食品工場のカビ対策とHACCP|監査指摘ゼロを目指す衛生管理チェックリストと真菌検査の重要性
2026/07/22
こんにちは。日本全国のカビトラブルに対応している、MIST工法®カビバスターズ本部です。
食品工場では、製品の安全性を守るために、原材料の受け入れから製造、包装、保管、出荷まで、すべての工程で衛生管理を続ける必要があります。その中でも、見落とされやすい問題の一つが、建物や設備に発生するカビです。
食品工場のカビは、単に壁や天井が汚れて見えるだけの問題ではありません。カビの胞子が空気中を移動し、製造室や包装室に広がれば、落下菌や浮遊菌の増加、異物混入への不安、製品の品質低下、取引先監査での指摘などにつながる可能性があります。
「清掃しているのにカビが再発する」
「結露を拭き取っても同じ場所にカビが出る」
「製造室の真菌数がなかなか下がらない」
「監査で天井や壁のカビを指摘された」
「どこからカビ菌が入っているのかわからない」
このようなお悩みを抱える食品工場は少なくありません。
MIST工法®カビバスターズには、HACCPに関する専門知識を学んだHACCP上級者コーディネーター取得者が在籍しています。そのため、目に見えるカビだけを見るのではなく、食品工場の衛生管理、作業区域の区分、空気の流れ、結露、湿度、清掃状況などを含めて、カビ問題を考えることができます。
HACCPとは、危険が発生してから対応するだけではなく、どの工程に危険が潜んでいるのかを事前に考え、重要なポイントを継続して管理する衛生管理の考え方です。カビ対策でも同じように、発生したカビを取り除くだけではなく、「なぜ発生したのか」「どこから広がったのか」「再発する条件が残っていないか」を確認することが重要です。
たとえば、天井にカビが発生していたとしても、原因が天井表面にあるとは限りません。屋根や配管からの水分、空調による温度差、壁や天井内部の結露、換気量の不足、室内の負圧、洗浄作業で発生した水蒸気など、複数の原因が重なっている場合があります。
食品工場のカビ対策は、病気の治療にたとえるとわかりやすくなります。表面のカビだけを清掃することは、痛み止めで一時的に症状を抑えることに似ています。根本的に改善するためには、どこに原因があり、なぜカビが発生したのかを調べる必要があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、建物の状態に応じて、建材の含水率測定を行っています。建材にどの程度の水分が含まれているかを確認することで、見た目だけでは判断できない湿気の状態を調べます。
壁や天井の内部が疑われる場合には、ファイバースコープを使用して、目視できない内部の状態を確認します。表面には異常が見えなくても、壁の中で結露やカビが発生しているケースがあるためです。
また、食品工場では空気の流れも重要です。風量計を使用して給気や排気の状態、室内が負圧になっていないかなどを確認します。負圧とは、室内の空気が外へ出る量よりも、排気される量が多い状態です。強い負圧が生じると、扉の隙間や壁、天井裏、配管まわりなどから、管理されていない空気やカビの胞子を吸い込む可能性があります。
さらに、MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会と連携し、必要に応じて真菌、いわゆるカビ菌の検査をご提案しています。
カビは、見えるか見えないかだけで判断することはできません。空気中や設備表面にどの程度の真菌が存在するのか、屋外と比べて工場内の数値が高くなっていないか、特定の区域で数値が増えていないかを確認することで、感覚ではなく検査結果に基づいて対策を考えられます。
食品工場では、カビを除去した後の確認も重要です。対策前と対策後の状態を比較することで、実施した対策が適切だったのか、衛生環境が改善しているのかを確認しやすくなります。監査対応や社内報告を考える場合にも、写真や清掃記録だけではなく、検査結果や測定記録を残すことが重要です。
現代の食品工場は、高気密化、断熱化、省エネルギー化が進んでいます。温度を一定に保ちやすくなった一方で、換気や空調のバランスが崩れたり、温度差による結露が発生したりすると、カビが再発しやすい環境になることがあります。
そのため、カビが発生した部分だけをきれいにしても、湿気、結露、漏水、断熱、換気、負圧などの原因を改善しなければ、同じ場所や別の場所に再発する可能性があります。
食品工場のカビ対策で大切なのは、次の3点です。
1つ目は、目に見えるカビだけで判断しないことです。
2つ目は、真菌検査や各種測定によって発生範囲と原因を確認することです。
3つ目は、除去後に原因を改善し、再発を防ぐ管理を続けることです。
本記事では、食品工場でカビが発生しやすい場所、HACCPの考え方に沿ったカビ対策、監査前に確認したい衛生管理チェックリスト、真菌検査の必要性、負圧や結露の調査方法、再発防止のポイント、食品工場における対応事例の考え方まで、専門知識がない方にも理解しやすい言葉で解説していきます。
食品工場のカビ問題は、発生範囲が広いほど、操業や製品への影響も大きくなります。カビ臭がする、結露が続いている、清掃後も再発する、監査で指摘を受けた、真菌検査の数値が改善しないといった場合には、早めの原因調査が重要です。
自社だけでの判断や清掃が難しいカビトラブルは、HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査をはじめ、建材の含水率測定、ファイバースコープによる壁内調査、風量計による負圧確認などを組み合わせ、カビが発生した原因を追究します。
MIST工法®カビバスターズは、食品工場をはじめとする日本全国のカビトラブルに対応しています。監査指摘を受けてから慌てて対処するのではなく、日頃からカビの発生リスクを見つけ、衛生管理の仕組みに組み込むことが、製品と企業の信頼を守る第一歩です。
目次
なぜ食品工場のカビ対策がHACCPで重要なのか
カビを「見つけてから除去する」のではなく、発生する前に管理することが食品安全につながる
食品工場におけるカビ対策は、壁や天井をきれいに保つためだけのものではありません。製品の安全性、工場内の衛生環境、取引先からの信頼を守るために欠かせない重要な管理項目です。
HACCPでは、食品を製造する工程の中にどのような危険が潜んでいるかを事前に考え、事故や不具合が起こらないように継続して管理します。
カビ対策についても、目に見えるカビが発生してから清掃するだけでは十分とはいえません。
「どこにカビが発生する可能性があるのか」
「なぜ湿気や結露が発生しているのか」
「カビの胞子が製造区域へ広がる可能性はないか」
「清掃後も同じ場所で再発していないか」
このようなリスクをあらかじめ確認し、記録しながら改善していくことが大切です。
HACCPとは食品事故を未然に防ぐための管理方法
HACCPは、食品を製造する各工程の中から、食中毒や異物混入などにつながる危険要因を確認し、特に重要な工程を継続して管理する衛生管理の考え方です。
たとえば、食品工場では次のような危険が考えられます。
細菌やカビなどの微生物による汚染
金属片やプラスチック片などの異物混入
洗浄剤や薬剤などの化学物質の混入
温度管理や清掃管理の不備
人や原材料の移動による交差汚染
HACCPというと、食品そのものや製造機械の管理をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、食品を製造している建物の天井、壁、床、空調設備、換気設備、配管まわりなども、食品の衛生環境に影響を与えます。
建物や設備にカビが発生していれば、空気の流れ、人の移動、清掃作業、設備の振動などによって、カビの胞子が周囲へ広がる可能性があります。
そのため、食品工場のカビ対策は、建物の美観管理ではなく、HACCPに沿った衛生管理の一部として考える必要があります。
食品工場のカビは目に見える部分だけが問題ではない
食品工場でカビが発生すると、最初は壁や天井の小さな黒い点として確認されることがあります。
しかし、目に見えるカビは、問題の一部にすぎない場合があります。
カビは成長すると、非常に小さな胞子を空気中に放出します。胞子は目で確認することが難しく、人の動きや空調の風に乗って、離れた場所まで移動することがあります。
たとえば、製造室から離れた天井裏でカビが発生していても、壁や配管の隙間、点検口、空調設備などを通じて、管理区域へ胞子が入り込むことがあります。
また、表面を清掃して一度きれいになったように見えても、壁の内部や断熱材、天井裏に水分が残っていれば、再びカビが発生する可能性があります。
食品工場では、次のような状態が見られる場合には注意が必要です。
天井や壁に黒色、緑色、白色の汚れがある
清掃後も同じ場所にカビが再発する
工場内でカビ臭や土のような臭いがする
冷却設備や配管の周囲に結露が発生している
天井から水滴が落ちることがある
空調機や吹き出し口に汚れが付着している
真菌検査の数値が安定しない
製造室と隣接区域の空気環境に差がある
これらは、表面の清掃だけでは解決できない問題が隠れているサインかもしれません。
カビは製品品質と企業の信頼にも関係する
食品工場でカビが発生すると、製品への直接的な影響だけでなく、企業活動全体に影響が広がる可能性があります。
製造区域の壁や天井にカビが確認されれば、取引先監査や衛生監査で改善を求められることがあります。
また、カビの胞子が製品や包装資材に付着した場合、異物混入の申し出、賞味期限内の品質変化、製品回収などにつながるおそれもあります。
一度でも食品の安全性に対する不安が広がると、企業が長年積み重ねてきた信用を回復するには、多くの時間と費用が必要になります。
そのため、カビ対策は「汚れが目立ってきたら行う清掃」ではなく、「製品と企業の信用を守るための予防管理」として取り組むことが重要です。
HACCP上級者コーディネーターの視点でカビリスクを確認する
MIST工法®カビバスターズには、HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍しています。
食品工場のカビ問題を確認する際には、カビが発生している場所だけではなく、製造工程、作業区域、人や原材料の動線、清掃方法、空気の流れなども含めて考えることが重要です。
たとえば、同じ天井のカビでも、発生場所によってリスクの考え方は異なります。
原材料倉庫の天井に発生している場合と、加熱後の食品を扱う包装室の天井に発生している場合では、製品へ与える影響や対策の優先順位が変わる可能性があります。
そのため、食品工場のカビ対策では、次のような視点で確認を進めます。
カビが発生している区域では何を製造しているか
製品が加熱前か加熱後か
製品や包装資材が露出しているか
カビ発生箇所の下を製品が通過していないか
空調の風がカビ発生箇所から製造区域へ流れていないか
清潔区域と汚染区域の空気が混ざっていないか
清掃や洗浄によって水分が残っていないか
日常点検や改善記録が残されているか
カビの大きさだけで判断するのではなく、製造工程への影響まで含めて優先順位を決めることが、HACCPの考え方に沿った対策につながります。
表面清掃だけでは監査対策にならない
監査前に壁や天井を清掃し、目に見えるカビを一時的にきれいにする工場もあります。
しかし、原因が残ったままでは、数週間後や数か月後に同じ場所へカビが再発する可能性があります。
監査で重要なのは、その場だけきれいに見せることではありません。
問題を発見した後に、
どのような原因が考えられたのか
どのような調査を行ったのか
どのような改善を行ったのか
改善後に再発していないか
今後どのように点検を続けるのか
という流れを記録し、継続的に管理できていることが大切です。
たとえるなら、床に水がたまっている状態で、水だけを何度も拭き取っているのと同じです。水が漏れている場所を直さなければ、床は何度でも濡れてしまいます。
カビ対策も同様に、表面のカビだけではなく、水分がどこから来ているのか、なぜ乾かないのかを調べなければ、根本的な改善にはなりません。
真菌検査で見えないカビリスクを確認する
カビの状態は、目視確認だけでは正確に判断できない場合があります。
見えるカビが小さくても、空気中には多くの胞子が浮遊している可能性があります。反対に、汚れのように見えるものが、必ずしも活性のあるカビとは限りません。
そこで重要になるのが、真菌、いわゆるカビ菌の検査です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会と連携し、必要に応じて空気中や設備表面の真菌検査をご提案しています。
真菌検査を行うことで、次のような情報を確認しやすくなります。
工場内にどの程度の真菌が存在しているか
特定の製造区域で数値が高くなっていないか
屋外から入った胞子だけでなく、室内で増殖していないか
対策前と対策後で数値が変化しているか
清掃やカビ対策が適切だったか
食品工場では、感覚や見た目だけで判断するのではなく、検査結果や測定結果を記録として残すことが、衛生管理や監査対応にも役立ちます。
原因調査と継続管理が再発防止の基本
カビが発生するためには、水分、温度、栄養分などの条件が必要です。
食品工場では、洗浄作業による水分、冷蔵設備と室温の温度差、配管の結露、蒸気、食品残渣、粉じんなど、カビが増殖しやすい条件がそろうことがあります。
そのため、再発を防ぐには、カビが発生した場所だけでなく、建物と設備の状態まで確認する必要があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じて建材の含水率測定、ファイバースコープによる壁内調査、風量計による給排気や負圧の確認を行います。
目に見えない水分や壁内部の状態、空気の流れを確認することで、カビが発生した原因を追究し、再発防止につながる改善方法を考えます。
食品工場におけるカビ対策の基本は、次の3つです。
カビが発生する可能性のある場所を事前に把握する
真菌検査や測定によって状態を確認する
発生原因を改善し、点検と記録を続ける
HACCPに沿った衛生管理では、問題が発生するたびに対応するのではなく、問題が起こりにくい仕組みをつくることが重要です。
食品工場のカビ対策も、清掃、検査、原因調査、改善、記録という流れを衛生管理の仕組みに組み込むことで、監査指摘や製品への影響を防ぎやすくなります。
自社だけでは原因を判断できないカビ、清掃しても繰り返すカビ、壁や天井内部が疑われるカビについては、早めの専門調査をご検討ください。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部が、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査を含め、食品工場の状況に応じた原因調査と再発防止を全国でサポートいたします。
食品工場でカビが発生しやすい場所とは
見える場所だけでなく、天井裏・壁の中・空調設備まで確認することが重要
食品工場では、衛生管理や清掃を日常的に行っていても、カビが発生することがあります。
その理由は、食品工場にはカビが増殖するために必要な「水分」「温度」「栄養分」がそろいやすいからです。製造工程で使用する水や蒸気、冷却設備による温度差、食品原料の粉じんや油分などが、カビの発生条件になる場合があります。
特に注意したいのは、日常清掃では確認しにくい場所です。
壁や床の表面がきれいに見えていても、天井裏、壁の内部、空調設備、断熱材などでカビが広がっているケースがあります。そのため、食品工場のカビ対策では、目に見える場所だけではなく、建物全体を確認する視点が必要です。
製造室・調理室・加熱室
製造室や調理室では、食品の加熱、煮炊き、洗浄などによって大量の水蒸気が発生します。
水蒸気は暖かい空気とともに上昇し、温度の低い天井や梁、冷却配管などに触れると水滴に変わります。これが結露です。
結露した水分が長時間残ると、天井材や壁材が湿り、カビが増殖しやすくなります。
特に、次のような場所は注意が必要です。
加熱機器の上部
蒸気が集中する天井
換気フードの周囲
冷却配管の近く
天井と壁の接合部分
梁や照明器具の上
洗浄後に乾きにくい壁面
製造室の天井に発生したカビは、胞子や汚れが製品の上へ落下する可能性があります。製品が露出している工程では、カビの発生場所と製造ラインの位置関係を必ず確認する必要があります。
また、加熱工程の後に製品を扱う区域では、加熱による殺菌効果を受けた後の製品が再び汚染される「二次汚染」に注意しなければなりません。
包装室・充填室
包装室や充填室は、完成に近い製品を扱う重要な区域です。
加熱後の食品や、そのまま食べる製品を扱う場合は、工程の後半でカビの胞子が付着すると、その後に加熱されないまま出荷される可能性があります。
包装室では、室内を清潔に保つために空調や換気が管理されていることが多い一方、給気と排気のバランスが崩れると、周辺区域から空気を吸い込むことがあります。
たとえば、包装室が強い負圧になっていると、扉の隙間、配管の貫通部、天井裏などから、管理されていない空気が入り込む可能性があります。その空気にカビの胞子が含まれていれば、清潔に管理している室内へ汚染が広がるおそれがあります。
包装室では、次の項目を確認しましょう。
空調吹き出し口に黒い汚れがないか
天井や壁に結露跡がないか
扉を開けたときに強く空気が流れ込まないか
包装資材に湿気やカビ臭がないか
室内の真菌数が安定しているか
製品の上に水滴が落ちる場所がないか
包装室で真菌検査の数値が高い場合、室内だけを清掃するのではなく、空調設備、天井裏、隣接する区域、空気の流れまで調べる必要があります。
原材料倉庫・資材保管庫
原材料や包装資材を保管する倉庫も、カビが発生しやすい場所です。
小麦粉、でんぷん、香辛料、穀類、乾燥食品などの原材料は、湿気を吸収するとカビが増殖しやすくなります。また、段ボール、紙袋、木製パレットなども、湿度が高い状態ではカビの栄養源になります。
倉庫では、次のような状態に注意が必要です。
外壁側の荷物だけが湿っている
段ボールに黒い点や白い粉が付着している
床へ直接荷物を置いている
壁と荷物の間に隙間がない
パレットの裏側が湿っている
雨の日に倉庫内の湿度が大きく上がる
シャッター周辺から外気が入り込む
倉庫内にカビ臭がある
荷物を壁へ密着させて置くと、空気が動かず、湿気がこもりやすくなります。外壁に近い場所は外気温の影響を受けやすいため、冬場や梅雨時期には結露が発生することもあります。
原材料そのものに問題がなくても、カビが発生した段ボールやパレットを製造区域へ持ち込むことで、胞子を工場内へ運んでしまう可能性があります。
冷蔵庫・冷凍庫とその周辺
冷蔵庫や冷凍庫の内部は温度が低いため、カビが発生しないと思われがちです。
しかし、低温環境でも増殖できる種類のカビがあります。また、扉の開閉によって暖かく湿った空気が入り込み、床、壁、天井、パッキンなどに結露が発生する場合があります。
特に、冷蔵庫や冷凍庫の外側は注意が必要です。
冷えた壁面や配管に工場内の暖かい空気が触れると、表面に水滴が発生します。断熱材が劣化している場合には、壁や天井の内部で結露が起こり、表面からは見えない状態でカビが増殖することがあります。
確認したい場所は次のとおりです。
扉のゴムパッキン
冷却器やファンの周囲
排水口とドレンパン
冷媒配管の保温材
冷蔵庫の外壁と天井の接合部
床と壁の立ち上がり
パネルの継ぎ目
冷凍庫上部の天井裏
