない場所に広がっている可能性がある
複数のカビや細菌が混在している場合がある
室内空気中へ胞子が飛散する可能性がある
水分や換気の問題が改善されなければ再発しやすい
つまり、食品づくりに利用されるカビは「目的を持って管理するカビ」であり、住宅内のカビは「原因を調査して増殖を止めるべきカビ」です。
同じカビの仲間でも、扱い方はまったく異なります。
冷蔵庫の中でもカビは増殖する
「冷蔵庫に入れておけばカビは生えない」と考える方もいますが、低温でも成長できるカビは存在します。
冷蔵庫内には、食品から出る水分や汁、包装に付着した汚れ、野菜くず、結露など、カビの栄養や水分となるものがあります。ドアの開閉によって室温の空気が入り込むと、温度差による結露が発生することもあります。
特に注意したい場所は次のとおりです。
野菜室の底や隅
ドアパッキンの溝
製氷機の給水タンク
食品の汁がこぼれた棚
長期間放置した調味料の容器
保存袋や密閉容器の外側
冷蔵庫の背面や下部
食品にカビが発生した場合は、その食品だけでなく、周囲の容器や棚にも胞子が付着している可能性があります。原因となった食品を処分し、周囲を適切に清掃して乾燥させることが重要です。
住宅の青カビを食品用のカビと同一視しない
住宅では、壁紙、木材、畳、布製品、革製品、家具の裏側などに、青色や緑色に見えるカビが発生することがあります。
しかし、色や写真だけで、チーズに使われる種類と同じかどうかを判断することはできません。仮に同じ属のカビであったとしても、住宅内で意図せず増殖している状態は、食品製造のように管理されているわけではありません。
また、壁の表面に見えている青い部分だけを拭き取っても、壁紙の裏側や下地材に菌糸が広がっていれば、再び表面へ現れる可能性があります。
カビが繰り返し発生するときには、次のような原因が隠れている場合があります。
外壁や屋根からの雨水の侵入
配管や設備からの漏水
窓や壁の内部結露
家具裏の空気停滞
換気設備の能力不足
給気口の閉鎖や目詰まり
室内の強い負圧
建材に残った水分
カビの色を確認するだけでは、これらの原因を把握することはできません。
真菌検査で種類と量を確認する意味
住宅内でカビが見つかったとき、「これは何カビですか」と種類だけを知りたい方は少なくありません。
しかし、住宅のカビ問題では、種類に加えて、どの程度存在しているのか、室内空気中へ飛散しているのか、室内に増殖源があるのかを確認することが大切です。
MIST工法®カビバスターズでは、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査をご案内しています。真菌検査は、見た目だけでは分からないカビの状態を客観的に確認するための手段です。
さらに、建材の含水率検査を行い、壁、床、天井などにカビが成長しやすい水分が残っていないかを確認します。
壁の中や天井裏が疑われる場合には、ファイバースコープを使って内部の状態を調べます。また、風量計で給気・排気の状態や室内の負圧を確認し、見えない場所から湿気やカビ臭を引き込んでいないかを検討します。
役立つカビの知識を、住宅の安全判断に使わない
青カビがチーズを熟成させ、ペニシリンの発見につながったことは、カビの持つ可能性を示す興味深い例です。
しかし、その知識を理由に、住宅や食品に勝手に生えたカビを安全だと判断してはいけません。
食品や医療に役立つカビは、種類や菌株を選び、目的に合わせて管理されています。一方、住宅内のカビは、発生原因も増殖範囲も分からない状態です。
特に、何度掃除しても再発するカビ、広範囲に広がった青カビや黒カビ、換気しても消えないカビ臭がある場合は、表面だけの問題ではない可能性があります。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国のカビトラブルに対応しています。カビの種類だけに注目するのではなく、真菌検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計による負圧・換気状態の確認などを通して、カビが発生した原因を追究します。
現代の建物では、原因を改善せずに表面のカビだけを取り除いても、再発する可能性があります。ご自身では判断できないカビや、繰り返すカビトラブルは、早めに専門家へご相談ください。
なぜ同じカビでも家の中では問題になるの?
食品に利用される「管理されたカビ」と、住宅で増殖する「制御されていないカビ」の違い
味噌や醤油をつくる麹菌、チーズの熟成に利用される青カビや白カビなど、私たちの暮らしに役立つカビがあることをご紹介してきました。
そこで、次のような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
「食品に使われるカビがあるなら、家に生えたカビもそれほど心配しなくてよいのでは?」
しかし、食品づくりに利用されるカビと、住宅内で意図せず増殖したカビは、同じ真菌の仲間であっても、置かれている状況が大きく異なります。
食品に利用されるカビは、目的に適した菌株を選び、温度、湿度、原材料、衛生状態などを管理した環境で育てられています。一方、住宅内のカビは、どの種類が、どの場所で、どの程度増えているのか分からないまま広がります。
家のカビが問題になる理由は、単に「悪い種類だから」ではありません。
人が管理できていない場所で増殖し、胞子や菌体が室内へ広がり、建物の水分問題や換気不良が続く限り再発する可能性があるからです。
食品のカビは目的と管理方法が決まっている
味噌や醤油、チーズなどの製造では、使用するカビの種類や菌株があらかじめ選ばれています。
さらに、製造する食品に合わせて、次のような条件が管理されています。
使用する原材料
温度と湿度
発酵や熟成に必要な期間
空気の取り入れ方
製造設備や容器の衛生状態
不要な微生物が混入していないか
製品の品質や保存状態
つまり、食品づくりでは、目的とするカビを必要な場所で育て、それ以外のカビや細菌が増えないように管理しているのです。
例えるなら、食品に使われるカビは、整備された畑で計画的に育てる作物のようなものです。種を選び、水や温度を管理し、収穫までの工程も決められています。
これに対して住宅のカビは、建物のすき間や見えない場所に、いつの間にか根を広げる雑草に似ています。どこから始まり、どこまで広がったのか分からないため、表面だけを取り除いても再び現れることがあります。
住宅のカビは人が意図しない場所で増殖する
住宅内でカビが発生しやすいのは、浴室や洗面所だけではありません。
カビの胞子は空気中に存在し、水分、温度、栄養となるものなどの条件がそろうと、さまざまな場所で増殖する可能性があります。
特に注意したい場所は次のとおりです。
壁紙と下地材の間
石こうボードの内部や裏側
断熱材の周辺
床下や基礎部分
天井裏や小屋裏
押し入れやクローゼット
家具と壁のすき間
畳やカーペットの裏側
エアコンや換気設備の内部
窓周辺や外壁に面した壁
配管や水回り設備の周辺
こうした場所は、日常生活では確認しにくく、カビが増殖していても発見が遅れやすいという特徴があります。
表面に黒い点が少し見えるだけでも、その裏側では広い範囲に菌糸が伸びている場合があります。反対に、目に見えるカビがなくても、壁の中や天井裏からカビ臭が流れ込んでいることもあります。
家の中にはカビの栄養になるものが多い
カビが増殖するためには、水分だけでなく栄養となるものも必要です。
住宅内には、カビが利用できるものが数多く存在します。
例えば、壁紙の接着剤、木材、畳、紙、布、皮脂、食品の汚れ、石けんかす、ほこりなどです。石こうボードの表面紙や、木質系の建材も、湿った状態が続けばカビが増殖する場所になる可能性があります。
「新しい家だからカビの栄養はない」と考える方もいますが、新築住宅にも木材、紙、接着剤、ほこりなどは存在します。
さらに、建築中に雨でぬれた建材や、完成後も十分に乾いていない建材が残っている場合には、カビが発生しやすい水分条件が整うことがあります。
大切なのは、建物が新しいか古いかだけではありません。
建材にどの程度の水分が含まれているか、湿った状態がどれくらい続いているかが重要です。
カビは胞子を飛ばして広がる
カビは成長すると、繁殖のために胞子をつくります。この胞子は非常に小さく、空気の流れ、人の移動、衣類、掃除機、エアコンなどによって室内へ広がることがあります。
カビが発生した場所を乾いた布で強くこすったり、掃除機で直接吸い込んだりすると、胞子を周囲へ舞い上げてしまう可能性があります。
目に見える黒い部分だけがカビ問題のすべてではありません。
住宅内では、次のような状態も確認する必要があります。
空気中にどの程度のカビ菌が存在するか
室内と屋外のカビ菌量に大きな差がないか
特定の部屋だけ数値が高くなっていないか
壁や天井などにカビの増殖源がないか
空調や換気によって別の部屋へ広がっていないか
室内空気中のカビは、肉眼では確認できません。そのため、見た目がきれいになっただけでは、カビ問題が解決したとは判断できない場合があります。
住宅内のカビは健康面にも配慮が必要
住宅内でカビが増殖すると、胞子や菌体の一部などが空気中へ広がる可能性があります。
カビに対する反応には個人差があり、同じ住宅で生活していても、すべての人に同じ変化が現れるわけではありません。特に、カビに対するアレルギーがある方、呼吸器に不安がある方、乳幼児、高齢者などが暮らしている場合には、住環境を慎重に確認する必要があります。
ただし、咳、鼻水、目のかゆみ、体調不良などがあるからといって、その原因が必ずカビだと断定することはできません。
症状がある場合は医療機関に相談し、住宅側については真菌検査や建物調査を行うなど、医療と住環境を分けて確認することが大切です。
「家を離れると楽になる」「特定の部屋に入ると気になる」といった変化がある場合も、カビだけを原因と決めつけず、室内環境全体を調べる必要があります。
表面を拭くだけでは再発する可能性がある
住宅のカビを見つけると、多くの方が市販の洗剤やカビ取り剤を使って表面を掃除します。
発生範囲が小さく、浴室などの水に強い場所であれば、ご自身で対応できる場合もあります。しかし、壁紙、木材、石こうボード、畳などの内部まで水分や菌糸が入り込んでいる場合、表面だけの清掃では解決しないことがあります。
カビが再発する主な理由として、次のような問題が考えられます。
結露が繰り返し発生している
雨漏りや漏水が止まっていない
建材内部に水分が残っている
家具裏などで空気が動いていない
給気口が閉じられている
換気設備が十分に機能していない
室内が強い負圧になっている
壁の中や床下にカビの増殖源が残っている
発生原因が残っていれば、表面が一度きれいになっても、再びカビが現れる可能性があります。
これは、雨漏りしている天井のシミを塗装だけで隠すことに似ています。シミが見えなくなっても、雨水の侵入口を直さなければ、いずれ同じ場所に問題が現れます。
カビも同様に、見た目だけでなく、水分が発生した原因を確認することが重要です。
現代住宅では見えない湿気が残りやすい
現代の住宅は、断熱性や気密性が向上し、冷暖房の効率や快適性が高くなっています。
その一方で、建物内部へ水分が入り込んだ場合、場所によっては乾燥しにくくなることがあります。壁の中や床下などで湿気が滞留しても、室内側からはすぐに気づけない場合があります。
また、換気扇が動いているだけで、適切な換気ができているとは限りません。
排気量に対して給気量が不足すると、室内が負圧になります。負圧の状態が強いと、壁のすき間、床下、天井裏、配管周辺などから空気を引き込むことがあります。
その空気が湿気やカビ臭を含んでいれば、目に見えるカビがない部屋でも臭いを感じる可能性があります。
そのため、現代住宅のカビ問題では、室温や湿度だけでなく、建材の水分、換気量、給排気のバランス、建物内部の空気経路まで確認することが必要です。
真菌検査で見えないカビの状態を確認する
住宅内のカビを目視だけで評価することには限界があります。
カビ問題が心配な場合には、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査によって、室内環境を客観的に確認することをおすすめします。
真菌検査では、調査目的に応じて、空気中のカビ菌を調べる方法や、発生部分から採取して確認する方法などを検討します。
検査によって確認したいのは、カビの名前だけではありません。
室内にどの程度のカビ菌が存在するか
屋外と比較して室内の数値が高くないか
特定の部屋に増殖源が疑われないか
どのような種類のカビが確認されるか
対策後に状態が改善したか
こうした情報を組み合わせることで、見た目だけでは分からない室内環境の状態を把握しやすくなります。
含水率・壁内・負圧を調べて発生原因を追究する
MIST工法®カビバスターズでは、住宅のカビ問題に対して、カビの色や表面の範囲だけで判断しません。
建材の含水率検査を行い、壁、床、天井などに水分が残っていないかを確認します。周囲と比べて含水率が高い場所があれば、雨漏り、漏水、結露などの可能性を考えながら、原因を調べます。
壁の内部が疑われる場合には、ファイバースコープを使用して、通常は見えない場所の状態を確認します。必要に応じて、変色、水滴、カビのような付着物、断熱材の状態などを調査します。
さらに、風量計を用いて給気・排気の状態を測定し、室内の負圧や換気バランスも確認します。
このように、カビの発生範囲、水分、建物内部、空気の流れを総合的に調べることで、再発につながる原因を追究します。
家に生えたカビは「役立つカビ」と同じ扱いにしない
味噌、醤油、チーズなどに利用されるカビは、私たちの生活を豊かにしてくれる大切な存在です。
しかし、住宅内に勝手に生えたカビは、種類、量、発生場所、広がり方が分からず、人の管理下にもありません。
そのため、住宅内のカビは「良い種類か、悪い種類か」だけで判断するのではなく、次の3つを確認する必要があります。
どこまでカビが広がっているのか
なぜその場所に水分が発生したのか
室内空気や建物全体にどのような影響があるのか
何度掃除しても再発する、広い範囲にカビがある、換気しても臭いが消えない、壁の中や床下に不安がある場合は、表面清掃だけで解決しない可能性があります。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国のカビトラブルに対応しています。一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計による負圧・換気バランスの確認などを通じて、カビが発生した原因を追究します。
現代の建物では、原因を改善しないまま表面だけをきれいにしても、カビが再発する可能性があります。ご自身では原因を判断できないカビトラブルは、被害が広がる前に専門家へご相談ください。
家に発生しやすい黒カビ・青カビ・白カビの特徴
色だけでは見分けられない住宅内のカビを、発生場所・広がり方・原因から考える
住宅内でカビを見つけたとき、多くの方が最初に気にするのは、その「色」ではないでしょうか。
浴室や窓のゴムパッキンに見られる黒いカビ、畳や家具の裏に広がる青緑色のカビ、押し入れや革製品に付着する白い綿のようなカビなど、住宅内ではさまざまな見た目のカビが確認されます。
一般的には、見た目の色に合わせて「黒カビ」「青カビ」「白カビ」と呼ばれています。しかし、これらは必ずしも正式な菌の種類を示す名称ではありません。
黒く見えるカビの中にも複数の種類があり、青色や緑色に見えるカビにも異なる種類が含まれます。また、同じカビでも、成長段階、光の当たり方、湿度、栄養源などによって色が変わって見える場合があります。
そのため、住宅のカビ問題では、色だけで危険性や種類を判断するのではなく、次の3つを確認することが重要です。
どこに発生しているか
どの程度の範囲まで広がっているか
なぜその場所が湿っているのか
ここでは、住宅内でよく見られる黒色、青色、白色などのカビについて、発生しやすい場所や注意点を分かりやすく解説します。
黒カビは浴室だけに発生するわけではない
住宅で最もよく知られているのが「黒カビ」です。
浴室の目地、窓のゴムパッキン、洗面所、キッチンなど、水分が多い場所に黒い点や筋として現れることがあります。見た目が目立ちやすいため、住宅のカビといえば黒カビを思い浮かべる方も少なくありません。
しかし、黒く見えるカビが発生するのは、水回りだけではありません。
住宅内では、次のような場所にも黒いカビが見られることがあります。
窓ガラスやサッシの周辺
北側の外壁に面した壁
家具と壁のすき間
ベッドやマットレスの裏側
押し入れやクローゼット
エアコンの吹き出し口や内部
壁紙の継ぎ目や巾木の周辺
床下や天井裏
雨漏りや漏水が起きた場所
結露が続いている壁の内部
黒い点が表面に少しだけ見えている場合でも、その裏側で広い範囲に増殖している可能性があります。
特に壁紙に黒いカビが発生している場合、表面だけでなく、壁紙の裏、接着剤、石こうボードなどに水分が入り込んでいることがあります。市販のカビ取り剤で表面の色が薄くなっても、下地材にカビや水分が残っていれば、再び黒い点が現れる可能性があります。
窓周辺の黒カビは結露のサイン
冬になると、窓ガラスやサッシ、ゴムパッキンに黒カビが発生しやすくなります。
室内の暖かく湿った空気が、外気で冷えた窓に触れると、空気中の水分が水滴になります。これが結露です。
結露をそのままにしていると、窓枠、木部、カーテン、壁紙などが繰り返し湿り、カビが増殖しやすい環境になります。
窓の黒カビを掃除するときは、見えている部分だけでなく、次の場所も確認してください。
カーテンの裾や裏側
レースカーテンの窓側
窓枠と壁紙の境目
木製窓枠の角
サッシ下部の排水部分
窓の下に置かれた家具の裏
窓周辺の巾木や床材
窓の近くにカビが繰り返し発生する場合は、掃除だけでなく、室内湿度、換気、暖房方法、家具の配置などを見直す必要があります。
青カビや緑色のカビは畳・木材・布製品にも発生する
住宅内では、青色や青緑色、緑色に見えるカビが発生することがあります。
こうしたカビは、食品だけでなく、畳、木材、革製品、布、壁紙、ほこりなどにも増殖する可能性があります。
発生しやすい場所としては、次のような例が挙げられます。
湿気の多い畳
押し入れに収納した布団
長期間使っていない革製品
木製家具の裏側
クローゼットの衣類やバッグ
結露した壁に接している段ボール
エアコンや空気清浄機の内部
湿った木材や合板
水漏れがあった収納スペース
青や緑のカビを見ると、ブルーチーズに使われるカビと同じではないかと考える方もいます。
しかし、住宅に生えたカビは、食品製造用に選ばれた菌を管理して育てたものではありません。色が似ているという理由だけで、安全だと判断することはできません。
また、目に見える色だけでは、正確な種類を特定できません。複数のカビが同じ場所に発生し、黒色、青色、緑色などが混ざって見える場合もあります。
畳の青カビは新しい住宅でも起こり得る
畳のカビは、古い住宅だけの問題ではありません。
新しい畳には、カビが利用できる成分が残っていることがあります。また、新築後やリフォーム後の住宅では、建材に含まれる水分や室内の湿気が十分に抜けておらず、畳が湿りやすい場合があります。
特に、梅雨時期や夏場に窓を閉め切り、換気や除湿が十分でない状態が続くと、畳の表面に青緑色や白色のカビが発生することがあります。
畳の上に布団やカーペットを敷いたままにすると、空気が動かず、湿気が逃げにくくなります。
畳にカビが発生した場合は、表面だけでなく、畳の裏側、床板、床下の湿気も確認することが大切です。畳表をきれいにしても、床下から湿気が上がっている場合や、下地にカビが残っている場合には再発する可能性があります。
白カビは見逃されやすい
白色のカビは、黒カビほど目立たないため、発見が遅れることがあります。
白い粉、綿、糸、膜のように見えることがあり、ほこりと間違えられる場合もあります。
白いカビが発生しやすい場所には、次のようなものがあります。
押し入れの内壁や床
クローゼットの衣類
革靴、バッグ、財布
木製家具や木箱
畳や布団
壁紙や石こうボード
本や書類、段ボール
床下や天井裏の木材
観葉植物の土や植木鉢周辺
ただし、住宅内で見つかる白い付着物が、すべてカビとは限りません。
コンクリートやモルタルでは、水分の移動に伴って塩類が表面に現れ、白い粉のように見える「白華」が発生することがあります。また、建材の粉、接着剤、ほこりなどが白く見えている可能性もあります。
見た目だけで判断できない場合は、無理に触ったり乾いたブラシでこすったりせず、発生場所の水分状態や広がり方を確認することが重要です。
赤色・ピンク色・黄色の汚れもカビとは限らない
浴室や洗面所で見られるピンク色のぬめりを、ピンクカビと呼ぶことがあります。しかし、この呼び方は見た目に基づく通称であり、実際にはカビではなく、細菌や酵母などが関係している場合があります。
また、壁や天井に見られる黄色や茶色のシミも、すべてカビとは限りません。
考えられる原因には、次のようなものがあります。
雨漏りや漏水による水染み
木材の成分や接着剤の変色
たばこの煙や油汚れ
細菌や酵母の増殖
複数の微生物が混在した汚れ
建材の劣化や化学的な変色
一方で、水染みができた場所は建材が湿っている可能性があり、その周辺でカビが増殖している場合もあります。
色だけを見て「これはカビではない」と判断するのではなく、水分が発生した原因まで調べることが必要です。
同じ場所に複数のカビが存在することもある
住宅内のカビは、必ず一種類だけが発生するわけではありません。
湿った壁紙や木材、ほこりなどには、複数のカビが同時に増殖することがあります。初めは白く見えていた場所が、時間の経過とともに緑色や黒色に変化することもあります。
これは、一種類のカビが単純に色を変えた場合だけでなく、異なるカビが順番に増殖したり、複数の種類が混在したりしている可能性もあります。
さらに、カビだけでなく、細菌、酵母、ダニ、ほこりなどが同じ場所に存在する場合もあります。
目視では一つの黒い汚れに見えても、その中にどのような微生物が、どの程度存在しているかを正確に判断することは困難です。
カビの色より「発生している場所」が重要
住宅のカビを調べるときは、「何色か」よりも「どこに発生しているか」に注目する必要があります。
例えば、浴室のタイル表面に小さく発生したカビと、寝室の壁紙やエアコン内部に広がったカビでは、確認すべき範囲や室内環境への影響が異なります。
特に注意したいのは、次のような場所です。
寝室や子ども部屋
長時間過ごす場所であり、寝具、マットレス、家具裏、窓周辺などにカビが発生しやすい環境があります。
エアコン内部
内部でカビが増殖すると、運転時に空気の流れとともに、臭いや微細な汚れが室内へ広がる可能性があります。
壁紙や石こうボード
表面だけでなく、裏側や下地材へ水分とカビが広がっている場合があります。
床下や天井裏
通常は見えないため発見が遅れやすく、漏水、雨漏り、結露、換気不足などが長期間続いている可能性があります。
収納内部
空気が動きにくく、衣類や段ボールなどカビの栄養になるものが多いため、気づかないうちに広がることがあります。
住宅内のカビは、見た目の色よりも、生活空間との距離、発生面積、空気の流れ、水分の原因を含めて評価することが大切です。
黒カビを拭き取っても臭いが消えない理由
表面に見える黒カビを掃除した後も、カビ臭や湿った土のような臭いが残ることがあります。
この場合、次のような原因が考えられます。
壁紙の裏側にカビが残っている
石こうボードや木材へ水分が入り込んでいる
家具の裏や床下にもカビが広がっている
エアコンや換気設備内部に発生している
壁内や天井裏から臭気を含む空気が流れ込んでいる
表面の色は消えても、発生原因が改善されていない
カビ臭の原因が、必ずしも目に見える黒い部分だけとは限りません。
現代の住宅では、換気扇の排気によって室内が負圧になり、壁内、床下、天井裏などから空気を引き込む場合があります。その空気が湿気やカビ臭を含んでいれば、表面を掃除しても臭いが続く可能性があります。
写真だけでカビの種類を断定するのは難しい
カビの写真を見せて、「これは何という種類ですか」と質問されることがあります。
写真から、カビの可能性が高いか、どの範囲に広がっているか、発生場所にどのような水分問題がありそうかを考えることはできます。しかし、写真だけで正確な種類を断定することは困難です。
色や形が似ているカビは複数存在し、撮影時の光、画質、建材の色、汚れの混在によっても見え方が変わります。
さらに、カビの種類が分かっても、それだけでは住宅の問題は解決しません。
重要なのは、次の点です。
カビがどの程度の量で存在しているか
室内空気中へ飛散しているか
発生源が表面だけか、建材内部にもあるか
水分がどこから供給されているか
換気や負圧が広がりに関係していないか
カビの名前を知ることは調査の一部であり、原因改善には建物全体の確認が必要です。
真菌検査でカビの状態を客観的に確認する
住宅内の黒カビ、青カビ、白カビが心配な場合は、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査をおすすめします。
真菌検査では、調査目的に応じて、発生箇所から採取した試料や室内空気などを確認します。これにより、目視では分からないカビの種類や存在状況を調べる手がかりになります。
ただし、真菌検査だけで建物の発生原因がすべて分かるわけではありません。
検査結果とあわせて、次の調査を組み合わせることが重要です。
建材の含水率検査
雨漏りや漏水の確認
結露が発生する場所の調査
ファイバースコープによる壁内確認
床下や天井裏の状態確認
風量計による給気・排気の測定
室内の負圧や空気の流れの確認
カビの種類と量、建材の水分、建物内部、換気状態を総合的に確認することで、再発につながる原因を絞り込みやすくなります。
色ではなく原因を追究することが再発防止につながる
住宅に発生する黒カビ、青カビ、白カビには、それぞれ見た目の特徴があります。
しかし、最も重要なのは色の違いではありません。
その場所に、なぜカビが増殖できる水分環境が生まれたのかを明らかにすることです。
例えば、黒カビを白く漂白できたとしても、壁の中で結露が続いていれば、再びカビが発生する可能性があります。青カビが生えた畳を交換しても、床下から湿気が上がっていれば、新しい畳にも同じ問題が起こり得ます。
これは、水が漏れているバケツの中身だけを捨て続けることと同じです。水を捨てれば一時的に空になりますが、穴をふさがなければ再び水がたまります。
住宅のカビ問題も、表面の除去と同時に、水分、結露、漏水、換気、負圧などの原因を改善しなければ、根本的な解決にはつながりません。
何度掃除しても再発する黒カビ、広範囲に広がった青カビ、ほこりと区別できない白い付着物、原因不明のカビ臭がある場合は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
日本全国のカビトラブルに対応し、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計による負圧・換気状態の確認などを通して、カビの発生原因を追究します。
住宅のカビは、色だけで安全性や対処方法を決めることはできません。見た目だけにとらわれず、発生場所、増殖範囲、水分、空気の流れを確認することが、再発防止への第一歩です。
見えない場所で増殖するカビが本当の問題
壁の中・床下・天井裏に潜むカビは、表面がきれいでも見逃せない
住宅のカビというと、壁紙に現れた黒い点、浴室の目地、窓のゴムパッキン、押し入れの白い付着物など、目で確認できるものを想像しがちです。
しかし、住宅のカビ問題で本当に注意しなければならないのは、目に見える場所だけではありません。
壁紙の裏側、石こうボードの内部、断熱材の周辺、床下、天井裏、小屋裏、エアコン内部など、普段の生活では確認できない場所でもカビは増殖します。
しかも、表面にカビが見えていなくても、壁の中からカビ臭が流れ込んだり、空気の動きによって胞子などが室内へ広がったりする可能性があります。
住宅の表面だけを見て「カビがないから大丈夫」と判断することはできません。見えない場所の水分状態、臭いの発生源、空気の流れまで確認して、初めてカビ問題の全体像が見えてきます。
カビは見える前から建材の内部で増殖していることがある
カビは、ある日突然、壁の表面に現れるわけではありません。
空気中のカビ胞子が、水分と栄養のある場所に付着すると、条件に応じて発芽し、菌糸を伸ばして増殖します。壁紙の表面に黒い点が見え始めた時点で、その裏側ではすでに広い範囲に菌糸が伸びている可能性があります。
特に、石こうボードや壁紙の裏紙、木材、断熱材などは、水分を含んだ状態が続くと乾燥しにくいことがあります。
例えば、外から見える壁紙がきれいでも、次のような問題が隠れている場合があります。
壁紙の裏側だけにカビが発生している
石こうボードの表面紙が湿っている
外壁側の断熱材に結露が発生している
配管の周辺でわずかな漏水が続いている
サッシや外壁から雨水が入り込んでいる
建築中にぬれた木材が十分に乾いていない
エアコン配管の結露水が壁内へ漏れている
こうした状態は、室内側から目視しただけでは発見できないことがあります。
カビ臭、壁紙の浮き、わずかな変色、巾木の変形など、小さな変化が内部の水分問題を知らせるサインになる場合があります。
壁の中は水分が入り込むと乾きにくい
壁の内部には、柱、間柱、石こうボード、断熱材、防湿層、配線、配管など、さまざまな材料や設備があります。
通常は適切に施工され、乾燥した状態が保たれていれば大きな問題にはなりません。しかし、何らかの原因で壁内へ水分が入り込むと、空気が動きにくいため乾燥に時間がかかることがあります。
水分が入る主な原因には、次のようなものがあります。
屋根や外壁からの雨漏り
窓やサッシ周辺からの雨水侵入
給水管や排水管からの漏水
エアコンのドレン配管不良
外気と室内の温度差による内部結露
防湿層や気密層の不具合
建築中の雨ぬれ
浴室や洗面所周辺からの水分移動