冷蔵庫や冷凍庫の周囲で水滴が繰り返し発生している場合は、拭き取るだけではなく、断熱、気密、温度差、空気の流れを確認することが重要です。
洗浄室・排水溝・床下
食品工場では、機械や床を衛生的に保つために、大量の水を使用して洗浄することがあります。
洗浄後の水分が残りやすい場所は、カビやほかの微生物が増殖する原因になります。
排水溝の周囲は清掃していても、排水溝の内部、グレーチングの裏側、床材の継ぎ目などに汚れや水分が残っていることがあります。
また、床のひび割れや目地の劣化部分から水が入り込み、床下や壁の内部へ広がることもあります。
注意したい場所には、次のようなものがあります。
排水溝の内部と裏側
床と壁の接合部分
機械の下
洗浄水がたまりやすいくぼみ
床材のひび割れ
防水層の傷み
ホースや清掃用具の保管場所
洗浄後に乾かない場所
毎日洗浄している場所でカビが繰り返し発生する場合、清掃不足だけが原因とは限りません。床の傾き、排水能力、換気不足、乾燥時間など、設備や運用面の問題も考える必要があります。
空調機・ダクト・吹き出し口
空調設備は、食品工場全体へ空気を送る役割を持っています。そのため、空調機の内部でカビが発生すると、胞子が広い範囲へ運ばれる可能性があります。
空調機の内部では、空気を冷やす際に水分が発生します。ドレンパンの排水が悪かったり、フィルターや熱交換器に汚れがたまったりすると、カビが増殖しやすくなります。
次のようなサインがある場合は注意が必要です。
空調を動かすとカビ臭がする
吹き出し口に黒い汚れがある
天井の吹き出し口周辺だけが汚れている
ドレンパンに水がたまっている
フィルター交換後も真菌数が下がらない
ダクト内部に結露がある
空調の稼働後に真菌数が上昇する
吹き出し口だけを清掃しても、空調機やダクトの内部に発生源が残っていれば、再び汚れが付着します。
空調設備が原因として疑われる場合は、設備内部の状態だけでなく、給気と排気のバランス、室内の圧力差、空気がどの方向へ流れているかも確認する必要があります。
天井裏・壁の内部・断熱材
食品工場のカビ問題で、特に見落とされやすいのが天井裏や壁の内部です。
表面に小さなシミしか見えなくても、内部では広い範囲にカビが発生している場合があります。
主な原因には、次のようなものがあります。
屋根からの雨漏り
配管からの漏水
冷却配管の結露
断熱材の不足や劣化
壁内部への洗浄水の侵入
室内外の温度差による内部結露
強い負圧による湿った空気の吸い込み
天井裏や壁の内部にカビが発生すると、点検口や配管の隙間から胞子が室内へ入ることがあります。
このような場所は通常の目視点検では確認できません。そのため、必要に応じてファイバースコープを使用し、小さな開口部から内部の状態を調査します。
また、建材の含水率を測定することで、見た目には乾いていても、内部に水分が残っていないかを確認します。
清掃用具置き場・更衣室・休憩室
製造区域以外にも注意が必要です。
濡れたモップ、ブラシ、作業靴、手袋などを十分に乾燥させず保管すると、清掃用具自体にカビが発生することがあります。
カビが付着した清掃用具を使用すれば、清掃するはずの場所へ胞子を広げてしまう可能性があります。
更衣室や休憩室も、人の出入りが多く、衣類や靴を通じて外部の胞子が持ち込まれやすい場所です。
次の項目を確認しましょう。
モップやブラシを乾燥させて保管しているか
清掃用具にカビ臭がないか
長靴や作業靴の内部が湿っていないか
ロッカーの裏側に結露やカビがないか
作業着を衛生的に保管しているか
製造区域用と外部用の用具を区別しているか
清掃用具は、保管場所、乾燥方法、交換時期を決め、日常の衛生管理に組み込むことが大切です。
発生場所を点ではなく空気と水分の流れで考える
食品工場でカビを見つけたときは、その場所だけに原因があると決めつけないことが重要です。
たとえば、包装室の天井にカビが発生していても、原因は隣の加熱室から流れ込んだ水蒸気かもしれません。壁の下部にカビが発生していても、原因は床からではなく、壁内部の配管からの漏水かもしれません。
カビの発生場所は、原因が表面に現れた「出口」である場合があります。
原因を見つけるには、次の3つの流れを確認します。
水分がどこから来ているか
空気がどの方向へ動いているか
カビの胞子がどこから広がっているか
MIST工法®カビバスターズ本部では、目視確認だけでなく、建材の含水率測定、ファイバースコープによる内部調査、風量計による給排気や負圧の確認を組み合わせ、カビが発生した原因を追究します。
さらに、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査により、空気中や設備表面のカビ菌を数値で確認することも重要です。
食品工場のカビ対策では、見えるカビを清掃するだけでなく、発生場所、空気の流れ、水分の状態、製造工程への影響をまとめて確認する必要があります。
自社の点検だけでは確認できない場所や、清掃後も繰り返し発生するカビがある場合は、早めの専門調査をご検討ください。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部が、食品工場の衛生管理と再発防止を日本全国でサポートいたします。
HACCP上級者コーディネーターが見るカビ発生の根本原因
清掃しても再発するカビは、湿気・結露・空気の流れ・建物内部に原因が隠れている
食品工場でカビが見つかると、最初に「清掃が不十分だったのではないか」と考える方は少なくありません。
もちろん、食品残渣や粉じん、油分などが残っていれば、カビが増殖しやすくなるため、日常清掃は非常に重要です。
しかし、清掃を徹底している食品工場でも、天井、壁、空調設備、冷蔵庫周辺などにカビが発生することがあります。
さらに、カビを取り除いた直後はきれいになっても、数週間後や数か月後に同じ場所へ再発するケースもあります。
このような場合は、清掃方法だけではなく、建物や設備、空気環境、製造工程の中にカビを発生させる原因が残っている可能性があります。
MIST工法®カビバスターズには、HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍しています。
カビの色や広さだけで判断するのではなく、製造工程への影響、清潔区域と汚染区域の関係、温度や湿度、給排気のバランス、水分の発生源などを含めて確認し、根本原因を整理することが重要だと考えています。
カビが発生する基本条件は「水分・温度・栄養分」
カビは、何もない場所から突然発生するわけではありません。
カビが増殖するには、主に次の3つの条件が関係します。
水分があること
増殖しやすい温度であること
栄養分となる汚れや有機物があること
食品工場は、製造や洗浄に水を使用し、食品原料を扱う場所です。そのため、一般的な建物と比べて、カビが増殖する条件がそろいやすい環境といえます。
特に重要なのが水分です。
温度や栄養分を完全になくすことは難しくても、水分を適切に管理できれば、カビが増殖するリスクを下げやすくなります。
食品工場では、次のような水分が発生します。
加熱や煮炊きによる蒸気
床や機械の洗浄水
冷却配管や冷蔵設備の結露
配管や屋根からの漏水
高湿度の外気
排水設備から上がる湿気
製品を冷却する際に発生する水分
濡れた清掃用具からの水分
床に水が見えていなくても、壁材や天井材の内部に水分が残っていることがあります。
そのため、食品工場のカビ対策では、見える水だけでなく、見えない水分まで確認する必要があります。
高湿度だけでなく、温度差による結露にも注意する
食品工場では、作業区域ごとに温度が大きく異なる場合があります。
たとえば、加熱室は高温になりやすく、冷蔵庫や冷凍庫の周辺は低温になります。暖かく湿った空気が冷たい壁、天井、配管などに触れると、空気中の水分が水滴へ変わります。
これが結露です。
結露は、雨漏りのように大量の水が流れ出るとは限りません。毎日少量の水分が発生し、建材へ染み込んでいることもあります。
表面が乾いたように見えても、内部では湿った状態が続き、カビが増殖するケースがあります。
特に注意したい場所は次のとおりです。
冷蔵庫や冷凍庫の外壁
冷媒配管の周辺
空調吹き出し口
外壁に面した天井や壁
加熱室と冷却室の境目
断熱材の切れ目
金属製の梁や下地
天井裏にあるダクト周辺
結露を見つけたときは、水滴を拭き取るだけで終わらせてはいけません。
なぜその場所が冷えているのか、断熱材に不足や劣化がないか、暖かく湿った空気がどこから入っているのかを確認する必要があります。
洗浄後に乾かないことがカビの原因になる
食品工場では、衛生状態を維持するために、製造終了後の洗浄が欠かせません。
しかし、洗浄に使用した水が長時間残ると、かえってカビや微生物が増殖しやすい環境になることがあります。
問題になるのは、洗浄そのものではなく、洗浄後に十分乾燥できていない状態です。
たとえば、次のような場所では水分が残りやすくなります。
機械や製造ラインの下
床と壁の接合部
排水溝の周囲
壁パネルの継ぎ目
床のくぼみ
清掃用具の保管場所
配管や架台の裏側
空気が流れにくい角部分
床の水切りを行っていても、室内の湿度が高く、換気量が不足していれば乾燥に時間がかかります。
また、洗浄時に高圧の水を使用すると、壁材の隙間や設備の内部へ水が入り込む場合があります。
洗浄後の乾燥状態を確認することは、清掃管理の仕上がりを確認するうえでも重要です。
「洗ったから清潔」と考えるのではなく、「洗浄後に水分が残っていないか」まで確認する必要があります。
空調や換気の不足が湿気を滞留させる
食品工場では、室温を一定に保つために空調設備を使用します。
しかし、空調設備が動いていても、室内の湿気が適切に排出されているとは限りません。
冷房は温度を下げますが、製造工程で大量の蒸気が発生する場合や、外気から多くの湿気が入る場合には、十分に除湿できないことがあります。
また、給気口と排気口の位置が適切でなければ、室内に空気が動かない場所ができます。
空気が動かない場所では、湿気が滞留し、壁や天井の表面温度が下がった際に結露が発生しやすくなります。
特に、次のような状態がある場合は注意が必要です。
室内の場所によって温度や湿度に大きな差がある
天井付近だけ湿気がこもっている
機械の裏側に空気が流れていない
排気設備を増設してから結露が増えた
扉を開けると強く空気が流れ込む
空調稼働中にカビ臭がする
一部の吹き出し口から風が出ていない
フィルター交換後も真菌数が高い
空調設備は、室温だけでなく、湿度と空気の流れを管理する設備として考えることが重要です。
強い負圧が外部のカビ胞子を吸い込むことがある
食品工場では、臭気、蒸気、熱、粉じんなどを排出するために、大型の換気扇や局所排気設備を使用します。
排気量に対して給気量が不足すると、室内の空気が外へ出すぎる状態になります。これが負圧です。
適切な圧力差を設けることは衛生管理上必要な場合がありますが、想定以上に強い負圧になると、管理していない場所から空気を吸い込む可能性があります。
空気は、扉からだけ入ってくるとは限りません。
壁や天井の隙間
配管の貫通部
点検口
シャッターの隙間
排水設備の周囲
天井裏
壁内部
搬入口
このような場所から、湿った外気や天井裏の空気、カビの胞子が入り込むことがあります。
包装室や充填室のような清潔に管理したい区域が強い負圧になっている場合、周辺の汚染されている区域から空気を吸い込むおそれがあります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じて風量計を使用し、給気量と排気量、扉や開口部付近の空気の流れを確認します。
カビの発生原因を考える際には、カビがある場所だけではなく、空気がどこから入り、どこへ流れているかを調べることが重要です。
壁内部や天井裏の結露が見えない発生源になる
表面を何度清掃してもカビが再発する場合、壁の内部や天井裏に発生源が残っている可能性があります。
食品工場の壁や天井には、断熱材、配管、電気配線、空調ダクトなどが収められています。
配管からの漏水、断熱材の劣化、外気の侵入などによって内部が湿ると、表面から見えない場所でカビが増殖することがあります。
壁の内部で増えたカビの胞子は、パネルの継ぎ目やコンセント、配管の貫通部などから室内へ入り込む可能性があります。
次のような状態がある場合は、内部調査を検討する必要があります。
同じ壁面にカビが繰り返し発生する
壁や天井に薄いシミが広がっている
表面は乾いているのにカビ臭がする
雨の日だけ臭いが強くなる
配管周辺の壁が変色している
壁材が膨らんでいる
天井裏から水滴が落ちたことがある
室内の真菌数が下がらない
MIST工法®カビバスターズ本部では、ファイバースコープを使用し、目視できない壁や天井の内部を調査しています。
また、建材の含水率を測定することで、建材内部に水分が残っていないかを確認します。
表面だけを見て判断せず、必要な範囲で内部まで調べることが、再発防止につながります。
建材の含水率から水分の異常を確認する
建材の見た目だけでは、内部にどの程度の水分が含まれているか判断できません。
触ったときに乾いているように感じても、内部が湿っている場合があります。
そこで活用するのが、建材の含水率測定です。
含水率とは、建材にどの程度の水分が含まれているかを示すものです。周囲と比べて高い数値が出た場所は、漏水、結露、水分の染み込みなどが起きている可能性があります。
含水率測定は、カビそのものを測る検査ではありません。
しかし、カビが発生しやすい水分環境が残っていないかを確認するための重要な調査です。
たとえば、壁の一部だけ含水率が高ければ、その周辺に配管や外壁からの水分侵入がないかを調べる手がかりになります。
対策後に含水率を測定することで、建材が十分に乾燥しているかを確認することもできます。
原材料や粉じんもカビの栄養源になる
食品工場では、空気中や設備表面に食品由来の粉じんや油分が付着します。
小麦粉、でんぷん、砂糖、調味料、パン粉などの細かな粉は、見た目には少量でも、カビの栄養源になることがあります。
特に、次のような場所には粉じんがたまりやすくなります。
配管やダクトの上
照明器具の上部
制御盤や機械の裏側
天井の梁
ケーブルラック
換気口の周辺
手が届きにくい高所
壁と設備の狭い隙間
これらの場所は、日常清掃の対象から外れやすく、湿気が加わるとカビが増殖する可能性があります。
床や製造機械だけではなく、上部構造や設備の裏側まで含めて清掃範囲を決めることが重要です。
ただし、清掃しても短期間で粉じんがたまる場合は、集じん設備や空気の流れ、製造工程そのものを見直す必要があります。
人や物の動線がカビ胞子を運ぶこともある
カビの胞子は、空気だけでなく、人や物に付着して工場内を移動します。
作業着、靴、手袋、台車、パレット、段ボール、清掃用具などが、胞子を別の区域へ運ぶ可能性があります。
特に、原材料倉庫や屋外に近い場所で使用した台車を、そのまま清潔区域へ入れる運用には注意が必要です。
また、カビが発生している場所を清掃したブラシやモップを、ほかの区域で使用すると、胞子を広げることがあります。
HACCPの視点では、人や物がどこから入り、どの区域を通り、どこへ移動するのかを確認します。
カビ対策でも、次の内容を整理することが重要です。
清潔区域と一般区域で履物を分けているか
清掃用具を区域ごとに区別しているか
原材料の段ボールを製造室へ持ち込んでいないか
台車やパレットの洗浄方法が決められているか
カビ発生区域を通った人が清潔区域へ移動していないか
作業着や手袋の交換ルールが守られているか
建物や設備だけでなく、運用上の動線を見直すことも、カビの拡散防止につながります。
清掃不足と決めつけると根本原因を見失う
食品工場でカビが発生したとき、担当者の清掃不足として処理してしまうと、本当の原因を見逃す可能性があります。
たとえば、毎日壁を拭いていても、壁内部の配管から水が漏れていればカビは再発します。
空調の吹き出し口を清掃しても、空調機内部やダクトにカビが残っていれば、再び胞子が飛散します。
結露を毎日拭き取っても、断熱や給排気の問題が残っていれば、翌日にはまた水滴が発生します。
これは、穴の開いたバケツへ水を入れ続けながら、こぼれた水だけを拭いている状態と同じです。
必要なのは、拭く回数を増やすことではなく、どこに穴があるのかを見つけて改善することです。
食品工場のカビ対策も同じで、清掃、建物、設備、空調、製造工程、作業方法を分けて考えるのではなく、全体をつなげて原因を確認する必要があります。
真菌検査で発生源と広がりを確認する
カビの発生原因を調べる際には、目視調査や水分調査だけでなく、真菌検査も有効です。
一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査を行うことで、空気中や設備表面に存在するカビ菌の状態を数値で確認できます。
たとえば、製造室、包装室、倉庫、屋外など複数の場所で検査を行うことで、どの区域の数値が高いのかを比較できます。
空調の稼働前後や清掃の前後で検査を行えば、空調設備や清掃作業が数値に影響していないかを確認する手がかりにもなります。
真菌検査で確認したい主なポイントは次のとおりです。
特定の区域だけ数値が高くないか
屋外より室内の数値が高くなっていないか
空調の運転によって数値が変化しないか
清掃前後で数値が改善しているか
対策後に再び数値が上がっていないか
付着菌が特定の設備へ集中していないか
検査結果だけで原因を断定することはできませんが、目視、含水率、空気の流れ、建物の状態と組み合わせることで、原因を絞り込みやすくなります。
原因追究は「発見・調査・改善・確認」の順で進める
食品工場のカビ対策では、次の流れで進めることが重要です。
1.発見
カビ、結露、異臭、変色などの異常を見つけ、場所、日時、範囲を記録します。
2.調査
真菌検査、建材の含水率測定、ファイバースコープ調査、風量計による空気の流れの確認などを行います。
3.改善
カビへの対応だけでなく、漏水、結露、断熱、換気、負圧、洗浄方法、保管方法などの原因を改善します。
4.確認
対策後に再発していないか、真菌数や建材の水分状態が改善しているかを確認し、記録を残します。
この流れを衛生管理の仕組みに取り入れることで、問題が起きたときにも原因と対応内容を説明しやすくなります。
HACCP上級者コーディネーターの視点を現場改善に生かす
HACCPでは、危害要因を考え、管理方法を決め、確認し、記録を残すことが重要です。
食品工場のカビ対策も、この考え方に沿って進める必要があります。
MIST工法®カビバスターズに在籍するHACCP上級者コーディネーター取得者は、単にカビの発生部分を見るだけではなく、食品がどの工程を通り、どの場所で製品が露出し、どこから汚染が入り込む可能性があるかを考慮します。
同じ大きさのカビでも、食品に触れる可能性のない機械室と、加熱後の製品を扱う包装室では、対応の優先順位が異なります。
製品への影響、空気の流れ、作業動線、清潔区域との位置関係などを整理し、衛生管理上のリスクが高い場所から対策を検討することが重要です。
食品工場でカビが繰り返し発生している場合は、清掃の回数だけを増やすのではなく、発生条件が残っていないかを調べてください。
MIST工法®カビバスターズ本部では、HACCP上級者コーディネーター取得者の知識を生かし、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査、建材の含水率測定、ファイバースコープによる壁内調査、風量計による負圧や空気環境の確認を行っています。
食品工場のカビ問題は、目に見える部分だけを清掃しても、原因が残っていれば再発する可能性があります。
自社だけでは原因がわからない場合や、清掃後も繰り返しカビが発生する場合は、早めにMIST工法®カビバスターズ本部へご相談ください。
食品工場の衛生環境と製品の安全、取引先からの信頼を守るため、日本全国のカビトラブルに対応いたします。
結露が発生すると食品工場はなぜ危険なのか
天井や配管の水滴は、カビの増殖・製品汚染・監査指摘につながる重要な警告サイン
食品工場で発生するカビの原因として、特に注意しなければならないのが結露です。
結露というと、冷たい配管や窓に付いた水滴を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、食品工場で起こる結露は、単に水滴を拭き取れば終わる問題ではありません。
天井、壁、冷却設備、配管、空調ダクトなどに結露が繰り返し発生すると、建材が湿った状態になり、カビが増殖しやすくなります。
さらに、天井や設備に付いた水滴が製品や包装資材の上へ落下すれば、製品の衛生状態にも影響を与える可能性があります。
食品工場における結露は、次のような問題につながります。
天井や壁へのカビ発生
製品や包装資材への水滴落下
空気中へのカビ胞子の拡散
建材や断熱材の劣化
金属部分の腐食
電気設備や機械への影響
衛生監査や取引先監査での指摘
清掃や補修作業の増加
そのため、結露を見つけたときは、その場の水滴を拭くだけではなく、「なぜその場所で結露が起きたのか」を調べることが重要です。
結露はどのような仕組みで発生するのか
空気の中には、目に見えない水分が含まれています。
暖かい空気は多くの水分を含むことができますが、空気が冷やされると、水分を含み続けることができなくなります。
その結果、余った水分が冷たい壁、天井、配管、金属部分などに水滴として現れます。これが結露です。
たとえば、夏に冷たい飲み物を入れたコップの外側へ水滴が付くのと同じ仕組みです。
食品工場では、次のような温度差が日常的に発生します。
加熱室と冷却室の温度差
冷蔵庫内と工場内の温度差
冷媒配管と周囲の空気の温度差
外気と空調された室内の温度差
洗浄時の温水と冷たい建材の温度差
製造中と製造停止後の温度差
食品工場は、加熱、冷却、洗浄、換気などが同時に行われるため、温度と湿度の変化が大きくなりやすい建物です。
そのため、一般的な事務所や住宅よりも、結露が発生する条件が複雑になる場合があります。
食品工場で結露が発生しやすい場所
結露は、室内全体へ均等に発生するわけではありません。
表面温度が低い場所や、暖かく湿った空気が集まる場所に集中して発生します。
食品工場では、特に次の場所を確認する必要があります。
冷媒配管と保温材
冷蔵庫や冷凍庫につながる冷媒配管は、表面温度が低くなります。
配管を覆う保温材に隙間、破れ、劣化があると、その部分だけ表面温度が下がり、水滴が発生しやすくなります。
保温材の内側で結露している場合、外から見ただけでは発見できないことがあります。内部へ水分がたまると、保温材や周辺の天井材にカビが発生する可能性があります。
冷蔵庫・冷凍庫の外壁と上部
冷蔵庫や冷凍庫のパネルは、内部の低温によって冷やされています。
パネルの継ぎ目、扉の周囲、壁と天井の接合部などで断熱や気密が不十分になると、外側の表面温度が低下し、結露が発生する場合があります。
冷蔵庫の上部は日常点検で見えにくく、結露やカビが長期間放置されやすい場所です。
天井・梁・金属下地
暖かい空気や水蒸気は上へ移動します。
そのため、加熱室、洗浄室、蒸気を使用する工程では、天井付近に湿気が集中します。
天井や梁の表面温度が低ければ、水蒸気が水滴へ変わります。金属は熱を伝えやすいため、金属製の梁、ボルト、下地部分だけに結露が集中することもあります。
空調吹き出し口とダクト
空調設備から冷たい空気を送ると、吹き出し口やダクトの表面温度が下がります。
周囲の空気が高温多湿であれば、吹き出し口の周辺に結露が発生します。
天井の吹き出し口周辺だけに黒い汚れやシミがある場合は、空調設備の汚れだけでなく、結露によるカビ発生も疑う必要があります。
外壁・屋根・搬入口周辺
外気の影響を受けやすい外壁や屋根も、結露が起こりやすい場所です。
特に、断熱材が不足している場所や、断熱材がずれている場所では、室内側の表面温度が部分的に低下します。
搬入口やシャッター周辺では、外気が直接入り込み、室内の温度と湿度が急激に変化することがあります。
天井の結露は製品への落下リスクがある
食品工場で特に注意したいのが、天井や天井設備に発生する結露です。
天井に水滴が発生すると、時間の経過とともに水滴が大きくなり、床や製造設備の上へ落下します。
水滴が落ちる場所に、露出した食品、包装前の製品、容器、包装資材などがあれば、製品への影響を考えなければなりません。
結露水は、必ずしも清潔な水ではありません。
天井表面、配管、梁、空調設備などに付着しているほこり、カビの胞子、汚れなどを含んで落下する可能性があります。
特に注意が必要なのは、次の工程です。
加熱後の食品を冷却する工程
包装前の製品を扱う工程
容器へ食品を充填する工程
食品をむき出しで搬送する工程
包装資材を開封して保管する場所
最終製品を一時保管する場所
加熱前の原材料であれば、その後の加熱工程によって一部の微生物リスクを低減できる場合があります。
しかし、加熱後の食品や、そのまま食べる製品に結露水が落下した場合は、その後に十分な加熱工程がありません。
そのため、同じ結露であっても、発生場所と製造工程によってリスクの大きさが異なります。
HACCP上級者コーディネーターの視点では、結露の量だけを見るのではなく、製品がどの状態でその下を通るのかを確認することが重要です。
結露を放置するとカビの温床になる
結露が一時的に発生しても、すぐに乾燥すれば、必ずカビが増殖するとは限りません。
問題になるのは、毎日同じ場所で結露が発生し、建材が乾かない状態です。
天井材、壁材、断熱材、ほこり、食品由来の粉じんなどに水分が加わると、カビが増殖しやすい環境ができます。
特に、天井裏や壁内部は空気が動きにくく、一度湿ると乾燥しにくい場所です。
表面の水滴を毎日拭いていても、内部に水分が入り込んでいれば、見えない場所でカビが増殖する可能性があります。
次のような状態が見られる場合は、内部の確認が必要です。
天井のシミが少しずつ広がっている
同じ場所を拭いても翌日に水滴が付く
天井材や壁材が膨らんでいる
パネルの継ぎ目が変色している
結露が発生する周辺でカビ臭がする
天井裏から水が落ちてきたことがある
表面清掃後もカビが再発する
室内の真菌検査結果が安定しない
結露が確認された時点で原因を調べることが、カビ被害の拡大を防ぐために重要です。
表面結露と内部結露の違い
食品工場の結露には、大きく分けて表面結露と内部結露があります。
表面結露
表面結露は、天井、壁、配管などの表面に水滴が現れる状態です。
目で見つけやすいため、日常点検や清掃時に発見できる可能性があります。
ただし、水滴を拭き取るだけでは、発生原因を改善したことにはなりません。
内部結露
内部結露は、壁、天井、断熱材などの内部で水分が発生する状態です。
外から見えないため、カビが広がるまで気づかないケースがあります。
内部結露が起こると、断熱材が湿って性能が低下し、さらに結露しやすくなる悪循環が生まれることがあります。
また、壁内部で増殖したカビの胞子が、パネルの継ぎ目、配管の隙間、点検口などから製造区域へ入り込む可能性もあります。
表面に小さなシミしか見えなくても、内部では広い範囲が湿っている場合があるため注意が必要です。
なぜ結露水を拭くだけでは解決しないのか
結露が発生すると、現場ではまず水滴を拭き取る対応が行われます。
製品への落下を防ぐために、その場で水滴を除去することは必要です。
しかし、拭き取りは緊急対応であり、根本的な解決ではありません。
たとえるなら、雨漏りしている部屋で床へ落ちた水だけを毎日拭いている状態です。
床は一時的に乾きますが、屋根の不具合を直さなければ、雨が降るたびに同じ場所が濡れます。
結露も同じです。
次のような原因が残っていれば、水滴は繰り返し発生します。
断熱材の不足や劣化
保温材の破損
温度設定の不適合
湿度の上昇
蒸気の排出不足
給気と排気のバランス不良
強い負圧による湿った外気の侵入
洗浄後の乾燥不足
建物の隙間からの外気流入
結露対策では、水滴を除去すると同時に、温度、湿度、断熱、気密、換気、空気の流れを確認する必要があります。
負圧が結露を増やすこともある
食品工場では、蒸気、熱、臭気、粉じんなどを排出するために、大型の排気設備を使用します。
排気量に対して給気量が不足すると、室内が強い負圧になることがあります。
強い負圧になると、扉の隙間、壁の継ぎ目、天井裏、配管の貫通部などから外気を吸い込みます。
夏場に高温多湿の外気が、冷房で冷えた壁内部や天井裏へ入り込むと、見えない場所で結露が発生することがあります。
また、冬場には暖かく湿った室内空気が、冷たい外壁側へ移動することで内部結露が起こる場合があります。
このように、結露の原因は室内の温度や湿度だけではありません。
どこから空気が入り、どこへ流れているのかを確認することが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じて風量計を使用し、給気と排気の状態や負圧の有無を確認しています。
結露の原因を調べるために必要な確認
食品工場で結露が発生した場合は、次の順番で確認すると原因を整理しやすくなります。
1.発生場所を記録する
結露が起きた場所、時間、製造工程、天候、空調の運転状況などを記録します。
写真を残し、どの程度の水滴が発生したかを比較できるようにします。
2.温度と湿度を確認する
室内の温度と湿度だけでなく、可能であれば天井や配管などの表面温度も確認します。
製造中、洗浄中、製造終了後で数値が大きく変化していないかを確認することも重要です。
3.水分の発生源を確認する
蒸気、洗浄水、漏水、外気など、湿気がどこから発生しているかを確認します。
4.断熱・保温状態を確認する
冷媒配管の保温材、冷蔵庫の断熱パネル、天井や外壁の断熱材に破損や隙間がないかを調べます。
5.空気の流れを確認する
給気と排気の量、扉付近の風の動き、空調の吹き出し方向などを確認します。
6.壁や天井内部を確認する
表面のシミや変色がある場合は、ファイバースコープなどを使って、内部に結露やカビがないかを確認します。
7.建材の含水率を確認する
結露箇所の周辺と正常な場所を比較し、建材内部に水分が残っていないかを調べます。
建材の含水率測定で見えない湿気を調べる
結露が発生した建材は、表面を拭いても内部に水分が残ることがあります。
見た目には乾いていても、天井材、壁材、木材、下地材などが湿った状態であれば、カビが再発する可能性があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、建材の含水率測定を行っています。
含水率の数値を周囲と比較することで、次のような異常を確認する手がかりになります。
結露水が建材へ染み込んでいないか
漏水が起きていないか
壁や天井内部に水分が残っていないか
対策後に十分乾燥しているか
目に見えない範囲まで湿気が広がっていないか
含水率測定だけで原因を断定することはできませんが、目視調査やファイバースコープ調査と組み合わせることで、原因を絞り込みやすくなります。
ファイバースコープで内部結露を確認する
天井裏や壁内部は、通常の目視では確認できません。
しかし、結露やカビが内部で発生している場合、表面清掃だけでは問題を解決できません。
MIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じてファイバースコープを使用し、壁や天井の内部を確認します。
小さな開口部からカメラを入れることで、次のような状態を調べます。
断熱材が湿っていないか
配管から漏水していないか
内部にカビや変色がないか
水滴が付着していないか
壁や天井の裏側に汚れがないか
隙間から外気が入り込んでいないか
外から見えるカビの範囲だけで判断せず、必要に応じて内部まで確認することが、再発防止につながります。
真菌検査で結露周辺のカビリスクを確認する
結露が発生している場所では、すでにカビが増殖している可能性があります。
しかし、見た目だけでは、空気中や設備表面にどの程度のカビ菌が存在しているか判断できません。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会と連携し、必要に応じて真菌検査をご提案しています。
結露箇所、その周辺、製造区域、屋外などを比較することで、工場内でカビが増殖している可能性を確認しやすくなります。
また、対策前と対策後に検査を行うことで、実施した改善が衛生環境にどのような変化を与えたかを確認する資料にもなります。
監査対応では、結露を見つけた後に、どのように原因を調べ、改善し、その結果をどのように確認したかを記録しておくことが重要です。
HACCPの視点で結露管理を仕組み化する
結露対策は、発見した担当者だけが対応する仕組みでは、見落としや対応の遅れが起こりやすくなります。
HACCPに沿った衛生管理へ結露対策を組み込むためには、点検方法と対応手順を決めておくことが重要です。
日常点検では、次の項目を確認しましょう。
天井や配管に水滴がないか
壁や床に結露跡がないか
保温材に破れや隙間がないか
空調吹き出し口が濡れていないか
結露水が製品の上へ落ちる可能性がないか
洗浄後に水分が残っていないか
結露箇所にカビや変色がないか
前回の改善箇所で再発していないか
結露を発見した場合は、製品への影響を確認し、必要に応じて製造ラインの停止、製品の隔離、発生箇所の養生などを検討します。
その後、原因調査、改善、再確認までを記録として残すことで、監査時にも管理状況を説明しやすくなります。
結露は建物から届く「異常のサイン」
食品工場の結露は、床に落ちる前の小さな水滴であっても、建物や設備に異常が起きている可能性を知らせるサインです。
水滴を拭くだけでは、原因は残ったままです。
結露が繰り返されている場合は、次の3点を確認する必要があります。
水分はどこから発生しているのか
なぜその場所の表面温度が低いのか
空気はどこから入り、どこへ流れているのか
原因を確認せずに表面だけを清掃しても、現代の高気密な食品工場では、天井裏や壁内部でカビが再発する可能性があります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、建材の含水率測定、ファイバースコープによる内部調査、風量計による負圧や空気の流れの確認を行い、結露とカビの発生原因を追究します。
さらに、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査によって、見えないカビ菌の状態を確認することもできます。
天井から水滴が落ちる、同じ場所に結露が繰り返し発生する、結露周辺にカビが見える、清掃後もカビ臭が残るといった場合は、早めの専門調査をご検討ください。
MIST工法®カビバスターズ本部が、食品工場の衛生環境と製品の安全を守るため、日本全国のカビトラブルに対応いたします。
空調設備と換気の問題がカビを増やす理由
温度管理だけでは不十分|給気・排気・湿度・空気の流れを確認することが食品工場のカビ対策につながる
食品工場では、製品の品質や作業環境を維持するために、空調設備や換気設備が欠かせません。
製造室の温度を一定に保つ、加熱工程で発生した熱や蒸気を排出する、外部から清浄な空気を取り入れるなど、空調と換気にはさまざまな役割があります。
しかし、設備が動いているからといって、工場内の空気が適切に管理されているとは限りません。
空調設備や換気設備の能力不足、フィルターの汚れ、ダクト内部の結露、給気と排気のバランス不良などがあると、湿気やカビ胞子を工場内へ広げる原因になることがあります。
食品工場でカビが繰り返し発生する場合は、壁や天井の清掃だけでなく、空気がどこから入り、どの方向へ流れ、どこから排出されているのかを確認することが重要です。
HACCP上級者コーディネーターの視点では、空調や換気を単なる温度調整設備としてではなく、製造環境の衛生状態を左右する重要な管理要素として捉えます。
空調設備は温度だけでなく湿度にも影響する
食品工場の空調管理では、室温に注目しがちです。
しかし、カビ対策で重要なのは温度だけではありません。空気中にどれだけ水分が含まれているかを示す湿度も確認する必要があります。
室温が設定値どおりであっても、湿度が高い状態が続けば、天井、壁、配管、空調吹き出し口などで結露が起こりやすくなります。
特に食品工場では、次のような工程で大量の湿気が発生します。
食品の加熱や蒸し工程
ゆでる、煮るなどの調理工程
温水や高圧洗浄機を使った洗浄
床や設備に残った洗浄水の蒸発
冷却前の製品から発生する水蒸気
人の出入りによる湿った外気の流入
冷蔵庫や冷凍庫の扉の開閉
原材料に含まれる水分の蒸発
これらの湿気を空調や換気で十分に処理できなければ、室内の相対湿度が上がります。
湿度が高い状態では、表面温度が少し低いだけでも結露が発生しやすくなるため、空調設備の運転状況と湿度の変化を一緒に確認することが大切です。
換気設備が動いていても換気できているとは限らない
「換気扇が回っているから問題ない」と考えてしまうケースがあります。
しかし、換気扇や排気ファンが動いていても、必要な風量が確保されているとは限りません。
次のような状態では、設備が運転していても十分な換気ができない可能性があります。
排気ファンに油やほこりが付着している
フィルターが目詰まりしている
ダクト内部に汚れが蓄積している
ダクトが変形、破損している
給気口が荷物や設備でふさがれている
防虫網に汚れが詰まっている
設備の増設で必要な換気量が変わっている
排気量に対して給気量が不足している
扉やシャッターの開閉状態が想定と異なる
換気設備は、設置したときの状態が永遠に続くわけではありません。
製造量の増加、機械設備の増設、間仕切りの変更、作業人数の変化などによって、工場内に必要な換気量や空気の流れが変わることがあります。
設計当初は適切だった設備でも、現在の製造環境には合っていない可能性があります。
そのため、設備の稼働確認だけでなく、実際にどの程度の空気が流れているのかを測定することが重要です。
給気と排気のバランスが崩れると湿気がたまる
換気は、室内の空気を外へ出す排気と、外から空気を取り入れる給気の両方で成り立っています。
排気だけを強くしても、排出した空気に見合う給気がなければ、工場内の空気は適切に入れ替わりません。
給気量と排気量のバランスが崩れると、室内が強い負圧または正圧になることがあります。
負圧が強すぎる場合
排気量が給気量よりも多いと、室内の気圧が外部より低くなります。
この状態を負圧といいます。
負圧が強くなると、次のような場所から予定していない空気を吸い込む可能性があります。
扉の隙間
シャッターの下部
壁や天井の継ぎ目
配管やケーブルの貫通部
排水口
天井裏
壁内部
外壁の小さな隙間
夏場には、高温多湿の外気が隙間から入り込み、冷房で冷えた壁や天井に触れることで結露が起こる場合があります。
また、清浄度の低い区域から製造区域へ空気が流れ込み、ほこりやカビ胞子を持ち込む可能性もあります。
正圧が強すぎる場合