壁の表面が乾いていても、内部の木材や断熱材が湿ったままという場合があります。
その状態で表面のカビだけを清掃すると、一時的に見た目は改善します。しかし、内部の水分と増殖源が残っていれば、再び壁紙の表面へカビが現れたり、臭いが続いたりする可能性があります。
床下のカビは室内へ影響する可能性がある
床下は、日常生活でほとんど確認しない場所です。そのため、カビが発生していても、臭いや床材の変化が現れるまで気づかないことがあります。
床下に湿気がたまる原因としては、次のようなものが考えられます。
地面からの湿気
基礎内部の水分
給排水管からの漏水
雨水の流入
換気不足
基礎断熱住宅での湿気管理不足
新築時のコンクリートや木材に残る水分
室内外の温度差による結露
排水設備や床下エアコン周辺の不具合
床下でカビが増殖すると、土台、大引、根太、合板、断熱材などに広がることがあります。
また、室内が負圧になっている住宅では、床のすき間、配管周辺、床下点検口などから、床下の空気が室内へ引き込まれる場合があります。
その結果、床下に発生源があるにもかかわらず、室内でカビ臭を感じたり、押し入れや床付近にカビが繰り返し発生したりすることがあります。
部屋の中だけを掃除しても臭いが消えない場合は、床下の状態まで確認する必要があります。
天井裏・小屋裏では雨漏りと結露に注意
天井裏や小屋裏も、カビを見逃しやすい場所です。
屋根から雨水が入り込んでいても、天井にシミが現れるまで時間がかかる場合があります。断熱材が水分を吸収し、天井材の表面にはすぐに変化が出ないこともあります。
また、冬場には室内の暖かく湿った空気が天井裏へ入り込み、冷えた屋根面などで結露することがあります。
天井裏や小屋裏で注意したい変化には、次のようなものがあります。
天井に黄色や茶色のシミがある
雨の日にカビ臭が強くなる
最上階だけ臭いが気になる
押し入れの天袋にカビが発生する
屋根裏の木材が黒ずんでいる
断熱材が湿っている、または変色している
くぎや金属部品に水滴やさびが見られる
軒裏や屋根周辺に漏水の跡がある
天井表面のシミを塗装で隠しても、雨漏りや結露が続いていれば、再び変色やカビが発生します。
先に水分の侵入経路や結露の原因を調べ、改善することが必要です。
家具の裏にも見えないカビが広がりやすい
壁の中や床下ほど大掛かりな場所ではなくても、家具の裏側はカビが増殖しやすい代表的な場所です。
大型家具を外壁側の壁に密着させると、家具の裏に空気が流れにくくなります。冬場には壁の表面温度が下がり、家具裏の湿度が高くなることで、結露やカビが発生することがあります。
注意したい家具や場所は次のとおりです。
たんすや本棚の裏
ベッドのヘッドボード周辺
マットレスの裏面
ソファと壁の間
冷蔵庫や食器棚の背面
クローゼットの奥
収納ケースの底面
壁に密着した段ボール
家具を動かすまでカビに気づかず、広い範囲に黒や白のカビが広がっていることもあります。
外壁に面した壁には家具を密着させず、空気が流れるすき間を確保することが大切です。また、家具の裏側にカビが見つかった場合は、家具だけでなく、壁紙や下地材まで確認する必要があります。
エアコン内部はカビを見逃しやすい
エアコンは室内の空気を吸い込み、冷却または加熱して吹き出します。
冷房や除湿運転では、内部に結露水が発生します。通常は排水されますが、熱交換器、送風ファン、ドレンパンなどに水分や汚れが残ると、カビが増殖しやすい環境になることがあります。
エアコン内部にカビが発生している可能性があるサインには、次のようなものがあります。
運転開始時にカビ臭がする
吹き出し口に黒い点が見える
エアコンを使う部屋だけ臭う
冷房後に湿った臭いが残る
吹き出し口周辺の壁が黒ずんでいる
ドレンホースの排水が悪い
吹き出し口の表面だけを拭いても、送風ファンや熱交換器にカビや汚れが残っていれば、臭いが続く場合があります。
また、エアコンそのものではなく、配管を通す壁の内部で結露や漏水が起きている可能性もあるため、臭いが繰り返す場合は周辺の壁も確認する必要があります。
見えるカビがないのにカビ臭がする理由
カビ臭を感じるのに、部屋の中を見回してもカビが見つからないことがあります。
その場合、発生源が次のような場所に隠れている可能性があります。
壁紙の裏や石こうボード
床下や天井裏
押し入れの奥や収納の裏
エアコンや換気設備の内部
畳やカーペットの裏側
家具の背面
浴室の壁内や点検口周辺
配管スペース
断熱材の周辺
漏水した床材の内部
カビ臭は、空気の流れによって発生源とは異なる場所で感じることがあります。
例えば、床下から引き込まれた空気が廊下や収納を通って寝室へ流れれば、寝室に発生源がなくても臭いを感じる可能性があります。
そのため、臭いを感じた場所だけを調べるのではなく、給気口、換気扇、配管周辺、点検口などを含めて、空気の流れを確認することが重要です。
負圧が見えない場所の空気を引き込む
住宅では、キッチンのレンジフード、浴室換気扇、トイレ換気扇、24時間換気設備などによって、室内の空気が屋外へ排出されています。
しかし、排気に対して給気が不足すると、室内の気圧が屋外や建物内部より低くなる「負圧」が生じます。
適切な範囲の負圧は換気に必要ですが、給気口の閉鎖や目詰まり、換気設備のバランス不良などによって負圧が強くなると、住宅のさまざまなすき間から空気を引き込むことがあります。
例えば、次のような場所です。
床下と室内のすき間
壁内の配管・配線周辺
天井裏につながる開口部
コンセントやスイッチの周辺
点検口や床下収納
エアコン配管の貫通部
玄関ドアや窓のすき間
壁内、床下、天井裏などにカビの増殖源があると、その空気が負圧によって室内へ引き込まれる可能性があります。
この場合、カビが見える場所だけを清掃しても、臭いの原因は改善しません。
ファイバースコープで壁の中を確認する理由
壁の中が疑われる場合でも、すぐに広い範囲を解体することは、建物への負担や費用につながります。
そこで、MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じてファイバースコープを使用し、通常は見えない壁内の状態を確認します。
ファイバースコープ調査では、小さな開口部などからカメラを挿入し、次のような状態を確認します。
壁内の変色や黒ずみ
水滴や湿った跡
木材や石こうボードの状態
断熱材のずれ、変形、湿り
配管周辺の漏水跡
カビが疑われる付着物
壁内の空間や構造
ただし、ファイバースコープで見えるのはカメラが届く範囲に限られます。映像だけでカビの種類や建材全体の水分状態を断定することはできません。
そのため、含水率検査や真菌検査、臭いの確認、建物構造の情報などと組み合わせて評価することが重要です。
建材の含水率検査で見えない水分を探す
カビが増殖する大きな条件の一つが水分です。
しかし、建材の表面を触っただけでは、内部にどの程度の水分が残っているか分からないことがあります。
MIST工法®カビバスターズでは、建材の含水率を測定し、周囲と比較して水分が高い場所がないかを確認します。
含水率検査が役立つ場面には、次のようなものがあります。
壁紙にカビや変色がある
雨漏りや漏水が疑われる
床材の一部が変形している
カビ臭の発生源が分からない
結露が繰り返している
新築や改修後にカビが発生した
壁の一部だけ冷たく湿っている
数値が高い場所が見つかった場合は、その周辺の構造、配管、外壁、窓、屋根などを確認し、水分がどこから来たのかを追究します。
含水率検査は、表面に見えない水分問題を見つける手がかりになります。
真菌検査で目に見えないカビの状態を確認する
壁の中や床下にカビがあるかどうかを、臭いや見た目だけで判断することには限界があります。
そのため、カビ問題が心配な場合は、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査をおすすめします。
真菌検査では、調査目的に応じて、室内空気や発生が疑われる場所から試料を採取し、カビの存在状況を確認します。
確認したい主な点は次のとおりです。
室内空気中にどの程度のカビ菌が存在するか
室内と屋外の状態に差がないか
特定の部屋で数値が高くないか
どのような種類のカビが確認されるか
対策前後で状態が変化したか
検査結果だけで発生場所を断定できるとは限りませんが、含水率検査、ファイバースコープ調査、風量測定などと組み合わせることで、見えないカビ問題の原因を絞り込みやすくなります。
見えないカビこそ原因調査が必要
住宅のカビ問題は、見える黒い部分を取り除くだけでは解決しないことがあります。
壁の中、床下、天井裏などに水分とカビの増殖源が残っていれば、表面をきれいにしても再発する可能性があります。
見えないカビの調査では、次の3つが重要です。
水分がどこに残っているかを確認する
カビの増殖源がどこにあるかを調べる
空気がどの経路で室内へ流れているかを確認する
これは、煙が出ている場所だけを見るのではなく、壁の裏に火元が残っていないかを確認することに似ています。表面から煙が見えなくなっても、内部に原因が残っていれば再び問題が起こります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気状態の確認などを組み合わせ、カビが発生した原因を追究します。
見えるカビがないのに臭いが続く、掃除をしても再発する、壁の中や床下が心配、雨の日だけ臭いが強くなるといった場合は、見えない場所に原因が隠れている可能性があります。
現代の建物は気密性が高いため、原因を改善しなければ、カビが再発する可能性があります。手に負えないカビトラブルは、被害が広がる前にMIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
カビはなぜ繰り返し発生するのか?
掃除しても再発する本当の理由は、湿気・建材・換気・空気の流れに残っている
壁紙や窓まわりの黒カビをきれいにしたはずなのに、数週間から数か月すると同じ場所に黒い点が現れる。押し入れを掃除して除湿剤を置いたのに、梅雨になると再びカビ臭がする。エアコンを清掃しても、しばらくすると運転時の臭いが戻ってくる。
このような「繰り返すカビ」に悩んでいる方は少なくありません。
カビが再発する理由は、掃除の方法だけにあるとは限りません。表面のカビを取り除いても、カビが増殖できる湿気、建材内部の水分、結露、漏水、空気の停滞、換気設備の不具合などが残っていれば、同じ場所に再びカビが発生する可能性があります。
つまり、カビの再発を防ぐためには、見えているカビだけではなく、なぜその場所に水分が集まったのかを調べる必要があります。
住宅のカビ問題では、「何を使って落とすか」だけでなく、「なぜ発生したのか」「どこまで広がっているのか」「再び湿らない環境にできるか」という視点が重要です。
カビの胞子は身近な空気中に存在している
カビの胞子は、屋外の土、植物、落ち葉など、自然環境のさまざまな場所に存在しています。窓や玄関の開閉、人の衣類、靴、荷物、換気などを通じて、室内へ入り込むことがあります。
そのため、住宅内からカビの胞子を完全になくすことは現実的ではありません。
カビ対策で重要なのは、胞子を一つ残らず排除することではなく、室内に入った胞子が増殖しにくい環境を維持することです。
カビが増殖するには、主に次のような条件が関係します。
建材や物品に利用できる水分がある
適度な温度が保たれている
ほこり、紙、木材、皮脂などの栄養源がある
空気が動かず、湿気が滞留している
湿った状態が一定時間続いている
住宅内には、壁紙、木材、畳、布、紙、接着剤、ほこりなど、カビが利用できるものが数多くあります。温度も人が生活しやすい範囲に保たれているため、カビ対策では特に水分管理が重要になります。
表面を掃除しても、その場所が再び湿れば、空気中から新たに付着した胞子が増殖する可能性があります。
最も大きな再発原因は水分が残っていること
カビの再発を考えるうえで、最も重要なのが水分です。
水分といっても、目に見える水滴だけではありません。壁紙や木材、石こうボードなどの建材が内部に含んでいる水分も、カビの増殖に関係します。
表面が乾いているように見えても、建材の内部には水分が残っている場合があります。
例えば、次のような状態です。
雨漏りでぬれた壁の内部が乾いていない
配管から少量の水が継続的に漏れている
壁内結露によって断熱材が湿っている
浴室周辺の下地材に水分が入り込んでいる
床下の湿気が床材へ移動している
新築時の木材やコンクリートに水分が残っている
窓の結露水が壁紙や巾木へ染み込んでいる
目に見える黒カビを落としても、この水分が残っていれば、カビが再び増殖する条件は改善されていません。
カビの再発は、火を消さずに煙だけを追い払っている状態に似ています。煙が一時的に見えなくなっても、火元が残っていれば、再び煙が上がります。
住宅のカビ対策でも、表面の清掃と同時に「水分の火元」を見つけることが必要です。
結露は毎日少しずつ建材を湿らせる
カビが繰り返し発生する住宅では、結露が関係していることがあります。
結露は、暖かく湿った空気が冷たい窓や壁などに触れ、空気中の水分が水滴になる現象です。
窓ガラスに付く水滴は目で確認できますが、壁の内部や家具の裏側で起こる結露は、簡単には確認できません。
結露が起こりやすい場所には、次のようなものがあります。
窓ガラスやサッシ
北側の外壁に面した壁
家具を密着させた壁
クローゼットや押し入れの奥
断熱材のすき間がある場所
壁と床、壁と天井の取り合い部分
暖房していない部屋
エアコン配管や冷たい給水管の周辺
一度に発生する結露が少量でも、毎日のように繰り返されると、壁紙、木材、カーテン、畳などが少しずつ水分を含みます。
日中に表面が乾いても、夜間や明け方に再び結露すれば、建材が十分に乾燥する時間を確保できません。この「湿る・少し乾く・再び湿る」という状態が続くことで、カビが定着しやすくなります。
家具の配置がカビの再発を招くこともある
壁のカビを掃除しても、同じ場所に家具を戻したところ、再びカビが発生することがあります。
家具を壁に密着させると、その裏側では空気が動きにくくなります。特に、外気の影響で冷えやすい外壁側では、家具の裏に湿気がたまり、表面温度が下がることで結露が起こりやすくなります。
再発しやすい家具の配置には、次のような例があります。
たんすや本棚を外壁に密着させている
ベッドを北側の壁へぴったり付けている
マットレスを床へ直接置いている
クローゼットへ衣類を詰め込みすぎている
段ボールを壁や床へ長期間置いている
ソファの背面にすき間がない
収納ケースの底に湿気がたまっている
家具の裏を掃除しても、同じ配置と湿度条件に戻せば、カビも再発しやすくなります。
家具と壁の間に空気が流れるすき間を確保し、定期的に家具の裏を確認することが大切です。除湿機やエアコンを使用する場合も、家具の裏や収納内部まで空気が届いているかを意識する必要があります。
換気扇が動いていても換気できているとは限らない
「24時間換気を動かしているから、湿気やカビは問題ない」と考える方もいます。
しかし、換気扇が動作していることと、住宅全体が適切に換気されていることは同じではありません。
給気口が閉じられていたり、フィルターがほこりで詰まっていたりすると、必要な量の外気が入らない可能性があります。また、部屋のドアを閉め切ることで、空気の通り道が妨げられる場合もあります。
換気がうまく働かない原因として、次のようなものがあります。
給気口を寒いという理由で閉めている
給気口やフィルターが目詰まりしている
換気扇の内部に汚れがたまっている
排気口やダクトに不具合がある
室内ドア下の空気経路がふさがれている
大型家具が給気口を覆っている
換気設備の風量が不足している
キッチンや浴室の排気が強すぎる
建物の計画と実際の空気の流れが合っていない
このような状態では、湿気が多い部屋の空気を十分に排出できず、壁際、収納、家具裏などに湿気が滞留する可能性があります。
換気設備は、スイッチが入っているかどうかだけでなく、実際にどの程度の風量が確保されているかを確認することが重要です。
強い負圧が壁内や床下の空気を引き込む
キッチンのレンジフードや浴室換気扇などで室内の空気を強く排出すると、給気量が不足した住宅では、室内が強い負圧になることがあります。
負圧とは、室内の気圧が屋外や建物内部より低くなる状態です。
室内が負圧になると、不足する空気を補うため、建物のすき間から空気が入り込もうとします。
空気が流れ込む可能性がある場所には、次のようなものがあります。
コンセントやスイッチの周辺
巾木や床のすき間
配管や配線の貫通部分
エアコン配管の周辺
床下点検口
天井点検口
壁と天井の取り合い部分
窓や玄関ドアのすき間
壁の中、床下、天井裏などに湿気やカビの増殖源がある場合、その空気が室内へ引き込まれる可能性があります。
この状態では、室内の表面を何度掃除しても、カビ臭が繰り返し感じられることがあります。発生源から臭いを含む空気が継続的に流れ込んでいるためです。
再発するカビ臭を調べる際は、カビが見える場所だけでなく、住宅全体の給気と排気、負圧、空気の流れも確認する必要があります。
漏水や雨漏りが止まっていない
カビを清掃した後に、同じ壁や天井へ再びカビが発生する場合、雨漏りや漏水が続いている可能性があります。
大量に水が漏れていれば気づきやすいのですが、ごく少量の漏水は発見が遅れることがあります。
例えば、次のようなケースです。
雨が強いときだけ外壁から水が入る
サッシまわりから少量の雨水が浸入する
給水管の接続部からわずかに漏れている
排水管から使用時だけ水が漏れる
浴室の防水部分に不具合がある
エアコンのドレン水が壁内へ漏れている
屋根の不具合で断熱材だけが湿っている
表面に現れた黒カビを落としても、水が供給され続けていれば、再びカビが増殖します。
特に、「雨の後に臭いが強くなる」「壁紙が浮く」「床材が変形している」「天井にシミが広がる」といった変化がある場合は、水分の侵入経路を調べる必要があります。
表面の色が消えても菌糸が残ることがある
カビ取り剤を使用すると、黒い色が薄くなり、見た目がきれいになることがあります。
しかし、色が消えたことと、建材内部のカビ問題が解決したことは同じではありません。
タイルやガラスなど、水分を吸い込みにくい表面では比較的対応しやすい場合があります。一方、壁紙、木材、石こうボード、畳、布、合板などは、内部へ水分や菌糸が入り込む可能性があります。
カビの色だけを漂白しても、次の問題が残っている場合があります。
壁紙の裏に菌糸が広がっている
下地材が湿っている
建材内部に変色や劣化がある
周辺に胞子やカビ由来の汚れが残っている
目に見えない場所に別の増殖源がある
結露や漏水の原因が改善されていない
見た目がきれいになった直後は、「解決した」と感じるかもしれません。しかし、再発を防ぐためには、時間を置いて状態を確認し、湿気や水分の原因も改善することが必要です。
カビが再発するたびに範囲が広がることもある
最初は窓の隅に小さな黒い点があるだけだったのに、掃除と再発を繰り返すうちに、壁紙、カーテン、家具の裏まで広がることがあります。
カビが増殖すると、胞子などが周囲へ移動する可能性があります。また、結露や漏水の範囲が広がれば、別の建材にもカビが発生しやすくなります。
再発を繰り返すと、次のような問題につながることがあります。
カビが発生する面積が広がる
壁紙や建材の変色が残る
木材や石こうボードが傷む
カーテン、衣類、家具などへ移る
カビ臭が複数の部屋で感じられる
収納品を処分しなければならなくなる
発生源の特定が難しくなる
小さなカビでも、同じ場所に繰り返し発生している場合は、その場所に継続的な水分問題があるサインかもしれません。
単に掃除の回数を増やすのではなく、再発する理由を調べることが大切です。
除湿剤を置くだけでは解決しない場合がある
押し入れやクローゼットのカビ対策として、除湿剤を置く方は多いでしょう。
除湿剤は狭い収納内の湿気対策に役立つ場合がありますが、住宅全体の湿気問題や継続的な漏水を解決できるものではありません。
例えば、次のような状況では、除湿剤だけでは不十分です。
壁の中で結露が続いている
床下から湿気が上がっている
外壁や配管から水が入っている
収納内の空気がほとんど動かない
室内全体の湿度が高い
収納量が多すぎて空気が流れない
壁の下地材にカビが広がっている
除湿剤が短期間で水でいっぱいになる場合は、その収納だけでなく、周辺の湿度や建材の水分状態も確認したほうがよいでしょう。
除湿機やエアコンを使用する場合も、室温、湿度、運転時間、部屋の広さ、空気の流れなどによって効果が変わります。
カビの再発原因は一つとは限らない
住宅のカビ問題は、一つの原因だけで起きているとは限りません。
例えば、北側の寝室で黒カビが繰り返すケースでは、次の条件が重なっている可能性があります。
外壁側の壁面温度が低い
大型家具を壁へ密着させている
冬でも加湿器を長時間使用している
給気口を寒さ対策で閉じている
夜間に窓や壁で結露している
家具裏に空気が流れていない
一つひとつの条件は小さくても、複数が重なることでカビが増殖しやすい環境になります。
この場合、表面を掃除するだけでなく、加湿量、換気、家具の位置、室温、壁の断熱状態などを総合的に見直す必要があります。
原因を一つに決めつけず、建物と生活環境の両方から調べることが、再発防止につながります。
真菌検査で再発後の状態を客観的に確認する
カビが繰り返し発生している場合、目に見える範囲だけでは、室内環境の状態を正確に判断できないことがあります。
そこで役立つのが、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査です。
調査目的に応じて室内空気や発生箇所を確認することで、次のような情報を得る手がかりになります。
室内にどの程度のカビ菌が存在するか
屋外と比較して室内の状態が高くないか
特定の部屋に増殖源が疑われないか
どのようなカビが確認されるか
清掃や対策後に状態が改善したか
カビの色が消えていても、室内空気中の状態や見えない発生源が心配な場合があります。
真菌検査は、目視だけに頼らず、住宅のカビ問題を客観的に考えるための方法です。
含水率検査で「再発する場所の水分」を調べる
同じ場所にカビが繰り返し発生するときは、建材の含水率を確認することが重要です。
MIST工法®カビバスターズでは、壁、床、天井などの含水率を測定し、周囲より水分が高い場所がないかを調べます。
含水率が高い場合には、次のような原因を検討します。
雨漏り
配管からの漏水
結露
床下や基礎からの湿気
建築時に残った水分
水害や事故による浸水
浴室や水回りからの水分移動
含水率の数値だけで原因を断定することはできませんが、水分の分布を確認することで、調査すべき場所を絞り込みやすくなります。
カビの再発防止には、カビの色だけでなく、建材の水分を数値で確認することが大切です。
ファイバースコープで表面の奥を確認する
壁紙にカビが繰り返し発生する場合、表面だけではなく、壁内の状態を確認する必要があることがあります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じてファイバースコープを使用し、壁の中など通常は見えない場所を調査します。
確認する主なポイントは次のとおりです。
壁内の変色や付着物
木材や石こうボードの湿り
断熱材の状態
水滴や漏水跡
配管周辺の異常
カビが疑われる増殖範囲
表面に小さな黒い点しか見えていなくても、内部に水分が残っていれば、カビが再発する可能性があります。
含水率検査や真菌検査と組み合わせながら、表面の奥に原因が隠れていないかを確認します。
風量計で換気と負圧の状態を確認する
換気不足や強い負圧がカビの再発に関係している可能性がある場合は、風量計を使用して給気・排気の状態を確認します。
換気扇が回っていても、必要な風量が出ているとは限りません。フィルターの目詰まり、ダクトの状態、給気不足などによって、計画された換気性能が発揮されていない場合があります。
風量を確認することで、次のような問題を考える手がかりになります。
排気量に対して給気量が不足している
特定の部屋に空気が入ってこない
湿気の多い場所から空気を排出できていない
室内が強い負圧になっている
壁内や床下から空気を引き込んでいる
部屋ごとの換気バランスが崩れている
カビ臭が繰り返す場合は、発生源だけでなく、臭いを運ぶ空気の流れを確認することも重要です。
カビの再発防止には「除去・乾燥・原因改善」が必要
カビの再発を防ぐためには、表面の清掃だけではなく、次の3つを一体として考える必要があります。
1.カビの状態と広がりを確認する
目視や真菌検査などを通して、どこにどの程度のカビが存在している可能性があるのかを確認します。
2.建材を適切な状態まで乾燥させる
ぬれた建材や内部に水分が残った状態では、カビが再び増殖する可能性があります。含水率を確認しながら、水分の状態を把握することが重要です。
3.水分が発生した原因を改善する
雨漏り、漏水、結露、換気不足、負圧、家具配置など、カビを増殖させた原因を改善します。
この3つのうち一つでも欠けると、再発する可能性があります。
カビを取り除いても水分が残っていれば再発しやすく、水分を乾かしても漏水が続けば再び湿ります。また、原因を直しても広がったカビが建材に残っていれば、状態に応じた対応が必要です。
何度掃除しても再発するなら専門調査を検討する
家庭で対応できる小さなカビもありますが、次のような場合は専門的な原因調査を検討してください。
同じ場所に何度もカビが発生する
壁紙や天井に広い範囲でカビがある
雨の日や湿度の高い日に臭いが強くなる
壁紙の浮き、床の変形、水染みがある
換気してもカビ臭が消えない
壁の中、床下、天井裏が疑われる
新築やリフォーム後にカビが発生した
家の複数の部屋でカビが繰り返す
清掃後も室内環境に不安が残る
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、カビが繰り返す原因を追究します。
カビが再発するのは、掃除が足りないからとは限りません。建物の水分、空気の流れ、換気、結露、漏水など、目に見えない原因が残っている可能性があります。
表面を何度きれいにしても、原因を改善しなければカビは再び発生する可能性があります。手に負えないカビトラブルや、原因が分からない再発にお困りの場合は、被害が広がる前にMIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
カビ取りだけでは解決しない理由
見える黒ずみを消しても、湿気・漏水・結露・換気不良が残ればカビは再発する
住宅にカビを見つけたとき、多くの方が最初に行うのが、市販のカビ取り剤や洗剤を使った清掃です。
浴室の目地や窓のゴムパッキンなどに発生した小さな黒カビであれば、素材や使用上の注意を確認したうえで、ご家庭で対応できる場合もあります。見た目がきれいになると、「これでカビ問題は解決した」と安心する方もいるでしょう。
しかし、住宅のカビ問題は、黒い色を消すことだけでは解決しない場合があります。
壁紙の裏側、石こうボード、木材、断熱材、床下、天井裏などにカビや水分が残っていれば、表面を清掃しても再び発生する可能性があります。また、雨漏り、漏水、結露、換気不足、強い負圧など、カビを発生させた原因が改善されていなければ、別の場所へ広がることも考えられます。
カビ取りは、あくまで目に見える問題への対応です。
大切なのは、カビを見つけたあとに、なぜその場所にカビが生えたのか、どこまで広がっているのか、水分の供給が止まっているのかを確認することです。
カビ取り剤は「黒い色」を薄くしていることがある
市販のカビ取り剤には、黒い色素を分解し、見た目を白くする働きを持つものがあります。
使用後に黒ずみが消えると、カビが完全になくなったように感じます。しかし、色が消えたことと、住宅のカビ問題が根本から解決したことは同じではありません。
特に、次のような水分を吸収しやすい素材では注意が必要です。
壁紙
石こうボード
木材や合板
畳
布製品
カーペット
マットレス
断熱材
紙製品や段ボール
こうした素材では、カビが表面だけでなく、内部や裏側へ入り込んでいる可能性があります。
表面の黒い色が薄くなっても、下地材に水分やカビの増殖源が残っていれば、時間の経過とともに再び黒ずみや臭いが現れることがあります。
そのため、カビ取り後は見た目だけで判断せず、乾燥状態、臭い、変色の再発、壁紙の浮きなどを継続して確認することが重要です。
壁紙の表面だけを清掃しても裏側までは確認できない
壁紙に黒カビが発生すると、多くの方は表面を拭き取ります。
しかし、壁紙は仕上げ材であり、その裏側には接着剤、石こうボード、木材などがあります。窓の結露水、雨漏り、漏水、壁内結露などによって水分が入り込むと、表面よりも裏側でカビが広がる場合があります。
壁紙の裏側に問題がある可能性を示すサインには、次のようなものがあります。
同じ場所に何度も黒カビが出る
壁紙が浮いている、波打っている
壁紙の継ぎ目が変色している
巾木の周辺だけカビが繰り返す
壁を触ると一部だけ冷たい
雨の日にカビ臭が強くなる
表面を清掃しても臭いが残る
壁紙の内側からシミが広がっている
このような状態では、表面清掃を繰り返すよりも、壁の内部に水分やカビがないかを確認する必要があります。
目に見えるカビは、壁内で起きている問題の一部にすぎない可能性があるのです。
原因が残れば新しいカビが再び増殖する
カビ取り剤で表面のカビに対応できたとしても、その場所が再び湿れば、新たなカビが発生する可能性があります。
カビの胞子は、屋外から窓や玄関を通じて室内へ入り込むほか、衣類、荷物、換気などによって運ばれることがあります。そのため、住宅内から胞子を完全になくすことは現実的ではありません。
重要なのは、胞子が付着しても増殖しにくい環境にすることです。
カビを取り除いたあとも、次のような原因が残っていれば再発しやすくなります。
結露が繰り返されている
雨漏りや漏水が止まっていない
建材に水分が残っている
家具裏や収納内の空気が動かない
室内湿度が高い状態が続いている
給気口が閉じられている
換気設備の風量が不足している
室内の負圧が強すぎる
壁内、床下、天井裏に増殖源が残っている
カビ取りだけを続けることは、床にこぼれ続ける水を拭きながら、漏れている蛇口を放置することに似ています。
床を何度拭いても、蛇口を閉めなければ再びぬれてしまいます。カビも同じように、水分が発生する原因を止めなければ、何度でも繰り返す可能性があります。
カビ取り剤の使い方を誤ると建材を傷めることがある
カビを早く落としたいからといって、強い薬剤を大量に使用したり、異なる洗剤を自己判断で混ぜたりすることは危険です。
製品によっては、壁紙、木材、金属、布、塗装面などを変色・変質させる可能性があります。また、使用中の換気が不十分であれば、刺激の強い成分が室内に残るおそれもあります。
カビ取り剤を使用するときは、必ず製品表示を確認し、対象となる素材、使用量、放置時間、換気方法などを守る必要があります。
特に注意したいのは、次のような使用方法です。
異なる洗剤を混ぜる
狭い場所で換気せずに使用する
天井へ直接大量に吹き付ける
木材や壁紙に繰り返し使用する
色落ちしやすい素材に試さず使用する
子どもやペットが近くにいる状態で使う
保護具を使用せず長時間作業する
カビを乾いた状態で強くこする
製品に「混ぜるな危険」などの表示がある場合は、必ずその指示に従ってください。
また、広範囲のカビや高所のカビを無理に清掃すると、薬剤を吸い込んだり、足を滑らせたりする危険があります。ご自身で安全に対応できない範囲は、専門家への相談を検討することが大切です。
乾いたカビをこすると周囲へ広がる可能性がある
カビを見つけたとき、乾いた雑巾やブラシで強くこする方もいます。しかし、乾燥したカビをこすると、胞子や細かな汚れが周囲へ舞い上がる可能性があります。
特に、壁紙、木材、畳、布団などに広く発生している場合は注意が必要です。
また、掃除機でカビを直接吸い込むと、機種やフィルターの状態によっては、排気とともに微細な汚れが室内へ広がる可能性があります。
家庭で清掃を行う場合は、発生範囲、素材、湿り具合、換気状態を確認し、無理に広い範囲へ触れないことが大切です。
次のような状態では、安易に触らず、調査を検討してください。
広い範囲にカビが広がっている
壁紙が湿っている、崩れている
天井や高い位置に発生している
床下や天井裏に広がっている
カビ臭が家全体に感じられる
清掃すると咳や違和感を覚える
原因不明の漏水や水染みがある
何度清掃してもすぐに再発する
表面をきれいにすることを急ぐより、まずカビの範囲と原因を確認するほうが重要な場合があります。
市販品で対応しやすい場所と難しい場所がある
すべてのカビに専門調査が必要というわけではありません。
浴室のタイルや窓ガラスなど、水分を吸収しにくく、発生範囲が小さい場所であれば、製品の説明に従い、ご家庭で清掃できる場合があります。
一方、次のような場所は表面だけでなく内部へ広がっている可能性があるため、慎重な判断が必要です。
壁紙や石こうボード
木造部分や合板
畳やカーペット
マットレスや布製家具
床下や天井裏
断熱材
エアコンや換気ダクトの内部
雨漏りや漏水があった場所
広い範囲に変色がある場所
判断の目安となるのは、カビの色ではなく、発生面積、素材、再発の有無、水分の原因です。
黒カビだから必ず専門対応が必要、白カビだから家庭で対応できる、という単純な区別はできません。
小さく見えても、同じ場所へ何度も発生している場合には、建材内部の水分や換気状態を確認したほうがよいでしょう。
カビ臭は表面清掃だけでは消えないことがある
目に見えるカビをきれいにしたあとも、部屋にカビ臭が残ることがあります。
この場合、表面以外に発生源が隠れている可能性があります。
考えられる場所には、次のようなものがあります。
壁紙や石こうボードの裏側
床下や天井裏
畳やカーペットの裏
家具や収納の背面
エアコンや換気設備の内部
配管スペース
漏水した床材の内部
断熱材の周辺
カビ臭は、発生源のすぐ近くで感じるとは限りません。
室内の負圧や換気設備の空気の流れによって、壁内、床下、天井裏などの空気が別の部屋へ運ばれる場合があります。そのため、臭いを感じる場所だけを清掃しても、発生源が別の場所にあれば改善しません。
換気しても臭いが消えない場合は、臭いを外へ出すことだけではなく、どこから臭いを含む空気が流れてくるのかを調べる必要があります。
消臭剤で臭いを隠しても原因は残っている
カビ臭が気になると、芳香剤、消臭剤、空気清浄機などを使用することがあります。
これらが室内の快適性を補助する場合はありますが、壁内や床下でカビが増殖している場合、その原因を取り除くことはできません。
香りによって臭いを感じにくくすると、カビ臭の変化や再発のサインに気づきにくくなる可能性もあります。
消臭対策だけで様子を見るのではなく、次のような変化がないか確認してください。
雨の日に臭いが強くなる
換気扇を回すと臭いが変わる
エアコンをつけると臭う
特定の収納や部屋だけ臭いが強い
朝や夜など時間帯によって変化する
壁や床の一部に変色や浮きがある
窓を閉め切ると臭いが強くなる
臭いが発生する条件を整理すると、カビの増殖源や空気の流れを調べる手がかりになります。
「除去」と「原因改善」は別の作業
カビ問題を根本から考えるときは、「カビへの対応」と「発生原因への対応」を分けて考える必要があります。
カビへの対応では、目視や真菌検査によって状態と範囲を確認し、建材や室内環境に残ったカビの問題を考えます。
一方、原因への対応では、次のような水分や空気の問題を確認します。
雨漏りの侵入経路
給排水管からの漏水
窓や壁の結露
壁内結露の可能性
建材に残った水分
床下や基礎の湿気
給気・排気の不足
室内の強い負圧
家具配置による空気の停滞
カビだけに対応しても原因が残れば再発します。反対に、水分の原因を改善しても、すでに広がったカビや傷んだ建材がそのままでよいとは限りません。
住宅の状態に応じて、カビの状況確認、乾燥、水分原因の改善を総合的に考える必要があります。
真菌検査で「見た目では分からない状態」を確認する
カビ取り後に表面がきれいになると、対策が完了したかどうかを目視だけで判断しがちです。
しかし、目に見える色が消えていても、室内空気中や見えない場所の状態までは分かりません。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査は、住宅内のカビ状態を客観的に確認するための方法です。
調査目的に応じて、次のような点を確認する手がかりになります。
室内空気中のカビ菌の状態
屋外と比較した室内環境
特定の部屋に増殖源が疑われるか
発生箇所でどのようなカビが確認されるか
対策前後で状態に変化があるか
真菌検査によってカビの状態を把握し、建物調査の結果と組み合わせることで、清掃だけで終えてよいのか、見えない場所まで確認すべきかを考えやすくなります。
建材の含水率検査でカビを支える水分を探す
カビ取りだけでは解決しない理由を明らかにするには、建材に残っている水分の確認が欠かせません。
MIST工法®カビバスターズでは、壁、床、天井などの建材について含水率検査を行い、周辺より水分が高い場所がないかを調べます。
同じ壁面でも、一部分だけ含水率が高ければ、その近くで漏水や結露などが起きている可能性があります。
含水率検査で確認したいのは、単に数値が高いか低いかだけではありません。
どの範囲に水分が分布しているか
雨の前後で変化するか
配管や窓の位置と関係しているか
床や壁の下部へ水分が集中していないか
清掃後も水分が残っていないか
こうした情報を建物の構造と照らし合わせ、水分がどこから供給されているのかを追究します。
建材が湿ったままでは、表面のカビを落としても再発する可能性があります。
ファイバースコープで壁内に原因がないか確認する
同じ場所にカビが再発する、壁紙の裏から臭いがする、含水率が高い場所がある場合には、壁の内部を確認する必要があります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じてファイバースコープを使用し、通常は見えない場所の状態を調査します。
確認する主な項目には、次のようなものがあります。
壁内の変色や黒ずみ
水滴や漏水の跡
石こうボードや木材の状態
断熱材の湿りや変形
配管周辺の状態
カビが疑われる付着物
ファイバースコープだけですべてを断定できるわけではありませんが、含水率検査、真菌検査、臭い、建物構造などの情報と組み合わせることで、見えない場所の原因を探ることができます。
表面清掃では確認できない壁内の状態を調べることが、再発防止につながる場合があります。
風量計で換気不足や負圧を確認する
カビ取り後も臭いが続く場合や、収納・家具裏などにカビが繰り返す場合には、空気の流れに問題がある可能性があります。
MIST工法®カビバスターズでは、風量計を用いて給気口や排気設備の状態を測定し、換気バランスを確認します。
風量測定によって、次のような問題を検討します。
給気口から必要な空気が入っているか
換気扇が十分に排気しているか
フィルターやダクトに問題がないか
排気に対して給気が不足していないか
特定の部屋で空気が滞留していないか
室内の負圧が強くなっていないか
壁内や床下の空気を引き込んでいないか
換気設備のスイッチが入っているだけでは、適切な換気ができているとは限りません。
実際の風量や空気の経路を確認し、カビを発生させる湿気や臭いがどのように移動しているかを考えることが重要です。
カビ取り後に確認したいポイント
ご家庭で小さなカビを清掃した場合は、作業直後だけでなく、その後の状態も確認してください。
特に、次の点を定期的に見ておくと、再発や見えない問題に気づきやすくなります。
同じ場所に黒い点が再び出ていないか
カビ臭や湿った臭いが残っていないか
壁紙が浮いたり波打ったりしていないか
巾木や床材が変形していないか
雨の日に状態が悪化しないか
窓や壁の結露が続いていないか
家具裏や収納内部が湿っていないか
給気口や換気扇がふさがれていないか
再発までの期間が短いほど、その場所に継続的な水分供給がある可能性を考える必要があります。
カビ取り剤を何度も使用する前に、なぜ同じ場所へ発生するのかを調べることが大切です。
カビ取りだけで終わらせず原因調査へ
住宅のカビ問題を根本から改善するには、次の流れで考えることが重要です。
カビの発生範囲を確認する
見えない場所への広がりを疑う
建材の水分状態を測定する
雨漏り・漏水・結露の原因を調べる
換気量・負圧・空気の流れを確認する
原因を改善し、再発しにくい環境を整える
カビ取り剤は、住宅のカビ対策における一つの手段にすぎません。
見える黒ずみを消すことはできても、壁内の水分、床下の湿気、換気設備の不具合、強い負圧などを解決することはできません。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、カビが発生した原因を追究します。
何度カビ取りをしても再発する、表面はきれいなのに臭いが残る、壁の中や床下が心配、雨の日に状態が悪化するといった場合は、表面だけでは解決できない原因が隠れている可能性があります。
手に負えないカビトラブルは、被害が広がる前にMIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
真菌(カビ菌)検査で見えないカビを見える化する
カビの種類・量・室内外の差を数値で確認し、勘や見た目だけに頼らない住環境調査へ
住宅のカビ問題を考えるとき、多くの方が最初に確認するのは、壁や天井に黒い点があるか、室内にカビ臭があるかといった「見た目」や「臭い」です。
しかし、カビの胞子や微細な菌体は肉眼では確認できません。
壁紙の表面にカビが見えなくても、壁の裏側、床下、天井裏、エアコン内部などでカビが増殖している場合があります。また、黒い汚れが見えていても、それが本当にカビなのか、どのような種類が存在しているのか、室内空気へどの程度広がっているのかを、目視だけで判断することは困難です。
そこで重要になるのが、真菌(カビ菌)検査です。
真菌検査を行うことで、目に見えない室内空気中のカビ菌や、発生箇所に付着しているカビの状態を客観的に確認する手がかりが得られます。
カビ問題を「黒いか白いか」「臭うか臭わないか」といった感覚だけで判断するのではなく、検査結果、建材の水分、発生場所、換気状態などを組み合わせて評価することが、原因の特定と再発防止につながります。
目に見えるカビは問題の一部にすぎない
カビは、目に見える黒ずみや綿状の付着物だけが問題ではありません。
カビが成長すると、繁殖のために胞子をつくります。胞子は非常に小さく、空気の流れ、人の移動、衣類、掃除、エアコンや換気設備などによって室内へ広がる可能性があります。
そのため、次のような住宅でも、真菌検査を検討する意味があります。
目に見えるカビはないが、カビ臭がする
掃除をしても同じ場所にカビが再発する
特定の部屋に入ると湿った臭いを感じる
壁紙の裏や床下にカビが疑われる
雨漏りや漏水が発生したことがある
新築やリフォーム後にカビが発生した
エアコンを運転すると臭いがする
カビ対策後の状態を確認したい
室内環境に不安がある
反対に、壁に黒い点が見えていても、色だけでは正確なカビの種類を判断できません。
黒色、青色、緑色、白色などの見た目は、カビの種類を考える一つの手がかりにはなります。しかし、同じ種類でも成長段階や環境によって色が変化することがあり、複数の種類が混在している場合もあります。
真菌検査は、見た目では分からない住宅内の状態を確認するための重要な方法です。
真菌検査とは何を調べる検査なのか
真菌検査とは、室内空気や建材表面などから試料を採取し、カビ菌の存在状況を調べる検査です。
調査の目的によって、検査方法や採取場所は異なります。
例えば、室内空気全体の状態を確認したい場合と、壁に発生した黒い付着物の種類を調べたい場合では、適した検査方法が異なります。
真菌検査によって確認を目指す主な内容は、次のとおりです。
室内空気中にカビ菌がどの程度存在するか
屋外と比べて室内の状態が高くなっていないか
特定の部屋に増殖源が疑われるか
発生箇所にどのようなカビが存在するか
複数の種類が混在していないか
カビ対策の前後で状態が変化したか
ただし、真菌検査は、検査結果だけですべての問題を断定するものではありません。
検査結果を建物の構造、建材の水分、雨漏りや漏水の有無、換気状態、生活状況などと照らし合わせて評価することが大切です。
空中浮遊菌検査で室内空気の状態を調べる
空中浮遊菌検査は、室内空気中に浮遊しているカビ菌の状態を確認する方法です。
専用の機器を使用して一定量の空気を採取し、培地などに取り込むことで、空気中に存在するカビ菌を調べます。
この検査は、次のような場合に役立ちます。
室内空気中のカビ菌量を確認したい
カビ臭はあるが発生源が見つからない
部屋ごとの状態を比較したい
屋外と室内の違いを確認したい
カビ対策前後の変化を確認したい
壁内や床下から空気が流入している可能性がある
空中浮遊菌検査では、採取した空気量をもとに、一定の空気量当たりにどの程度の菌が確認されたかを数値として整理することがあります。
これにより、「多いような気がする」「臭いが気になる」といった感覚だけでなく、客観的な数値を用いて室内環境を考えることができます。
ただし、空気中のカビ菌量は、窓の開閉、掃除、換気設備の運転、エアコンの使用、人の移動、天候などによって変化する場合があります。
そのため、採取時の条件を記録し、検査結果を適切に評価することが重要です。
室内と屋外を比較することが重要
カビの胞子は自然環境にも存在しているため、室内でカビ菌が確認されたからといって、直ちに住宅内部で異常増殖しているとは限りません。
屋外の空気にも、土、植物、落ち葉などに由来するカビ胞子が含まれています。窓やドアの開閉、換気、人の出入りなどによって、屋外のカビ胞子が室内へ入り込むこともあります。
そこで重要になるのが、室内と屋外の比較です。
同じ時間帯に室内と屋外の空気を採取し、その結果を比べることで、室内に特有の増殖源がないかを考える手がかりになります。
例えば、次のような状態が確認された場合は、室内側の発生源を詳しく調べる必要があります。
室内の菌数が屋外よりも高い
特定の部屋だけ数値が高い
屋外では少ない種類が室内で多く確認される
複数の部屋で同じ傾向が見られる
換気設備の運転時に状態が変化する
室内外の比較は、一般にI/O比という考え方で整理されることがあります。これは、室内と屋外の状態を比較し、室内側でカビが増殖している可能性を検討するための一つの指標です。
ただし、数値だけで安全・危険を単純に線引きするのではなく、採取条件、菌の種類、部屋の用途、発生場所などを総合的に評価する必要があります。
落下菌検査で一定時間内に落下する菌を確認する
落下菌検査は、培地を一定時間開放し、空気中から自然に落下してくるカビ菌などを採取する方法です。
比較的分かりやすい検査方法ですが、空気中の菌を一定量吸引する空中浮遊菌検査とは評価の考え方が異なります。
落下菌検査の結果は、次のような条件の影響を受けます。
培地を置いた位置や高さ
開放していた時間
人が歩いたかどうか
掃除や布団の上げ下ろしを行ったか
エアコンや扇風機が動いていたか
窓やドアを開けていたか
部屋の広さや空気の動き
落下菌検査は、一定時間内に落下する菌の状態を確認する方法であり、室内空気全体の菌数を直接示すものではありません。
そのため、調査目的に応じて、空中浮遊菌検査、表面採取、建物調査などと組み合わせることが大切です。
拭き取り・付着菌検査で発生箇所を確認する
壁、天井、家具、エアコンなどに黒や白の付着物がある場合には、その部分から試料を採取して調べる方法があります。
綿棒などを用いて発生箇所を拭き取ったり、専用の方法で表面の試料を採取したりすることで、付着しているカビの存在状況を確認します。
この検査が役立つのは、次のような場合です。
黒い汚れがカビか確認したい
発生箇所のカビの種類を調べたい
壁紙、木材、畳などの状態を確認したい
カビ対策後に表面の状態を確認したい
複数の場所の違いを比較したい
ただし、表面から採取した検査は、その採取場所の状態を示すものです。
壁紙の表面からカビが確認されなかったとしても、壁紙の裏側や石こうボード、断熱材にカビが存在しないとは限りません。
反対に、表面でカビが確認されても、室内空気中にどの程度広がっているかは、表面採取だけでは分かりません。
そのため、検査目的に応じて複数の方法を組み合わせる必要があります。
カビの種類を調べる「同定」とは
採取したカビについて、形態などを確認し、どのような種類やグループに属する可能性があるかを調べることを「同定」と呼びます。
カビには非常に多くの種類があり、住宅内ではアスペルギルス属、ペニシリウム属、クラドスポリウム属など、さまざまなカビが確認されることがあります。
ただし、黒く見えるから特定の種類、青く見えるから食品に使われる青カビと同じ、と判断することはできません。
カビの種類を確認することで、次のような評価の手がかりになります。
屋外から入り込んだ可能性が高いカビか
室内の湿った建材で増殖している可能性があるか
特定の部屋で同じ種類が多く確認されるか
発生箇所と室内空気に共通する種類があるか
カビ対策前後で構成が変化したか
ただし、カビの種類が分かっただけで、住宅の発生原因がすべて判明するわけではありません。
同じ種類のカビでも、住宅ごとに発生した場所や水分原因は異なります。検査結果を、含水率や建物構造、換気状態などと合わせて考える必要があります。
菌数が多い・少ないだけでは判断できない
真菌検査の結果を見ると、「何個以上なら危険なのか」「数値が低ければ安全なのか」と知りたくなる方も多いでしょう。
しかし、室内のカビ環境は、単純な一つの数値だけで評価できるとは限りません。
検査結果を考えるときは、次のような情報が重要です。
室内と屋外の数値の差
採取した部屋の用途
確認されたカビの種類
発生箇所の有無
カビ臭や水染みの状態
採取時の換気や窓の開閉
季節や天候
建材の含水率
カビが繰り返し発生しているか
例えば、室内の菌数が極端に高くなくても、特定のカビが一つの部屋だけで継続して確認され、壁の含水率も高い場合には、室内の増殖源を疑う必要があります。
反対に、屋外の菌数が多い日に窓を開けていた場合、室内でも屋外由来のカビが多く確認される可能性があります。
数値だけを切り取って判断せず、採取条件と住宅の状態を含めて評価することが大切です。
真菌検査は医療検査とは異なる
住宅の真菌検査は、建物や室内空気中のカビ菌の状態を調べるための検査です。
人の病気やアレルギーを診断する医療検査ではありません。
咳、鼻水、目のかゆみ、喘鳴、体調不良などがある場合、その原因がカビであると住宅検査だけで断定することはできません。症状がある方は、医療機関へ相談することが必要です。
一方、医療機関でカビに対するアレルギーなどが確認された場合でも、住宅内のどこに、どの程度のカビが存在するかは、医療検査だけでは分かりません。
そのため、必要に応じて次の二つを分けて考えます。
身体の状態は医療機関で確認する
住宅の状態は真菌検査や建物調査で確認する
医療と住環境の両面から確認することで、原因を一つに決めつけず、適切な対応を考えやすくなります。
真菌検査だけではカビの発生原因は分からない
真菌検査は、カビの存在状態を確認するために重要ですが、検査だけで雨漏り、漏水、結露、換気不足などの発生原因を特定できるわけではありません。
例えば、空中浮遊菌検査で一つの部屋の数値が高かったとしても、発生源が壁紙、エアコン、床下、家具裏のどこにあるかは、さらに調査する必要があります。
発生原因を明らかにするためには、次のような建物調査を組み合わせます。
建材の含水率検査
雨漏りや漏水の確認
窓や壁の結露状況
ファイバースコープによる壁内確認
床下や天井裏の調査
エアコンや換気設備の確認
風量計による給気・排気測定
室内の負圧や空気経路の確認
真菌検査は「カビの状態」を確認し、建物調査は「カビが発生した理由」を探ります。
両方を組み合わせることで、表面清掃だけでは分からない住宅の問題を総合的に考えることができます。
建材の含水率検査と組み合わせる理由
カビが増殖するためには、水分が重要な条件になります。
そこでMIST工法®カビバスターズでは、真菌検査とあわせて建材の含水率検査を行い、壁、床、天井などに水分が残っていないかを確認します。
例えば、真菌検査で寝室のカビ菌が多く確認され、同じ部屋の北側壁面だけ含水率が高ければ、その壁の内部や家具裏に発生源がある可能性を検討できます。
含水率検査では、次のような点を確認します。
周囲より水分が高い場所がないか
水分がどの範囲へ広がっているか
窓、配管、外壁などの位置と関係しているか
雨の日や設備使用後に変化するか
乾燥が十分に進んでいるか
真菌検査でカビの存在を確認し、含水率検査でカビを支えている水分を探すことが、原因調査の重要な流れです。
ファイバースコープで発生源を探る
真菌検査や含水率検査によって壁内の異常が疑われる場合には、必要に応じてファイバースコープを使用します。
通常は見えない壁の中へカメラを挿入し、次のような状態を確認します。
壁内の変色や黒ずみ
木材や石こうボードの湿り
水滴や漏水跡
断熱材の状態
配管周辺の異常
カビが疑われる付着物
ファイバースコープでカビのような付着物が見えても、映像だけで種類を正確に断定することはできません。
必要に応じて試料採取や真菌検査を組み合わせ、含水率、臭い、建物構造などの情報を総合的に判断します。
壁の表面がきれいでも、真菌検査の結果や含水率に異常があれば、見えない場所に発生源が隠れていないかを調べることが重要です。
風量計でカビ菌や臭いを運ぶ空気の流れを確認する
カビの増殖源と、カビ臭を感じる場所が同じとは限りません。
床下、壁内、天井裏などで発生した臭いが、住宅の負圧や換気設備の空気の流れによって、別の部屋へ運ばれる場合があります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じて風量計を使用し、給気口や排気設備の状態を確認します。
確認する主な内容は次のとおりです。
給気口から必要な空気が入っているか
換気扇が適切に排気しているか
排気に対して給気が不足していないか
特定の部屋で空気が滞留していないか
室内が強い負圧になっていないか
壁内や床下から空気を引き込んでいないか
真菌検査で特定の部屋の状態が高く確認されても、その部屋に発生源があるとは限りません。空気がどこから入り、どこへ流れているのかを確認することで、発生源を絞り込みやすくなります。
カビ対策後の確認にも真菌検査が役立つ
カビ対策後に壁や天井がきれいになると、見た目だけで完了を判断しがちです。
しかし、カビが見えなくなったことと、室内環境が改善したことは必ずしも同じではありません。
対策前後に同じ条件で真菌検査を行うことで、次のような点を確認する手がかりになります。
室内空気中の状態が改善したか
特定の部屋の数値が下がったか
室内外のバランスが変化したか
対策前に多かった種類が減少したか
別の場所に増殖源が残っていないか
ただし、対策前後の比較では、採取場所、換気状態、窓の開閉、機器の運転、天候などの条件をできるだけそろえることが重要です。
条件が大きく異なると、単純な数値比較が難しくなる場合があります。
「見た目がきれいになったから終わり」ではなく、必要に応じて検査によって状態を確認することが、再発リスクの把握につながります。
真菌検査を検討したい住宅のサイン
次のような状態がある場合は、真菌検査を含めた専門調査を検討してください。
見えるカビがないのにカビ臭がする
同じ場所に何度もカビが再発する
複数の部屋でカビが発生している
壁紙、天井、床に広い変色がある
雨漏りや漏水があった
エアコンを運転すると臭いがする
床下や天井裏にカビが疑われる
新築やリフォーム後にカビが発生した
カビ対策後の状態を確認したい
目視だけではカビかどうか判断できない
室内環境を客観的な資料として残したい
特に、カビの発生源が分からない場合や、見えない場所への広がりが疑われる場合は、表面清掃を繰り返すよりも、先に状態を調べることが重要です。
検査で大切なのは「測って終わり」にしないこと
真菌検査の目的は、単に数字やカビの名前を知ることではありません。
検査結果をもとに、次の行動へつなげることが重要です。
どの部屋・場所に問題が疑われるか整理する
建材の含水率を確認する
雨漏り・漏水・結露の可能性を調べる
ファイバースコープで見えない場所を確認する
換気量・負圧・空気の流れを調べる
原因改善後に必要に応じて再検査する
検査結果が高かったとしても、その原因を改善しなければカビは再発する可能性があります。
反対に、数値が低かったとしても、壁内に局所的なカビや水分問題がないとは限りません。検査結果だけに頼らず、建物の状態と合わせて判断することが必要です。
見えないカビは客観的な検査から確認する
味噌や醤油、チーズなどに利用されるカビは、種類や環境が管理されています。
一方、住宅に発生したカビは、どの種類が、どこで、どの程度増殖しているのか分からない状態です。
見た目が同じ青カビや黒カビでも、食品に利用される管理されたカビと、住宅内で意図せず増殖したカビを同じように考えることはできません。
住宅のカビ問題では、色や臭いだけで判断するのではなく、真菌検査によって見えない状態を確認し、建材の水分や空気の流れまで調べることが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査をはじめ、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、カビの状態と発生原因を総合的に調査します。
見えるカビがないのに臭いがする、清掃しても再発する、壁の中や床下が心配、カビ対策後の状態を確かめたいといった場合は、勘や見た目だけで判断せず、客観的な真菌検査をご検討ください。
原因を改善しないまま表面だけをきれいにしても、カビは再発する可能性があります。手に負えないカビトラブルや原因不明のカビ臭は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
建材の含水率検査でカビの原因を探る
表面が乾いて見えても安心できない|壁・床・天井に残る水分を数値で確認する重要性
住宅にカビが発生すると、「湿度が高かったから」「換気が足りなかったから」と考える方は多いでしょう。
確かに、室内湿度や換気はカビの発生に深く関係します。しかし、室内の湿度計が示す数値だけでは、壁紙、石こうボード、木材、床材などの内部に、どの程度の水分が残っているかまでは分かりません。
室内の空気が乾いていても、雨漏りや漏水、結露などによって、建材の内部だけが湿っていることがあります。表面を手で触ると乾いているように感じても、その奥には水分が残り、カビが増殖しやすい状態になっている場合があるのです。
そこで重要になるのが、建材の含水率検査です。
建材の含水率検査は、壁、床、天井、木材などに含まれている水分の状態を測定し、カビの発生原因や再発リスクを調べるための検査です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、目視調査や真菌検査だけでなく、建材の含水率を確認することで、見た目だけでは分からない水分問題を追究します。
カビを根本から改善するためには、表面の黒ずみを取り除くだけでなく、カビを育てている水分がどこにあり、なぜそこへ集まったのかを明らかにすることが大切です。
含水率とは建材に含まれる水分の割合
含水率とは、木材や建築材料などに、どの程度の水分が含まれているかを表す指標です。
住宅を構成する建材には、木材、石こうボード、コンクリート、合板、床材など、さまざまな種類があります。それぞれ水分の含み方や乾き方が異なるため、測定結果は建材の種類や周囲の状態を踏まえて評価する必要があります。
建材は、見た目に水滴が付いていなくても水分を含むことがあります。