給気量が排気量よりも多い場合は、室内が正圧になります。
清潔区域を適度な正圧に保つことは、外部からの汚染空気の流入を防ぐために有効な場合があります。
ただし、圧力差が大きすぎたり、空気の逃げ道が適切でなかったりすると、湿った空気が壁内部や天井裏へ押し込まれることがあります。
その空気が冷たい部分に触れると、見えない場所で内部結露が発生する可能性があります。
重要なのは、負圧か正圧かだけで判断することではありません。
製造区域の用途や清浄度に応じて、どの区域からどの区域へ空気を流すべきかを考え、実際の空気の流れを確認する必要があります。
空気がよどむ場所はカビが発生しやすい
工場内の温度や湿度を測定すると、全体としては問題のない数値が出ることがあります。
しかし、室内のすべての場所が同じ環境とは限りません。
空調の風が届きにくい場所や、設備の裏側、天井付近などでは、空気がほとんど動いていないことがあります。
空気がよどみやすい場所には、湿気やほこりがたまりやすくなります。
特に注意したいのは、次のような場所です。
大型製造設備の裏側
冷蔵庫や冷凍庫の上部
天井とダクトの間
倉庫の奥や棚の裏
原材料を積み上げている場所
壁際に密着させた包装資材の後ろ
空調吹き出し口から遠い場所
間仕切りで風が遮られている場所
配管やケーブルが集中している天井付近
空気が動かなければ、洗浄後の水分も乾きにくくなります。
また、温度差によって発生した結露水が長く残り、カビが増殖しやすい状態になることがあります。
工場内の一か所で測定した温度や湿度だけで判断せず、カビが発生している場所の周辺環境を個別に確認することが必要です。
空調設備の内部がカビ胞子の発生源になることもある
空調設備は工場内の空気を吸い込み、温度や湿度を調整して再び室内へ送り出します。
そのため、空調機の内部が汚染されていると、設備の運転によってカビ胞子を広範囲へ拡散させる可能性があります。
空調設備では、特に次の箇所を確認する必要があります。
吸い込み口
プレフィルター
高性能フィルター
熱交換器
冷却コイル
ドレンパン
ドレン配管
加湿設備
送風ファン
ダクト内部
吹き出し口
冷却コイルでは、空気を冷やす際に水分が結露します。
通常は、発生した水がドレンパンへ落ち、ドレン配管を通って排出されます。
しかし、ドレンパンに汚れがたまっている、排水勾配が不十分である、ドレン配管が詰まっているなどの問題があると、水が設備内部に滞留します。
そこにほこりや有機物が加わると、カビや微生物が増殖しやすい環境になります。
空調を運転したときだけカビ臭がする場合や、吹き出し口の周辺に黒い汚れが見られる場合は、空調設備内部の状態も確認する必要があります。
フィルターの汚れが空気の流れを変える
フィルターは、空気中のほこりや異物を捕集する重要な設備です。
しかし、フィルターが目詰まりすると、空気が通りにくくなり、必要な風量を確保できなくなります。
その結果、次のような問題が起こる可能性があります。
室内の温度や湿度が安定しない
空調の風が届かない場所が増える
蒸気や湿気が排出されにくくなる
空調機の内部が結露しやすくなる
想定外の隙間から空気を吸い込む
エネルギー使用量が増加する
フィルター表面にカビが発生する
フィルター交換は、期間だけで管理するのではなく、製造環境や汚れの状態に合わせて判断する必要があります。
粉体原料を扱う工場、油煙が発生する工場、外気に粉じんが多い地域などでは、一般的な交換周期よりも早く目詰まりする可能性があります。
交換日、点検結果、圧力差、汚れの状態などを記録し、適切な管理基準を設定することが重要です。
ダクト内部の汚れや結露は外から見えにくい
空調ダクトや排気ダクトの内部は、日常の目視点検では確認しにくい場所です。
しかし、ダクト内部には、ほこり、油分、食品由来の粉じん、水分などが蓄積することがあります。
特に、ダクト表面の断熱が不足している場合や、冷たい空気と暖かく湿った空気が接触する場合は、内部または外側に結露が発生する可能性があります。
ダクト内部でカビが増殖すると、運転時の風によって胞子や汚れが工場内へ運ばれることがあります。
次のような状態が見られる場合は、ダクト内部の確認を検討する必要があります。
吹き出し口周辺に黒い汚れが繰り返し付く
空調運転時にカビ臭や不快な臭いがする
特定の吹き出し口付近だけ真菌数が高い
ダクトから水滴が落ちる
天井内に水染みがある
空調停止後に湿度が急上昇する
フィルターを交換しても臭いが改善しない
見える吹き出し口だけを清掃しても、ダクト内部や空調機本体に原因が残っていれば、同じ問題が再発する可能性があります。
空調停止後の湿度上昇にも注意が必要
製造中は空調設備が稼働しているため、温度と湿度が安定しているように見えることがあります。
しかし、製造終了後に空調をすぐ停止すると、洗浄で発生した水分が工場内に残り、湿度が急激に上昇する場合があります。
特に、夜間や休日に次のような状況が重なると、カビが発生しやすくなります。
洗浄直後に空調や換気を停止する
床や設備に水が残っている
扉や窓を閉め切っている
室温が下がり結露が発生する
空気が動かず乾燥しない
排水口から湿気が上がってくる
冷却設備だけが運転を続けている
日中の点検では異常がなくても、夜間に高湿度状態が続いている可能性があります。
カビが繰り返し発生する場合は、製造中だけでなく、洗浄後、夜間、休日の温度と湿度も確認することが重要です。
必要に応じて、一定時間の送風運転、除湿運転、換気運転などを検討し、洗浄後の水分を十分に乾燥させる管理が求められます。
季節によって空調と換気の問題は変化する
食品工場の空調・換気環境は、年間を通して同じではありません。
外気温や外気湿度が変化するため、季節ごとに異なるカビリスクが生じます。
梅雨から夏
梅雨から夏は、外気に多くの水分が含まれています。
強い負圧によって湿った外気を吸い込むと、冷房された室内や壁内部で結露が起こりやすくなります。
また、冷却設備や冷媒配管の表面にも水滴が発生しやすい時期です。
秋
外気温が下がり始める一方で、製造工程から熱や蒸気が発生すると、建物の内外に温度差が生まれます。
夏の間に湿った断熱材や建材が乾かず、カビが増殖していることもあります。
冬
外壁、屋根、搬入口、シャッター周辺などが冷やされ、室内の暖かく湿った空気が触れることで結露が発生します。
洗浄で温水を使用する工場では、冷たい建材との温度差が大きくなり、天井や壁に結露が起こる場合があります。
春
気温の変化が大きく、暖房、冷房、換気の運転切り替えが適切でないと、湿度管理が不安定になることがあります。
季節の変わり目には、空調設備の設定や運転時間を見直すことが重要です。
年間を通じて同じ設定を続けるのではなく、外気条件と製造工程に合わせた管理が求められます。
清潔区域と汚染区域の空気の流れを確認する
食品工場では、製品や工程の衛生レベルに応じて区域を分けることがあります。
たとえば、一般区域、準清潔区域、清潔区域などに分け、人や物の動線を管理します。
しかし、区域を壁や扉で分けていても、空気の流れが逆になっていれば、汚染リスクを十分に抑えられません。
一般的には、より清潔度の高い区域から低い区域へ空気が流れるように設計・管理することが重要です。
ところが、局所排気設備の追加、換気扇の能力低下、給気口の閉鎖などによって圧力差が変化すると、次のような問題が起こることがあります。
汚染区域から清潔区域へ空気が流れ込む
原材料倉庫の粉じんが包装室へ入る
洗浄室の湿気が製造室へ流れる
廃棄物保管場所の空気を吸い込む
天井裏の空気が製造室へ流れ込む
外気を未処理のまま吸い込む
扉を少し開けたときにどちらへ風が流れるか、扉が重く開けにくくなっていないかなども、圧力差を知る手がかりになります。
ただし、感覚だけでは正確な判断が難しいため、必要に応じて風量計などを使って確認することが大切です。
風量測定で実際の空気の動きを確認する
空調や換気の問題を確認するときは、設備の仕様書や運転表示だけで判断しないことが重要です。
設計上の風量と、現在の実際の風量が異なっている可能性があるためです。
風量測定では、主に次の項目を確認します。
給気口から出ている空気の量
排気口から排出されている空気の量
区域ごとの給気と排気のバランス
空調吹き出し口ごとの風量差
扉や隙間を通る空気の方向
空気がよどんでいる場所
設備稼働時と停止時の変化
MIST工法®カビバスターズ本部では、必要に応じて風量計を使用し、工場内の空気の流れや負圧の状態を確認しています。
製造設備、局所排気、空調設備などを実際の稼働状態にして測定することで、通常運転時に起きている問題を把握しやすくなります。
空気は目に見えません。
だからこそ、感覚だけではなく測定結果を基に原因を考えることが重要です。
真菌検査で空調由来のカビリスクを調べる
空調設備や換気設備がカビ胞子の拡散に関係しているかどうかは、見た目だけでは判断できません。
吹き出し口に黒い汚れがあっても、それがすべてカビとは限りません。
反対に、目立った汚れがなくても、空気中に多くの真菌が浮遊している場合があります。
そのため、必要に応じて真菌検査を行い、空調吹き出し口の周辺、製造区域、倉庫、屋外などの状態を比較します。
検査結果と空気の流れを照らし合わせることで、次のような可能性を検討しやすくなります。
空調設備内部でカビが増殖している
特定の吹き出し口から胞子が拡散している
外気からカビ胞子を取り込んでいる
隣接区域から汚染空気が流入している
天井裏や壁内部から空気が漏れている
清掃後も発生源が残っている
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会と連携し、食品工場の環境に応じた真菌検査をご提案しています。
空調清掃や設備改善の前後で検査を行えば、対策によって環境がどのように変化したかを確認する資料にもなります。
HACCP監査では設備管理の記録も重要になる
HACCPに沿った衛生管理では、問題が起きたときの対応だけでなく、日頃からどのように設備を管理しているかが重要です。
空調・換気設備については、次のような内容を記録しておくと、管理状況を整理しやすくなります。
フィルターの点検日と交換日
空調機内部の清掃日
ドレンパンとドレン配管の点検結果
ダクトや吹き出し口の汚れ
室内の温度と湿度
洗浄後の乾燥状態
給気口と排気口の異常
結露が発生した場所と時間
修理や改善を行った内容
改善後の確認結果
真菌検査の結果
風量や圧力差の確認結果
重要なのは、記録を残すことだけではありません。
異常が出た場合の判断基準と対応方法をあらかじめ決めておく必要があります。
たとえば、湿度が管理基準を超えた場合、結露を発見した場合、空調から異臭がした場合などに、誰が確認し、どのように製品への影響を判断するかを明確にしておきます。
空調・換気設備のチェックリスト
食品工場のカビ予防として、日常点検や定期点検では次の項目を確認しましょう。
日常的に確認したい項目
空調運転時に異臭がしないか
吹き出し口に水滴や黒い汚れがないか
室内に空気がよどんでいる場所がないか
天井や配管に結露がないか
温度と湿度が管理基準内にあるか
扉やシャッターから強い風が入っていないか
給気口や排気口が物でふさがれていないか
洗浄後に床や設備が乾燥しているか
定期的に確認したい項目
フィルターの汚れや目詰まり
熱交換器や冷却コイルの汚れ
ドレンパンの水たまり
ドレン配管の詰まり
ダクト内部の汚れや結露
保温材や断熱材の破損
給気量と排気量のバランス
清潔区域と汚染区域の圧力差
空調停止後の夜間湿度
真菌検査結果の変化
点検項目は、すべての食品工場で同じではありません。
製造品目、工程、建物構造、設備、季節などに応じて、自社に必要な項目を追加することが重要です。
空調の清掃だけで終わらせないことが重要
空調吹き出し口にカビのような汚れを見つけると、その部分を清掃する対応が行われます。
目に見える汚れを除去することは必要ですが、それだけで問題が解決したとは限りません。
なぜ吹き出し口が濡れたのか、なぜ空調内部に水分がたまったのか、なぜ汚れが繰り返し付着するのかを確認しなければ、再発する可能性があります。
確認すべき原因には、次のようなものがあります。
高湿度による結露
風量不足
フィルターの目詰まり
ドレン排水不良
断熱不足
ダクト内の汚染
外気取り入れ量の問題
給気と排気の不均衡
夜間の空調停止
天井裏からの湿気流入
カビ除去は対策の一つですが、原因改善を伴わなければ、同じ場所で再発する可能性があります。
空気の流れを管理することが食品の安全につながる
食品工場の空調と換気は、作業者が快適に働くためだけの設備ではありません。
湿気を排出し、結露を防ぎ、清潔区域への汚染空気の流入を抑え、空気中のカビ胞子を管理するための重要な衛生設備です。
空調設備が動いているという事実だけでは、適切に管理できている証明にはなりません。
給気と排気の風量、湿度、区域間の圧力差、設備内部の汚れ、夜間の環境変化まで確認する必要があります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程や衛生区域を踏まえながら、空調・換気・結露・カビの関係を総合的に調査します。
必要に応じて、風量計による負圧や空気の流れの確認、建材の含水率測定、ファイバースコープによる天井裏や壁内部の調査を行います。
さらに、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査により、目に見えないカビ菌の状態を数値で確認することも可能です。
空調を運転するとカビ臭がする、吹き出し口の周辺に黒い汚れが繰り返し発生する、製造室の湿度が下がらない、結露が多いといった場合は、表面清掃だけで終わらせず、空気の流れを含めた専門調査をご検討ください。
MIST工法®カビバスターズ本部が、日本全国の食品工場におけるカビトラブルの原因究明と衛生環境の改善をサポートいたします。
風量計による負圧測定の重要性
「換気設備が動いているから大丈夫」ではなく、給気・排気・区域間の空気の流れを数値で確認する
食品工場では、加熱工程から発生する蒸気、油煙、臭気、粉じんなどを屋外へ排出するため、換気扇や局所排気設備が使用されています。
これらの設備は、作業環境や衛生環境を維持するうえで欠かせません。
しかし、排気を強くするだけでは、工場内の空気を適切に管理できるとは限りません。
排気量に対して給気量が不足すると、工場内の気圧が外部より低い「負圧」の状態になります。
適切な負圧は、臭気や粉じんを特定区域へ封じ込めるために有効な場合があります。一方で、負圧が強すぎると、扉、シャッター、壁、天井、配管の貫通部などから、管理されていない空気を工場内へ吸い込む可能性があります。
湿度の高い外気、天井裏のほこり、壁内部のカビ胞子、清浄度の低い区域の空気が製造区域へ流れ込めば、結露やカビの発生、製品汚染につながるおそれがあります。
食品工場のカビ対策では、空調設備や換気設備が稼働しているかを確認するだけでは不十分です。
風量計などを用いて給気量と排気量を測定し、空気がどこから入り、どこへ流れているのかを数値と現場状況の両面から確認することが重要です。
負圧とはどのような状態なのか
負圧とは、室内の気圧が周囲の区域や屋外より低くなっている状態です。
排気設備によって工場内の空気を外へ出すと、排出された分の空気をどこかから補わなければなりません。
十分な給気設備があれば、フィルターなどを通して管理された空気が取り込まれます。
しかし、給気量が不足していると、空気は次のような隙間から工場内へ入り込みます。
出入口の扉
搬入口のシャッター
壁と床の接合部
天井パネルの継ぎ目
配管や配線の貫通部
排水口
点検口
天井裏
壁の内部
冷蔵庫や冷凍庫のパネル継ぎ目
空気は、気圧の高い場所から低い場所へ移動します。
そのため、工場内が強い負圧になると、作業者が想定していない経路から空気が流れ込みます。
この空気の流入経路が、カビや湿気の侵入経路になる可能性があります。
負圧そのものが悪いわけではない
食品工場では、工程や区域によって意図的に負圧をつくることがあります。
たとえば、臭気、粉じん、蒸気などが発生する区域を負圧にすることで、周囲の清潔区域へ拡散することを抑えられます。
一方、包装室や加熱後の製品を扱う清潔区域では、外部からの汚染空気を防ぐため、適度な正圧が求められる場合があります。
大切なのは、工場全体を一律に負圧または正圧にすることではありません。
製造工程と衛生区域に合わせて、空気をどの方向へ流すのかを明確にすることが重要です。
たとえば、次のような空気の流れが意図されることがあります。
清潔区域から準清潔区域へ
準清潔区域から一般区域へ
製造区域から廃棄物保管区域へ流れないようにする
洗浄室の湿った空気を包装室へ流さない
原材料の粉じんを加熱後工程へ持ち込まない
区域ごとの圧力差を考えず、排気設備だけを増設すると、空気の流れが逆転する場合があります。
その結果、本来守るべき清潔区域へ、湿気やカビ胞子が流入する可能性があります。
強い負圧がカビを増やす理由
負圧が強すぎると、カビの発生や拡散につながる複数の問題が起こります。
高温多湿の外気を吸い込む
梅雨から夏にかけての外気には、多くの水分が含まれています。
工場内が強い負圧になると、搬入口や建物の隙間から湿った外気を吸い込みます。
取り込まれた外気が、冷房によって冷えた壁、天井、冷媒配管、冷蔵設備などに触れると、結露が発生することがあります。
特に、壁内部や天井裏へ外気が入り込むと、目に見えない場所で内部結露が起こる可能性があります。
天井裏や壁内部の空気を吸い込む
天井裏や壁の内部は、製造区域と同じ衛生管理が行われているとは限りません。
ほこり、断熱材の繊維、昆虫の死骸、カビ胞子などが存在している場合があります。
強い負圧によって、天井パネルの継ぎ目や配管の隙間から空気を吸い込むと、これらが製造区域へ流入する可能性があります。
汚染区域から清潔区域へ空気が流れる
包装室や充填室などの清潔区域で排気量が多くなりすぎると、隣接する一般区域や洗浄室から空気を吸い込むことがあります。
その空気には、粉じん、水分、カビ胞子などが含まれている可能性があります。
扉で区域を分けていても、空気の流れが適切でなければ、衛生区分の意味が弱くなってしまいます。
排水口から空気を吸い上げる
床排水や排水設備の状態によっては、負圧によって排水口側から空気が流れ込む場合があります。
排水口周辺は、水分や有機物が残りやすく、カビや細菌が増殖しやすい場所です。
排水トラップの封水が切れていれば、臭気とともに汚染された空気が流入する可能性があります。
扉が重い・風が吹き込むのは負圧のサイン
強い負圧が発生している工場では、現場で分かりやすい変化が見られることがあります。
たとえば、次のような状態です。
扉が重くて開けにくい
扉を少し開けると強い風が吹き込む
シャッターの隙間から音がする
ビニールカーテンが室内側へ大きく引かれる
天井パネルの隙間から空気が流れる
排水口から臭気が上がる
屋外へ通じる扉が自然に閉まる
空調吹き出し口の風量が弱く感じる
これらは、負圧の可能性を判断する手がかりになります。
ただし、人の感覚だけでは、圧力差や風量を正確に把握することはできません。
「以前より扉が重くなった気がする」という感覚的な変化も重要ですが、原因を明確にするには風量計などによる測定が必要です。
風量計で何を調べるのか
風量計は、空気の流れる速さや量を確認するための測定機器です。
食品工場の調査では、給気口、排気口、空調吹き出し口、扉の周辺などで測定を行い、工場内の空気の動きを確認します。