例えば、雨漏りによって壁の中へ水が入り込んだ場合、壁紙表面は一時的に乾いて見えても、石こうボードや木材の内部には水分が残っている可能性があります。
また、漏水が止まったあとでも、壁の内部は空気が流れにくく、乾燥に時間がかかることがあります。
こうした水分を感覚だけで判断するのではなく、測定機器を使って確認することが、含水率検査の大きな役割です。
室内湿度と建材の含水率は同じではない
室内湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の状態を表したものです。一方、建材の含水率は、壁や床、木材などの材料そのものに含まれている水分の状態を示します。
そのため、湿度計の数値が低くても、建材が乾燥しているとは限りません。
例えば、次のようなケースがあります。
雨漏り後にエアコンを運転し、室内湿度は下がったが壁内が湿っている
漏水箇所を修理したが、床下地に水分が残っている
冬の暖房で室内空気は乾燥しているが、家具裏の壁で結露している
浴室の水分が壁の下地材へ入り込んでいる
新築住宅のコンクリートや木材に水分が残っている
床下から湿気が上がり、床材の内部が湿っている
部屋に湿度計を置くだけでは、こうした局所的な水分問題を把握することは困難です。
室内湿度は住環境を管理するうえで重要ですが、カビが繰り返し発生している場合には、建材そのものの水分状態も確認する必要があります。
カビが発生する場所には水分の理由がある
カビは、水分、温度、栄養、時間などの条件が重なることで増殖します。
住宅内には、木材、壁紙、接着剤、畳、ほこりなど、カビが利用できるものが多くあります。また、人が暮らしやすい温度は、多くのカビにとっても増殖可能な範囲に含まれます。
そのため、住宅のカビ対策では、水分をどのように管理するかが非常に重要です。
壁や床の一部分だけにカビが発生している場合、その場所だけ水分が高くなっている可能性があります。
例えば、壁の下部にカビが集中している場合には、次のような原因が考えられます。
床下や基礎からの湿気
配管からの漏水
窓の結露水が壁の下へ流れている
外壁から入り込んだ雨水が下部へたまっている
浴室や洗面所から水分が移動している
壁内の水分が重力によって下へ集まっている
一方、天井付近だけに変色やカビがある場合には、屋根からの雨漏り、上階からの漏水、天井裏の結露などを疑う必要があります。
含水率を複数の場所で測定し、水分の分布を確認することで、原因を考える手がかりが得られます。
見た目だけでは建材の水分は判断できない
壁紙や床材がぬれていれば、水分問題に気づきやすいでしょう。
しかし、建材の内部に水分が残っている場合、次のように見た目では判断しにくいことがあります。
表面に水滴がない
壁紙の色が変わっていない
手で触っても冷たい程度にしか感じない
床材がわずかに浮いているだけ
カビ臭はあるが水染みがない
雨漏りの跡が乾いて消えている
清掃後にカビの色だけが消えている
人の手の感覚だけでは、水分量の違いを正確に比較できません。
また、同じ壁面でも、中央部、床に近い部分、窓の周辺などで水分状態が異なる場合があります。
含水率検査では、疑わしい場所だけを一か所測定するのではなく、周囲の正常と思われる場所と比較しながら、水分の偏りがないかを確認することが重要です。
含水率検査で調べる主な場所
カビの発生状況や建物の構造に応じて、含水率を測定する場所を選定します。
代表的な測定箇所には、次のような場所があります。
カビが発生している壁
壁紙の継ぎ目や巾木周辺
窓やサッシの下部
雨漏りが疑われる天井
水回りに隣接する壁や床
配管が通っている周辺
床材が浮いている、変形している場所
押し入れやクローゼットの奥
家具裏の壁面
床下の木材や合板
天井裏や小屋裏の木材
エアコン配管の貫通部周辺
一つの場所だけを測定しても、水分の広がりは分かりません。
疑われる箇所を中心に、上下左右や隣接する場所を測定し、水分がどの方向へ広がっているかを確認します。
雨漏りによる水分を探る
雨漏りは、住宅のカビ発生につながる代表的な原因の一つです。
しかし、雨漏りが起きていても、必ず室内に水滴が落ちてくるとは限りません。
屋根や外壁から入り込んだ水が、断熱材、柱、石こうボードなどを伝い、離れた場所に現れることがあります。また、雨の量や風向きによって、特定の条件のときだけ水が入り込む場合もあります。
雨漏りが疑われるサインには、次のようなものがあります。
雨の日や雨の翌日にカビ臭が強くなる
天井や壁に黄色・茶色のシミがある
壁紙が浮いたり剥がれたりしている
窓の周辺だけカビが繰り返す
外壁にひび割れやシーリングの劣化がある
天井裏の木材が変色している
断熱材が湿っている
含水率検査では、水染みが見える部分だけでなく、その周辺や水が流れてきた可能性のある経路を確認します。
ただし、測定した時点で建材が乾いている場合もあるため、天候、雨の強さ、発生時期などの情報と合わせて評価することが大切です。
配管からの漏水は少量でもカビの原因になる
給水管や排水管から大量に水が漏れれば、床の水たまりや天井からの水滴などで気づくことができます。
しかし、接続部分からわずかに漏れている場合や、設備を使用したときだけ水が漏れる場合には、発見が遅れることがあります。
少量の漏水でも、壁内や床下で長期間続けば、建材が乾燥できず、カビが増殖しやすい状態になります。
漏水が疑われる場所には、次のようなものがあります。
キッチンや洗面台の下
トイレの配管周辺
浴室に接する壁や床
洗濯機の給排水部分
上階の水回り直下の天井
エアコンのドレン配管周辺
給湯設備の配管部分
含水率を測定し、特定の配管周辺だけ数値が高ければ、漏水の可能性を考える手がかりになります。
ただし、含水率検査だけで漏水箇所を断定することはできません。必要に応じて配管設備の確認などを行い、水分の供給源を特定する必要があります。
結露による水分は見えない場所にもたまる
結露というと、窓ガラスに付く水滴を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、住宅では壁の表面、家具の裏側、押し入れの奥、壁内など、見えにくい場所でも結露が起こることがあります。
結露が疑われる場所には、次のような特徴があります。
北側の外壁に面している
冬に壁の表面温度が低くなる
大型家具が壁に密着している
空気が動きにくい収納内部である
室内で加湿器を長時間使用している
給気口を閉めている
暖房している部屋と寒い部屋が隣接している
断熱材の施工状態にばらつきがある
結露は毎日少しずつ発生することがあります。
一度に大量の水が出なくても、「湿る・乾き切らない・再び湿る」という状態を繰り返せば、建材の含水状態が高いまま維持される可能性があります。
含水率検査によって、カビが発生している場所と周囲の水分状態を比較することで、局所的な結露の可能性を検討できます。
新築住宅でも含水率の確認が必要な場合がある
「新築だからカビは発生しない」と考える方もいますが、新しい住宅でも水分管理が十分でなければ、カビ問題が起こることがあります。
住宅の建築には、コンクリート、木材、接着剤、塗料など、多くの材料が使用されます。コンクリートには施工時に多くの水が使われ、乾燥には時間がかかります。
また、建築中に雨が降り、木材や床下地がぬれた場合、仕上げ材を施工する前に十分な乾燥が必要です。
新築住宅で注意したい状態には、次のようなものがあります。
引き渡し後すぐにカビ臭がする
畳や収納にカビが発生した
床下の木材が変色している
壁紙の一部に黒い点が出た
基礎断熱の床下が高湿度になっている
建築中に雨ぬれがあった
施工後に漏水事故が起きた
新築後のカビを「換気不足」や「住み方」の問題だけに決めつけるのではなく、建材に水分が残っていないかを確認することが重要です。
含水率検査は、引き渡し前後の建材状態を確認する方法としても役立ちます。
基礎や床下に残る水分にも注意
床下は住宅の中でも湿気がたまりやすく、日常的に確認しにくい場所です。
特に、基礎断熱の住宅や新築直後の住宅では、コンクリートから放出される水分や、床下空間の換気・除湿状態に注意する必要があります。
床下の湿気が高くなると、次のような場所へ影響する可能性があります。
土台
大引や根太
床下地合板
断熱材
床材
押し入れや収納の床
室内の巾木周辺
床下で発生した湿気やカビ臭が、配管まわり、点検口、床のすき間などから室内へ入り込む場合もあります。
床下にカビが疑われる場合は、湿度だけでなく、木材や合板の含水状態、基礎表面の結露、漏水の有無などを確認する必要があります。
含水率が高い場所とカビの発生場所を重ねて考える
含水率検査で重要なのは、単に高い数値を見つけることではありません。
カビの発生場所、臭いを感じる場所、建物の構造、設備の位置などと重ねて考えることが必要です。
例えば、寝室の北側壁にカビがあり、その壁だけ含水状態が高い場合には、結露、外壁からの水分侵入、家具裏の空気停滞などを検討します。
洗面所に隣接する部屋の壁で数値が高い場合には、給排水管、浴室の防水、洗面台周辺からの水分移動などを疑います。
天井の一部分だけ数値が高い場合には、屋根、上階の水回り、エアコン配管などとの位置関係を確認します。
このように、測定値を建物の情報と結び付けることで、水分が発生した理由を絞り込みやすくなります。
測定値だけでカビの有無を断定できるわけではない
含水率が高い場所はカビが増殖しやすい環境である可能性がありますが、含水率だけでカビの種類や量を判断することはできません。
また、測定値が低いからといって、過去にカビが発生していなかったと断定することもできません。
例えば、以前は雨漏りで湿っていたものの、調査時には乾いている場合があります。その場合、含水率は低くても、建材にカビの跡や菌体が残っている可能性があります。
反対に、一時的な水分によって含水率が高くなっていても、まだカビが増殖していない場合もあります。
そのため、含水率検査は次の情報と組み合わせて評価します。
カビの目視状態
真菌検査の結果
カビ臭の有無
雨漏りや漏水の履歴
建物の構造や築年数
ファイバースコープの映像
室内湿度や温度
換気設備の運転状態
居住者からの聞き取り
一つの数値だけで結論を出すのではなく、複数の調査結果を総合することが重要です。
真菌検査と含水率検査を組み合わせる理由
真菌検査は、室内空気中や発生箇所に存在するカビ菌の状態を確認する検査です。
一方、含水率検査は、カビが増殖する条件となる建材の水分を確認します。
この二つを組み合わせることで、次のように調査を進めることができます。
真菌検査でカビの存在状況を確認する
カビが疑われる部屋や場所を絞り込む
含水率検査で水分の高い建材を探す
建物構造や設備と照らし合わせる
雨漏り、漏水、結露などの原因を検討する
例えば、空中浮遊菌検査で特定の部屋の数値が高く、その部屋の壁だけ含水状態が高い場合には、壁内に発生源がある可能性を詳しく調べます。
反対に、真菌検査で室内の状態が高くても、見える範囲の含水率に異常がない場合には、エアコン内部、天井裏、床下など、別の発生源を検討する必要があります。
真菌検査で「カビの状態」を確認し、含水率検査で「カビを支える水分」を探ることが、原因調査につながります。
ファイバースコープ調査へつなげる判断材料になる
含水率検査で壁の一部分に水分の偏りが確認された場合、その奥に何が起きているのかを確認する必要があります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じてファイバースコープを使用し、壁内など通常は見えない場所を調査します。
含水率検査とファイバースコープ調査を組み合わせることで、次のような状態を確認する手がかりになります。
壁内の木材が変色していないか
石こうボードの裏側が湿っていないか
断熱材がぬれたり変形したりしていないか
配管周辺に漏水跡がないか
雨水が通った形跡がないか
カビが疑われる付着物がないか
含水率を測定せずに壁内を調べようとすると、確認すべき範囲を絞り込みにくい場合があります。
先に水分の分布を確認することで、どの場所を重点的に調査すべきかを判断しやすくなります。
風量・負圧の確認も水分問題に関係する
建材が湿る原因は、雨漏りや漏水だけではありません。
換気不足や空気の流れの偏りによって、特定の場所に湿気がたまることがあります。また、室内の負圧が強い場合には、床下、壁内、天井裏などから湿った空気を引き込む可能性があります。
例えば、浴室換気扇やレンジフードを運転したとき、給気量が不足していると、建物のすき間から空気が入ってきます。
その空気が床下や壁内の湿気を含んでいれば、室内の特定箇所で結露やカビを引き起こす要因になることがあります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じて風量計を用い、次のような点を確認します。
給気口から必要な空気が入っているか
換気扇の排気量が確保されているか
給気と排気のバランスが崩れていないか
特定の部屋で空気が停滞していないか
室内が強い負圧になっていないか
湿った場所から空気を引き込んでいないか
含水率の高い場所が見つかったときは、水の侵入だけでなく、湿った空気の流れも確認することが大切です。
カビ対策後の乾燥確認にも役立つ
カビ問題への対応を行ったあと、見た目がきれいになっても、建材内部が十分に乾燥しているとは限りません。
建材に水分が残った状態で壁紙や床材を元に戻すと、内部で再びカビが発生する可能性があります。
そのため、対策後には含水率を確認し、周囲と比較しながら乾燥状態を評価することが重要です。
乾燥確認では、次の点を意識します。
対策前と比べて数値が下がっているか
周囲の正常な場所との差が小さくなったか
壁の上下や床下に水分が残っていないか
時間の経過とともに乾燥が進んでいるか
雨天や設備使用後に再び数値が上がらないか
一度の測定だけでなく、必要に応じて時間を置いて再測定することで、水分が減少しているのか、継続的に供給されているのかを判断しやすくなります。
含水率が再び上がる場合は原因が残っている可能性がある
乾燥させたはずの建材で、数日後や雨天後に含水状態が再び高くなる場合には、水分の供給源が止まっていない可能性があります。
考えられる原因には、次のようなものがあります。
雨漏りの修理が十分でない
別の場所から雨水が入っている
配管からの漏水が続いている
結露が繰り返されている
床下や基礎から湿気が移動している
換気や除湿が十分に機能していない
強い負圧で湿った空気を引き込んでいる
表面だけを乾かしても、原因が残っていれば建材は再び湿ります。
カビの再発を防ぐためには、数値の変化を確認しながら、水分がどこから供給されているのかを追究することが必要です。
ご家庭で気づける建材の水分サイン
専門機器がなくても、住宅内の変化を観察することで、水分問題に気づける場合があります。
次のようなサインがないか確認してみてください。
壁紙が浮く、剥がれる、波打つ
天井や壁に黄色・茶色のシミがある
巾木や床材が膨らんでいる
木材が黒ずんでいる
畳が湿っている、変色している
雨の日にカビ臭が強くなる
特定の壁だけ冷たく感じる
家具裏に結露やカビがある
押し入れの床が湿っている
窓の下に繰り返しカビが発生する
清掃後すぐに同じ場所へカビが戻る
これらは必ずしも漏水やカビを断定するものではありませんが、建材の水分状態を確認するきっかけになります。
何度も同じ変化が現れる場合は、表面清掃だけで様子を見るのではなく、含水率検査を含めた原因調査を検討してください。
含水率検査を検討したいケース
次のような場合は、建材の含水率検査が原因究明に役立つ可能性があります。
同じ場所にカビが繰り返し発生する
壁紙の裏や壁内にカビが疑われる
雨漏りや漏水の履歴がある
天井や壁に水染みがある
床材や巾木が変形している
カビ臭の発生源が分からない
新築やリフォーム後にカビが出た
床下や基礎の湿気が心配
結露が発生しやすい
カビ対策後の乾燥状態を確認したい
真菌検査で室内のカビ菌が多く確認された
特に、見えるカビを清掃しても再発する場合は、建材内部に水分が残っている可能性を考える必要があります。
数値だけで終わらせず水分の経路を探る
含水率検査の目的は、単に高い数値を見つけることではありません。
大切なのは、測定結果をもとに、水分がどこから入り、どのように広がり、なぜ乾かないのかを考えることです。
原因調査では、次のような流れで確認します。
カビや変色の場所を目視する
周囲を含めて含水率を測定する
水分の分布を確認する
建物の構造や設備の位置と照合する
雨漏り・漏水・結露の可能性を検討する
必要に応じて壁内・床下・天井裏を確認する
換気量や負圧、空気の流れを調べる
原因改善後に乾燥状態を再確認する
水分の入口だけでなく、湿気がたまりやすい構造や、乾燥を妨げる空気の流れまで確認することが、再発防止につながります。
カビの根本改善は水分の見える化から始まる
住宅のカビは、目に見える黒い部分だけの問題ではありません。
その背後には、結露、雨漏り、漏水、建材の乾燥不足、床下の湿気、換気不足、負圧など、水分に関係する原因が隠れている可能性があります。
表面のカビを取り除いても、建材の内部が湿ったままであれば、再びカビが増殖する可能性があります。
建材の含水率検査は、見た目や手触りだけでは分からない水分を数値で確認し、原因を探るための重要な方法です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査に加え、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、カビの状態と水分の発生原因を総合的に調査します。
同じ場所にカビが再発する、雨の日に臭いが強くなる、壁紙や床材が変形している、表面は乾いているのにカビ臭が残るといった場合は、建材内部に水分が隠れている可能性があります。
カビを取り除くだけでなく、カビを育てている水分を見つけ、その供給源を改善することが、根本的な再発防止への第一歩です。
手に負えないカビトラブルや原因の分からない建材の湿りは、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
ファイバースコープで壁の中を確認する理由
壁を大きく壊す前に、カビ・漏水・結露が疑われる内部の状態を映像で確かめる
壁紙に黒カビが繰り返し発生する、雨の日になるとカビ臭が強くなる、壁の一部分だけ含水率が高い――。このような場合、目に見える壁紙の表面ではなく、その奥に原因が隠れている可能性があります。
しかし、住宅の壁の中には、柱、石こうボード、断熱材、防湿層、配管、電気配線などがあり、室内から簡単に確認することはできません。
内部の状態を確かめるために、最初から壁を広範囲に解体すると、建物への負担や費用が大きくなります。また、原因の位置が分からないまま開口しても、問題のある場所を確認できない可能性があります。
そこで役立つのが、ファイバースコープを使用した壁内調査です。
ファイバースコープは、細いケーブルの先端に小型カメラが付いた調査機器です。既存の小さな開口部や、必要最小限の確認口などからカメラを挿入し、通常は見えない壁の中、床下、天井裏などを映像で確認します。
MIST工法®カビバスターズ本部では、目視調査、真菌検査、建材の含水率検査などによって壁内の異常が疑われる場合、必要に応じてファイバースコープを用いて原因を追究します。
表面に現れたカビだけを見るのではなく、その奥に水分やカビの増殖源が隠れていないかを確認することが、根本的な再発防止につながります。
壁の表面がきれいでも内部に問題があることがある
住宅の壁は、室内側から見える壁紙だけでできているわけではありません。
一般的な壁の内部には、壁紙の下に石こうボードがあり、その奥には柱、間柱、断熱材、防湿層、配線、配管などがあります。
雨漏り、漏水、結露などで水分が壁の中へ入り込むと、室内側の壁紙にすぐ異常が現れるとは限りません。
壁の内部で次のような状態が起きていても、表面は一見きれいなままということがあります。
断熱材が湿っている
石こうボードの裏面にカビが発生している
柱や間柱が黒ずんでいる
配管の接続部から少量の水が漏れている
壁内で結露が繰り返されている
外壁から入り込んだ雨水が下部へたまっている
エアコン配管の周辺が結露している
建築中にぬれた木材が十分に乾燥していない
壁紙にカビが現れた時点では、壁の内側ですでに広い範囲へ水分やカビが広がっている可能性もあります。
反対に、壁紙の黒い点が表面的な汚れであり、壁内には問題がない場合もあります。
見た目だけで判断せず、含水率や臭い、建物の構造などを確認したうえで、必要な場所をファイバースコープで調査することが大切です。
ファイバースコープとはどのような調査機器なのか
ファイバースコープは、細く柔軟なケーブルの先端にカメラと照明が付いた機器です。
人の目や手が届かない狭い空間へカメラ部分を挿入し、モニターに映し出された映像を見ながら内部の状態を確認します。
住宅調査では、次のような場所に使用されることがあります。
壁の内部
天井裏
床下
配管スペース
浴室まわりの壁内
エアコン配管の貫通部周辺
押し入れや収納の裏側
屋根や外壁に近い空間
断熱材の周辺
ファイバースコープを使用することで、壁全体をすぐに解体しなくても、内部の一部を映像で確認できます。
ただし、ファイバースコープは壁内全体を透視する機器ではありません。カメラが入る経路と、先端が向いている範囲しか確認できないため、調査前に疑わしい場所を絞り込むことが重要です。
なぜ最初から壁を壊して確認しないのか
壁の中にカビや漏水が疑われる場合、壁を開ければ確実に確認できると思われるかもしれません。
しかし、原因の位置や範囲が分からない段階で大きく解体すると、必要以上に壁や内装材を傷める可能性があります。
さらに、壁を開けた場所に異常がなく、別の場所に原因があることも考えられます。
そのため、一般的には次のような情報から、調査位置を絞り込んでいきます。
カビや変色が現れている位置
カビ臭が強く感じられる場所
建材の含水率が高い場所
雨漏りや漏水が疑われる位置
配管や窓、外壁との位置関係
真菌検査で状態が高かった部屋
雨天時や設備使用時の変化
建物の構造図や設備図
これらの情報をもとにファイバースコープを挿入し、内部の状態を確認します。
映像や測定結果から異常が強く疑われた場合に、必要な範囲を判断して、より詳しい確認へつなげることができます。
ファイバースコープは、無計画な解体を避け、調査範囲を絞るための有効な手段です。
壁内で確認する主なポイント
ファイバースコープ調査では、単に黒いものがあるかどうかを見るだけではありません。
壁内の水分問題やカビの発生原因につながる、さまざまな変化を確認します。
主な確認ポイントは次のとおりです。
木材や石こうボードの変色
黒色、緑色、白色などの付着物
水滴や湿った跡
雨水や漏水が流れたような筋
断熱材の湿りや変形
断熱材のずれや欠損
配管周辺の水分やさび
木材の膨れや変形
結露が起こりやすい冷たい面
壁内にたまったほこりや汚れ
外部から水が入り込んだ形跡
例えば、壁内の下部だけ木材が黒ずんでいる場合には、水分が上から流れてたまった可能性や、床下から湿気が移動した可能性を考えます。
断熱材が部分的にぬれている場合には、外壁からの雨水侵入、配管からの漏水、内部結露などを検討します。
映像で見つかった変化を、含水率や建物構造と照らし合わせながら原因を絞り込んでいきます。
黒い付着物が見えてもカビとは断定できない
ファイバースコープの映像で、壁内に黒や白の付着物が見つかることがあります。
しかし、映像に映った色や形だけで、それがカビであると正確に断定することはできません。
壁の中には、次のようなカビ以外のものも存在します。
建築時の木材の汚れ
接着剤や塗料の跡
木材本来の色や節
ほこりや土汚れ
金属部分のさび
水分が乾いた跡
木材の変色
断熱材の繊維
また、カビが存在していても、映像でははっきり見えない場合があります。カメラの光、角度、距離、壁内のほこりなどによって、見え方が変わるためです。
そのため、カビが疑われる付着物を発見した場合は、必要に応じて試料を採取し、真菌検査によって確認します。
ファイバースコープは、カビの種類を判定する機器ではなく、壁内の異常箇所を探し、次に確認すべき場所を絞り込むための調査機器として使用します。
含水率検査と組み合わせることが重要
ファイバースコープを効果的に活用するためには、建材の含水率検査との組み合わせが重要です。
壁の広い範囲を無作為に確認するのではなく、先に含水率を測定し、周囲より水分が高い場所を探します。
そのうえで、数値が高かった場所の近くからファイバースコープを挿入すると、異常箇所を確認できる可能性が高まります。
例えば、次のような調査の流れが考えられます。
壁紙のカビや変色を目視で確認する
周囲を含めて複数箇所の含水率を測る
水分が高い範囲と配管・窓の位置を照合する
壁内へファイバースコープを挿入する
木材、石こうボード、断熱材の状態を確認する
必要に応じて真菌検査や追加調査を行う
含水率検査が「水分の異常がどこにあるか」を探る方法であるのに対し、ファイバースコープは「その奥で何が起きているか」を映像で確認する方法です。
二つの調査を組み合わせることで、表面からは分からない壁内の状態をより具体的に考えられます。
真菌検査と組み合わせてカビの存在を確認する
ファイバースコープの映像でカビのような付着物を発見しても、種類や量は映像だけでは判断できません。
また、壁内のカビが室内空気にどの程度影響しているかも、映像だけでは分かりません。
そこで、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査を組み合わせます。
調査目的に応じて、次のような点を確認します。
壁内の付着物がカビである可能性
室内空気中のカビ菌の状態
屋外と比較して室内側が高くないか
壁内と室内に共通するカビが確認されるか
特定の部屋に増殖源が疑われるか
例えば、壁内にカビが疑われる付着物があり、その部屋の空中浮遊菌検査でも特定のカビが多く確認された場合には、壁内の発生源が室内環境へ影響している可能性を検討します。
ただし、検査結果だけで壁内から室内へ広がっていると断定できるとは限りません。壁のすき間、空気の流れ、室内の負圧なども確認する必要があります。
雨漏りが疑われる壁の中を確認する
雨漏りは、壁内カビの大きな原因になることがあります。
屋根や外壁から入り込んだ雨水は、柱、断熱材、配線などを伝い、侵入口から離れた場所に現れることがあります。
室内に水滴が見えなくても、壁内では次のような状態が起きている可能性があります。
断熱材が雨水を吸収している
柱や間柱に水が伝った跡がある
石こうボードの裏側が変色している
壁内の下部に水分がたまっている
金属部品にさびが発生している
木材に黒ずみやカビが疑われる
雨の日や雨の翌日に含水率が高くなる、カビ臭が強くなるといった変化があれば、雨水侵入の可能性を詳しく確認します。
ファイバースコープの映像と、外壁、窓、屋根などの状態を照らし合わせることで、水分の侵入経路を考える手がかりになります。
ただし、雨水が通った経路すべてをカメラで追えるとは限らないため、天候や建物構造を含めた総合的な調査が必要です。
配管からの漏水を確認する
キッチン、洗面所、トイレ、浴室などの周辺では、壁の中を給水管や排水管が通っています。
配管の接続部から少量の水が漏れていても、室内へすぐ水が出てくるとは限りません。
壁内で少量の漏水が長期間続くと、石こうボード、木材、断熱材などが湿り、カビが発生する可能性があります。
漏水が疑われるサインには、次のようなものがあります。
水回りに接する壁だけカビが発生する
設備を使った後にカビ臭が強くなる
壁の下部や床の含水率が高い
壁紙や巾木が膨らんでいる
上階の水回り直下の天井にシミがある
配管周辺から湿った臭いがする
ファイバースコープで配管周辺を確認し、水滴、変色、さび、ぬれ跡などがないかを調べます。
ただし、配管の裏側やカメラが届かない場所に漏水がある場合もあります。必要に応じて設備の使用状況を変えながら含水率を測定するなど、複数の方法で確認することが大切です。
壁内結露が疑われる場合
壁内結露とは、壁の中へ入り込んだ暖かく湿った空気が冷たい部分に触れ、水分となる現象です。
壁紙表面に水滴が見えなくても、断熱材の周辺、外壁側の面、柱などで結露している場合があります。
壁内結露につながる可能性がある条件には、次のようなものがあります。
防湿層や気密層にすき間がある
断熱材がずれている、欠損している
配管や配線の貫通部から空気が入る
室内湿度が高い
外気と室内の温度差が大きい
換気不足が続いている
室内が強い負圧になっている
ファイバースコープでは、断熱材のずれ、湿り、水滴、木材の変色などを確認します。
ただし、調査時に結露が乾いている場合、映像だけでは確認できないこともあります。そのため、季節、室温、湿度、壁面温度、含水率などを合わせて評価する必要があります。
断熱材の状態を確認する理由
断熱材は、住宅の室内環境を保つうえで重要な役割を果たします。
しかし、雨漏りや結露、漏水などで断熱材が湿ると、乾燥しにくくなる場合があります。また、施工時のずれや変形によって、壁の一部分だけ温度が低くなり、結露しやすくなることも考えられます。
ファイバースコープでは、確認できる範囲で次のような点を見ます。
断熱材が正しい位置にあるか
大きなすき間や欠損がないか
水分を含んで変形していないか
黒ずみや変色がないか
下部へ落ち込んでいないか
配管周辺にすき間がないか
断熱材に異常があると、その周辺の壁面温度が下がり、表面結露や壁内結露につながる可能性があります。
同じ部屋の同じ壁だけにカビが繰り返し発生する場合には、家具の配置や生活湿度だけでなく、壁内部の断熱状態も考える必要があります。
エアコン配管まわりも見逃せない
エアコンの室内機と室外機をつなぐ配管は、壁を貫通しています。
配管の断熱材が傷んでいたり、ドレン配管に不具合があったりすると、壁内で結露水や排水が漏れる可能性があります。
エアコン周辺で次のような変化がある場合は注意が必要です。
室内機の下や横の壁にカビが発生する
冷房運転時だけ壁が湿る
エアコンを使うとカビ臭が強くなる
配管穴の周辺に黒ずみがある
壁紙が浮いたり変色したりしている
ドレンホースから水が出ていない
エアコン周辺の含水率が高い
ファイバースコープで配管の貫通部分や周辺を確認することで、水分の跡、断熱材の状態、カビが疑われる付着物などを調べられる場合があります。
エアコン内部を清掃しても臭いや壁のカビが再発する場合は、配管や壁内に原因がないかを確認する必要があります。
床下や天井裏の狭い場所にも活用できる
ファイバースコープは、壁内だけでなく、人が入りにくい床下や天井裏の狭い部分を確認する際にも活用できます。
床下では、次のような場所を確認することがあります。
配管周辺の漏水跡
床下地合板の裏面
木材の黒ずみや変色
断熱材の湿り
基礎付近の結露
点検口から見えない奥の部分
天井裏では、次のような状態を確認します。
屋根からの雨漏り跡
木材や断熱材の湿り
配管からの漏水
結露による水滴
カビが疑われる黒ずみ
換気経路や空気の流れを妨げるもの
ただし、床下や天井裏全体を細いカメラだけで確認することには限界があります。
人が安全に入れる場合は目視調査を行い、手が届かない狭い部分をファイバースコープで補うなど、状況に応じて使い分けます。
ファイバースコープにも見えない範囲がある
ファイバースコープは便利な調査機器ですが、万能ではありません。
主な限界には次のようなものがあります。
カメラが通るすき間が必要
柱や断熱材の裏側は見えないことがある
視野が狭く、壁内全体を一度に確認できない
ほこりや断熱材で視界がふさがれる
映像だけでは水分量を測定できない
映像だけではカビの種類を特定できない
調査時に乾いていると漏水跡が分かりにくい
カメラが届かない位置に原因がある場合がある
そのため、「ファイバースコープで何も見えなかったから問題はない」とは限りません。
真菌検査で室内のカビ菌が多く確認されている、含水率が高い、カビ臭が続いているといった場合には、別の位置からの確認や追加調査が必要になることがあります。
ファイバースコープの映像は、複数ある調査情報の一つとして評価することが重要です。
風量計で壁内から室内への空気の流れを確認する
壁の中にカビが存在していても、壁内と室内が完全に遮断されていれば、室内への影響の程度は異なります。
一方、室内が強い負圧になっている住宅では、コンセント、配管、巾木などのすき間から、壁内の空気が室内へ引き込まれる可能性があります。
そのため、壁内にカビが疑われる場合は、ファイバースコープで内部を見るだけでなく、住宅の空気の流れも確認する必要があります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じて風量計を用い、次のような点を調べます。
給気口から必要な空気が入っているか
換気扇の排気風量が適切か
給気量と排気量のバランス
室内の負圧が強くなっていないか
壁内や床下から空気を引き込む可能性
部屋ごとに空気が滞留していないか
壁内のカビ臭が室内へ流れ込んでいる場合、壁の表面を清掃しても臭いが消えないことがあります。
発生源の状態と、臭いやカビ菌を運ぶ空気の経路を両方調べることが重要です。
ファイバースコープ調査を検討したいサイン
次のような状態がある場合は、壁内などのファイバースコープ調査を検討する必要があります。
同じ壁にカビが何度も再発する
壁紙の表面を清掃してもカビ臭が残る
壁や天井の一部分だけ含水率が高い
雨の日や雨の翌日に臭いが強くなる
壁紙が浮く、剥がれる、波打つ
巾木や床材が変形している
水回りの反対側の壁にカビがある
エアコン配管周辺に変色がある
新築や改修後に壁のカビが発生した
真菌検査で特定の部屋の状態が高い
壁の中から湿った臭いがする
雨漏りや漏水の履歴がある
これらのサインが一つあるだけで、必ず壁内にカビがあるとは限りません。
しかし、複数のサインが重なっている場合や、時間の経過とともに悪化している場合には、表面だけでなく内部まで確認することが大切です。
調査結果を原因改善へつなげる
ファイバースコープで壁内の黒ずみや湿りを確認しても、映像を見ただけではカビ問題は解決しません。
重要なのは、確認した結果から水分の供給源とカビの広がりを考え、原因改善へつなげることです。
調査結果は、次のような流れで活用します。
内部の異常箇所と範囲を整理する
含水率の分布と照合する
雨漏り・漏水・結露の可能性を判断する
必要に応じて真菌検査でカビを確認する
給気・排気・負圧など空気の流れを調べる
水分の原因を改善する
乾燥状態や室内環境を再確認する
壁内にカビが疑われても、水分の原因を止めなければ再び湿ります。
反対に、漏水を修理しても、すでに広がったカビや湿った建材を放置したままでよいとは限りません。
カビの状態、水分、建材、空気の流れを総合的に考えることが、再発防止につながります。
見えない壁の中を確認してカビの原因を追究する
住宅の壁に現れた黒カビは、表面だけの問題とは限りません。
壁紙の裏側、石こうボード、断熱材、柱などに水分やカビが残っていれば、表面を何度清掃しても再発する可能性があります。
ファイバースコープは、壁を大きく解体する前に、通常は見えない内部の状態を映像で確認するための有効な調査方法です。
ただし、映像だけですべてを判断するのではなく、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査、建材の含水率検査、目視調査、風量計による負圧・換気バランスの確認などを組み合わせる必要があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応し、壁内、床下、天井裏などの見えない場所に隠れた原因を総合的に調査します。
同じ壁にカビが繰り返し発生する、清掃後もカビ臭が残る、雨の日に臭いが強くなる、含水率が高い場所があるといった場合は、壁の奥に水分や増殖源が隠れている可能性があります。
見えているカビだけを取り除いても、壁内の原因を改善しなければ再発する可能性があります。手に負えないカビトラブルや壁内の状態が心配な場合は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
風量計で負圧と換気バランスを確認する理由
換気扇が動いていても安心とは限らない|カビ臭と湿気を運ぶ「見えない空気の流れ」を数値で調べる
住宅のカビ問題では、壁や床に残る水分だけでなく、室内を流れる空気の状態も確認する必要があります。
「24時間換気を止めずに使っている」「浴室換気扇を毎日回している」「窓も定期的に開けている」というご家庭でも、カビやカビ臭が繰り返し発生することがあります。
その理由の一つが、給気と排気のバランスです。
換気扇のスイッチが入っていても、必要な量の空気を排出できているとは限りません。また、排出する空気に対して室内へ入ってくる空気が不足すると、住宅内が強い負圧になる場合があります。
室内が負圧になると、窓や給気口だけでなく、壁、床、天井、配管などのわずかなすき間から空気を引き込もうとします。
もし壁の中、床下、天井裏に湿気やカビの増殖源があれば、そこからカビ臭を含んだ空気が室内へ流れ込む可能性があります。
このような空気の流れは、目で見ることができません。
そこでMIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じて風量計を使用し、給気口や換気設備の風量、負圧、部屋ごとの換気バランスを確認します。
見えているカビだけを調べるのではなく、「空気がどこから入り、どこを通り、どこへ排出されているのか」を把握することが、再発するカビや原因不明のカビ臭を解決するための重要な手がかりになります。
風量計とは空気の流れる量を測る機器
風量計は、給気口や排気口などを通過する空気の量や風の状態を測定するための機器です。
住宅では、次のような場所を確認する際に使用します。
24時間換気の給気口
天井や壁に設置された排気口
浴室換気扇
トイレの換気扇
洗面所の換気設備
キッチンのレンジフード
床下や小屋裏の換気設備
エアコンや空調設備の吹き出し口
部屋と廊下の間の空気経路
換気扇は、音がして羽根が回っていれば、正常に換気できているように見えます。
しかし、フィルターやダクトが汚れていたり、給気口が閉じられていたりすると、予定されている風量を確保できていない場合があります。
風量計を使うことで、「動いているかどうか」ではなく、実際にどの程度の空気が流れているかを数値で確認できます。
換気は排気だけでは成立しない
住宅の換気というと、換気扇で室内の空気を外へ出すことだけを考えがちです。
しかし、空気を外へ排出するためには、その分だけ新しい空気が室内へ入る必要があります。
排気量に対して給気量が不足すると、室内の気圧が外部より低くなります。これが負圧です。
適切な範囲の圧力差は換気に必要ですが、給気不足によって負圧が強くなりすぎると、計画されていない場所から空気を引き込む可能性があります。
本来は給気口から入るはずの空気が不足すると、次のようなすき間が空気の入口になることがあります。
コンセントやスイッチの周辺
巾木と床の取り合い部分
天井と壁のすき間
配管や電気配線の貫通部
エアコン配管の穴
床下点検口
天井点検口
窓や玄関ドアのすき間
収納内部の小さな開口部
壁内、床下、天井裏に湿気やカビがある場合、その空気が室内へ引き込まれる可能性があります。
つまり、換気扇を強く回せば回すほど、必ず室内環境がよくなるとは限りません。給気と排気が適切なバランスで働くことが重要です。
負圧とはどのような状態なのか
負圧とは、室内の気圧が屋外や隣接する空間よりも低くなっている状態です。
分かりやすい例として、気密性の高い住宅でレンジフードを強く運転すると、玄関ドアが開けにくくなることがあります。
これは、室内の空気が強く外へ排出され、屋外の空気が住宅内へ入ろうとしているためです。
負圧が強くなっている可能性を示すサインには、次のようなものがあります。
レンジフード使用時に玄関ドアが重くなる
給気口から強く空気が入ってくる
窓やドアのすき間から音がする
コンセント周辺から風を感じる
換気扇を動かすとカビ臭が強くなる
床下点検口や収納内部から臭いがする
部屋のドアが勝手に動く
排水口の臭いが室内へ上がってくる
特定の換気設備を使ったときだけ臭いが変化する
こうした現象があるからといって、必ずカビ問題があるとは限りません。
しかし、カビ臭や再発するカビと同時に起きている場合は、負圧によって見えない場所の空気を引き込んでいないか確認する必要があります。
24時間換気が動いていても風量不足になる理由
24時間換気設備は、住宅全体の空気を継続的に入れ替えるための設備です。
しかし、長期間使用しているうちに、風量が低下することがあります。
主な原因には、次のようなものがあります。
給気口のフィルターが目詰まりしている
排気口にほこりが付着している
換気扇内部に汚れがたまっている
ダクトがつぶれている、外れている
ダクト内部に汚れや障害物がある
給気口が家具やカーテンでふさがれている
寒さや花粉を理由に給気口を閉めている
換気設備の設定が弱くなっている
部屋のドア下にある空気経路がふさがれている
設計された換気経路と実際の生活状態が合っていない
フィルターの汚れは、外から見ただけでは分かりにくい場合があります。
また、給気口を一か所閉めただけでも、住宅全体の空気の入り方が変わることがあります。
風量計によって各給気口・排気口を確認すると、どの場所で空気が不足しているのか、部屋ごとの換気に偏りがないかを検討できます。
給気口を閉めると別の場所から空気が入る
冬になると、「冷たい空気が入って寒い」、春には「花粉が入ってきそう」という理由から、給気口を閉めてしまう方がいます。
しかし、換気扇が室内の空気を排出し続けている状態で給気口を閉じると、排出された分の空気を補う必要があります。
その結果、本来の給気口ではなく、建物のすき間から空気が入る可能性があります。
空気は必ずしも清潔な場所から入るとは限りません。
例えば、次のような場所を通って室内へ流れ込むことがあります。
湿気の多い床下
カビが疑われる壁内
ほこりがたまった天井裏
配管スペース
エアコン配管の周辺
収納内部
外壁や窓周辺のすき間
給気口を閉めることで寒さを一時的に抑えられても、住宅全体の換気バランスが崩れる可能性があります。
給気口は、自己判断で閉じたままにするのではなく、フィルターを適切に管理し、設備本来の使用方法を確認することが大切です。
部屋ごとに換気状態が異なることがある
住宅全体で換気設備が動いていても、すべての部屋が同じように換気されているとは限りません。
空気は、給気口から入り、ドア下のすき間や廊下などを通り、排気口へ流れます。
しかし、途中の空気経路がふさがれると、一部の部屋で空気が停滞する場合があります。
特に注意したいのは、次のような場所です。
ドアを閉め切ることが多い寝室
物を詰め込んだクローゼット
大型家具を置いた北側の部屋
給気口がカーテンで覆われた部屋
暖房や冷房を使用していない部屋
押し入れや納戸
地下室や半地下の部屋
窓のない洗面所や収納
同じ住宅内でも、リビングには問題がなく、寝室や収納だけにカビが発生する場合があります。
このようなケースでは、室内全体の平均湿度だけを見るのではなく、部屋ごとの給気、排気、空気の通り道を確認する必要があります。
換気量が不足すると湿気が滞留する
人の生活によって、住宅内では毎日多くの水蒸気が発生します。
主な発生源には、次のようなものがあります。
人の呼吸や発汗
入浴やシャワー
室内干し
調理や湯沸かし
加湿器
観葉植物
開放型暖房器具
ぬれた衣類や傘
水槽
換気量が不足すると、これらの水蒸気が室内に残りやすくなります。
室内の湿気は均一に分布するとは限らず、空気が動きにくい家具裏、収納、壁際、部屋の隅などに滞留することがあります。
温度の低い壁や窓に湿った空気が触れると、表面結露が発生し、壁紙や木材が湿ります。
一時的に湿度が上がるだけでなく、湿った状態が繰り返されることで、カビが増殖しやすい環境になります。
換気量が多すぎても問題になることがある
換気不足はカビの原因になりますが、排気だけが強すぎる状態にも注意が必要です。
大型のレンジフード、浴室換気乾燥機、複数の換気扇などを同時に運転すると、給気量が追いつかず、室内の負圧が強くなる場合があります。
負圧が強くなると、次のような問題につながる可能性があります。
壁内や床下の空気を引き込む
カビ臭が室内へ流れ込む
外部の湿った空気がすき間から入る
部屋ごとの空気の流れが乱れる
排水口や配管スペースから臭いが上がる
エアコンや換気設備の働きに影響する
ドアの開閉が重くなる
「換気量は多いほどよい」のではなく、必要な給気を確保したうえで、適切に排気することが重要です。
風量計による測定では、排気口だけでなく、給気口からどの程度の空気が入っているかも確認します。
カビ臭が換気扇を回すと強くなる理由
通常であれば、換気扇を回すことで室内の臭いは外へ排出されます。
ところが、換気扇を運転した途端にカビ臭が強くなる住宅があります。
この場合、換気設備がカビ臭を発生させているとは限りません。排気によって室内が負圧になり、別の場所から臭いを含んだ空気を引き込んでいる可能性があります。
考えられる発生源には、次のような場所があります。
壁紙の裏側
石こうボードや断熱材
床下
天井裏
エアコン内部や配管周辺
押し入れやクローゼット
配管スペース
浴室周辺の壁内
例えば、床下にカビが増殖している場合、換気扇を回したときに床下点検口や配管のすき間から臭いが上がってくることがあります。
壁内にカビがある場合は、コンセントや巾木周辺から空気が流れ込む可能性があります。
臭いを感じる場所だけを清掃するのではなく、換気設備の運転状態を変えながら、臭いがどのように変化するかを確認することが重要です。
カビ臭を感じる場所と発生源は同じとは限らない
空気は、圧力の高い場所から低い場所へ移動します。
そのため、カビが増殖している場所と、カビ臭を感じる場所が離れていることがあります。
例えば、天井裏で発生した臭いが、換気設備の影響によって廊下や寝室へ流れ込むことがあります。床下の臭いが、洗面台下の配管まわりから室内へ上がる場合もあります。
発生源と臭いを感じる場所が異なると、臭いがする部屋だけを調べても原因を見つけられません。
原因調査では、次の点を整理します。
どの部屋で臭いを感じるか
いつ臭いが強くなるか
換気扇の運転で変化するか
エアコン使用時に変化するか
窓やドアの開閉で変化するか
雨の日や湿度の高い日に強くなるか
特定の収納やコンセント付近で強いか
このような情報と風量測定を組み合わせることで、臭いを運んでいる空気の経路を絞り込みやすくなります。
エアコンと換気設備の影響も確認する
エアコンは室内の温度や湿度を調整する設備ですが、換気設備とは役割が異なります。
一般的なエアコンは、室内の空気を循環させながら冷暖房を行うもので、必ずしも屋外の空気と入れ替えているわけではありません。
そのため、エアコンを運転して室温が快適になっても、室内の空気が十分に入れ替わっているとは限りません。
また、エアコンの風によって、壁際や家具裏にあったカビ胞子やほこりが室内へ移動する可能性があります。
調査では、次のような変化も確認します。
エアコン運転時だけカビ臭がする
冷房時に壁や吹き出し口周辺が結露する
エアコンの風が特定の壁に当たり続けている
室内機内部に汚れやカビが疑われる
配管貫通部から空気が入っている
ドレン排水に不具合がある
エアコン使用時に部屋間の空気の流れが変わる
換気設備とエアコンを別々に考えるのではなく、同時に使用したときの室内環境や空気の動きを確認することが大切です。
気密性の高い住宅ほど換気バランスが重要
近年の住宅は、断熱性や気密性が高いものが増えています。
気密性が高い住宅は、外気温の影響を受けにくく、冷暖房効率を高めやすいという特徴があります。
一方で、自然にすき間風が入る量が少ないため、計画換気が適切に働くことが重要になります。
給気口を閉めたり、換気設備のメンテナンスを怠ったりすると、必要な空気交換が行われず、湿気や臭いが室内に残る可能性があります。
また、気密性が高い状態で強い排気設備を使用すると、室内の負圧が大きくなりやすいことがあります。
高気密住宅では、次の点を確認することが大切です。
給気口を開いた状態で使用しているか
フィルターを定期的に清掃・交換しているか
排気口が汚れていないか
室内ドア下の空気経路がふさがれていないか
レンジフード使用時に給気を確保できているか
換気設備を長期間停止していないか
部屋ごとの湿度差が大きくないか
住宅性能が高くても、設備の使い方や管理が適切でなければ、カビの発生リスクを高める可能性があります。
換気設備のフィルター汚れを確認する
給気口や排気口のフィルターは、時間の経過とともにほこり、花粉、虫、汚れなどが付着します。
フィルターが目詰まりすると、空気が通りにくくなり、給気量や排気量が低下することがあります。
特に給気側のフィルターが詰まると、換気扇による排気量に対して給気量が不足し、負圧が強くなる可能性があります。
フィルター管理で確認したいポイントは、次のとおりです。
ほこりで表面が覆われていないか
フィルターが正しく取り付けられているか
水分を含んで変形していないか
推奨される交換時期を過ぎていないか
給気口周辺が家具やカーテンでふさがれていないか
清掃後に空気の流れが改善するか
清掃方法や交換時期は、換気設備の種類によって異なります。必ず設備の取扱説明書などを確認してください。
フィルターを清掃しただけでカビ問題がすべて解決するとは限りませんが、換気機能を維持するための重要な管理です。
部屋のドア下にある空気の通り道
住宅の計画換気では、給気口から入った空気が、部屋のドア下などを通って排気口へ向かうように設計されていることがあります。
ところが、厚いカーペット、マット、荷物などでドア下のすき間をふさぐと、空気が流れにくくなる場合があります。
また、音や臭いを防ぐためにドア下のすき間を塞いだことで、換気経路が変わってしまうこともあります。
空気の通り道がふさがれると、次のような状態が起こる可能性があります。
寝室に湿気がこもる
クローゼット内の空気が動かない
排気口まで空気が届かない
部屋ごとの換気量に差が出る
ドアのすき間から強い風切り音がする
別のすき間から空気を引き込む
換気設備そのものに異常がなくても、室内の家具配置や床材によって空気の流れが妨げられることがあります。
風量測定では、給気口や排気口だけでなく、部屋間の空気が適切に移動できているかも考慮します。
風量測定だけでカビの原因を断定できるわけではない
風量計で換気不足や給排気の偏りが確認されても、それだけでカビの発生原因をすべて断定できるわけではありません。
カビの発生には、換気以外にも次のような要因が関係します。
雨漏り
配管からの漏水
壁内結露
建材に残った水分
床下や基礎の湿気
家具の配置
断熱状態
室内での加湿や室内干し
エアコン内部の汚れ
反対に、換気風量が一定程度確保されていても、壁内に漏水があればカビが発生する可能性があります。
そのため、風量測定の結果は、建材の含水率検査、ファイバースコープ調査、真菌検査などと組み合わせて評価します。
風量計は、「空気の流れに異常がないか」を調べる重要な機器ですが、カビ問題全体を把握するためには複数の調査が必要です。
真菌検査と組み合わせて空気中の状態を確認する
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査では、室内空気中に浮遊するカビ菌の状態を確認できます。
特定の部屋でカビ菌が多く確認された場合、その部屋に発生源がある可能性を考えます。
しかし、別の場所から空気によって運ばれてきた可能性もあるため、真菌検査だけで発生源を断定することはできません。
そこで風量測定を組み合わせ、次のような点を確認します。
どの給気口から空気が入っているか
どの排気口へ向かって流れているか
カビ菌が多かった部屋で空気が停滞していないか
壁内や床下から空気を引き込む可能性があるか
換気設備の運転によって検査結果に影響するか
室内外の空気の流れが適切か
真菌検査で「空気中のカビの状態」を確認し、風量計で「その空気がどのように動いているか」を調べることで、発生源を絞り込む手がかりになります。
含水率検査と組み合わせて湿気の滞留を調べる
換気不足や空気の停滞がある場所では、湿気が建材へ吸収され、含水状態が高くなる場合があります。
例えば、北側の寝室で給気が不足し、家具裏の空気が動いていない場合、冷たい壁面に湿気がたまり、結露やカビにつながる可能性があります。
このような場合は、次の情報を組み合わせます。
給気口・排気口の風量
部屋の温度と湿度
壁や床の含水率
家具の配置
壁の表面温度
カビの発生位置
結露が起きる時間帯
含水率が高い場所と空気が停滞する場所が重なれば、換気や家具配置が水分問題に関係している可能性を検討できます。
一方で、換気状態に大きな問題がないのに含水率が高い場合は、雨漏りや漏水など、別の水分原因を詳しく調べる必要があります。
ファイバースコープで空気の入口の奥を確認する
風量測定や現場調査によって、壁のすき間や配管周辺から空気が流れ込んでいる可能性がある場合には、その奥の状態を確認することがあります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じてファイバースコープを使用し、壁内など通常は見えない場所を調査します。
確認する主な項目は次のとおりです。
壁内にカビが疑われる付着物がないか
断熱材や木材が湿っていないか
漏水や結露の跡がないか
配管貫通部に大きなすき間がないか
湿った空気が流れる経路がないか
建材に変色や劣化がないか
室内へ流れ込む空気の経路が分かっても、その奥にカビがなければ、別の発生源を調べる必要があります。
風量計、含水率検査、ファイバースコープ、真菌検査を組み合わせることで、見えない空気の流れとカビの発生源を総合的に追究します。
風量・負圧調査を検討したいサイン
次のような状態がある場合は、換気風量や負圧の確認を検討してください。
換気扇を回すとカビ臭が強くなる
窓を閉め切ると臭いが強くなる
玄関ドアが開けにくい
給気口を閉めている
コンセントや巾木から風を感じる
床下点検口周辺から臭いがする
24時間換気を使っていてもカビが発生する
一部の部屋だけ湿度が高い
クローゼットや収納にカビが繰り返す
給気口や排気口がほこりで汚れている
エアコン使用時にカビ臭がする
換気設備の運転音が以前と変わった
新築やリフォーム後にカビ臭が発生した
一つのサインだけで換気設備の異常を断定することはできません。
しかし、カビの再発、建材の湿り、カビ臭などと同時に起きている場合には、空気の流れまで調べる必要があります。
ご家庭でできる換気設備の確認
専門調査を行う前にも、ご家庭で確認できることがあります。
まず、次のポイントを確認してみてください。
24時間換気のスイッチが入っているか
給気口を閉じたままにしていないか
給気口や排気口が家具でふさがれていないか
フィルターにほこりがたまっていないか
換気扇から普段と異なる音がしないか
部屋のドア下がマットなどでふさがれていないか
浴室使用後に十分な換気を行っているか
室内干しの湿気が一つの部屋へ集中していないか
加湿器を過剰に使用していないか
ただし、ティッシュや手を近づけて空気の動きを確認するだけでは、正確な風量までは分かりません。
清掃や簡単な確認をしてもカビ臭や結露が改善しない場合は、風量計を使った測定を検討する必要があります。
カビ対策後も換気バランスを確認する
カビの発生箇所をきれいにして、建材を乾燥させても、換気不足や強い負圧が残っていれば、湿気やカビ臭の問題が再発する可能性があります。
対策後には、次の状態を確認することが大切です。
給気口から必要な空気が入っているか
排気設備の風量が確保されているか
部屋ごとの空気の流れが改善したか
湿気が一部の場所に滞留していないか
換気設備使用時にカビ臭が戻らないか
建材の含水率が再び上がっていないか
真菌検査の状態が改善しているか
カビ対策は、表面の黒ずみを取り除いた時点で終わりではありません。
原因となった水分と空気の流れを改善し、再発しにくい住環境になっているかを確認することが重要です。
見えない空気の流れを測ることが再発防止につながる
住宅のカビは、湿った場所だけでなく、空気の流れによって別の部屋へ影響を広げる可能性があります。
換気扇が動いていても、給気量が不足していたり、部屋ごとの空気経路がふさがれていたりすれば、適切な換気は行われません。
さらに、室内の負圧が強くなると、壁内、床下、天井裏などから、湿気やカビ臭を含む空気を引き込むことがあります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、風量計を用いて給気・排気の状態を確認し、住宅内の負圧や換気バランスを調べます。
さらに、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査などを組み合わせ、カビの状態、水分、空気の流れを総合的に確認します。
換気してもカビ臭が消えない、換気扇を回すと臭いが強くなる、特定の部屋だけカビが再発するといった場合は、見えない空気の流れに原因が隠れている可能性があります。
カビを取り除くだけではなく、湿気や臭いを運ぶ空気の経路まで確認しなければ、問題が繰り返されることがあります。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国のカビトラブルに対応しています。手に負えないカビ、原因不明のカビ臭、換気設備を使用しても改善しない湿気にお困りの場合は、早めにご相談ください。
住宅のカビを防ぐために今日からできること
湿度・換気・結露・家具配置を見直し、カビが増殖しにくい住環境をつくる
住宅に発生するカビを防ぐためには、カビの胞子を室内から完全になくそうとするのではなく、胞子が付着しても増殖しにくい環境を維持することが大切です。
カビの胞子は、屋外の空気、衣類、荷物、人の出入りなどを通じて室内へ入り込む可能性があります。どれだけ丁寧に掃除しても、住宅内の胞子を完全にゼロにすることは現実的ではありません。
一方で、胞子が室内に存在していても、水分が少なく、空気が適切に流れ、建材が乾燥した状態を保てていれば、カビが広がるリスクを抑えやすくなります。
住宅のカビ対策で特に重要なのは、次の4つです。
室内の湿度を確認する
結露や水分を放置しない
給気と排気を適切に行う
家具や収納内部の空気を動かす
ただし、日常的な対策を続けてもカビが繰り返す場合は、住み方だけの問題ではない可能性があります。
雨漏り、漏水、壁内結露、建材に残った水分、床下の湿気、換気設備の風量不足、強い負圧などが隠れていれば、一般的な掃除や除湿だけでは改善しません。
まずはご家庭でできる予防を実践し、それでも改善しない場合には、原因調査へ切り替えることが重要です。
湿度計を設置して室内環境を数値で確認する
室内が湿っているかどうかを、肌の感覚だけで判断することは困難です。
同じ室温でも、湿度によって感じ方は変わります。また、リビングは快適でも、寝室、収納、北側の部屋では湿度が高くなっている場合があります。
そこで役立つのが湿度計です。
湿度計を設置することで、室内の湿気を感覚ではなく数値で確認できます。
特に、次のような場所では湿度を継続して確認しましょう。
寝室
北側の部屋
押し入れやクローゼット
室内干しをする部屋
浴室や洗面所に近い部屋
床下に近い1階の部屋
加湿器を使用する部屋
窓の結露が起きやすい部屋
湿度計は、窓のすぐ近く、エアコンの風が直接当たる場所、加湿器の近くなどを避け、普段生活する高さに設置します。
一か所だけでなく、カビが気になる部屋ごとに置くと、住宅内の湿度差に気づきやすくなります。
ただし、室内湿度が低くても、壁内や床下の建材が湿っている場合があります。湿度計は日常管理には有効ですが、見えない建材の水分まで確認できるものではありません。