主に確認する項目は次のとおりです。
給気口の風速と風量
排気口の風速と風量
空調吹き出し口ごとの風量
区域間を移動する空気の方向
扉やシャッター周辺から流入する空気
壁や天井の隙間からの空気流入
空気がよどんでいる場所
製造設備稼働時の変化
局所排気設備稼働時の変化
空調停止時と運転時の違い
測定結果を給気側と排気側で比較することで、工場内の空気の収支を把握しやすくなります。
排気量が給気量を大きく上回っている場合は、不足した空気がどこから流入しているかを調べる必要があります。
設計上の風量と実際の風量は異なることがある
空調設備や換気設備には、設計時に想定された風量があります。
しかし、現在も設計どおりの風量が出ているとは限りません。
次のような変化によって、実際の風量は低下または変化する可能性があります。
フィルターの目詰まり
ファンや羽根への汚れの付着
ダクト内部の油や粉じん
ダクトの破損や変形
防虫網の目詰まり
給気口の閉鎖
排気設備の増設
製造機械の追加
間仕切り壁の増設
工場内レイアウトの変更
空調設備の経年劣化
設備の同時運転条件の変化
設計図や設備仕様書の数値は重要な資料ですが、現在の工場環境をそのまま示すものではありません。
食品工場のカビ対策では、現場の稼働状態で実測することが大切です。
測定は実際の製造条件で行うことが重要
空調や換気の状態は、設備の運転条件によって変わります。
工場が停止している状態で測定しても、製造中の負圧状態を正確に確認できない場合があります。
測定時には、可能な範囲で次の設備を通常の稼働状態に近づけることが重要です。
空調設備
給気設備
排気ファン
局所排気設備
加熱設備
冷却設備
集じん設備
冷蔵庫や冷凍庫
自動扉
搬入口のシャッター
たとえば、局所排気設備を動かしたときだけ、包装室が強い負圧になることがあります。
複数の排気設備を同時に稼働させた場合に、給気量が不足することもあります。
製造開始前、製造中、洗浄中、製造終了後では、設備の運転状況が異なるため、時間帯ごとの変化を確認することも有効です。
給気口があっても空気が入っていない場合がある
工場内に給気口が設置されていても、十分な空気が供給されているとは限りません。
給気不足の原因には、次のようなものがあります。
フィルターが目詰まりしている
給気ファンの能力が低下している
防虫網にほこりや虫が詰まっている
給気ダクトに漏れや破損がある
給気口が棚や荷物でふさがれている
風量調整ダンパーが閉じている
給気設備が停止している
外気取り入れ口が汚れている
排気設備の能力が追加されている
給気口から風を感じるだけでは、必要な風量が確保されているか判断できません。
複数の給気口がある場合、一部だけ風量が低下していることもあります。
各給気口の状態を測定し、区域全体へ空気が適切に供給されているかを確認する必要があります。
空気が近道をすると換気されない場所が生まれる
給気口と排気口の位置関係が悪いと、取り入れた空気が室内全体を通らず、近い排気口からそのまま外へ出てしまうことがあります。
これを空気のショートサーキットと考えることができます。
給気と排気の数値が合っていても、空気が工場全体へ行き渡っていなければ、換気できていない場所が残ります。
たとえば、次のような場所です。
大型設備の裏側
棚の奥
冷蔵庫の上部
天井付近
間仕切り壁の奥側
倉庫の隅
包装資材の後ろ
ダクトの陰になる場所
空気がよどむ場所では、湿気、熱、粉じんがたまりやすく、洗浄後の水分も乾きにくくなります。
風量測定では、給気量と排気量だけでなく、室内で空気がどのように流れているかを確認することが重要です。
区域間の空気の流れを確認する
食品工場では、一般区域、準清潔区域、清潔区域などに衛生区分を設けることがあります。
しかし、区域間の扉を閉めていても、隙間を通して空気は移動しています。
確認すべきポイントは、空気がどちらの区域からどちらへ流れているかです。
たとえば、次のような流れは注意が必要です。
原材料区域から包装室へ流れる
洗浄室から充填室へ流れる
廃棄物保管場所から製造室へ流れる
屋外から清潔区域へ直接流れる
天井裏から加熱後工程へ流れる
カビが発生した倉庫から隣接区域へ流れる
煙や薄いテープなどで空気の方向を簡易的に確認する方法もありますが、より客観的に管理するには風速や風量の測定が有効です。
HACCP上級者コーディネーターの視点では、建物上の区画だけでなく、実際の空気の流れまで含めて衛生区域を評価することが重要です。
負圧と結露の関係を確認する
負圧調査では、カビ胞子の流入だけでなく、結露との関係も確認します。
湿った外気が隙間から入り込み、冷房で冷やされた場所へ触れると、表面結露や内部結露が起こる可能性があります。
特に注意したい場所は次のとおりです。
外壁に面した壁
搬入口やシャッター周辺
冷蔵庫や冷凍庫の周辺
冷媒配管の貫通部
天井パネルの継ぎ目
外気に接する天井裏
配管や電線の貫通部
増築部分の接合部
結露箇所と空気の流入箇所が一致している場合、断熱だけでなく、給気と排気のバランス改善が必要になることがあります。
結露部分を補修しても、強い負圧が残っていれば、別の隙間から湿った空気を吸い込む可能性があります。
そのため、建物側と設備側の両方を確認することが大切です。
負圧の原因は設備増設に隠れていることがある
食品工場では、生産量の増加や製造品目の変更に合わせて、設備が追加されることがあります。
たとえば、次のような設備です。
新しいフードや排気ファン
集じん機
蒸気排出設備
包装機の排熱設備
洗浄室の換気扇
臭気対策用の局所排気
冷却設備
排気設備を追加した際、給気設備も同時に見直さなければ、工場全体が強い負圧になる可能性があります。
設備を一台追加しただけでは問題がなくても、複数台を同時に稼働させたときに給気不足が起こることがあります。
また、以前は開放されていた扉を常時閉鎖する運用へ変更したことで、空気の供給経路がなくなる場合もあります。
カビや結露が発生し始めた時期と、設備や運用を変更した時期を照らし合わせることが、原因究明の手がかりになります。
数値を測るだけでなく原因と結び付ける
風量計で数値を測定しても、数値を記録するだけでは対策につながりません。
測定結果を、カビや結露が発生している場所、設備の稼働状況、衛生区域、製造工程などと結び付けて考える必要があります。
たとえば、次のような整理が重要です。
どの排気設備を動かすと負圧が強くなるか
どの扉や隙間から空気が入っているか
カビ発生箇所の近くに流入経路があるか
清潔区域へ汚染区域の空気が入っていないか
結露の発生時間と排気設備の稼働時間が一致するか
洗浄後に湿気を排出できているか
夜間や休日に空気の流れが変化していないか
数値、目視、聞き取り、建物調査を組み合わせることで、カビ発生の根本原因を絞り込みやすくなります。
真菌検査と組み合わせて空気の汚染を確認する
風量測定によって空気の流れが分かっても、その空気にどの程度のカビ菌が含まれているかは判断できません。
そこで重要になるのが真菌検査です。
たとえば、次の場所で検査結果を比較します。
清潔区域
一般区域
洗浄室
原材料倉庫
カビ発生箇所の周辺
空調吹き出し口の周辺
天井裏や壁内部に近い場所
屋外
空気の流れと真菌検査結果を照らし合わせることで、どの区域からカビ胞子が移動している可能性があるかを検討できます。
外気よりも工場内の真菌数が高い場合や、特定区域だけ高い数値が出る場合は、工場内部に発生源が存在している可能性があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会との連携により、必要に応じて真菌検査をご提案しています。
目に見えない空気の流れとカビ菌の状態を、測定結果に基づいて確認することが、再発防止につながります。
含水率測定とファイバースコープ調査も重要
負圧によって湿った空気が壁や天井内部へ入り込んでいる場合、表面から見ただけでは異常を確認できないことがあります。
そのため、結露やカビが疑われる場所では、建材の含水率を測定します。
周囲よりも含水率が高い場合は、次のような可能性を考えます。
内部結露
配管からの漏水
外気の流入
洗浄水の浸入
断熱材の湿潤
壁内部の乾燥不足
さらに、必要に応じてファイバースコープを使用し、壁や天井内部の状態を確認します。
風量測定、含水率測定、ファイバースコープ調査、真菌検査を組み合わせることで、空気、水分、建物、カビの関係を総合的に調査できます。
HACCP監査に向けて記録しておきたい内容
HACCP監査や取引先監査では、問題が起きていないことだけでなく、問題をどのように予防・管理しているかを説明できることが重要です。
空調・換気・負圧管理では、次のような記録を整えておくとよいでしょう。
給気設備と排気設備の一覧
設備の運転時間
フィルターの点検・交換記録
給気口と排気口の清掃記録
風量測定の結果
区域間の空気方向の確認結果
扉やシャッターの異常
結露の発生記録
温度・湿度の記録
設備増設やレイアウト変更の履歴
改善措置の内容
改善後の再測定結果
真菌検査の結果
異常が見つかった場合は、記録を残すだけでなく、原因、製品への影響、応急対応、恒久対策、再確認まで整理することが大切です。
食品工場の負圧チェックリスト
日常点検では、次の項目を確認しましょう。
現場で確認できる項目
扉が以前より重くなっていないか
扉を開けたときに強い風が入らないか
ビニールカーテンが大きく室内側へ引かれていないか
シャッターや壁の隙間から音がしないか
排水口から臭気が上がっていないか
天井パネルの隙間から空気が流れていないか
外壁周辺に結露が発生していないか
洗浄室の湿気が隣接区域へ流れていないか
清潔区域へ一般区域の空気が入っていないか
定期的に測定したい項目
給気口ごとの風量
排気口ごとの風量
空調吹き出し口の風量
設備稼働時の区域間の空気方向
給気と排気の総量
局所排気設備稼働時の変化
空調フィルター交換前後の変化
改善工事前後の風量変化
チェック項目は、工場の製品、工程、設備、衛生区分に合わせて調整する必要があります。
負圧を改善するときに注意したいこと
負圧が強いことが分かった場合、単純に排気設備を停止すればよいとは限りません。
排気設備には、蒸気、熱、臭気、粉じんを除去する役割があります。
排気量を減らすことで、作業環境や製品衛生へ別の問題が生じる可能性があります。
改善では、次のような方法を総合的に検討します。
必要な給気量を確保する
給気フィルターの目詰まりを改善する
給気口の位置や向きを見直す
排気設備の運転条件を調整する
区域ごとの圧力差を整える
建物の不要な隙間を改善する
製造設備の同時運転条件を見直す
空気がよどむ場所を減らす
湿度管理を強化する
重要なのは、製造工程や衛生管理へ悪影響を与えない方法で、空気の流れを整えることです。
見えない空気を数値化することが再発防止につながる
食品工場のカビ問題では、目に見えるカビを除去することに意識が向きやすくなります。
しかし、カビを運ぶ空気や、結露を発生させる湿気の流れは目に見えません。
給気量と排気量のバランスが崩れていれば、表面のカビを除去しても、湿った外気やカビ胞子が再び流入する可能性があります。
風量計による測定は、見えない空気の動きを数値で確認するための重要な調査です。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の衛生区分、製造工程、空調・換気設備の稼働状態を踏まえ、空気の流れを確認します。
必要に応じて、風量計による負圧調査、建材の含水率測定、ファイバースコープによる壁内・天井裏調査を実施し、一般社団法人微生物対策協会と連携した真菌検査をご提案します。
扉が重い、隙間から強い風が入る、結露やカビが同じ場所で繰り返される、清潔区域の真菌数が安定しない場合は、換気設備が動いているという事実だけで安心せず、給気と排気の実測をご検討ください。
MIST工法®カビバスターズ本部が、日本全国の食品工場における負圧、結露、カビの原因究明と衛生環境の改善をサポートいたします。
真菌検査で見えないカビを数値化する
空中浮遊菌・付着菌・屋内外の比較により、カビの発生源と衛生リスクを客観的に確認する
食品工場のカビ対策では、目に見える黒ずみや変色だけを確認しても、工場内の衛生状態を正確に把握することはできません。
カビは、天井、壁、空調設備、冷蔵設備などの表面に発生するだけでなく、非常に小さな胞子を空気中へ放出します。
空気中に浮遊したカビ胞子は、空調の風、人や台車の移動、扉の開閉などによって工場内を移動し、製造設備、包装資材、容器、製品などに付着する可能性があります。
そのため、カビが目に見えないからといって、カビの問題がないとは限りません。
反対に、黒い汚れが見える場合でも、それがすべてカビとは限りません。油汚れ、粉じん、金属の変色などがカビのように見えるケースもあります。
食品工場のカビ対策で大切なのは、見た目や臭いなどの感覚だけで判断せず、真菌検査を活用して、どこに、どの程度のカビ菌が存在しているのかを確認することです。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会との連携により、食品工場の環境や目的に応じた真菌検査をご提案しています。
HACCP上級者コーディネーター取得者が製造工程や衛生区分を確認し、検査結果をカビの発生原因、空気の流れ、水分環境などと照らし合わせながら評価することが重要だと考えています。
真菌検査とは何を調べる検査なのか
真菌とは、カビや酵母などを含む微生物の総称です。
食品工場で行う真菌検査では、空気中や設備表面などから試料を採取し、培養などを通して真菌の状態を確認します。
検査の目的は、単にカビが「いる・いない」を判断することではありません。
カビの胞子は屋外の空気中にも存在するため、一般的な環境で完全なゼロを求めることは現実的ではない場合があります。
重要なのは、次のような視点で結果を確認することです。
屋外と比べて工場内の真菌数が高くないか
特定の製造区域だけ数値が高くないか
カビ発生箇所の周辺に偏りがないか
清潔区域と一般区域で適切な差があるか
空調吹き出し口周辺の数値が高くないか
清掃や改善の前後で数値が変化したか
同じ場所で継続的に増加していないか
特定の種類の真菌が集中していないか
真菌検査の結果は、それだけで建物や設備の異常を断定するものではありません。
温度、湿度、結露、含水率、空調、換気、風量、目視調査などと組み合わせることで、カビの発生状況をより正確に評価できます。
なぜ目視点検だけでは不十分なのか
カビの増殖は、必ずしも目に見える形から始まるわけではありません。
発生の初期段階では、非常に小さな範囲で増殖しているため、肉眼で確認できないことがあります。
また、次のような場所は日常点検でも見落とされやすくなります。
天井裏
壁の内部
冷蔵庫や冷凍庫の上部
空調ダクトの内部
製造設備の裏側
配管保温材の内側
棚と壁の隙間
包装資材の裏側
排水設備の内部
パネルの継ぎ目
見えない場所でカビが増殖していても、胞子は空気の流れに乗って製造区域へ出てくる可能性があります。
表面にカビが見えなくても、空中浮遊真菌の数値が高い場合は、周辺に発生源が隠れている可能性を考えなければなりません。
一方で、古いカビ跡や着色が残っているだけで、現在は活発な増殖が起きていない場合もあります。
見た目だけで判断すると、必要以上に不安を感じたり、本当に調査すべき場所を見落としたりする可能性があります。
だからこそ、真菌検査によって客観的な情報を得ることが重要です。
空中浮遊真菌検査で分かること
空中浮遊真菌検査は、工場内の空気中に浮遊しているカビ胞子などを調べる検査です。
カビが発生すると、胞子が空気中へ放出されます。
その胞子は、空調の風、人の歩行、台車の移動、扉の開閉、清掃作業などによって広がります。
空中浮遊真菌検査を行うことで、次のような状態を確認する手がかりになります。
工場内に浮遊する真菌の量
区域ごとの数値の違い
屋外との違い
空調設備からの拡散の可能性
カビ発生箇所周辺の影響
清潔区域への流入の可能性
改善後の空気環境の変化
検査は、製造室、包装室、原材料倉庫、冷蔵庫周辺、洗浄室など、工場内の複数箇所で行うことが重要です。
一か所だけを検査しても、工場全体の状態や発生源の位置を判断しにくいためです。
付着真菌検査で設備表面の状態を確認する
付着真菌検査は、壁、天井、製造設備、棚、空調吹き出し口などの表面に付着している真菌を調べる検査です。
カビのような変色が見られる場所だけでなく、目に見える汚れがない場所を比較対象として検査することもあります。
付着真菌検査によって、次のような状態を確認できます。
見えている汚れが真菌によるものか
清掃後の表面に真菌が残っていないか
特定の設備表面に汚染が集中していないか
結露箇所の周辺に真菌が増えていないか
空調吹き出し口が発生源になっていないか
包装資材や保管棚へ影響が広がっていないか
ただし、付着検査で確認できるのは、採取した部分の状態です。
検査していない範囲まで同じ状態であるとは限らないため、目視調査、空中浮遊真菌検査、含水率測定などと組み合わせて評価することが大切です。
屋外の空気も一緒に調べる理由
食品工場の真菌検査では、工場内だけでなく、屋外の空気も同時に調べることがあります。
カビ胞子は自然環境中にも存在しており、屋外の濃度は季節、天候、周辺環境によって変化します。
たとえば、雨が続いた時期、落ち葉や土壌が多い場所、農地が近い地域などでは、屋外の真菌数が高くなる場合があります。
工場内の数値だけを見ても、それが外気由来なのか、工場内部で増殖しているのか判断しにくいことがあります。
そこで、屋内と屋外の結果を比較します。
屋外よりも屋内の数値が明らかに高い場合は、工場内部にカビの発生源が存在している可能性を検討します。
一方で、屋外と同程度または屋外の方が高い場合は、外気の取り込みや扉の開閉などの影響も考える必要があります。
重要なのは、単純に数値の大小だけで結論を出さず、採取時の天候、空調の運転状況、扉の開閉、製造工程なども含めて評価することです。
I/O比で屋内外の状態を比較する
屋内と屋外の真菌数を比較する際には、I/O比という考え方が用いられることがあります。
IはIndoor、つまり屋内を表し、OはOutdoor、つまり屋外を表します。
屋内の真菌数を屋外の真菌数で割ることで、屋内環境が屋外と比べてどのような状態かを確認する参考になります。
屋内側の数値が屋外より高い場合、室内に発生源が存在する可能性を考えます。
ただし、I/O比だけで異常の有無を断定することはできません。
検査した場所、時間、天候、空調の状態、製造工程、真菌の種類などによって結果が変わるためです。
たとえば、次のような状況では評価に注意が必要です。
雨天や強風で屋外の状態が変化している
搬入口が長時間開いていた
清掃直後に検査した
空調設備を停止していた
製造設備の稼働条件が通常と異なっていた
特定の区域だけ強い負圧になっていた
I/O比は重要な参考情報ですが、他の調査結果と組み合わせて判断することが必要です。
真菌の種類を確認する意味
真菌検査では、数だけでなく、どのような種類の真菌が確認されたかも重要な情報になります。
真菌には、それぞれ増殖しやすい環境や特徴があります。
水分の多い場所で増えやすいもの、比較的乾燥した環境でも生育するもの、食品や粉じんに関連して検出されやすいものなど、種類によって発生源を考える手がかりが異なります。