湿度を上げすぎない生活を意識する
住宅内では、人が生活するだけでも水蒸気が発生します。
入浴、調理、室内干し、加湿器などが重なると、短時間で室内湿度が上昇することがあります。
湿気をためないためには、次のような習慣を意識しましょう。
調理中はレンジフードを使用する
入浴後は浴室の水分をできるだけ除去する
浴室換気扇を適切に運転する
室内干しでは除湿機やエアコンを併用する
加湿器を長時間つけたままにしない
鍋料理や湯沸かし後は換気する
ぬれた傘や衣類を室内に放置しない
水槽や多くの観葉植物がある部屋の湿度を確認する
湿度が高くなったときは、一時的に窓を開けるだけでなく、除湿機やエアコンの除湿機能なども状況に応じて活用します。
ただし、屋外の湿度が非常に高い日に長時間窓を開けると、湿った外気を室内へ取り込む場合があります。
季節や天候を確認しながら、窓開け、換気設備、冷房、除湿を使い分けることが大切です。
加湿器の使いすぎに注意する
冬は空気が乾燥しやすいため、加湿器を使用するご家庭が増えます。
適切な加湿は快適な室内環境につながりますが、必要以上に加湿すると、窓、壁、家具裏、収納内部などで結露が起こりやすくなります。
加湿器を使用するときは、次の点に注意してください。
湿度計を確認しながら運転する
窓や外壁の近くに置かない
壁紙やカーテンへ蒸気を直接当てない
就寝中に長時間つけたままにしない
タンクや内部を定期的に清掃する
部屋の広さに合った機器を使用する
窓に結露が出たら加湿量を見直す
加湿器の周囲だけが高湿度になる場合もあります。
部屋全体の湿度計が高くなくても、加湿器の蒸気が直接当たる壁やカーテンが湿り、カビが発生することがあります。
加湿器を使用する目的と室内の状態を確認し、必要以上に湿度を上げないことが重要です。
窓の結露はその日のうちに拭き取る
窓ガラスやサッシに発生した結露を放置すると、水分がゴムパッキン、窓枠、壁紙、カーテンなどへ広がります。
特にサッシの下部にたまった水は、窓枠のすき間や壁紙の裏側へ入り込む可能性があります。
毎朝結露が発生する住宅では、次のような対策を行いましょう。
窓ガラスとサッシの水分を拭き取る
ゴムパッキンに黒い点がないか確認する
カーテンの裾がぬれていないか確認する
カーテンを窓に密着させない
給気口を閉めたままにしない
就寝前の過剰な加湿を控える
部屋の温度差を大きくしすぎない
家具で窓周辺の空気をふさがない
結露水を拭き取ることは応急的な対応です。
毎日大量の結露が発生する場合は、室内湿度、換気、暖房方法、窓の断熱性能などを見直す必要があります。
また、窓の周辺だけでなく、壁の内部や家具裏で結露が起きている可能性もあります。見える水滴だけを拭けば安心とは限りません。
浴室の水分を室内へ広げない
浴室は住宅内でも特に湿度が高くなりやすい場所です。
入浴後に浴室ドアを開けたままにすると、湿った空気が洗面所や廊下、隣接する部屋へ広がる場合があります。
浴室の湿気対策では、次の点を意識しましょう。
入浴後は壁や床の水分を取り除く
浴槽にふたをする
浴室ドアを閉めて換気する
換気扇のフィルターや吸込口を清掃する
排水口の汚れをためない
シャンプーボトルなどの底を乾かす
浴室内に物を置きすぎない
換気扇を短時間で止めない
浴室の壁や床が乾いても、換気ダクト、天井裏、隣接する壁の中などに湿気が入り込んでいる場合があります。
洗面所の壁紙や浴室に隣接する部屋でカビが繰り返す場合には、浴室の換気方法だけでなく、壁内の水分や配管からの漏水も確認する必要があります。
室内干しでは除湿と空気循環を組み合わせる
雨の日や花粉の時期には、洗濯物を室内へ干す機会が増えます。
ぬれた洗濯物からは多くの水分が放出されるため、何も対策をしなければ室内湿度が大きく上昇することがあります。
室内干しを行う場合は、次のような方法を組み合わせましょう。
除湿機を使用する
エアコンの除湿機能を活用する
サーキュレーターで洗濯物周辺の空気を動かす
洗濯物同士の間隔を空ける
換気設備を適切に運転する
狭い部屋へ大量に干さない
窓や壁に洗濯物を密着させない
乾いたら早めに片付ける
サーキュレーターは洗濯物を乾かす補助になりますが、空気を動かすだけで水分が住宅外へ排出されるわけではありません。
除湿機や換気設備を併用し、洗濯物から出た水分を室内に残さないことが大切です。
家具は壁に密着させない
大型家具を外壁に密着させると、家具と壁の間の空気が動きにくくなります。
特に北側の壁や日当たりの悪い壁では、表面温度が低くなりやすく、湿った空気が滞留すると結露やカビにつながる可能性があります。
注意したい家具には、次のようなものがあります。
タンス
本棚
ベッド
ソファ
テレビ台
食器棚
大型収納家具
壁面収納
家具を設置するときは、壁との間に空間を設け、空気が流れやすい状態にします。
床に物を詰め込みすぎると、家具の下部も湿気がたまりやすくなります。定期的に家具裏や床を確認し、ほこりや湿気がたまっていないかチェックしましょう。
家具を移動したときに壁紙が黒ずんでいる、カビ臭がする、壁が冷たく湿っている場合には、表面だけでなく壁内部の結露や含水状態も疑う必要があります。
押し入れやクローゼットに物を詰め込みすぎない
収納内部は、ドアを閉めたままにする時間が長く、空気が動きにくい場所です。
さらに、布団、衣類、段ボール、紙袋など、水分を吸収しやすいものが多く収納されています。
収納内部のカビを防ぐためには、次のような管理が大切です。
収納量を減らして空気の通り道をつくる
布団を壁や床へ密着させない
すのこなどを活用する
定期的に扉を開ける
湿度の高い日は除湿機を使用する
ぬれた衣類を入れない
段ボールを長期間置かない
壁や床に変色がないか確認する
カビ臭がないか定期的に確認する
除湿剤を置くだけで安心するのではなく、定期的に収納物を動かし、壁面や床面を確認しましょう。
除湿剤に水がたまる速度が以前より早くなった場合は、収納内部へ継続的に湿気が入り込んでいる可能性があります。
段ボールを長期間保管しない
段ボールは水分を吸収しやすく、ほこりもたまりやすいため、湿度の高い場所ではカビの発生源になることがあります。
通販や引っ越しで使用した段ボールを、押し入れ、床下収納、玄関、物置などへ長期間置いている場合は注意が必要です。
段ボールを保管するときは、次の点を確認してください。
床や壁へ直接密着させない
湿気の多い場所に置かない
必要のないものは早めに処分する
中身を密閉できる収納ケースへ移す
定期的に底面や裏側を確認する
カビ臭や変色があれば触り方に注意する
段ボールにカビが広く発生している場合、室内で強くたたいたり、乾いた状態でこすったりすると、胞子やほこりが舞い上がる可能性があります。
カビの範囲が広い場合は、周囲へ広げないよう慎重に扱う必要があります。
エアコンはフィルターだけでなく内部にも注意する
エアコンは室内の空気を繰り返し吸い込み、冷暖房した空気を吹き出します。
冷房や除湿運転では、内部に結露水が発生します。排水や乾燥が適切でなければ、内部に汚れやカビが生じることがあります。
日常的には、次の点を確認しましょう。
フィルターを定期的に清掃する
吹き出し口に黒い点がないか見る
運転開始時にカビ臭がしないか確認する
ドレンホースから排水されているか見る
室内機周辺の壁に変色がないか確認する
取扱説明書に沿って内部乾燥機能を使用する
長期間使用しない場合も状態を確認する
エアコンの内部や送風ファンなど、手が届かない場所を無理に分解することは避けてください。
また、エアコンを清掃してもカビ臭が消えない場合は、配管の貫通部、壁内、天井裏など別の場所から臭いが流れている可能性があります。
24時間換気を自己判断で止めない
24時間換気設備は、住宅内の空気を継続的に入れ替えるために設置されています。
寒さ、運転音、電気代などを理由に長期間停止すると、湿気や臭いが室内に残りやすくなる可能性があります。
換気設備を適切に機能させるためには、次の管理が必要です。
スイッチを継続して運転する
給気口を閉めたままにしない
給気口と排気口を定期的に清掃する
フィルターを適切な時期に交換する
家具やカーテンで給気口をふさがない
ドア下の空気経路をふさがない
異音や風量低下を感じたら確認する
換気設備が動いていても、フィルターの目詰まりやダクトの不具合によって、十分な風量が確保できていない場合があります。
清掃後も換気が弱い、特定の部屋だけ湿度が高い、換気扇を回すとカビ臭が強くなる場合は、風量計を使った確認を検討しましょう。
窓開け換気だけに頼らない
窓を開けることは、短時間で室内の空気を入れ替える方法の一つです。
しかし、窓開け換気の効果は、窓の位置、風向き、屋外の湿度、住宅の間取りなどによって変わります。
窓を開けても空気が十分に動かない部屋や、屋外の湿った空気が入り込んで湿度が上がる場合があります。
特に梅雨や雨天時は、長時間窓を開けることで、室内へ湿気を取り込むことがあります。
窓開け換気では、次の点を意識しましょう。
可能であれば離れた位置の窓を開ける
空気の入口と出口をつくる
屋外の湿度が高い日は長時間開けない
クローゼットや家具裏にも空気を通す
換気扇やサーキュレーターを補助的に使う
窓を閉めた後は湿度を確認する
窓を開けることだけで、壁内、床下、収納内部の湿気が改善するとは限りません。
住宅全体の換気設備と組み合わせて管理することが重要です。
定期的な掃除でカビの栄養源を減らす
住宅内のほこりには、繊維、皮脂、食べ物の細かな汚れ、花粉などが含まれます。
こうした汚れは、カビが増殖する際の栄養源になる可能性があります。
特に、空気が動きにくく、掃除が行き届きにくい場所は注意が必要です。
家具の裏側
ベッドの下
冷蔵庫や洗濯機の周辺
窓枠やサッシ
カーテンの裾
エアコンの上部
クローゼットの床
巾木の上
浴室の棚やボトル底面
定期的な掃除は、カビの栄養源を減らし、小さな変色や水分問題に早く気づくためにも役立ちます。
ただし、カビが広く発生している場所を乾いた状態で強くこすると、胞子やほこりを舞い上げる可能性があります。
カビの発生範囲が広い場合や、建材が湿っている場合は、無理に清掃せず専門家へ相談してください。
雨の日の後は住宅内を確認する
雨漏りは、天井から水が落ちてくるとは限りません。
外壁、窓周辺、屋根、配管の貫通部などから少量の水が入り込み、壁内や天井裏で建材を湿らせる場合があります。
強い雨や台風の後は、次の場所を確認しましょう。
天井や壁のシミ
窓周辺の湿り
壁紙の浮きや変色
巾木や床の膨れ
押し入れや収納内部の臭い
天井裏や床下点検口周辺
エアコン配管の貫通部
普段と異なるカビ臭
雨の日や雨の翌日だけカビ臭が強くなる場合は、雨水が建物内部へ入り込んでいる可能性があります。
一時的に乾いて臭いが弱くなっても、雨のたびに水分が供給されれば、カビの再発につながります。
水漏れは早めに確認する
キッチン、洗面所、トイレ、浴室、洗濯機などでは、少量の漏水が長期間続くことがあります。
収納内部や家具の裏にある配管は、漏水に気づきにくい場所です。
定期的に次の点を確認してください。
シンク下や洗面台下が湿っていないか
配管接続部に水滴がないか
排水時だけ水が漏れていないか
床材が膨らんでいないか
収納内部にカビ臭がないか
トイレ周辺の床が変色していないか
洗濯機の給排水ホースに異常がないか
上階の水回り直下にシミがないか
少量の漏水でも、壁内や床下で続けば、建材が乾かずカビが増殖する可能性があります。
漏水箇所を修理した後も、建材に水分が残っている場合があるため、乾燥状態の確認が必要です。
季節ごとに対策を変える
住宅のカビリスクは、季節によって変わります。
一年中同じ対策を行うのではなく、季節ごとの特徴に合わせることが重要です。
梅雨
除湿機やエアコンの除湿を活用する
室内干しの湿気を残さない
押し入れや収納を定期的に開ける
屋外湿度が高い日は長時間窓を開けない
夏
冷房による壁面や配管の結露に注意する
エアコン内部の汚れを確認する
高温多湿の部屋を閉め切らない
留守中も必要な換気・除湿を検討する
秋
台風や長雨の後に雨漏りのサインを確認する
夏に発生したカビが残っていないか点検する
エアコン停止後の臭いを確認する
冬
加湿器の使いすぎに注意する
窓や外壁の結露を放置しない
家具裏や北側の部屋を確認する
給気口を寒さのために閉じない
季節が変わると、カビの発生場所も変わることがあります。
定期的に住宅全体を確認し、同じ場所に異常が繰り返していないか記録すると、原因を考える手がかりになります。
カビを見つけたときの初期対応
小さなカビを見つけた場合は、慌てて強くこするのではなく、まず次の点を確認してください。
発生範囲はどの程度か
建材がぬれていないか
カビ臭が周囲に広がっていないか
同じ場所で過去にも発生していないか
雨漏りや漏水の可能性はないか
壁紙や床材が変形していないか
安全に清掃できる場所か
水分を吸収しにくい素材に発生した小規模なカビであれば、製品の使用方法を守って対応できる場合があります。
一方、壁紙、石こうボード、木材、畳、断熱材などに広がっている場合や、同じ場所に再発している場合は、内部に原因が隠れている可能性があります。
見える部分だけを急いで消すのではなく、発生範囲と水分原因を確認することが重要です。
専門調査を検討すべきカビのサイン
日常的な掃除、除湿、換気を行っても改善しない場合は、専門調査を検討しましょう。
特に、次のような状態は注意が必要です。
同じ場所に何度もカビが再発する
複数の部屋へカビが広がっている
壁紙や天井に広い変色がある
表面を清掃してもカビ臭が残る
雨の日に臭いや変色が悪化する
壁や床の一部が湿っている
壁紙、巾木、床材が変形している
床下や天井裏にカビが疑われる
換気扇を回すとカビ臭が強くなる
新築やリフォーム後にカビが発生した
漏水や浸水の履歴がある
発生源がどこか分からない
このような場合、生活上の湿度管理だけではなく、建物内部の水分や空気の流れに問題がある可能性があります。
日常対策で改善しないカビは原因調査が必要
カビを防ぐための日常対策は重要ですが、すべてのカビ問題をご家庭の管理だけで解決できるわけではありません。
どれだけ除湿や換気を続けても、壁の中で雨漏りが起きていたり、配管から水が漏れていたりすれば、建材は湿り続けます。
また、24時間換気を使用していても、給気口の閉鎖、フィルターの目詰まり、ダクトの不具合、強い負圧などがあれば、適切な換気ができていない可能性があります。
原因を確認するためには、次のような調査を組み合わせることが重要です。
目視による発生範囲の確認
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査
建材の含水率検査
ファイバースコープによる壁内調査
床下や天井裏の確認
風量計による給気・排気の測定
負圧や空気経路の確認
雨漏り・漏水・結露の原因調査
カビの色を消すことではなく、カビが増殖する環境をつくった原因を見つけることが、根本改善への第一歩です。
毎日の小さな確認がカビの早期発見につながる
住宅のカビ対策は、特別なことを一度行えば終わるものではありません。
日常的に湿度、結露、換気設備、収納内部、家具裏などを確認し、小さな変化へ早く気づくことが重要です。
今日から始められるポイントをまとめると、次のとおりです。
部屋ごとに湿度を確認する
結露水を放置しない
給気口と排気口をふさがない
換気設備のフィルターを清掃する
家具と壁の間に空間をつくる
収納へ物を詰め込みすぎない
室内干しでは除湿を併用する
加湿器を使いすぎない
雨の後に天井や壁を確認する
同じ場所に再発したら原因を疑う
カビを早期に発見できれば、被害が広い範囲へ進む前に対応できる可能性があります。
反対に、カビ臭や小さな黒ずみを長期間放置すると、壁紙の裏、床下、天井裏など、見えない場所へ広がることがあります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、カビの発生状況と原因を総合的に確認します。
ご家庭で湿度管理や換気を続けてもカビが再発する場合、住み方だけの問題ではない可能性があります。
見えるカビだけを取り除いても、水分や換気の原因を改善しなければ再発することがあります。手に負えないカビ、原因不明のカビ臭、見えない場所への広がりが心配な場合は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
良いカビと悪いカビを正しく見分けて暮らしを守ろう
食品に利用される管理されたカビと、住宅で無秩序に増殖するカビはまったく別のもの
味噌、醤油、日本酒、かつお節、チーズなど、私たちの食生活にはカビの働きを利用した食品が数多くあります。
特に、日本の発酵文化を支えてきた麹菌は、原料に含まれるでんぷんやたんぱく質を分解し、甘味、うま味、香りなどを生み出す大切な存在です。カビという言葉に悪い印象を持っていた方にとって、麹菌や食品製造に用いられる青カビの働きは、意外に感じられたかもしれません。
しかし、ここで注意したいのは、食品に利用されるカビと、住宅の壁や天井に発生したカビを同じように考えてはいけないということです。
食品に使われるカビは、種類、温度、湿度、原料、衛生状態などが管理された環境で利用されています。一方、住宅内に発生するカビは、いつ、どこから入り、どのような種類が、どの程度増殖しているのか分からない状態です。
壁に青いカビが見えたからといって、チーズづくりに使われる青カビと同じ安全なものとは限りません。白いカビが麹菌のように見えても、見た目だけで種類や安全性を判断することはできません。
「良いカビ」と「悪いカビ」の違いは、色だけではなく、種類、用途、発生場所、管理状態によって決まります。
住宅に意図せず発生したカビは、食品に役立つカビとは分けて考え、発見した段階で発生原因を確認することが大切です。
良いカビとは人が管理して利用するカビ
一般的に「良いカビ」と呼ばれるのは、人が有用な性質を理解し、管理された環境で食品、医薬品、産業などに利用しているカビです。
代表的なものには、次のような例があります。
味噌や醤油、日本酒などに利用される麹菌
一部のチーズの熟成に利用される青カビや白カビ
かつお節の製造に利用されるカビ
医薬品や酵素などの生産に利用されるカビ
食品の発酵や風味づくりに活用されるカビ
これらは、単にカビを食品へ生やしているわけではありません。
目的に適した菌株を選び、原料、温度、湿度、時間、衛生状態などを管理しながら利用しています。製造工程や品質管理によって、求める働きを引き出しているのです。
つまり、良いカビとは「どこに生えていても安全なカビ」という意味ではありません。
人が種類や性質を理解し、用途に合わせて適切に管理しているからこそ、私たちの暮らしに役立つ存在になります。
悪いカビとは住宅で意図せず増殖したカビ
住宅で問題になるカビは、人が目的を持って育てているものではありません。
結露、雨漏り、漏水、換気不足、建材の乾燥不足などによって、意図しない場所で増殖しています。
住宅内のカビが問題になる理由は、次のとおりです。
種類を見た目だけでは判断できない
壁紙の裏や壁内へ広がることがある
胞子や微細な菌体が空気中へ広がる可能性がある
カビ臭の原因になることがある
建材の変色や劣化につながる
清掃しても原因が残れば再発する
複数の種類が混在している場合がある
発生源と臭いを感じる場所が異なることがある
住宅のカビは、黒、青、緑、白、赤、茶色など、さまざまな色に見えることがあります。
しかし、色はカビを見分ける一つの手がかりにすぎません。同じ種類のカビでも、成長段階、光、建材、湿度などによって見え方が変わります。
「白いから安全」「青いから食品にも使われる」「黒いから必ず危険」と単純に決めつけることはできません。
住宅に意図せず発生したカビは、色に関係なく、発生範囲と水分原因を確認することが必要です。
食品のカビと住宅のカビを同じに考えてはいけない
チーズに青カビが使われていることを知ると、「住宅の青カビもそれほど心配しなくてよいのでは」と思う方がいるかもしれません。
しかし、食品に使用されている青カビと、住宅に発生した青色や緑色のカビは、同じものとは限りません。
食品では、製造に適した菌株を選び、衛生管理された環境で使用します。一方、住宅では、屋外から入った胞子や建材に付着していたカビが、湿気によって増殖している可能性があります。
住宅内では、次のような状態も考えられます。
複数のカビが同じ場所で増殖している
細菌やほこりなどが混在している
壁紙の裏側で別の種類が増えている
カビの胞子が空調や換気で広がっている
雨漏りや漏水が長期間続いている
表面だけでなく建材内部が湿っている
また、食品に利用されるカビであっても、製造管理されていない住宅内で増殖させてよいわけではありません。
食品のカビは「管理して利用するもの」、住宅のカビは「原因を調べて増殖を止めるもの」と理解しましょう。
黒カビは見つけたら早めの確認が必要
住宅でよく相談されるのが、窓のゴムパッキン、浴室、壁紙、天井などに発生する黒いカビです。
黒カビという言葉は、黒く見えるカビをまとめて表現する際に使われることがありますが、黒色に見えるカビがすべて同じ種類とは限りません。
黒い点が小さな範囲に見えていても、次のような状態が隠れていることがあります。
壁紙の裏側へ菌糸が広がっている
結露が繰り返されている
建材内部に水分が残っている
家具裏で空気が停滞している
壁内で漏水や結露が起きている
窓から流れた結露水が壁の下部へ入っている
黒ずみを拭き取って見えなくなっても、水分の原因が残っていれば、同じ場所に再発する可能性があります。
特に、広い範囲に黒カビがある場合、壁紙や木材など水分を吸収する建材に発生している場合、カビ臭を伴う場合は、表面だけの問題ではない可能性を考える必要があります。
白カビは目立ちにくいからこそ注意する
白カビは、黒カビに比べて壁や家具の色になじみやすく、発見が遅れることがあります。
白い粉、綿、ほこりのように見えるため、カビと気づかず放置されることも少なくありません。
白カビが見つかりやすい場所には、次のようなものがあります。
木製家具
押し入れやクローゼット
革製品
衣類や布団
畳
靴箱
段ボール
床下の木材
窓から離れた収納内部
白い付着物がすべてカビとは限らず、ほこり、塩類、建材由来の成分などの場合もあります。
しかし、湿った臭いがある、時間とともに範囲が広がる、周辺の湿度が高いといった場合には、カビの可能性を考える必要があります。
見た目だけで判断できない場合は、付着物の採取を含む真菌検査が確認の手がかりになります。
青や緑のカビも住宅では放置しない
住宅の壁紙、畳、木材、革製品、食品などに、青色や緑色のカビが見つかることがあります。
食品に使われる青カビの印象から、黒カビよりも危険性が低いと考えてしまうかもしれません。
しかし、住宅に自然発生した青色や緑色のカビは、種類や状態が管理されていません。
また、見えている色だけで種類を特定することも困難です。
住宅で青や緑のカビを見つけた場合も、次の点を確認しましょう。
発生している素材
カビの広がり
建材や収納物の湿り
カビ臭の有無
同じ場所での再発履歴
結露や漏水の可能性
周囲の換気状態
色の違いだけで対応方法を決めるのではなく、住宅内でカビが増殖しているという事実を重視する必要があります。
「食べられるカビ」と「腐敗した食品のカビ」は違う
カビを利用した食品があるからといって、家庭で食品に生えたカビを食べてもよいわけではありません。
味噌やチーズなどは、製造工程で使用する菌や環境が管理されています。
一方、家庭で保存中のパン、果物、餅、総菜などに自然発生したカビは、どのような種類が混在しているか分かりません。
表面のカビだけを取り除いても、食品内部へ菌糸が広がっている可能性があります。
特に、水分を多く含む食品や柔らかい食品では、見える部分だけを除去して安全を判断することはできません。
食品に自然発生したカビについては、「発酵食品にもカビが使われているから大丈夫」と考えず、食品の種類、保存状態、期限などを踏まえて適切に判断する必要があります。
発酵と腐敗は、微生物の働きを人にとって有用と捉えるか、有害と捉えるかによって区別されます。見た目だけでは判断しにくいため、管理されていない食品のカビには注意しましょう。
カビを完全にゼロにすることより増殖条件をなくす
住宅のカビ対策では、カビの胞子を完全にゼロにすることを目標にするのではなく、増殖できない環境を保つことが現実的です。
カビの胞子は自然界に広く存在しています。窓やドアの開閉、人の衣類、荷物などを通じて室内へ入り込む可能性があります。
重要なのは、室内に入った胞子へ、増殖に必要な水分を与えないことです。
そのためには、次のような管理を継続します。
室内湿度を確認する
結露水を放置しない
雨漏りや漏水を早期に発見する
給気口や排気口を適切に管理する
家具裏や収納内部に空気を通す
建材を十分に乾燥させる
ほこりや汚れをためない
小さな変色やカビ臭を見逃さない
日常管理によってカビの増殖条件を減らすことが、住環境を守る基本です。
カビの再発は住宅からの警告
カビを掃除しても、同じ場所に繰り返し発生する場合があります。
この再発は、単に掃除が足りなかったことだけを示しているとは限りません。
住宅のどこかに、水分の供給源や乾燥を妨げる原因が残っている可能性があります。
カビが再発するときに疑うべき主な原因は、次のとおりです。
窓や壁の結露
外壁や屋根からの雨漏り
給排水管からの漏水
壁内結露
床下や基礎からの湿気
建材の乾燥不足
給気口の閉鎖
換気設備の風量不足
強い負圧による湿気の流入
家具裏や収納内部の空気停滞
再発するカビは、住宅内部の異常を知らせるサインと考えましょう。
黒ずみを消す作業を繰り返すだけではなく、「なぜこの場所だけ湿るのか」「どこから水分が来ているのか」を確認する必要があります。
カビ臭だけでも発生源が隠れている可能性がある
目に見えるカビがなくても、室内に土っぽい臭い、湿った布のような臭い、押し入れのような臭いを感じることがあります。
カビ臭を感じる場合、見えない場所で微生物が増殖している可能性を検討する必要があります。
発生源として疑われる場所には、次のようなものがあります。
壁紙の裏側
石こうボード
床下
天井裏
エアコン内部
断熱材
押し入れやクローゼット
配管スペース
畳の裏側
家具の裏側
消臭剤や芳香剤で臭いを覆っても、発生源が残っていれば、臭いが再び現れる可能性があります。
また、負圧や換気の流れによって、発生源から離れた部屋で臭いを感じることもあります。
見えるカビがないから問題がないと判断せず、臭いが続く場合は、建材の水分や空気の流れまで調べることが大切です。
体調に変化がある場合は医療機関へ相談する
住宅内にカビがあり、咳、鼻水、目のかゆみ、息苦しさなどの症状がある場合でも、その原因をカビだけに決めつけることはできません。
体調に関する診断や治療は、医療機関で行う必要があります。
症状が続く場合や悪化している場合は、早めに医療機関へ相談してください。
一方、医療機関でカビに対するアレルギーなどが確認されても、住宅のどこに、どの程度のカビがあるかは医療検査だけでは分かりません。
そのため、必要に応じて次のように分けて確認します。
身体の状態は医療機関で相談する
住宅の状態は真菌検査や建物調査で確認する
住環境の真菌検査は、人の病気を診断するものではありません。
医療と住環境の役割を分け、両面から原因を確認することが重要です。
見た目では判断できないカビは真菌検査で確認する
カビの色や形だけでは、その種類や室内への広がりを正確に判断できません。
また、壁紙の表面がきれいでも、壁内、床下、天井裏などに発生源が隠れている場合があります。
そこで役立つのが、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査です。
真菌検査では、目的に応じて次のような状態を確認します。
室内空気中のカビ菌の状態
室内と屋外の違い
部屋ごとの菌数や種類の傾向
発生箇所に付着しているカビ
カビ対策前後の変化
見た目では判断できない付着物
真菌検査は、「黒いから危険」「白いから安全」といった色による判断から離れ、住宅内の状態を客観的に考えるための方法です。
ただし、検査結果だけで発生原因が分かるわけではありません。建物の水分や換気状態と組み合わせて評価する必要があります。
建材の含水率からカビを育てる水分を探す
カビが住宅内で増殖するためには、水分が必要です。
室内湿度が一時的に下がっていても、壁、床、天井などの建材内部に水分が残っていれば、カビが再発する可能性があります。
MIST工法®カビバスターズでは、建材の含水率検査によって、次のような状態を確認します。
周囲より湿っている壁や床がないか
雨漏りや漏水が疑われる場所
水分がどの方向へ広がっているか
対策後に建材が乾燥しているか
雨天後や設備使用後に数値が上がらないか
真菌検査でカビの存在状態を確認し、含水率検査で増殖を支えている水分を探すことで、原因をより具体的に考えられます。
カビを取り除いても、建材の水分が残ったままであれば、再発する可能性があります。
ファイバースコープで見えない発生源を確認する
含水率検査で壁の一部に水分の偏りが見つかった場合や、カビ臭が続いている場合には、壁の中に問題が隠れている可能性があります。
必要に応じてファイバースコープを使用し、通常は見えない場所を映像で確認します。
主な確認箇所は次のとおりです。
壁紙の裏側や壁内
断熱材
柱や間柱
配管周辺
床下
天井裏
エアコン配管の貫通部
映像では、木材や石こうボードの変色、水滴、漏水跡、断熱材の湿り、カビが疑われる付着物などを確認します。
ただし、映像だけでカビの種類を断定することはできません。必要に応じて真菌検査を組み合わせることが重要です。
風量計でカビ臭を運ぶ空気の流れを調べる
住宅のカビ問題では、発生源と臭いを感じる場所が同じとは限りません。
室内が負圧になると、壁内、床下、天井裏などから、湿気やカビ臭を含む空気を引き込むことがあります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じて風量計を使用し、次のような状態を確認します。
給気口から必要な空気が入っているか
換気扇の排気風量が確保されているか
給気と排気のバランスが崩れていないか
特定の部屋で空気が停滞していないか
強い負圧が発生していないか
壁内や床下から空気を引き込んでいないか
換気扇を運転したときにカビ臭が強くなる場合は、排気によって別の場所から臭いを引き込んでいる可能性があります。
見えるカビだけではなく、臭いや胞子を運ぶ空気の経路まで確認することが、原因究明につながります。
自分で対応できるカビと専門調査が必要なカビ
小さな範囲で、水分を吸収しにくい場所に発生したカビであれば、製品の注意事項を守って対応できる場合があります。
一方、次のようなカビは専門調査を検討してください。
同じ場所に何度も再発する
壁紙、木材、畳などに広がっている
複数の部屋に発生している
カビ臭が強い、または長期間続いている
雨漏りや漏水が疑われる
壁紙や床材が変形している
床下、天井裏、壁内に発生している
新築やリフォーム後に発生した
換気しても改善しない
原因となる場所が分からない
自分で清掃することに不安がある
広い範囲のカビを乾いた状態でこすると、胞子やほこりを室内へ舞い上げる可能性があります。
また、複数の洗剤や薬剤を自己判断で混ぜることは危険です。製品の表示や注意事項を必ず守り、安全を確保できない場合は無理に対応しないでください。
良いカビを知ることが悪いカビへの正しい対策につながる
カビは、すべてが人にとって悪い存在ではありません。
麹菌のように日本の食文化を支えるカビもあれば、チーズの熟成や医薬品の生産などに役立つカビもあります。
私たちの暮らしは、カビを含む微生物の働きと深く結び付いています。
だからこそ、カビを一律に恐れるのではなく、どこで、どのように、どのような管理のもとで存在しているかを考えることが重要です。
食品製造で管理されているカビは、暮らしに役立つ味方です。
一方、住宅で意図せず増殖し、建材を湿らせ、胞子や臭いを広げているカビは、発生原因を確認して対処すべき存在です。
カビの色だけで良い・悪いを決めず、発生場所と管理状態を基準に判断しましょう。
まとめ|食品のカビは味方、住宅のカビは原因調査が必要
味噌、醤油、日本酒などに使われる麹菌や、チーズの熟成に利用される一部のカビは、人が種類と環境を管理することで、私たちの暮らしに豊かな味や香りをもたらしています。
しかし、住宅の壁、天井、床、収納、床下などに自然発生したカビは、食品に利用されるカビとはまったく別の問題です。
住宅内のカビは、種類や量が管理されておらず、雨漏り、漏水、結露、換気不足、建材の乾燥不足など、建物の異常を知らせるサインである可能性があります。
大切なのは、次の点です。
カビの良し悪しを色だけで判断しない
食品に利用されるカビと住宅のカビを分けて考える
小さな黒ずみやカビ臭を放置しない
清掃後に再発したら水分原因を疑う
見えないカビは真菌検査で確認する
建材の含水率から水分の場所を探る
ファイバースコープで壁内を確認する
風量計で負圧と換気バランスを調べる
原因を改善してから再発防止を考える
カビは、表面の色を消しただけでは根本的に解決しないことがあります。
原因となる水分や空気の流れが残っていれば、目に見えない場所で増殖が続き、再び黒ずみやカビ臭として現れる可能性があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、見えるカビだけでなく、その背景にある発生原因を総合的に確認します。
「カビを掃除してもすぐに戻る」「見えるカビはないのに臭いがする」「壁の中や床下が心配」という場合は、表面清掃を繰り返す前に、原因調査をご検討ください。
食品づくりに役立つカビは、管理された環境で私たちの味方になります。
しかし、住宅で無秩序に増殖したカビは、放置せず、状態と原因を正しく確認することが大切です。
手に負えないカビトラブル、原因不明のカビ臭、見えない場所への広がりにお困りの方は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
専門調査を検討すべき住宅カビのサイン
清掃しても再発する、臭いだけが残る、雨の日に悪化するカビは、見えない原因を調べるタイミング
住宅にカビを見つけたとき、最初は「少し拭けば落ちるだろう」「換気を増やせば改善するだろう」と考える方が多いのではないでしょうか。
浴室のタイルや窓ガラスなど、水分を吸収しにくい場所に発生した小規模なカビであれば、清掃と乾燥、換気の見直しによって改善する場合があります。
しかし、何度掃除しても同じ場所に戻ってくる、見えるカビを除去しても臭いが消えない、雨の日になると症状が悪化するといった場合は、表面だけの問題ではない可能性があります。
壁紙の裏、石こうボード、断熱材、床下、天井裏などに水分やカビが残っていれば、ご家庭で見える部分だけを清掃しても根本的な解決にはつながりません。
また、カビが見えない場合でも、室内空気中にカビ菌が多く浮遊していたり、壁内や床下からカビ臭を含んだ空気が流れ込んでいたりすることがあります。
大切なのは、カビの色や大きさだけで判断せず、再発の有無、臭いの変化、建材の異常、雨や換気設備との関係を確認することです。
ここでは、住宅のカビについて専門的な原因調査を検討すべき主なサインを解説します。
同じ場所にカビが何度も再発する
清掃した直後はきれいになっても、数週間から数か月すると同じ場所に黒い点や白い付着物が現れることがあります。
同じ場所への再発は、その場所にカビが増殖しやすい条件が残っている可能性を示しています。
考えられる原因には、次のようなものがあります。
壁面温度が低く結露している
壁紙や下地材に水分が残っている
家具裏で空気が停滞している
外壁や屋根から雨水が入っている
配管から少量の水が漏れている
壁内や床下から湿気が移動している
換気量が不足している
強い負圧で湿った空気を引き込んでいる
カビ取り剤で色を消しても、水分の供給が続いていれば再び増殖します。
再発するたびに薬剤を使用するのではなく、「なぜこの場所だけ繰り返すのか」を調べる必要があります。
見えるカビを取ってもカビ臭が残る
壁紙や家具の表面を清掃し、目に見える黒ずみがなくなっても、室内に湿った臭いや土のような臭いが残ることがあります。
この場合、清掃した場所とは別のところに発生源が隠れている可能性があります。
主な発生源として考えられるのは、次のような場所です。
壁紙の裏側
石こうボード
断熱材
床下
天井裏
畳の裏側
押し入れやクローゼット
エアコン内部
配管スペース
家具の裏側
カビ臭を感じる場所と、カビが増殖している場所が同じとは限りません。
空気の流れや室内の負圧によって、壁内や床下の臭いが別の部屋へ運ばれる場合もあります。
消臭剤や芳香剤で臭いを覆っても、発生源が残っていれば再び臭いが現れます。臭いが継続している場合は、見えない場所の確認が必要です。
雨の日や雨の翌日に臭いが強くなる
晴れた日にはあまり気にならないのに、雨の日や雨の翌日になるとカビ臭が強くなる場合があります。
この変化は、建物内部へ水分が入り込んでいる可能性を考える重要なサインです。
雨天時に状態が悪化する場合、次のような原因が考えられます。
屋根からの雨漏り
外壁のひび割れ
シーリング部分からの水分侵入
窓やサッシ周辺からの雨水侵入
ベランダやバルコニーからの浸水
配管や設備の外壁貫通部からの浸水
基礎や床下の湿度上昇
屋外の湿った空気が壁内へ入り込んでいる
雨水は、侵入した場所から真下へ落ちるとは限りません。
柱、断熱材、配線などを伝い、離れた場所に水染みやカビとして現れることがあります。
雨の後に臭いが強くなる状態を放置すると、雨が降るたびに建材へ水分が供給され、カビの範囲が広がる可能性があります。
壁紙が浮く、剥がれる、波打っている
壁紙の変形は、接着剤の劣化だけでなく、壁紙の裏側や石こうボードに水分がある可能性を示すことがあります。
特に注意したい変化は、次のとおりです。
壁紙に気泡のような膨らみがある
継ぎ目が開いている
壁紙が波打っている
一部分だけ色が濃くなっている
壁紙の下から黒ずみが透けている
巾木付近で壁紙が剥がれている
壁を触ると冷たく湿っている
壁紙表面だけを張り替えても、下地材が湿っていれば、新しい壁紙の裏で再びカビが発生する可能性があります。
内装を交換する前に、建材の含水率や壁内の状態を確認することが重要です。
天井や壁に水染みがある
黄色や茶色のシミ、輪のような変色が天井や壁に現れた場合は、雨漏りや漏水が疑われます。
シミが乾いて見えても、過去に水分が通ったことを示している可能性があります。
次のような場所は特に注意が必要です。
屋根に近い最上階の天井
ベランダや屋上の下
上階の浴室やトイレの直下
エアコン配管の周辺
窓の上部や下部
外壁に面した壁
配管が通っている収納内部
水染みの表面が乾いていても、天井裏、壁内、断熱材などには水分が残っている場合があります。
シミの上から塗装したり、壁紙を張り替えたりするだけでは、水分の侵入原因は改善されません。
床材や巾木が膨らんでいる
床材が浮く、巾木が膨らむ、床の一部分が柔らかく感じるといった変化は、床や壁の下部に水分がたまっている可能性を示しています。
考えられる原因には、次のようなものがあります。
給排水管からの漏水
浴室や洗面所からの水分移動
窓の結露水が壁の下部へ流れている
床下から湿気が上がっている
外壁から入った雨水が下部へたまっている
清掃や水こぼれによる水分が内部へ入った
新築時の建材が十分に乾いていない
床材の表面だけを乾かしても、下地合板や断熱材に水分が残っていることがあります。
見える範囲が小さくても、床下や壁内では広い範囲に影響している可能性があるため、含水率検査などによる確認が必要です。
新築やリフォーム後すぐにカビが発生した
新しい住宅やリフォーム直後の建物でも、条件が重なればカビが発生することがあります。
新築だからカビが発生しないとは限りません。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
建築中に木材や床下地が雨にぬれた
コンクリートに含まれる水分が残っている
仕上げを急ぎ、乾燥が十分でなかった
給排水設備の接続に不具合がある
基礎断熱の床下が高湿度になっている
24時間換気が停止している
給気口が閉じられている
断熱材や防湿層に施工上の不具合がある
入居前からカビ臭がしていた
新築後のカビを、すべて住み方や換気不足の問題として判断するのは適切ではありません。
建材の水分状態、床下や壁内の状況、換気風量などを確認し、建物側の原因がないかを調べる必要があります。
水回りの反対側の壁にカビがある
キッチン、浴室、洗面所、トイレなどの反対側にある壁へ、カビや変色が現れることがあります。
このような場合、壁内を通る配管や、水回りからの水分移動を疑う必要があります。
例えば、次のような状態です。
浴室に接する寝室の壁にカビが出る
洗面台の裏側にある廊下の壁紙が浮く
トイレの隣室で巾木が変色する
キッチンの背面にある収納がカビ臭い
上階の水回り直下の天井にシミがある
設備を使った後に臭いや含水状態が変化する場合は、配管接続部や防水部分に問題がある可能性があります。
表側の壁紙だけを清掃するのではなく、配管の位置や壁内の状態を確認することが大切です。
換気扇を回すとカビ臭が強くなる
換気扇を運転すると、通常は室内の臭いが外へ排出されます。
しかし、換気扇を回した途端にカビ臭が強くなる場合は、室内が負圧になり、壁内、床下、天井裏などから臭いを含んだ空気を引き込んでいる可能性があります。
このような住宅では、次のような現象がみられることがあります。
レンジフード使用時に玄関ドアが重くなる
床下点検口から臭いが上がる
コンセントや巾木周辺から風を感じる
給気口を閉じている
給気口やフィルターが目詰まりしている
一部の部屋だけ空気が停滞している
排気量に対して給気量が不足している
換気扇そのものを清掃しても臭いが消えない場合は、住宅全体の給気と排気のバランスを確認する必要があります。
風量計を使って、実際にどの程度の空気が流れているかを測定することが原因究明につながります。
家族の体調が自宅で悪化する
自宅にいると咳、鼻水、目のかゆみなどが気になる一方、外出すると軽くなるという場合、住環境の状態を確認することが手がかりになる場合があります。
ただし、体調の原因をカビだけに決めつけることはできません。
症状が続く場合や悪化している場合は、必ず医療機関へ相談してください。
医療機関では、身体の状態やアレルギーの有無などを確認します。一方、住宅内のどこにカビがあり、空気中にどの程度存在しているかは、建物側の調査が必要です。
住環境調査では、次のような点を確認します。
室内空気中の真菌の状態
室内と屋外の違い
部屋ごとの傾向
カビ臭や目視できるカビの場所
建材の水分
壁内や床下の状態
換気と空気の流れ
医療と住環境調査は役割が異なります。必要に応じて両方の視点から確認することが重要です。
小さな子どもや高齢者が暮らしている
乳幼児、高齢者、療養中の方などが暮らす住宅では、カビの発生を長期間放置しないことが大切です。
ただし、住宅にカビがあるからといって、直ちに特定の健康被害が起こると断定することはできません。
重要なのは、見えるカビの大きさだけで判断せず、室内空気や見えない発生源を含めて住環境の状態を把握することです。
特に、次のような状態がある場合は早めの確認を検討しましょう。
寝室や子ども部屋にカビがある
エアコンからカビ臭がする
床に近い場所でカビが増えている
ベビーベッドや寝具の周辺が湿っている
収納内部に広いカビがある
室内の複数箇所でカビ臭がする
清掃しても短期間で再発する
ご家族の生活空間にカビが広がっている場合は、表面清掃だけで済ませず、原因を確認することが大切です。
床下や天井裏から臭いがする
床下点検口や天井点検口を開けたときに、強いカビ臭や湿った臭いを感じることがあります。
床下や天井裏は、普段目にする機会が少ないため、カビが広がっていても発見が遅れやすい場所です。
床下で疑われる原因には、次のようなものがあります。
基礎コンクリートからの水分
地面や基礎周辺からの湿気
給排水管からの漏水
床下換気の不足
木材や断熱材の湿り
新築時に残った建材水分
天井裏では、次のような問題が考えられます。
屋根からの雨漏り
上階からの漏水
断熱材の湿り
配管の結露
小屋裏換気の不足
室内の湿った空気の流入
床下や天井裏から発生した臭いが、点検口、配管、照明、コンセントなどのすき間を通じて室内へ入り込むことがあります。
見える部屋にカビがなくても、住宅の裏側に発生源が隠れている可能性があります。
複数の部屋にカビが広がっている
一つの部屋だけでなく、寝室、収納、廊下、リビングなど、複数の場所にカビが発生している場合は、住宅全体の湿度や換気に問題がある可能性があります。
また、一か所の発生源から胞子やカビ臭が空気によって広がっている可能性も考えられます。
複数の部屋でカビが見つかった場合は、次の点を確認します。
各部屋の温度と湿度
給気口と排気口の状態
24時間換気の運転状況
部屋間の空気経路
エアコンや空調設備
床下、天井裏、壁内の状態
雨漏りや漏水の履歴
真菌検査による部屋ごとの差
すべてのカビを個別に清掃するだけでは、住宅全体に共通する原因が残る可能性があります。
発生範囲が広い場合は、建物全体を視野に入れた調査が必要です。
市販のカビ取り剤で改善しない
カビ取り剤は、素材や発生状況によっては、表面の黒ずみを除去するために役立ちます。
しかし、壁紙、石こうボード、木材、畳など、水分を吸収する素材の内部までカビが広がっている場合、表面処理だけでは十分でないことがあります。
また、薬剤を使用して色が薄くなっても、次の問題が残っている可能性があります。
建材内部の菌糸や汚染
雨漏りや漏水
結露
建材に残る水分
壁内や床下の発生源
換気不足や強い負圧
空気中に浮遊する胞子
薬剤を繰り返し使用しても再発する場合は、製品の効果不足だけではなく、発生原因が改善されていない可能性を考えましょう。
複数の薬剤を自己判断で混ぜることは危険です。使用方法や換気など、製品に記載された注意事項を必ず守ってください。
カビの範囲が広く自分で安全に扱えない
広範囲にカビが発生している場合、清掃中に胞子やほこりを室内へ広げる可能性があります。
特に、乾燥したカビをブラシや掃除機で強くこすると、微細な粒子が舞い上がることがあります。
次のような状態では、無理な自己対応を避けましょう。
壁一面や天井へカビが広がっている
複数の部屋に発生している
床下や天井裏で広がっている
断熱材や石こうボードに発生している
カビ臭が非常に強い
高い場所や狭い場所で安全に作業できない
建材が柔らかくなっている
漏電や設備への影響が心配
原因不明の水分がある
自分で見える範囲より、壁紙の裏や建材内部で広がっている可能性もあります。
作業の安全を確保できない場合は、無理に清掃を続けず専門家へ相談することが大切です。
真菌検査で見えないカビの状態を確認する
見た目や臭いだけでは、室内のカビの状態を正確に判断できないことがあります。
そこで重要になるのが、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査です。
調査目的に応じて、次のような方法を検討します。
室内空気中の真菌を調べる空中浮遊菌検査
一定時間に落下する菌を確認する落下菌検査
発生箇所の付着物を調べる拭き取り検査
室内と屋外を比較する検査
対策前後の状態を比較する検査
真菌検査によって、目に見えるカビがない部屋でも、空気中の状態を確認できる場合があります。
ただし、菌数が確認されたからといって、発生源や水分原因まで自動的に分かるわけではありません。
検査結果は、目視、含水率、建物構造、換気状態などと組み合わせて評価する必要があります。
建材の含水率検査で水分の分布を確認する
カビが増殖する背景には、多くの場合、水分が関係しています。
室内の湿度計が示す数値だけでは、壁、床、天井の内部に残る水分までは分かりません。
建材の含水率検査では、次のような点を確認します。
カビのある場所だけ水分が高くないか
壁の上下左右へ水分が広がっていないか
雨漏りや漏水が疑われる場所
周囲の正常と思われる部分との差
原因改善後に建材が乾燥しているか
雨天後や設備使用後に再び数値が上がらないか
含水率の分布を確認することで、水分がどこから来ているのかを考える手がかりになります。
カビの再発を防ぐためには、見えるカビだけでなく、カビを育てている建材水分を確認することが重要です。
ファイバースコープで壁内の状態を確認する
含水率が高い場所や、カビ臭が強い壁の奥には、断熱材の湿り、漏水跡、結露、カビが疑われる付着物などが隠れている可能性があります。
MIST工法®カビバスターズでは、必要に応じてファイバースコープを用い、通常は見えない壁内などを調査します。
確認する主な内容は次のとおりです。
石こうボード裏面の変色
木材の黒ずみや湿り
断熱材の変形や水分
配管周辺の漏水跡
壁内結露が疑われる水滴
雨水が通った形跡
カビが疑われる付着物
ファイバースコープはカビの種類を判定する機器ではありません。
映像で異常が確認された場合は、必要に応じて真菌検査や追加調査を組み合わせます。
風量計で換気不足と負圧を確認する
換気扇が動いていても、必要な風量が確保されているとは限りません。
給気口の閉鎖、フィルターの目詰まり、ダクトの不具合などによって、給気と排気のバランスが崩れることがあります。
風量計を使った調査では、次の点を確認します。
給気口から実際に空気が入っているか
排気口から必要な量が排出されているか
部屋ごとの換気に偏りがないか
室内が強い負圧になっていないか
壁内や床下から空気を引き込んでいないか
空気が停滞している場所がないか
換気扇を回すとカビ臭が強くなる場合や、一部の部屋だけ湿度が高い場合は、換気バランスに問題がある可能性があります。
カビ臭や胞子を運ぶ空気の経路まで確認することが、原因究明につながります。
専門調査は一つの検査だけで判断しない
住宅のカビ問題は、真菌検査だけ、含水率検査だけ、ファイバースコープだけで、すべてを判断できるとは限りません。
カビの発生には、菌、水分、建材、温度、空気の流れなど、複数の要因が関係します。
そのため、原因調査では次のような情報を組み合わせます。
カビや建材の目視状態
発生時期や再発の履歴
雨天・季節・設備使用との関係
真菌検査による室内環境の状態
建材の含水率と水分の分布
ファイバースコープによる内部確認
風量計による給気・排気の測定
負圧や部屋間の空気経路
雨漏りや漏水の可能性
原因改善後の再確認
一つの数値や一枚の映像だけで結論を出すのではなく、複数の情報を重ねて原因を絞り込むことが重要です。
原因が分からないまま清掃を繰り返さない
カビを見つけるたびに清掃を繰り返していると、一時的にきれいになったことで安心してしまうことがあります。
しかし、清掃後も建材が湿り続けていれば、カビは再び増殖します。
さらに、長期間放置することで、次のような問題につながる可能性があります。
壁紙の裏へ範囲が広がる
石こうボードや木材が湿る
床下や天井裏へ広がる
カビ臭が別の部屋へ流れる
内装材の交換範囲が大きくなる
原因調査が難しくなる
カビが再発している場合は、「掃除の仕方が悪かった」と考える前に、水分や建物内部の問題を疑いましょう。
清掃を繰り返す段階から、原因を確認する段階へ切り替えることが大切です。
早期調査が被害の拡大防止につながる
住宅のカビ問題は、早い段階で原因が確認できれば、水分の広がりや建材への影響を抑えられる可能性があります。
小さな黒ずみや弱いカビ臭であっても、次のような変化を記録しておくと、原因調査の手がかりになります。
いつ初めて発見したか
どの季節に悪化するか
雨の日に変化するか
換気扇やエアコンで臭いが変わるか
どの場所から再発するか
漏水や浸水の履歴があるか
清掃後、どの程度で戻ったか
壁紙や床材に変形があるか
写真を定期的に撮影し、発生範囲や変色の変化を残しておくことも役立ちます。
ただし、カビが広範囲に発生している場合は、近づいて強く触ったり、乾いた状態でこすったりしないよう注意してください。
相談のタイミングは「手に負えなくなってから」ではない
専門家への相談は、住宅全体にカビが広がってから行うものではありません。
次のような小さな違和感の段階でも、原因調査を検討できます。
同じ場所に二度以上再発した
掃除後も臭いが残っている
雨の日だけ臭いが変わる
壁紙や床にわずかな変形がある
新築なのにカビ臭がする
床下や天井裏が心配
原因が分からず対応に迷っている
初期段階で状態を確認することで、必要以上の清掃や内装交換を避けられる可能性があります。
反対に、原因が分からないまま放置すると、水分の供給が続き、見えない場所で被害が広がることがあります。
カビのサインを見逃さず根本原因を確認する
住宅のカビは、黒い点や白い付着物だけでなく、臭い、壁紙の変形、床材の膨れ、雨天時の変化など、さまざまなサインとして現れます。
特に注意したいのは、次のような状態です。
清掃しても同じ場所に再発する
見えるカビを取っても臭いが残る
雨の日や換気扇の使用時に臭いが強くなる
壁紙、天井、床材に変色や変形がある
床下、壁内、天井裏に原因が疑われる
複数の部屋へカビが広がっている
新築やリフォーム後にカビが発生した
ご家庭で原因を判断できない
これらは、見える表面だけではなく、建物内部に水分やカビの発生源がある可能性を示すサインです。
MIST工法®カビバスターズ本部では、日本全国のカビトラブルに対応しています。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査をはじめ、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、目に見えるカビだけでなく、その背景にある水分と空気の流れを総合的に確認します。
カビ取りを繰り返しても再発する場合や、見えない場所のカビが心配な場合は、発生範囲が広がる前に原因調査を検討してください。
手に負えないカビトラブル、原因不明のカビ臭、雨漏りや漏水が疑われる住宅のカビについては、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
カビの色や見た目だけで安全性を判断してはいけない
黒・青・緑・白という色はあくまで見た目の特徴|種類や発生範囲は真菌検査と建物調査で確認する
住宅の壁や天井、浴室、押し入れなどにカビを見つけると、多くの方が最初に注目するのは「何色のカビなのか」という点ではないでしょうか。
黒いカビを見ると危険そうに感じ、白いカビであれば比較的軽い問題のように思うかもしれません。また、青や緑のカビを見ると、チーズなどに利用される青カビを連想し、「黒カビよりは心配しなくてもよいのでは」と考える方もいるでしょう。
しかし、住宅に発生したカビを、色や見た目だけで安全・危険に分けることはできません。
同じ種類のカビでも、増殖する建材、光の当たり方、成長段階、湿度、胞子の形成状態などによって、黒、灰色、緑、青、白など異なる色に見える場合があります。
反対に、同じ黒色に見える付着物でも、実際には複数の異なるカビが含まれていることがあります。さらに、黒い汚れのように見えても、ほこり、すす、木材の変色、接着剤、さびなど、カビ以外の可能性もあります。
住宅のカビ問題で重要なのは、色の名前を当てることではありません。
大切なのは、次の点を確認することです。
本当にカビなのか
どのような種類が存在しているのか
どの程度の範囲へ広がっているのか
室内空気へ影響している可能性があるか
どこから水分が供給されているのか
壁紙の裏や壁内にも広がっていないか
清掃後に再発する原因が残っていないか
カビの色は、調査の手がかりにはなりますが、結論ではありません。
見た目に惑わされず、真菌(カビ菌)検査、建材の含水率検査、ファイバースコープ調査、換気風量の測定などを組み合わせて、住宅内で起きている問題を正確に捉えることが重要です。
黒いカビがすべて同じ種類とは限らない
住宅内でよく見られる「黒カビ」という言葉は、黒色や黒っぽい色に見えるカビを広く表現する際に使われています。
しかし、黒く見えるカビがすべて同じ種類というわけではありません。
黒色や暗い色に見えるカビには、異なる性質を持つ複数の種類が含まれる可能性があります。また、カビの種類によって好む温度、湿度、建材なども異なります。
黒いカビが見つかりやすい場所には、次のようなものがあります。
浴室の目地やゴムパッキン
窓のサッシやパッキン
北側の壁
家具の裏側
壁紙の継ぎ目
エアコンの吹き出し口
洗面所やキッチン
押し入れやクローゼット
床下の木材
雨漏りした天井や壁
これらの場所に共通しているのは、水分や結露、空気の停滞、汚れなど、カビが増殖しやすい条件がそろいやすいことです。
黒い点を発見した場合は、色の濃さだけで危険性を判断するのではなく、発生範囲、素材の湿り、カビ臭、再発の有無を確認しましょう。
青や緑のカビが食品用の青カビとは限らない
チーズの中には、青カビの働きを利用して独特の香りや風味を生み出すものがあります。
そのため、住宅に発生した青色や緑色のカビを見て、「食品にも使われる種類だから安全なのでは」と考える方がいるかもしれません。
しかし、食品製造に利用されるカビは、目的に合った菌株を選び、衛生状態、温度、湿度などを管理した環境で使用されています。
住宅内に自然発生した青色や緑色のカビは、次の点が分かりません。
どのような種類なのか
いつから増殖しているのか
複数のカビが混在していないか
壁紙や建材の内部まで広がっていないか
室内空気中へ胞子が広がっていないか
雨漏りや漏水が発生していないか
また、肉眼で青や緑に見えても、真菌検査を行わなければ種類を正確に確認することはできません。
食品用として管理された青カビと、住宅で無秩序に増殖した青色のカビは、まったく別のものとして考える必要があります。
白いカビは軽い問題とは限らない
白カビは、黒いカビと比べて目立ちにくく、ほこりや素材の変色と間違えられることがあります。
綿のように見えるもの、細かな粉のように見えるもの、薄い膜のように広がるものなど、見え方もさまざまです。
白い付着物が見つかりやすい場所には、次のようなものがあります。
押し入れやクローゼット
木製家具
革製品
衣類や寝具
畳
靴箱
段ボール
床下の木材
北側の収納
長期間閉め切った部屋
白いカビは色が淡いため、広い範囲へ広がるまで発見されないことがあります。
また、白い付着物がすべてカビとは限りません。コンクリートやモルタルの表面に現れる白い物質、建材の成分、ほこりなどの可能性もあります。
見分けがつかない場合に、素手で触ったり、鼻を近づけて臭いを確認したり、乾いたブラシで強くこすったりすることは避けましょう。
カビが疑われる場合には、付着物を採取する真菌検査が判断の手がかりになります。
赤やピンクの汚れもカビとは限らない
浴室、洗面台、キッチンなどに、赤色やピンク色のぬめりが現れることがあります。
このような汚れは一般に「赤カビ」「ピンクカビ」と呼ばれることがありますが、実際にはカビ以外の微生物などが関係している場合もあります。
見た目だけで「これはカビだ」と断定することはできません。
赤やピンクの汚れが発生する場所には、次のような共通点があります。
水分が残りやすい
せっけんかすや皮脂汚れがある
清掃後も乾きにくい
空気が動きにくい
温度が比較的高い
こうした汚れを放置すると、その場所が湿った状態であることから、別のカビが増殖しやすくなる可能性があります。
色の名前にこだわるのではなく、水分や汚れを残さず、乾燥しやすい状態をつくることが重要です。
同じ種類でも環境によって色が違って見える
カビの色は、種類だけで決まるものではありません。
次のような条件によって、見え方が変わることがあります。
成長の初期か成熟後か
胞子を形成しているか
発生している建材の色
光の当たり方
水分量
温度や湿度
他の微生物や汚れとの混在
清掃剤や薬剤の影響
例えば、発生初期には白っぽく見えていたものが、時間の経過とともに黒や緑に見えるようになる場合があります。