特定の区域で同じ種類の真菌が繰り返し多く確認される場合は、その区域や空気の上流側に発生源がある可能性があります。
また、空調吹き出し口と製造室で共通する真菌が確認された場合は、空調設備や空気の流れとの関係を検討する材料になります。
ただし、真菌の種類だけで発生源を断定することはできません。
種類、数、採取場所、温湿度、建物の状態などを総合的に見ることが重要です。
検査場所は製造工程と空気の流れから決める
真菌検査は、数多く実施すればよいというものではありません。
工場内のどこを検査するかによって、得られる情報が大きく変わります。
検査場所を決める際には、次の点を確認します。
製品が露出している場所
加熱後の製品を扱う場所
包装や充填を行う清潔区域
カビや結露が見つかった場所
カビ臭がする場所
空調吹き出し口の周辺
原材料や包装資材の保管場所
洗浄室や排水設備の周辺
天井裏や壁内部から空気が流入する可能性がある場所
屋外
比較対象となる問題のない場所
特に重要なのは、製造工程と空気の流れを考慮することです。
カビが見つかった場所だけを検査しても、胞子がどこへ移動しているのか分からない場合があります。
風量調査や負圧調査の結果を踏まえて、空気の上流側と下流側を検査することで、発生源を絞り込みやすくなります。
検査するタイミングで結果が変わる
真菌検査の結果は、採取する時間や設備の運転状態によって変化します。
たとえば、製造開始前と製造中では、人や設備の動きが異なります。
洗浄直後は床や設備に水分が多く残り、湿度が高くなることがあります。
空調設備を運転した直後と、長時間運転した後でも、空気中の真菌数に違いが出る可能性があります。
検査時には、次の条件を記録しておくことが重要です。
採取日時
天候
外気温と外気湿度
室内温度と湿度
製造工程の状態
作業人数
空調・換気設備の運転状況
扉やシャッターの開閉状況
清掃からの経過時間
結露の有無
設備の稼働状況
検査結果を将来的に比較する場合は、できるだけ同じ条件で採取することが望ましいです。
条件が大きく異なると、数値の変化が改善によるものなのか、採取条件によるものなのか判断しにくくなります。
清掃直後の検査だけでは判断できないことがある
カビのような汚れを清掃した直後に検査を行うと、表面の数値が一時的に低くなることがあります。
しかし、壁内部、天井裏、空調設備、断熱材などに発生源が残っていれば、時間の経過とともに再び胞子が供給される可能性があります。
そのため、清掃直後の検査結果だけで「問題が解決した」と判断するのは注意が必要です。
対策後は、次のような段階で確認することが重要です。
原因調査前の状態を確認する
カビ除去や原因改善を行う
十分な乾燥状態を確認する
対策直後の状態を確認する
一定期間後に再発の有無を確認する
対策直後と一定期間後の両方を確認することで、再発防止策が機能しているかを評価しやすくなります。
真菌検査は「合格・不合格」だけを見るものではない
真菌検査の結果を見る際、「この数値なら合格なのか」「何個以上なら危険なのか」と考える方も少なくありません。
しかし、食品工場の真菌環境は、製造する食品、工程、区域、外気条件、社内基準などによって評価方法が異なります。
すべての食品工場に共通する一つの数値だけで、安全・危険を単純に判断できるとは限りません。
重要なのは、自社の衛生管理基準を設定し、継続的な変化を見ることです。
たとえば、通常時の数値を把握し、そこから急激に増加していないかを確認します。
また、清潔区域、一般区域、屋外を比較し、製造工程に応じた管理ができているかを評価します。
検査結果は、単なる合否判定ではなく、次の改善につなげるための情報として活用することが大切です。
高い数値が出たときに確認すべきこと
真菌検査で通常より高い数値が確認された場合、すぐに一つの原因へ決めつけてはいけません。
次の項目を順番に確認します。
目視できるカビや結露
天井、壁、配管、空調吹き出し口などに、カビ、変色、水滴、水染みがないか確認します。
空調設備
フィルター、ドレンパン、冷却コイル、ダクト内部などに汚れや水分がないか調べます。
給気と排気
強い負圧によって、屋外、天井裏、汚染区域などから空気を吸い込んでいないか確認します。
建材の水分
壁や天井の含水率を測定し、内部結露や漏水の可能性を調べます。
壁や天井の内部
ファイバースコープを用いて、断熱材や下地材にカビや湿気がないか確認します。
清掃と乾燥
清掃方法、清掃用具の管理、洗浄後の乾燥状態に問題がないか確認します。
原材料と包装資材
原材料、段ボール、木製パレットなどがカビ胞子の持ち込み源になっていないか確認します。
検査結果を出発点として、建物、設備、運用、空気、水分の各方向から原因を調べることが重要です。
低い数値でも安心しきれない理由
真菌検査の数値が低かった場合でも、工場内のすべての場所に問題がないとは限りません。
検査は、採取した場所と時間の状態を示すものです。
たとえば、壁内部でカビが増殖していても、採取時に胞子が室内へ出ていなければ、空中浮遊真菌の数値へ十分に反映されない場合があります。
また、空調が停止していた、清掃直後だった、人や設備の動きが少なかったといった条件によって、一時的に数値が低くなることもあります。
目に見えるカビ、カビ臭、結露、建材の高い含水率などがある場合は、真菌検査の数値だけで問題なしと判断せず、他の調査結果も含めて確認する必要があります。
原因改善前後の比較に真菌検査を活用する
真菌検査は、問題の発見だけでなく、改善効果を確認するためにも活用できます。
たとえば、次のような対策の前後で検査を行います。
空調設備の清掃や改善
給気と排気のバランス調整
結露対策
漏水箇所の改善
湿った断熱材や建材への対応
清掃方法の見直し
原材料や包装資材の保管改善
カビ発生源への対応
対策前の状態を記録していなければ、対策後にどの程度改善したのか比較できません。
可能な場合は、問題が見つかった段階で検査を行い、現状を数値として残しておくことが有効です。
対策後も同じ場所、同じ条件で検査し、数値や検出傾向の変化を確認します。
HACCP監査で真菌検査結果をどう活用するか
HACCPに沿った衛生管理では、問題が起きたときにどのように判断し、何を改善したかを説明できることが重要です。
真菌検査結果は、次のような記録と一緒に整理すると、監査時の説明に活用しやすくなります。
検査を行った目的
採取場所を選んだ理由
採取日時と環境条件
製造工程と設備の稼働状況
検査結果
結果に対する評価
原因調査の内容
製品への影響評価
応急対応
恒久的な改善内容
改善後の再検査結果
再発防止のための管理方法
数値だけを保管していても、なぜ検査をしたのか、結果をどう判断したのかが分からなければ、衛生管理へ十分に活用できません。
検査結果を改善活動や予防管理につなげることが大切です。
定期検査で工場ごとの基準値を把握する
食品工場の真菌環境は、季節や製造状況によって変化します。
梅雨や夏は外気湿度が高くなり、秋は原材料や粉じんの影響が変わることがあります。
冬は外壁や天井で結露が起こりやすくなる場合があります。
一回だけ検査して終わるのではなく、定期的に検査を行うことで、その工場の通常時の状態を把握できます。
通常時の傾向が分かれば、数値が急に増えたときに異常へ気づきやすくなります。
定期検査を行う場合は、次の点をそろえることが重要です。
同じ採取場所
同じ採取方法
近い時間帯
同様の製造条件
同じ設備の運転状態
温度・湿度などの環境記録
継続的なデータは、衛生環境の変化や設備劣化を早期に発見する手がかりになります。
真菌検査と現場調査を組み合わせる
真菌検査だけでは、カビが発生した原因や場所をすべて特定できるわけではありません。
数値が高いことが分かっても、その原因が空調設備、壁内部、結露、原材料、清掃用具などのどこにあるかは、現場調査が必要です。
食品工場のカビ調査では、次の項目を組み合わせて確認します。
目視・臭気調査
空中浮遊真菌検査
付着真菌検査
温度・湿度測定
建材の含水率測定
風量計による給気・排気の確認
区域間の空気方向の確認
ファイバースコープによる内部調査
空調・冷却設備の確認
製造工程や清掃方法の聞き取り
これらを組み合わせることで、単なるカビ除去ではなく、再発原因の改善へつなげることができます。
真菌検査を行う際のチェックポイント
食品工場で真菌検査を検討するときは、次の項目を整理しましょう。
検査前に決めること
何を確認するための検査なのか
どの区域を比較するのか
製品への影響をどのように評価するのか
空中と表面のどちらを調べるのか
屋外の検査も行うのか
改善前後で比較するのか
検査時に記録すること
日時と天候
室内外の温度・湿度
製造工程
空調・換気の運転状況
清掃からの経過時間
扉やシャッターの状態
結露や水分の有無
作業人数や設備の稼働状況
検査後に行うこと
結果を区域ごとに比較する
屋内外の結果を比較する
過去の結果と比較する
空気の流れと照らし合わせる
高い場所の原因を調べる
改善内容を決める
改善後に再確認する
検査は、結果を受け取ることが目的ではありません。
結果を原因調査と改善へ結び付けることが、食品工場の衛生管理では重要です。
感覚ではなく検査結果を基にカビを管理する
食品工場では、「カビが見えない」「臭いがしない」「清掃している」という理由だけで、カビリスクが低いと判断することはできません。
目に見えない胞子が空気中を移動し、製品や設備へ付着している可能性があるためです。
一方で、見た目だけで過剰に判断するのではなく、検査によって実際の状態を確認することも大切です。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程、衛生区域、空調・換気、結露、建物構造などを確認したうえで、必要な検査場所をご提案します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査を活用し、空中浮遊真菌や付着真菌、屋内外の状態などを確認します。
さらに、風量計による負圧調査、建材の含水率測定、ファイバースコープによる壁内・天井裏調査を組み合わせ、カビ菌が増えている原因や侵入経路を追究します。
見えるカビを除去するだけでは、食品工場の衛生リスクを十分に管理できません。
真菌検査によって見えないカビを数値化し、原因調査、改善、再検査までを一つの流れとして管理することが、カビの再発防止とHACCP監査への備えにつながります。
工場内でカビ臭がする、結露が続いている、清掃してもカビが再発する、製品や包装資材への影響が心配、監査前に衛生状態を確認したいという場合は、専門的な真菌検査をご検討ください。
MIST工法®カビバスターズ本部が、一般社団法人微生物対策協会との連携により、日本全国の食品工場における真菌検査とカビ発生原因の調査をサポートいたします。
含水率測定でわかる建物内部の異常
見た目が乾いていても安心できない|壁・天井・床に残る水分を数値化し、カビの発生原因を見極める
食品工場でカビが繰り返し発生する場合、表面の汚れだけではなく、壁、天井、床、断熱材などの建材内部に水分が残っている可能性があります。
壁や天井の表面が乾いて見えていても、内部では結露や漏水によって水分が蓄積していることがあります。こうした見えない水分は、カビの発生や再発を招く大きな要因です。
食品工場では、製造工程で蒸気や熱が発生し、洗浄作業では大量の水が使用されます。さらに、冷蔵庫、冷凍庫、冷却設備、配管などによって、建物の中に大きな温度差が生じます。
温度差がある場所では結露が発生しやすく、目に見える水滴だけでなく、壁の内側や天井裏、断熱材の内部で水分が生じることもあります。
このような建物内部の異常を確認する方法の一つが、建材の含水率測定です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、カビの発生箇所や水染みが見られる部分だけでなく、その周辺や比較対象となる正常な場所についても含水率を測定し、水分の偏りや広がりを確認します。
HACCP上級者コーディネーター取得者が食品工場の製造工程、温湿度、空調、換気、洗浄方法などを確認し、測定結果と照らし合わせながら、カビが発生する根本原因を調査します。
含水率とは何を示す数値なのか
含水率とは、建材にどの程度の水分が含まれているかを示す数値です。
壁、天井、床、木材、石こうボードなどの建材は、周囲の湿度や漏水、結露などの影響を受けて水分を含みます。
建材に含まれる水分が多くなると、表面や内部でカビが増殖しやすい環境がつくられます。
ただし、含水率の評価は、すべての建材に共通する一つの数値だけで判断できるものではありません。
建材の種類、測定方法、周辺温度、測定機器などによって数値の意味が異なるためです。
そのため、含水率測定では、単に一か所の数値だけを見るのではなく、次のような比較が重要です。
カビ発生箇所と正常箇所の比較
水染みの中心部と周辺部の比較
壁の上部と下部の比較
室内側と隣接区域の比較
同じ場所の経時的な変化
改善前と改善後の比較
周辺よりも明らかに高い数値が確認された場合は、漏水、内部結露、洗浄水の浸入、排水設備の不具合などを疑う手がかりになります。
見た目が乾いていても内部に水分が残る理由
建材の表面は、空調や換気によって比較的早く乾燥します。
しかし、壁の内部、断熱材、下地材、パネルの継ぎ目などに入り込んだ水分は、簡単には乾燥しないことがあります。
特に断熱材や多孔質の建材は、水分を内部に保持しやすい傾向があります。
表面だけが乾燥すると、一見すると問題が解決したように見えます。しかし、内部に残った水分によってカビが増殖し、時間がたってから再び表面に現れることがあります。
食品工場では、次のような状況で建材内部に水分が残る可能性があります。
天井や壁の内部で結露が発生している
配管から少量の漏水が続いている
冷却設備のドレン排水に不具合がある
洗浄水がパネルの継ぎ目から浸入している
床と壁の取り合い部分から水が入っている
屋根や外壁から雨水が浸入している
断熱材が湿ったまま乾燥していない
排水溝周辺から水分が広がっている
表面を拭き取ったり乾燥させたりしても、水分の供給源が残っていればカビは再発します。
カビ対策では、見える水だけでなく、建材内部に残っている見えない水分を確認することが重要です。
食品工場で含水率が高くなりやすい場所
食品工場の中には、水分が蓄積しやすい場所があります。
天井や天井パネル
蒸気や暖かい空気は上昇するため、天井付近は湿気が集まりやすくなります。
天井裏の温度が低い場合、天井パネルの表面や内部で結露が発生することがあります。
天井に水染み、変色、塗膜の膨れ、カビが見られる場合は、周辺の含水率を測定して水分の広がりを確認します。
冷蔵庫・冷凍庫の周辺
冷蔵庫や冷凍庫の周囲では、室内外の温度差が大きくなります。
断熱性能の低下、気密不良、扉周辺の隙間などがあると、壁や天井の内部で結露が起こることがあります。
冷凍庫の外壁側や天井裏で水分が確認される場合は、内部結露の可能性を検討する必要があります。
配管やダクトの周辺
冷水配管、冷媒配管、空調ダクトなどは、表面温度が低くなります。
保温材が劣化していたり、継ぎ目に隙間があったりすると、配管表面で結露が起こり、周辺の天井材や壁材へ水分が広がることがあります。
配管の真下だけでなく、水分が伝わる方向を考えながら広い範囲を測定することが大切です。
洗浄室や製造設備の周辺
洗浄作業で大量の水を使用する区域では、床や壁の継ぎ目から水分が浸入することがあります。
高圧洗浄を行う場合は、水が通常届かない場所にまで入り込む可能性があります。
壁パネルの下部や設備の固定部分で含水率が高い場合は、洗浄水の浸入経路を確認します。
床と壁の取り合い部分
床と壁の境目は、水分が入り込みやすい場所です。
シーリング材の劣化、ひび割れ、立ち上がり部分の不具合などがあると、洗浄水が壁内部へ浸入する可能性があります。
壁の下部だけにカビや変色が集中している場合は、床面からの水分浸入を疑います。
外壁に面した壁
外壁に面した壁では、外気温の影響を受けやすく、冬季や冷房運転時に内部結露が発生する場合があります。
また、外壁のひび割れ、シーリングの劣化、屋根との接合部分などから雨水が浸入することもあります。
降雨後に含水率が上昇する場合は、外部からの雨水浸入を検討する必要があります。
内部結露は目視だけでは発見しにくい
内部結露とは、壁、天井、床などの内部で発生する結露です。
表面結露であれば水滴や濡れを目視できますが、内部結露は仕上げ材の裏側で発生するため、初期段階では気づきにくいことがあります。
内部結露が続くと、断熱材、木材、石こうボード、接着材などが湿った状態になります。
その結果、次のような問題が起こる可能性があります。
建材内部でカビが増殖する
カビ臭が室内へ漏れ出す
空気中へカビ胞子が拡散する
壁や天井に染みが現れる
塗膜やクロスが剥がれる
断熱性能が低下する
建材の劣化が進む
害虫が発生しやすくなる
表面にカビが現れたときには、すでに内部で広範囲に増殖している場合があります。
含水率測定は、壁や天井をすぐに解体することなく、内部に水分異常がある場所を絞り込むための重要な調査です。
漏水と結露を見分けるための手がかり
建材の含水率が高い場合、その原因が漏水なのか結露なのかを考える必要があります。
含水率の数値だけで原因を断定することはできませんが、水分の分布や発生するタイミングを確認することで、原因を絞り込む手がかりになります。
漏水が疑われる特徴
雨が降った後に数値が高くなる
配管付近に局所的な高い数値がある
水染みが一定方向へ広がっている
設備を使用した後に濡れが現れる
常に同じ場所で水分が確認される
壁や天井から水が滴下することがある
結露が疑われる特徴
季節や時間帯によって数値が変化する
冷たい配管や冷蔵設備周辺で高くなる
広い範囲に水分が分布している
温湿度の変化と連動している
空調設備の運転中や停止後に変化する
外気と室内の温度差が大きい日に悪化する
原因を判断する際は、含水率だけでなく、温度、湿度、表面温度、天候、設備の運転状況などを一緒に記録します。
測定は一か所だけでなく面として行う
カビが見つかった場所だけを一点測定しても、水分の広がりを把握することはできません。
水分は、建材の内部や接合部を通って、発生源から離れた場所まで移動することがあります。
たとえば、天井に水染みがある場合でも、漏水箇所が染みの真上にあるとは限りません。梁、配管、断熱材などを伝って、別の場所に現れることがあります。
そのため、含水率測定では、一定の間隔で複数箇所を測定し、水分の分布を確認することが重要です。
測定結果を平面図や現場写真へ記録すると、次のような点を把握しやすくなります。
最も数値が高い場所
水分が広がっている方向
周辺との差
配管や設備との位置関係
改善後の変化
再発時の共通点
数値を地図のように整理することで、漏水箇所や内部結露の範囲を推測しやすくなります。
正常な場所との比較が重要
含水率の測定値を適切に評価するには、問題が疑われる場所だけでなく、正常と思われる場所も測定することが重要です。
同じ建材であっても、季節や室内環境によって通常の含水状態は変化します。
比較対象がなければ、測定した数値がその工場にとって高いのか低いのか判断しにくくなります。
たとえば、カビが発生している壁の数値が周囲より高ければ、水分がカビの発生に関係している可能性が高まります。
一方、カビ発生箇所と周辺で大きな差がない場合は、表面結露、空気中の湿度、粉じん、清掃状態など、別の原因も検討します。