また、壁紙や木材の色と重なることで、本来の色とは異なって見えることもあります。
写真だけを見てカビの種類を特定することが難しいのは、このように多くの条件で見え方が変化するためです。
カビのように見える汚れもある
住宅には、カビに似た黒ずみや白い付着物が発生することがあります。
カビと間違えやすいものには、次のような例があります。
ほこり
すす
油汚れ
木材の節や変色
金属のさび
接着剤の跡
塗料の変色
コンクリート表面の白い析出物
水分が乾いた後の跡
ゴムや樹脂の劣化
特に、換気口や家具裏の壁が黒くなる場合、カビだけでなく、空気中のほこりが壁面に付着している可能性もあります。
反対に、単なる汚れだと思っていたものが、実際にはカビであることもあります。
見た目だけで判断できない場合は、周囲の湿度、建材の水分、時間による広がり、臭いなどを確認し、必要に応じて検査を行うことが大切です。
写真だけでカビの種類を断定するのは難しい
近年では、スマートフォンでカビの写真を撮影し、画像検索やインターネット上の写真と比較する方も増えています。
写真は、発生場所や範囲を記録するためには非常に役立ちます。
しかし、写真だけでカビの種類を正確に断定することは困難です。
その理由には、次のようなものがあります。
カメラの色補正で実際の色と異なる
照明によって黒や緑の見え方が変わる
写真では立体感や質感が伝わりにくい
複数のカビが重なっている場合がある
カビ以外の汚れと区別しにくい
同じ種類でも成長段階で形が変わる
写真を専門家に見せる場合には、カビ部分の拡大写真だけでなく、部屋全体、窓、家具、配管などとの位置関係が分かる写真も残しておくと、発生原因を考える手がかりになります。
ただし、写真はあくまで補助情報です。カビの同定には、試料の採取と真菌検査が必要になります。
カビの大きさだけで被害範囲を判断できない
壁の表面に見えるカビが小さければ、問題も小さいように感じるかもしれません。
しかし、カビは壁紙の表面だけでなく、その裏側や石こうボード、木材、断熱材などへ広がっている可能性があります。
小さな黒い点の裏側で、次のような状態が起きていることがあります。
壁紙の裏面に広く菌糸が伸びている
石こうボードが湿っている
断熱材に水分が残っている
柱や間柱が変色している
配管から少量の水が漏れている
外壁から雨水が入り込んでいる
壁内結露が繰り返されている
反対に、表面の広い範囲に黒ずみがあっても、結露によって表面だけに発生している場合もあります。
見える面積だけでは、内部への広がりを判断できません。
再発の有無、含水率、壁紙や床材の変形、カビ臭などを合わせて確認することが重要です。
臭いの強さとカビの量が一致するとは限らない
カビが広い範囲にあるのに臭いをほとんど感じない場合もあれば、目に見えるカビがないのに強いカビ臭を感じる場合もあります。
臭いの感じ方には個人差があり、室温、湿度、換気、空気の流れなどによっても変化します。
また、発生源が壁内や床下にある場合、すき間から空気が流れ出す場所だけで強く臭うことがあります。
例えば、次のような場所です。
コンセントの周辺
巾木と床のすき間
床下点検口
押し入れの奥
配管の貫通部
エアコン配管の周辺
天井点検口
換気口の近く
臭いが弱いから問題が小さい、臭いが強いから必ず大量のカビがあると単純に判断することはできません。
臭いは重要なサインですが、発生範囲や菌数を正確に示すものではないため、他の調査と組み合わせる必要があります。
見た目が消えてもカビが解決したとは限らない
カビ取り剤や漂白作用のある製品を使用すると、黒や青の色が薄くなり、表面がきれいに見えることがあります。
しかし、色が消えたことと、カビの原因が解決したことは同じではありません。
特に、壁紙、木材、畳、石こうボードなど、水分を吸収する素材では、表面より内部へ影響が広がっている可能性があります。
清掃後には、次の点を確認しましょう。
建材が乾燥しているか
カビ臭が残っていないか
数週間後に再発していないか
壁紙や床材が変形していないか
周囲の含水率が高くないか
雨や結露によって再び湿っていないか
換気状態が改善しているか
見た目をきれいにすることは大切ですが、水分原因が残ったままでは再発する可能性があります。
真菌検査でカビの存在と種類を確認する
カビの種類や室内空気の状態を見た目だけで判断できない場合には、真菌(カビ菌)検査が役立ちます。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会との連携により、調査目的に応じた真菌検査を検討します。
主な確認方法には、次のようなものがあります。
空中浮遊菌検査
落下菌検査
拭き取り検査
付着物の採取による同定検査
室内と屋外の比較
対策前後の比較
付着物の検査では、黒、青、白などの色ではなく、採取した試料からカビの存在や種類を確認します。
空中浮遊菌検査では、目に見える発生箇所がなくても、室内空気中に浮遊しているカビ菌の状態を調べることができます。
ただし、真菌検査だけで雨漏りや漏水の場所まで分かるわけではありません。
カビが増殖した原因を明らかにするためには、建物側の調査も必要です。
建材の含水率検査で増殖条件を確認する
住宅内でカビが増殖する背景には、水分が関係しています。
室内の湿度が調査時に低くても、壁、床、天井などの内部に水分が残っている場合があります。
建材の含水率検査では、複数の場所を比較しながら、水分が偏っている部分を探します。
確認する主なポイントは次のとおりです。
カビの発生部分だけ数値が高くないか
壁の上下左右へ水分が広がっていないか
窓や配管周辺の水分状態
雨の日と晴れた日の変化
設備使用前後の変化
周囲の正常と思われる場所との差
原因改善後に乾燥しているか
カビの種類が分かっても、水分の原因を改善しなければ再発する可能性があります。
真菌検査でカビの状態を確認し、含水率検査で増殖を支える水分を探ることが重要です。
ファイバースコープで見えない場所を確認する
含水率が高い壁や、カビ臭が続く場所では、壁紙の裏や壁内に発生源が隠れている可能性があります。
そのような場合には、必要に応じてファイバースコープを使用し、通常は見えない場所を映像で確認します。
主な確認箇所は次のとおりです。
壁紙の裏側
石こうボードの裏面
柱や間柱
断熱材
配管周辺
床下
天井裏
エアコン配管の貫通部
ファイバースコープでは、変色、水滴、ぬれ跡、断熱材の湿り、カビが疑われる付着物などを確認します。
ただし、カメラ映像だけでカビの種類を判定することはできません。
映像に黒いものが見えても、木材の節や汚れの可能性があります。必要に応じて試料を採取し、真菌検査で確認します。
風量計でカビ臭や胞子を運ぶ経路を調べる
カビが発生している場所と、臭いを感じる場所は同じとは限りません。
換気設備によって室内が負圧になると、壁内、床下、天井裏などから空気を引き込むことがあります。
その空気にカビ臭や微細な粒子が含まれていれば、発生源から離れた場所で臭いを感じる可能性があります。
風量計による確認では、次のような点を調べます。
給気口から必要な空気が入っているか
排気口からどの程度排出されているか
給気と排気のバランス
特定の部屋で空気が停滞していないか
室内が強い負圧になっていないか
壁内や床下から空気を引き込んでいないか
換気扇を使用するとカビ臭が強くなる場合は、排気によって発生源から臭いを引き込んでいる可能性があります。
色や見た目だけではなく、カビ臭を運ぶ空気の流れまで確認することが、原因究明につながります。
カビの種類だけ分かっても問題は解決しない
真菌検査によってカビの種類が確認できると、その名前に注目してしまうことがあります。
しかし、住宅のカビ問題では、種類の特定だけで終わってはいけません。
重要なのは、なぜそのカビが住宅内で増殖できたのかを確認することです。
発生原因には、次のようなものがあります。
結露
雨漏り
漏水
建材の乾燥不足
床下や基礎の湿気
換気不足
強い負圧
家具裏の空気停滞
室内干しや過剰な加湿
カビの名前が分かっても、水分の供給源が残っていれば、同じカビや別のカビが再び増殖する可能性があります。
検査は、カビの名前を知ることだけではなく、原因改善につなげるために活用することが重要です。
インターネット上の危険情報だけで不安にならない
特定のカビについて検索すると、「危険」「有毒」「病気の原因」といった強い表現を目にすることがあります。
一方で、「どこにでもいるから心配ない」という情報が見つかることもあります。
カビによる影響は、種類だけでなく、量、発生場所、接触状況、住む人の体質や健康状態など、さまざまな条件によって異なります。
インターネット上の情報だけで、ご自宅の状態を危険または安全と断定することはできません。
必要なのは、一般的な情報をそのまま当てはめることではなく、自宅の状況を調べることです。
どの部屋に発生しているか
どの程度広がっているか
室内空気の状態はどうか
建材が湿っていないか
発生源が見える場所にあるか
再発していないか
不安を必要以上に大きくするのではなく、検査や建物調査によって状況を具体的に確認しましょう。
体調に不安がある場合は医療機関へ相談する
住宅にカビがあり、咳、鼻水、目のかゆみ、息苦しさなどが続く場合でも、原因をカビだけに決めつけることはできません。
身体の状態については、医療機関へ相談してください。
住環境の真菌検査は、住宅内のカビの状態を調べるものであり、人の病気を診断するものではありません。
役割を整理すると、次のようになります。
身体の症状や診断は医療機関
住宅のカビや水分状態は住環境調査
医療機関でカビに対するアレルギーなどが確認された場合でも、住宅のどこにカビがあり、どの程度空気中に存在するかは、別途確認する必要があります。
身体と住宅の両面を、それぞれ適切な方法で調べることが大切です。
自分で触らず専門家へ相談したい状態
次のような状態では、カビの色や種類を自分で確かめようとして、無理に触ったり、削ったりしないようにしてください。
壁や天井の広い範囲に発生している
乾いた粉状のものが大量に付着している
カビ臭が非常に強い
床下や天井裏に発生している
壁紙や石こうボードが崩れている
雨漏りや漏水が続いている
高所や狭い場所で安全に作業できない
原因不明の水分がある
複数の部屋に広がっている
自分での対応に不安がある
乾いたカビを強くこすると、胞子やほこりが室内へ舞い上がる可能性があります。
また、市販薬剤を複数混ぜることは危険です。製品の注意事項を守り、安全を確保できない場合は無理に作業しないでください。
色ではなく「発生場所・水分・再発」で判断する
住宅でカビを見つけたときに確認すべきなのは、黒、青、白などの色だけではありません。
次の3つの視点が重要です。
1.どこに発生しているか
浴室のタイル表面なのか、壁紙、木材、畳、床下、天井裏など、水分を吸収する場所なのかを確認します。
2.なぜ水分があるのか
結露、雨漏り、漏水、室内干し、換気不足など、水分の供給源を確認します。
3.清掃後に再発しているか
一度きれいにしても同じ場所に戻る場合は、表面より奥に原因が残っている可能性があります。
この3つを確認することで、単なる表面清掃で対応できるのか、専門調査が必要なのかを考えやすくなります。
目視・真菌・水分・空気を総合的に確認する
住宅のカビ問題を正しく判断するためには、一つの情報だけに頼らないことが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じて次のような調査情報を組み合わせます。
目視調査
カビの発生位置、範囲、建材の変色や変形を確認します。
真菌(カビ菌)検査
付着物や室内空気中のカビの状態を確認します。
建材の含水率検査
壁、床、天井などに残る水分の偏りを調べます。
ファイバースコープ調査
壁内、床下、天井裏など、通常は見えない場所を確認します。
風量・負圧調査
給気と排気の状態、カビ臭を運ぶ空気の流れを確認します。
これらを組み合わせることで、色や見た目だけでは分からないカビの状態と、発生原因を総合的に考えられます。
まとめ|住宅のカビは色ではなく発生原因を確認しよう
黒カビ、青カビ、白カビという呼び方は、カビの見た目を分かりやすく表現するためには便利です。
しかし、住宅に発生したカビの安全性、種類、被害範囲を、色だけで判断することはできません。
大切なのは、次の点です。
黒いカビがすべて同じ種類とは限らない
青いカビが食品用の安全な青カビとは限らない
白いカビでも広範囲へ広がっている場合がある
カビ以外の汚れが似て見えることもある
写真だけでは種類を正確に特定できない
見える面積と内部の被害範囲は一致しない
色が消えても水分原因が残れば再発する
種類だけでなく水分と空気の流れを調べる
住宅のカビについて判断すべきなのは、「何色か」よりも「なぜその場所で増殖したのか」です。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査によってカビの状態を確認し、建材の含水率検査によって水分を探り、必要に応じてファイバースコープで壁内を確認します。
さらに、風量計を用いて給気・排気や負圧を調べることで、見えない発生源からカビ臭や胞子を含む空気が室内へ流れ込んでいないかを検討します。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国のカビトラブルに対応しています。
「黒いから危険なのか知りたい」「白い付着物がカビなのか分からない」「青いカビを掃除しても再発する」「見えるカビはないのに臭いがする」といった場合は、色や写真だけで判断せず、住宅の状態を確認することが大切です。
手に負えないカビ、見分けがつかない付着物、繰り返し発生するカビ、壁内や床下への広がりが心配な場合は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
まとめ|役立つカビと住宅で問題になるカビを正しく理解しよう
食品をつくる管理されたカビと、家の中で増殖するカビは別物|見える色だけで判断せず、水分と発生原因を確認することが大切
「カビ」と聞くと、壁や浴室に生える黒い汚れ、嫌な臭い、食品の腐敗など、悪いイメージを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、カビのすべてが私たちにとって有害な存在というわけではありません。
味噌、醤油、日本酒、酢、甘酒など、日本の食文化を支えてきた麹菌もカビの仲間です。チーズの熟成に使われる青カビや白カビ、医薬品や酵素の生産に利用されるカビなど、人の暮らしに役立っているものも数多く存在します。
これらの「良いカビ」は、種類や菌株を選び、温度、湿度、原料、時間、衛生状態などを管理した環境で活用されています。
一方、住宅の壁、天井、床、収納、床下、壁内などに自然発生するカビは、人が目的を持って管理しているものではありません。
結露、雨漏り、漏水、換気不足、建材の乾燥不足、空気の停滞などによって、意図しない場所で増殖したものです。
そのため、食品に使われるカビと、住宅で発生するカビを同じように考えることはできません。
住宅に青や白のカビが見つかったからといって、チーズや麹に使われる安全なカビとは限りません。反対に、黒く見えるからという理由だけで、種類や影響を断定することもできません。
住宅のカビで重要なのは、見た目の色ではなく、どこに発生し、なぜ増殖し、どこまで広がっているのかを確認することです。
良いカビは「管理されていること」が大きな違い
食品や医薬品などに利用されるカビは、役立つ性質を持つ種類が選ばれ、管理された環境で使用されています。
例えば、麹菌は米、麦、大豆などに作用し、でんぷんやたんぱく質を分解します。この働きによって、味噌や醤油、日本酒などに甘味、うま味、香りが生まれます。
チーズづくりに使われる一部の青カビや白カビも、熟成を進め、独特の風味や食感を生み出します。
これらは、偶然食品にカビが生えたものではありません。
使用する菌、製造環境、原料、温度、湿度、熟成期間などが管理されているからこそ、安全性や品質を保ちながら活用できます。
つまり、「良いカビ」とは、どこに発生しても安全なカビではありません。
人が種類と用途を理解し、適切に管理していることが大きな違いです。
住宅のカビは管理されずに増殖している
住宅内に発生するカビは、人が選んで育てているわけではありません。
屋外から入り込んだ胞子や、室内にもともと存在していたカビが、水分を得ることで増殖します。
住宅でカビが発生する主な原因には、次のようなものがあります。
窓や壁の結露
屋根や外壁からの雨漏り
給排水管からの漏水
壁内結露
床下や基礎からの湿気
新築時に建材へ残った水分
24時間換気の停止や風量不足
給気口の閉鎖
強い負圧による湿った空気の流入
家具裏や収納内部の空気停滞
室内干しや過剰な加湿
住宅内では、一種類だけでなく、複数のカビや微生物が混在している可能性があります。
その種類、量、発生範囲は、肉眼だけでは正確に判断できません。
食品に利用されるカビと同じ色に見えたとしても、住宅で自然発生したものは、管理されていないカビとして扱う必要があります。
黒・青・白などの色だけではカビを判断できない
住宅に発生するカビは、黒、青、緑、白、灰色、茶色など、さまざまな色に見えることがあります。
しかし、カビの色は、種類だけで決まるものではありません。
成長段階、胞子の形成、発生している建材、湿度、光の当たり方、周囲の汚れなどによって、同じ種類でも異なる色に見えることがあります。
また、黒く見える付着物が、必ずしもカビとは限りません。ほこり、すす、さび、接着剤、建材の変色などが、カビのように見える場合もあります。
反対に、白い粉や綿のように見えるものを単なるほこりだと思っていたら、カビが広がっていたということも考えられます。
そのため、住宅のカビを判断するときは、色だけではなく次の点を確認することが大切です。
時間とともに広がっていないか
周囲の建材が湿っていないか
カビ臭を感じないか
同じ場所に再発していないか
壁紙や床材が変形していないか
雨の日や設備使用後に変化しないか
見えない裏側にも広がっていないか
見た目は重要な手がかりですが、それだけで安全性や種類を断定することはできません。
見えるカビは氷山の一角かもしれない
壁紙の表面に見えているカビが小さくても、その裏側では広い範囲に菌糸が伸びている場合があります。
特に、壁紙、石こうボード、木材、畳、断熱材など、水分を吸収しやすい素材では、表面より内部に影響が広がる可能性があります。
カビが隠れやすい場所として、次のような箇所が挙げられます。
壁紙の裏側
石こうボードの裏面
壁内の木材や断熱材
床下
天井裏
畳や床材の裏側
押し入れやクローゼットの奥
エアコン内部や配管周辺
水回りに接する壁の内部
窓やサッシ下部の壁内
見える黒ずみを清掃しても、内部の建材が湿ったままであれば、再発する可能性があります。
カビ取り剤で色が消えたことと、発生原因が解決したことは同じではありません。
カビを繰り返す最大の原因は水分が残っていること
カビの胞子は、屋外や室内の空気中に存在しています。
住宅内から胞子を完全になくすことは現実的ではありません。
そのため、住宅のカビ対策では、カビが増殖するために必要な水分を与えないことが重要です。
カビを何度清掃しても同じ場所に戻ってくる場合は、次のような水分原因が残っている可能性があります。
冷たい壁面で結露が繰り返されている
雨水が壁や天井の内部へ入っている
配管から少量の水が漏れている
建材内部が十分に乾いていない
床下から湿気が上がっている
家具裏や収納内の空気が動いていない
室内の湿気が適切に排出されていない
表面清掃だけを繰り返すのではなく、水分がどこから来ているのかを確認しなければ、根本的な再発防止にはつながりません。
換気扇が動いていても適切に換気できているとは限らない
「24時間換気を使用しているから、カビは発生しない」とは限りません。
換気設備が動いていても、給気口の閉鎖、フィルターの目詰まり、ダクトの不具合、家具による空気経路の遮断などによって、必要な風量が確保できていない場合があります。
また、排気量に対して給気量が不足すると、室内が強い負圧になることがあります。
負圧が強くなると、本来の給気口ではなく、次のような場所から空気を引き込む可能性があります。
コンセントやスイッチ周辺
巾木と床のすき間
配管や配線の貫通部
床下点検口
天井点検口
エアコン配管周辺
壁内や収納内部
壁内、床下、天井裏などにカビや湿気があれば、カビ臭を含む空気が室内へ流れ込む可能性があります。
換気扇を回すとカビ臭が強くなる場合は、換気不足だけでなく、負圧と空気の流入経路を確認する必要があります。
カビ臭だけでも見えない発生源を疑う
目に見えるカビがなくても、室内に土のような臭い、湿った布のような臭い、古い押し入れのような臭いを感じることがあります。
カビ臭を感じる場合は、壁紙の裏、床下、天井裏、エアコン内部など、見えない場所で微生物が増殖している可能性を検討する必要があります。
臭いを感じる場所と、実際の発生源が同じとは限りません。
空気の流れや室内の圧力差によって、離れた場所から臭いが運ばれることがあるためです。
消臭剤や芳香剤で一時的に臭いを感じにくくしても、発生源が残っていれば再び現れます。
換気しても臭いが消えない、雨の日に臭いが強くなる、換気扇を回すと臭いが変わるといった場合は、専門的な原因調査を検討するサインです。
日常生活では湿度・結露・換気を確認する
住宅のカビを予防するためには、毎日の小さな管理が重要です。
今日から確認できるポイントには、次のようなものがあります。
部屋ごとに湿度計を設置する
窓やサッシの結露を放置しない
入浴後は浴室の水分を減らして換気する
室内干しでは除湿機やエアコンを併用する
加湿器を使いすぎない
24時間換気を自己判断で止めない
給気口や排気口のフィルターを清掃する
家具を壁へ密着させない
押し入れや収納に物を詰め込みすぎない
段ボールを湿った場所に長期保管しない
雨の後に天井や壁の変化を確認する
水回りの配管周辺を定期的に点検する
こうした対策は、カビが増殖しにくい環境をつくるために役立ちます。
ただし、生活上の湿度管理を続けても同じ場所に再発する場合は、住み方だけの問題ではない可能性があります。
自分で対応できる範囲を見極める
水分を吸収しにくい素材に発生した小規模なカビであれば、市販製品の使用方法を守りながら、自分で対応できる場合があります。
一方、次のような状態では、無理に清掃せず専門家への相談を検討してください。
同じ場所に何度も再発する
壁紙、木材、畳などに広がっている
壁や天井の広い範囲に発生している
複数の部屋でカビが見つかった
カビ臭が強い、または長期間続いている
壁紙や床材が浮いたり膨らんだりしている
雨漏りや漏水が疑われる
床下、壁内、天井裏が発生源と思われる
新築やリフォーム後に発生した
換気扇を使用すると臭いが強くなる
原因がどこにあるのか分からない
広範囲のカビを乾いた状態でこすると、胞子やほこりを室内へ広げる可能性があります。
また、複数の洗剤や薬剤を混ぜることは大変危険です。必ず製品の注意事項を守り、安全を確保できない場合は作業を中止してください。
真菌検査で見えないカビを数値と種類から確認する
住宅のカビを、色や臭いだけで判断することはできません。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査では、目的に応じて室内空気や付着物の状態を確認します。
検査方法には、次のようなものがあります。
室内空気中の状態を調べる空中浮遊菌検査
一定時間内に落下する菌を確認する落下菌検査
発生箇所を採取する拭き取り検査
付着しているカビの種類を調べる同定検査
室内と屋外の状態を比較する検査
対策前後の変化を確認する検査
真菌検査によって、目に見えるカビがない部屋でも、空気中の状態を把握できる場合があります。
ただし、真菌検査だけで水分の侵入場所や発生原因まで分かるわけではありません。
検査結果を、建材の水分、建物構造、換気状態などと合わせて評価することが大切です。
含水率検査でカビを育てる水分を探る
MIST工法®カビバスターズでは、建材の含水率検査を行い、壁、床、天井などに水分の偏りがないか確認します。
含水率検査では、カビが発生している場所だけでなく、周囲の正常と思われる場所も測定し、数値の違いや水分の広がりを調べます。
確認する主な内容は、次のとおりです。
特定の壁だけ湿っていないか
水分が上下左右へ広がっていないか
窓や配管周辺で数値が高くないか
雨の後に含水状態が変化しないか
水回りを使用した後に数値が上がらないか
原因改善後に建材が乾いているか
カビの存在だけでなく、カビが増殖できる水分がどこにあるのかを確認することで、再発原因を絞り込みやすくなります。
ファイバースコープで壁内の状態を確認する
含水率が高い場所や、カビ臭が続く壁では、壁の中に問題が隠れている可能性があります。
必要に応じてファイバースコープを使用し、壁を大きく壊す前に内部の状態を映像で確認します。
主な確認箇所には、次のようなものがあります。
石こうボードの裏側
柱や間柱
断熱材
配管周辺
床下
天井裏
エアコン配管の貫通部
ファイバースコープでは、建材の変色、水滴、漏水跡、断熱材の湿り、カビが疑われる付着物などを確認します。
ただし、映像に黒いものが見えたからといって、カビと断定できるわけではありません。
必要に応じて試料を採取し、真菌検査と組み合わせて確認することが重要です。
風量計で給気・排気と負圧を確認する
カビやカビ臭の原因を調べる際には、空気の流れも重要です。
風量計を使用することで、給気口や排気口を実際に通る空気の量を測定できます。
主に確認するのは、次のような点です。
給気口から必要な空気が入っているか
換気扇から十分に排気されているか
部屋ごとの換気に偏りがないか
給気と排気のバランスが崩れていないか
室内が強い負圧になっていないか
壁内や床下から空気を引き込んでいないか
真菌検査で空気中のカビの状態を確認し、含水率検査で水分を探り、ファイバースコープで内部を見て、風量計で空気の流れを確認することで、住宅内の問題を総合的に考えることができます。
カビの種類を知るだけでなく発生原因を改善する
真菌検査でカビの種類が確認できても、それだけで住宅の問題が解決するわけではありません。
大切なのは、そのカビがなぜ室内で増殖したのかを調べることです。
カビを除去しても、雨漏り、漏水、結露、建材水分、換気不足などが残っていれば、同じカビや別のカビが再び増殖する可能性があります。
住宅のカビ対策では、次の順番で考えることが重要です。
カビの存在と発生範囲を確認する
カビを育てている水分を探す
壁内や床下などの見えない場所を確認する
給気・排気と空気の流れを調べる
発生原因を改善する
対策後に乾燥状態や真菌の状態を再確認する
日常的な湿度・換気管理を継続する
見える黒ずみを消すことをゴールにせず、再発しにくい住環境を取り戻すことを目指しましょう。
食品のカビは管理して活用し、住宅のカビは原因を調べる
カビは、私たちの食文化や医療、産業に役立つ一方で、住宅では建材の劣化やカビ臭、室内環境の悪化につながることがあります。
重要なのは、カビをすべて悪者と考えることでも、食品に利用されているから住宅のカビも安全だと考えることでもありません。
次のように整理すると分かりやすくなります。
食品のカビは、種類と環境を管理して利用する
住宅のカビは、意図せず発生した原因を調べる
色だけで種類や安全性を判断しない
清掃後の再発やカビ臭を見逃さない
水分と空気の流れを確認する
必要に応じて真菌検査と建物調査を行う
カビの正しい知識を持つことは、必要以上に恐れず、見逃してはいけない住宅の異常へ早く気づくことにつながります。
まとめ|繰り返す住宅カビは表面清掃ではなく原因調査から
味噌や醤油、日本酒、チーズなどをつくるカビは、種類と環境を管理することで、私たちの暮らしに役立っています。
一方、住宅の壁、天井、床、収納、床下などに自然発生するカビは、結露、雨漏り、漏水、建材水分、換気不足などによって、管理されずに増殖したものです。
見た目が青や白だから安全とは限らず、黒いから特定の危険な種類と断定することもできません。
住宅のカビで確認すべきなのは、次のポイントです。
どこに発生しているのか
どの程度広がっているのか
清掃後に再発していないか
建材に水分が残っていないか
壁内や床下に発生源がないか
換気と空気の流れに問題がないか
室内空気中へカビ菌が広がっていないか
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌(カビ菌)検査、建材の含水率検査、ファイバースコープによる壁内調査、風量計を用いた負圧・換気バランスの確認などを組み合わせ、カビの発生状況と原因を総合的に調査します。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国のカビトラブルに対応しています。
「何度掃除しても同じ場所にカビが戻る」「見えるカビはないのに臭いが消えない」「壁の中や床下まで広がっていないか心配」という場合は、表面清掃を繰り返す前に、原因調査をご検討ください。
良いカビと住宅で問題になるカビの違いを正しく理解し、役立つカビの恵みを受けながら、住まいに発生したカビは早期に原因を確認することが大切です。
手に負えないカビ、原因不明のカビ臭、繰り返し発生するカビ、見えない場所への広がりでお困りの方は、MIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
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カビ取り・カビ対策専門業者MIST工法カビバスターズ本部
0120-052-127(平日9時から17時)
カビの救急箱
【検査機関】
一般社団法人微生物対策協会
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