含水率測定は、単独で結論を出すものではなく、原因を絞り込むための比較調査として活用します。
測定する建材によって数値の意味が異なる
食品工場では、さまざまな建材が使用されています。
金属パネル
石こうボード
コンクリート
モルタル
木材
断熱材
樹脂系床材
シーリング材
それぞれ材質や構造が異なるため、測定結果の評価方法も異なります。
また、表面に金属、タイル、塗装などがある場合、測定機器の種類や測定条件によって数値が影響を受けることがあります。
測定値をそのまま一般的な基準へ当てはめるのではなく、建材の種類、正常部との比較、現場状況を踏まえて評価することが大切です。
必要に応じて複数の方法を用い、測定結果と目視状況が一致するかを確認します。
含水率が高い場所と真菌検査結果を比較する
含水率測定と真菌検査を組み合わせることで、水分とカビ汚染の関係を確認しやすくなります。
たとえば、建材の含水率が高く、その周辺で付着真菌や空中浮遊真菌の数値も高い場合、建材内部や表面でカビが増殖している可能性を検討します。
反対に、含水率が低いにもかかわらず真菌数が高い場合は、別の場所から胞子が流入している可能性があります。
その場合は、空調設備、天井裏、原材料、包装資材、隣接区域などを確認します。
含水率と真菌検査の結果は、次のように整理できます。
含水率が高く、真菌数も高い
水分のある場所でカビが増殖している可能性があります。漏水、結露、洗浄水の浸入などを調査します。
含水率が高く、真菌数は低い
水分異常が発生して間もない可能性があります。カビが増殖する前に原因を改善することが重要です。
含水率は低く、真菌数が高い
別の発生源からカビ胞子が流入している可能性があります。空調、換気、負圧、原材料などを確認します。
含水率も真菌数も低い
調査時点では大きな異常が確認されない可能性があります。ただし、季節変動や一時的な漏水なども考慮し、必要に応じて継続確認します。
このように複数の調査結果を関連付けることで、より精度の高い原因分析ができます。
含水率と負圧の関係にも注意する
強い負圧が発生している食品工場では、壁や天井の隙間から湿った空気が流入することがあります。
夏季に高温多湿の外気が壁内部へ吸い込まれ、冷房によって冷えた面に触れると、内部結露が発生する可能性があります。
また、天井裏や隣接区域に湿気が多い場合、負圧によってその空気が清潔区域へ流れ込むこともあります。
この場合、カビが見つかった場所だけを乾燥させても、空気の流れが改善されなければ再び水分が供給されます。
含水率が高い場所が確認された場合は、風量計による給気・排気の測定や、区域間の圧力関係の確認も重要です。
水分異常と空気の流れを合わせて調べることで、結露が起きる仕組みをより正確に把握できます。
ファイバースコープ調査につなげる判断材料
含水率測定で周囲より高い数値が確認された場合は、壁や天井の内部を詳しく確認する必要があります。
ただし、最初から広範囲を解体すると、食品工場の操業や衛生管理へ大きな影響を与える可能性があります。
そこで、含水率測定によって異常が疑われる範囲を絞り込み、必要な場所へ小さな確認口を設け、ファイバースコープで内部を調査する方法があります。
ファイバースコープ調査では、次のような状態を確認する手がかりが得られます。
壁内部の水滴や濡れ
断熱材の変色や劣化
建材内部のカビ
配管からの漏水
パネル裏側の結露
隙間からの空気流入
虫や異物の侵入
構造材の腐食や劣化
含水率測定は、ファイバースコープでどこを確認すべきかを判断するための重要な情報になります。
対策後は数値が下がったことを確認する
漏水や結露の原因を改善した後は、建材が十分に乾燥したかを確認する必要があります。
表面が乾いていても、内部の水分が残っている場合があります。
十分に乾燥する前に壁を閉じたり、設備を元の状態へ戻したりすると、内部でカビが再発する可能性があります。
対策後は、次の項目を確認します。
改善箇所から新たな水分が供給されていないか
含水率が周囲と同程度まで低下したか
一定期間後も数値が上昇していないか
カビ臭が残っていないか
真菌検査の結果が改善しているか
結露が再発していないか
空調や換気の状態が安定しているか
対策直後だけでなく、一定期間後に再測定することで、改善が継続しているかを確認できます。
HACCP監査では原因と改善の記録が重要
食品工場で水染みやカビが見つかった場合、監査では「清掃しました」という説明だけでは、再発防止策として十分ではないことがあります。
なぜ水分が発生したのか、どこまで影響が広がっていたのか、どのような改善を行ったのかを記録することが重要です。
含水率測定の結果は、次のような記録と合わせて整理すると、衛生管理の根拠として活用しやすくなります。
異常を発見した日時
発見した場所
水染みやカビの状態
含水率の測定場所と測定値
温度・湿度
天候や設備の運転状況
漏水や結露の原因
製品や包装資材への影響確認
応急対応の内容
恒久的な改善内容
改善後の測定値
真菌検査の結果
再発防止の点検方法
数値、写真、図面などを組み合わせて記録しておくと、監査時にも原因調査と改善の流れを説明しやすくなります。
日常点検で確認したい水分異常のサイン
含水率測定は専門的な調査で用いられますが、日常点検で水分異常の兆候に早く気づくことも重要です。
次のようなサインが見られた場合は、建材内部の水分を疑います。
天井や壁に水染みがある
塗装が膨れている
壁材が柔らかくなっている
パネルの継ぎ目が変色している
シーリング材が剥がれている
床と壁の境目にカビがある
同じ場所でカビが繰り返し発生する
雨の日にカビ臭が強くなる
冷蔵庫や冷凍庫の周辺が濡れている
配管の保温材が変色している
天井から水滴が落ちる
壁面が部分的に冷たい
清掃後も壁の下部が乾きにくい
これらは、カビや建材劣化が進む前に現れる重要な警告サインです。
異常が小さい段階で調査を行えば、影響範囲を抑えられる可能性があります。
含水率測定を活用した衛生管理チェックリスト
食品工場の水分管理では、次の項目を定期的に確認しましょう。
天井・壁
水染みや変色がないか
カビやカビ臭がないか
塗膜の膨れや剥がれがないか
パネルの継ぎ目に隙間がないか
周囲より含水率が高い場所がないか
床・排水設備
水たまりが長時間残っていないか
床と壁の境目に隙間がないか
排水溝から水分が広がっていないか
シーリング材が劣化していないか
洗浄後に十分乾燥しているか
空調・冷却設備
配管やダクトに結露がないか
保温材が濡れていないか
ドレン排水が正常か
冷蔵庫や冷凍庫の周囲に水分がないか
天井裏で結露が起きていないか
建物外周
雨漏りの跡がないか
外壁や屋根にひび割れがないか
シーリング材が劣化していないか
降雨後に室内の含水率が上昇していないか
記録と改善
測定場所を図面に記録しているか
過去の数値と比較しているか
異常の原因を調査しているか
改善後に再測定しているか
真菌検査と結果を照合しているか
日常点検と定期的な測定を組み合わせることで、水分異常を早期に発見しやすくなります。
水分の供給源を止めなければカビは再発する
食品工場のカビ対策では、目に見えるカビを取り除くだけでなく、カビが増殖するために必要な水分を断つことが重要です。
カビを除去しても、漏水、結露、洗浄水の浸入、湿った空気の流入などが続いていれば、再発する可能性が高くなります。
含水率測定によって、見た目では分からない建材内部の水分を確認すると、カビが再発する原因を絞り込みやすくなります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程や衛生区域を踏まえながら、建材の含水率、温湿度、結露、空調、換気、負圧などを総合的に確認します。
含水率が高い場所については、必要に応じてファイバースコープによる壁内部・天井裏の調査を行い、水分の供給源やカビの発生範囲を確認します。
さらに、一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査を組み合わせることで、建材の水分異常とカビ菌の分布を客観的に評価します。
天井や壁のカビを清掃しても再発する、水染みが消えない、冷蔵設備周辺で結露が続く、壁の中からカビ臭がする、HACCP監査前に建物の衛生状態を確認したい場合は、表面だけで判断せず、建材の含水率を調べることが大切です。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場を対象に、含水率測定、真菌検査、風量計による負圧調査、ファイバースコープ調査を組み合わせ、カビの発生原因と再発リスクの把握をサポートいたします。
ファイバースコープ調査で壁の中を確認する
表面から見えない結露・漏水・カビを確認し、必要な対策範囲と再発原因を正確に見極める
食品工場でカビが繰り返し発生する場合、目に見えている壁や天井の表面だけに原因があるとは限りません。
壁パネルの裏側、天井裏、断熱材の内部、配管周辺など、通常の目視点検では確認できない場所で、結露や漏水、カビの増殖が進んでいる可能性があります。
表面のカビを清掃しても短期間で再発する、壁や天井からカビ臭がする、含水率を測定すると一部だけ高い、原因不明の水染みが繰り返し現れるといった場合は、建物内部に水分の供給源やカビの発生源が隠れていることを疑う必要があります。
このような見えない場所の状態を確認する方法の一つが、ファイバースコープ調査です。
ファイバースコープは、先端に小型カメラが付いた細い機器です。小さな確認口や既存の隙間などからカメラを挿入し、壁の内部、天井裏、設備の隙間などを映像で確認します。
広範囲を最初から解体するのではなく、含水率測定や目視調査によって異常が疑われる場所を絞り込み、必要な範囲を確認できる点が大きな特徴です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、HACCP上級者コーディネーター取得者が食品工場の製造工程や衛生区域を踏まえ、ファイバースコープ調査、含水率測定、真菌検査、風量計による負圧調査などを組み合わせながら、カビが発生した根本原因を追究します。
なぜ食品工場では壁の中まで確認する必要があるのか
食品工場の壁や天井には、断熱材、下地材、配管、電気配線、空調設備などが納められています。
表面には清掃しやすい金属パネルや樹脂パネルが使用されていても、その裏側が常に乾燥しているとは限りません。
食品工場では、製造工程で発生する熱や蒸気、冷蔵・冷凍設備による低温、洗浄作業による水分などが重なり、建物の内外に大きな温度差や湿度差が生じます。
この温度差によって、壁や天井の内部で結露が発生することがあります。
また、パネルの継ぎ目、シーリングの劣化部分、配管の貫通部などから洗浄水や湿った空気が入り込み、内部の断熱材や下地材を濡らす場合もあります。
内部に入り込んだ水分は表面から見えにくく、乾燥にも時間がかかります。そのため、気づかないうちにカビが広がり、カビ胞子や臭気が隙間から製造区域へ流れ出す可能性があります。
壁の表面だけを清掃しても、内部に発生源が残っていれば、カビ問題を根本的に解決することはできません。
ファイバースコープとはどのような調査機器なのか
ファイバースコープは、細いケーブル状の先端にカメラや照明が取り付けられた調査機器です。
狭い空間や目視できない場所へ挿入し、内部の状態をモニターで確認します。
食品工場のカビ調査では、主に次のような場所の確認に活用します。
壁パネルの裏側
天井裏
断熱材の内部や周辺
配管やダクトの周囲
冷蔵庫・冷凍庫の壁内部
設備と壁の狭い隙間
床下や架台の内部
柱や梁の周辺
配管貫通部
排水設備周辺の空洞
ファイバースコープ調査は、壁や天井の内部全体を完全に把握できる万能な方法ではありません。
カメラを挿入できる位置や視野には限界があり、断熱材や配管などによって奥が見えない場合もあります。
そのため、ファイバースコープだけで原因を断定するのではなく、含水率測定、温湿度測定、真菌検査、図面確認などと組み合わせて評価することが重要です。
むやみな解体を避けながら異常範囲を絞り込める
食品工場では、壁や天井を解体すること自体が大きな衛生リスクになる場合があります。
建材を開けると、内部に蓄積していた粉じん、カビ胞子、断熱材の繊維などが製造区域へ広がる可能性があるためです。
また、製造ラインの停止、設備の移動、養生、清掃などが必要となり、操業に大きな影響を与えることもあります。
そのため、原因が特定できていない段階で広い範囲を解体するのは適切とは限りません。
まず、次のような調査で異常が疑われる場所を絞り込みます。
カビや水染みの目視確認
建材の含水率測定
壁面や天井面の温度確認
空中浮遊真菌検査
付着真菌検査
カビ臭が強い位置の確認
図面による配管や構造の確認
風量計による空気の流れの確認
そのうえで、必要性の高い場所に確認口を設け、ファイバースコープを挿入します。
調査結果を基に、実際に開口すべき場所や範囲を判断することで、不必要な解体を抑えながら、必要な対策へつなげることができます。
ファイバースコープで確認できる主な異常
壁内部や天井裏の結露
ファイバースコープを挿入すると、壁の裏側や金属部材、配管表面などに水滴が付着している状態を確認できる場合があります。
内部結露は表面に現れないことが多く、日常点検では発見しにくい異常です。
水滴が確認された場合は、その場所の温度差、断熱状態、気密性、空気の流れなどを調べる必要があります。
漏水や雨水の浸入
配管の継ぎ目、屋根、外壁、設備の排水部分などから水が浸入すると、内部に濡れや水染みが発生します。
水が伝った跡や局所的な濡れを確認することで、漏水経路を推測する手がかりになります。
ただし、水分は梁や配管を伝って移動するため、濡れている場所と浸入口が一致するとは限りません。
断熱材の濡れや劣化
断熱材が水分を含むと、断熱性能が低下し、さらに結露が起きやすくなることがあります。
濡れた断熱材は乾燥しにくく、内部でカビが増殖する原因にもなります。
ファイバースコープでは、断熱材の変色、垂れ下がり、欠損などを確認できる場合があります。
建材内部のカビ
壁裏や天井裏に黒色、緑色、白色などの斑点や菌糸状の広がりが見えることがあります。
ただし、映像だけでその変色がカビであると断定することはできません。
カビが疑われる場合は、必要に応じて試料を採取し、真菌検査によって確認することが重要です。
配管や保温材の異常
冷水配管や冷媒配管の保温材に隙間や破損があると、配管表面で結露が発生することがあります。
結露水が天井材や壁材へ広がり、カビの原因となるため、配管周辺の状態も重要な確認項目です。
隙間からの空気流入
壁内部や天井裏から室内へ空気が流れ込んでいる場合、湿気やカビ胞子も同時に運ばれる可能性があります。
特に製造室が強い負圧になっていると、配管貫通部やパネルの隙間から内部空気を吸い込むことがあります。
ファイバースコープによる目視だけでは空気の流れを正確に測れませんが、隙間や構造を確認することで、流入経路を考える手がかりになります。
ファイバースコープ調査が必要となる代表的な症状
食品工場で次のような状況がある場合は、壁や天井の内部調査を検討する必要があります。
カビを清掃しても同じ場所で再発する
壁や天井からカビ臭がする
目に見えるカビがないのに真菌検査の数値が高い
天井や壁に原因不明の水染みがある
含水率測定で局所的に高い場所がある
雨が降った後にカビ臭や染みが強くなる
冷蔵庫・冷凍庫の周辺で結露が続く
配管付近の天井に変色がある
壁パネルの下部が膨れている
空調吹き出し口周辺でカビが再発する
製造室内の一部だけ湿度が高い
建物を改修してからカビが発生するようになった
強い負圧が確認されている
天井裏や壁内部から異臭がする
これらの症状は、表面だけでなく内部に異常がある可能性を示しています。
表面にカビがないのにカビ臭がする理由
カビ臭は、カビが増殖する際に発生する揮発性物質などによって感じられることがあります。
壁の表面にカビが見えなくても、壁内部、天井裏、断熱材、空調設備などでカビが増殖していれば、臭気が小さな隙間を通って室内へ出てくる場合があります。
特に、次のような条件では内部の臭気が室内へ流入しやすくなります。
製造室が強い負圧になっている
コンセントや配管貫通部に隙間がある
天井点検口の気密性が低い
壁パネルの継ぎ目が開いている
空調設備が天井裏の空気を吸い込んでいる
扉の開閉で区域間の圧力が変化する
カビ臭の発生場所と実際のカビ発生源が離れている場合もあるため、臭いが強い場所だけを確認するのではなく、空気の流れを考えながら調査する必要があります。
含水率測定で異常箇所を絞り込む
ファイバースコープを有効に活用するには、先に含水率測定を行い、水分異常が疑われる場所を把握することが重要です。
壁や天井を一定の間隔で測定し、周囲より含水率が高い場所を記録します。
たとえば、壁の下部だけ数値が高い場合は、床面やパネルの継ぎ目から水分が浸入している可能性があります。
天井の一部だけ高い場合は、配管結露、漏水、天井裏の内部結露などを検討します。
含水率の分布を確認したうえで、最も異常が疑われる場所へファイバースコープを挿入すれば、調査の精度を高められます。
一方で、含水率が低くても、過去に濡れて乾燥した場所や、胞子だけが残っている場所では、カビが存在する場合があります。
含水率が低いから内部に問題がないと断定せず、カビ臭、真菌検査、過去の漏水履歴なども含めて判断します。
真菌検査と組み合わせてカビを確認する
ファイバースコープの映像で黒い斑点や変色が見つかっても、それがカビなのか、汚れや腐食なのかを映像だけで判断するのは難しい場合があります。
そのため、カビが疑われる場所では、可能であれば試料を採取し、真菌検査を行います。
また、内部に直接触れられない場合は、周辺の空中浮遊真菌や隙間から流れ出す空気の状態を確認することがあります。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査を活用することで、目視調査で確認した異常と、実際の真菌汚染との関係を客観的に評価できます。
調査結果は、次のように組み合わせて考えます。
内部に変色があり、真菌も確認された場合
壁内部や天井裏がカビの発生源になっている可能性が高まります。水分の原因と影響範囲を詳しく調べます。
内部に濡れがあるが、真菌が少ない場合
水分異常が発生して間もない可能性があります。カビが広がる前に水分の供給源を止め、乾燥状態を確認することが重要です。
内部が乾いて見えるが、真菌が多い場合
過去の結露や漏水によってカビが発生し、乾燥後も胞子や汚染が残っている可能性があります。
内部に異常がなく、室内の真菌数が高い場合
空調設備、原材料、包装資材、隣接区域など、別の発生源を調査する必要があります。
ファイバースコープ調査と真菌検査を組み合わせることで、見た目だけに頼らない原因分析が可能になります。
負圧による壁内空気の吸い込みにも注意する
食品工場では、排気設備が強すぎたり、給気量が不足したりすると、製造室が過度な負圧になることがあります。
強い負圧が生じると、壁や天井の隙間から内部の空気を吸い込みます。
壁内部にカビや湿った断熱材がある場合、その空気とともにカビ胞子や臭気が製造区域へ流入する可能性があります。
さらに、夏季には高温多湿の外気が壁内部へ入り込み、冷房で冷えた建材に触れて内部結露を起こす場合があります。
このような問題は、壁内部だけを確認しても原因を十分に把握できません。
ファイバースコープで壁内の状態を確認するとともに、風量計を用いて給気量と排気量を測定し、区域間の空気の流れを調べることが重要です。
建物内部の異常と空気の流れを一緒に確認することで、カビの発生と拡散の仕組みを整理しやすくなります。
調査前に食品工場特有の衛生リスクを考える
食品工場で壁や天井へ確認口を設ける場合、通常の建物調査以上に衛生管理へ配慮しなければなりません。
開口時には、壁内部の粉じん、カビ胞子、断熱材の繊維、異物などが室内へ出る可能性があります。
そのため、調査前には次の項目を確認します。
製造を停止できる時間帯
製品や原材料の有無
製造設備への養生
清潔区域と一般区域の区分
調査後の清掃方法
開口部の一時的な封鎖方法
異物混入防止対策
カビ胞子の飛散防止
調査器具の衛生管理
製造再開前の確認方法
特に製品が露出する区域や、加熱後の製品を扱う区域では、調査作業そのものが衛生リスクにならないように計画する必要があります。
HACCPの視点では、調査の必要性だけでなく、調査によって新たな危害要因を持ち込まないことも重要です。
調査位置は図面と現場状況から決める
ファイバースコープを挿入する場所は、カビが見える場所だけで決めるものではありません。
水分や空気は建物内部を移動するため、表面に症状が現れている場所と、実際の原因箇所が異なることがあります。
調査位置を決める際は、次の情報を確認します。
建築図面
天井伏図
配管図
空調設備図
冷蔵・冷凍設備の配置
過去の改修履歴
漏水や結露の履歴
含水率測定結果
真菌検査結果
カビ臭の位置
空気の流れ
製造設備の配置
たとえば、天井に水染みがある場合、その真上だけでなく、近くの配管やダクト、屋根の接合部、水が流れやすい梁周辺なども確認します。
壁の下部にカビがある場合は、床と壁の取り合い、パネル内部、洗浄水の流れ、隣接区域との温度差などを考慮します。
一か所の映像だけで全体を判断しない
ファイバースコープで一か所を確認し、異常が見えなかったからといって、壁や天井の内部全体に問題がないとは限りません。
内部には、柱、梁、断熱材、配管などがあり、空間が分断されていることがあります。
わずかに位置が違うだけで、カメラから見える範囲が大きく変わる場合があります。
そのため、必要に応じて複数箇所から確認し、映像と含水率の分布を比較します。
また、調査時点で乾いていても、特定の季節や設備運転時にだけ結露が発生することがあります。
一度の調査結果だけで判断せず、過去の発生状況、季節、天候、空調運転なども含めて評価することが重要です。
調査時に記録しておきたい項目
ファイバースコープ調査では、映像を見るだけでなく、調査条件や確認位置を正確に記録することが重要です。
次の項目を整理しておくと、原因分析やHACCP監査時の説明に活用できます。
調査日時
調査場所
確認口の位置
カメラを向けた方向
壁や天井の構造
内部の温度や湿度
含水率測定値
結露や水滴の有無
水染みや変色の状態
カビが疑われる範囲
断熱材の状態
配管やダクトの状態
臭気の有無
写真や映像
真菌検査の採取位置
調査後の開口部の処置
確認位置を図面や写真に記録しておくと、改善後に同じ場所を再確認しやすくなります。
内部にカビが見つかった後に考えること
壁や天井の内部でカビが確認された場合、すぐに表面だけを処理して終わらせてはいけません。
まず、なぜ内部でカビが発生したのかを調べます。
主な確認項目は次のとおりです。
漏水が続いていないか
内部結露が起きていないか
断熱材が不足・欠損していないか
気密部分に隙間がないか
洗浄水が浸入していないか
配管保温材が劣化していないか
強い負圧で湿気を吸い込んでいないか
空調停止後に高湿度が続いていないか
外壁や屋根から雨水が入っていないか
カビが存在する範囲だけでなく、水分の供給源と空気の流れを改善しなければ、再びカビが発生する可能性があります。
また、内部のカビが製造区域や製品へどの程度影響しているかを評価し、必要に応じて真菌検査や製造環境の確認を行います。
調査結果をHACCP監査対応へ活用する
食品工場でカビや水分異常が発生した場合、HACCP監査では、発見から改善までの流れを説明できることが重要です。
ファイバースコープ調査の記録は、見えない場所まで原因調査を行ったことを示す資料として活用できます。
次の内容を整理しましょう。
カビや水染みを発見した経緯
製品への影響評価
応急的に行った対応
含水率測定の結果
ファイバースコープの確認位置
内部の写真や映像
原因と判断した根拠
真菌検査の結果
漏水・結露・換気などの改善内容
改善後の内部確認
再発防止の点検項目
製造再開の判断
「カビを清掃した」という結果だけでなく、内部まで確認し、原因を特定し、再発防止策を実施したことを記録することが大切です。
改善後にも内部を再確認する
漏水箇所や結露原因を改善した後は、壁や天井の内部が十分に乾燥したかを確認します。
表面が乾いていても、断熱材や下地材に水分が残っていることがあります。
内部が湿ったまま開口部を閉じると、再びカビが増殖する可能性があります。
改善後は次の項目を確認します。
新たな水滴や濡れがないか
含水率が低下しているか
断熱材が乾燥しているか
配管の結露が止まっているか
雨天後に再び濡れないか
カビ臭がなくなっているか
空中浮遊真菌の数値が改善しているか
給気と排気のバランスが改善しているか
必要に応じて一定期間後にも再確認し、原因改善が継続しているかを評価します。
ファイバースコープ調査の限界を理解する
ファイバースコープ調査は非常に有効ですが、内部のすべてを確認できるわけではありません。
主な限界として、次の点があります。
カメラを挿入できない場所がある
断熱材や配管で視界が遮られる
カメラから離れた場所は見えにくい
映像だけでは材質やカビを断定できない
水分の原因まで映像だけで特定できない
調査時以外に発生する結露は確認できない場合がある
そのため、ファイバースコープの映像だけを根拠にせず、含水率、真菌検査、温湿度、風量、図面、発生履歴などを総合して判断します。
調査方法の特徴と限界を理解したうえで活用することが、正確な原因調査につながります。
壁内・天井裏調査のチェックリスト
食品工場で内部調査を行う際は、次の項目を確認しましょう。
調査前
カビが繰り返し発生していないか
カビ臭や水染みがないか
含水率が高い場所を測定したか
配管や空調の図面を確認したか
製造工程への影響を検討したか
養生や飛散防止方法を決めたか
開口後の清掃方法を決めたか
内部確認
水滴や濡れがないか
カビが疑われる変色がないか
断熱材が濡れていないか
配管から漏水していないか
保温材が破損していないか
空気が流れる隙間がないか
虫や異物の侵入跡がないか
建材が腐食・劣化していないか
調査後
写真や映像を保存したか
調査位置を図面に記録したか
必要に応じて真菌検査を行ったか
水分の供給源を特定したか
改善範囲を決定したか
開口部を適切に復旧したか
周辺を清掃したか
改善後の再確認計画を立てたか
見えない場所を確認してこそ再発防止につながる
食品工場でカビが繰り返し発生する場合、表面だけを見て判断すると、本当の発生源を見落とす可能性があります。
壁や天井の内部では、結露、漏水、断熱材の濡れ、空気の流入などが複雑に関係し、カビが増殖していることがあります。
表面のカビを清掃しても、内部に湿った建材やカビが残っていれば、胞子や臭気が再び製造区域へ出てくる可能性があります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の衛生区域、製造工程、空調、換気、建物構造を確認したうえで、ファイバースコープによる壁内部・天井裏調査を行います。
さらに、建材の含水率測定、風量計による負圧調査、一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査を組み合わせ、カビの発生場所だけでなく、水分の供給源や胞子の拡散経路まで総合的に調査します。
壁や天井のカビを清掃しても再発する、内部からカビ臭がする、原因不明の水染みがある、真菌検査で高い数値が確認された、HACCP監査前に見えない場所まで確認したい場合は、表面だけで判断せず、専門的な内部調査を行うことが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場を対象に、ファイバースコープ調査、含水率測定、真菌検査、負圧・風量調査を組み合わせ、カビの発生原因の特定と再発防止をサポートいたします。
HACCP監査前に確認したい衛生管理チェックリスト
カビ・結露・空調・建物内部・記録の不備を事前に見直し、監査指摘と食品汚染リスクを減らす
食品工場のHACCP監査では、製造工程の管理記録だけでなく、工場内の清掃状態、建物の劣化、結露、空調設備、換気、排水、従業員の衛生管理など、幅広い項目が確認されます。
特にカビに関する問題は、単なる見た目の汚れとして終わるものではありません。
天井や壁に発生したカビ、配管から落下する結露水、空調吹き出し口の黒ずみ、繰り返し発生する水染みなどは、製品への異物混入や微生物汚染につながる可能性があります。
監査直前になってから目に見えるカビだけを清掃しても、発生原因が残っていれば、短期間で再発する可能性があります。
また、監査担当者から原因や改善内容を質問された際に、「清掃しました」という説明だけでは、再発防止まで実施したことを十分に示せない場合があります。
HACCPに沿った衛生管理で求められるのは、異常を発見し、影響を評価し、原因を調査し、改善し、その効果を確認する一連の管理です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、HACCP上級者コーディネーター取得者が食品工場の製造工程と衛生区分を確認し、カビ、結露、空調、換気、建物内部の水分などを総合的に調査します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査、建材の含水率測定、風量計による給気・排気の確認、ファイバースコープによる壁内・天井裏調査を組み合わせ、監査指摘につながりやすい問題の原因を確認します。
監査前だけ清掃しても根本的な対策にはならない
HACCP監査が近づくと、工場全体の清掃を強化し、目立つ汚れやカビを取り除くケースが多くあります。
清掃は非常に重要ですが、カビが発生した原因まで改善されていなければ、監査後に再発する可能性があります。
たとえば、天井のカビを拭き取っても、天井裏で結露が続いていれば、再び表面へカビが現れます。
空調吹き出し口を清掃しても、ドレンパンやダクト内部に汚染が残っていれば、空気とともにカビ胞子が拡散することがあります。
壁の黒ずみを除去しても、パネル内部に洗浄水が浸入していれば、内部でカビが増殖し続ける可能性があります。
監査前の確認では、次の三段階で考えることが大切です。
目に見える異常がないか確認する
異常が発生した原因を調べる
改善後に再発していないことを確認する
見た目を整えるだけでなく、原因調査と改善記録まで準備しておくことが、実効性のある監査対策につながります。
HACCP監査前のカビ・結露対策チェックリスト
ここからは、食品工場で監査前に確認しておきたい項目を、場所ごとに整理します。
すべての食品工場に同じ項目が当てはまるわけではありません。製造する食品、工程、設備、建物構造、社内基準に合わせて、必要な項目を追加してください。
1.天井の確認項目
天井は、食品工場のカビ対策で特に重要な場所です。
製品や製造設備の上部にあるため、カビ片、塗膜、ほこり、結露水などが落下すると、製品へ直接影響する可能性があります。
監査前には、次の項目を確認します。
黒色、緑色、白色などのカビ状の汚れがないか
水染みや変色がないか
結露水が付着していないか
水滴が製造設備や製品へ落下する可能性がないか
塗装や表面材が膨れていないか
塗膜やパネルが剥がれていないか
天井パネルの継ぎ目に隙間がないか
照明器具周辺に汚れや虫の死骸がないか
配管貫通部に隙間がないか
点検口が適切に閉じられているか
天井裏からカビ臭がしないか
清掃記録や点検記録が残されているか
天井に水染みがある場合は、表面を清掃するだけでは不十分です。
配管からの漏水、屋根からの雨水浸入、天井裏の結露、空調設備のドレン不良などを確認します。
含水率測定によって水分の範囲を確認し、必要に応じてファイバースコープで天井裏を調査することが重要です。
2.壁・間仕切りパネルの確認項目
壁は日常的に目に入りやすい場所ですが、設備や棚の裏側は見落とされることがあります。
また、表面が清潔に見えても、パネルの内部でカビが発生している場合があります。
次の項目を確認しましょう。
壁面にカビや変色がないか
設備や棚の裏側に汚れがないか
壁の下部に黒ずみや水染みがないか
パネルの継ぎ目に隙間がないか
シーリング材が剥離・劣化していないか
壁面にひび割れがないか
塗装や表面材が剥がれていないか
壁が膨れていないか
壁材が柔らかくなっていないか
コンセントや配管貫通部に隙間がないか
壁の内部からカビ臭がしないか
洗浄後に壁の下部が乾いているか
壁の下部にカビが集中している場合は、床と壁の取り合い部分から洗浄水が浸入している可能性があります。
壁の上部や冷蔵設備との境目に異常がある場合は、温度差による内部結露も考えられます。
3.床・排水溝の確認項目
床や排水溝は、水分、食品残渣、油分などが集まりやすく、カビや細菌の増殖環境になりやすい場所です。
監査前には、見た目の清潔さだけでなく、排水状態や乾燥状態も確認します。
床に水たまりが残っていないか
床の勾配が適切で排水されているか
ひび割れや欠損がないか
床材の剥離や膨れがないか
排水溝に食品残渣やぬめりがないか
排水口から異臭がしないか
排水口から空気が逆流していないか
グレーチングの裏側が清掃されているか
排水設備周辺にカビがないか
床と壁の境目に隙間がないか
清掃後に水分が長時間残っていないか
清掃用具が床へ直接置かれていないか
排水口から空気が流入する場合は、工場内の負圧が関係していることがあります。
排水設備だけでなく、給気と排気のバランスも確認する必要があります。
4.配管・保温材の確認項目
冷水配管、冷媒配管、蒸気配管などは、食品工場の結露や漏水の発生源になりやすい設備です。
特に製品や製造ラインの上を通る配管は、重点的に確認します。
配管表面に結露がないか
配管から水滴が落下していないか
継ぎ手部分から漏水していないか
保温材に破れや隙間がないか
保温材が濡れていないか
保温材の表面にカビや変色がないか
配管支持部周辺にさびや腐食がないか
天井との貫通部に隙間がないか
配管の下に製品や包装資材が置かれていないか
結露受けや排水が正常に機能しているか
保温材の内部に水分が入り込むと、表面からは分からない場所で結露が続くことがあります。
変色やカビ臭がある場合は、内部確認も検討します。
5.空調設備の確認項目
空調設備は、工場内の温度や湿度を管理する重要な設備である一方、管理が不十分だとカビ胞子の拡散源になる可能性があります。
次の項目を確認しましょう。
吹き出し口にカビや黒ずみがないか
吹き出し口から異臭がしないか
フィルターが目詰まりしていないか
フィルターの交換・清掃記録があるか
ドレンパンに水やぬめりが残っていないか
ドレン排水が正常に流れているか
冷却コイルに汚れが蓄積していないか
空調機内部にカビがないか
ダクト内部に結露や汚れがないか
空調停止後に湿度が急上昇していないか
設定温度と実際の室温に大きな差がないか
区域ごとの温湿度が記録されているか
設備の点検・整備記録が残されているか
吹き出し口の表面だけを清掃しても、空調機内部やダクトが汚染されていれば、問題は改善しません。
空中浮遊真菌検査を行い、吹き出し口周辺と製造区域の状態を比較することも有効です。
6.換気・給気・排気の確認項目
換気扇や排気設備が動いていることと、適切な換気ができていることは同じではありません。
給気量が不足していると、工場内が過度な負圧になり、屋外、天井裏、壁内部、排水口などから空気を吸い込む可能性があります。
給気口がふさがれていないか
給気フィルターが目詰まりしていないか
排気設備が正常に動作しているか
給気量と排気量のバランスが取れているか
扉が必要以上に重くないか
扉の隙間から強く風が入っていないか
汚染区域から清潔区域へ空気が流れていないか
排水口から空気が逆流していないか
天井点検口や配管貫通部から風を感じないか
空気がよどむ場所がないか
設備増設後に風量を再確認したか
風量測定の記録があるか
負圧そのものが悪いわけではありません。
区域ごとの衛生目的に応じて圧力差を管理し、意図しない方向から空気が流入していないことを確認する必要があります。
7.冷蔵庫・冷凍庫の確認項目
冷蔵庫や冷凍庫は温度差が大きく、結露や内部結露が起こりやすい設備です。
扉や枠に結露がないか
パッキンが劣化していないか
扉が確実に閉まるか
天井や壁に霜・水滴・カビがないか
冷却器周辺に汚れがないか
ドレン排水が正常か
床に水たまりがないか
庫内の温度記録に異常がないか
庫外側の壁や天井に水染みがないか
断熱パネルの継ぎ目に隙間がないか
保管品を壁や床へ密着させていないか
段ボールや木製パレットにカビがないか
冷凍庫の外壁や天井で結露が確認される場合は、断熱性能や気密性の低下、壁内部への湿った空気の侵入を疑います。
8.製造設備・作業台の確認項目
製造設備は、日常清掃で見える部分だけでなく、裏側、下部、接合部なども確認する必要があります。
設備表面にカビや汚れがないか
設備の裏側や下部に食品残渣がないか
接合部やボルト周辺に汚れがないか
水がたまりやすい構造になっていないか
洗浄後に十分乾燥しているか
清掃できない隙間がないか
ホースや配線の周囲に汚れがないか
設備上部にほこりが蓄積していないか
潤滑油や結露水が製品へ落下しないか
清掃・点検記録が残されているか
設備と壁の隙間が狭く、清掃や点検ができない場合は、設備配置そのものを見直すことも必要です。
9.原材料・包装資材倉庫の確認項目
原材料や包装資材は、外部からカビ胞子を持ち込む経路になる場合があります。
特に段ボール、紙袋、木製パレットなどは、湿気を含むとカビが発生しやすくなります。
原材料や包装資材にカビがないか
段ボールが湿っていないか
木製パレットに変色やカビがないか
床へ直接置かれていないか
壁へ密着させて保管していないか
倉庫内の温度・湿度が管理されているか
雨天時の搬入品が濡れたままになっていないか
先入れ先出しが守られているか
長期滞留品がないか
害虫や小動物の侵入跡がないか
搬入口付近に結露や雨水浸入がないか
不適合品が区分されているか
外装段ボールを清潔区域へ持ち込む場合は、区域区分や持ち込み方法が適切かを確認します。
10.清掃用具・洗浄設備の確認項目
清掃用具自体が汚染されていると、清掃によってカビや汚れを別の場所へ広げる可能性があります。
モップやブラシにカビや異臭がないか
使用後に洗浄・乾燥されているか
床へ直接置かれていないか
清潔区域と一般区域で用具を区別しているか
色分けや表示が明確か
洗剤や薬剤が適切に保管されているか
希釈濃度や使用方法が守られているか
用具の交換基準が決められているか
清掃用具置き場に換気があるか
清掃用具置き場に水たまりがないか
ホース内部に水が残ったままになっていないか
清掃後の確認者が決められているか
湿ったモップやブラシを密閉された場所へ保管すると、清掃用具自体にカビが発生する可能性があります。
洗うだけでなく、速やかに乾燥させることが重要です。
11.従業員の衛生管理と動線の確認項目
人の動きによって、カビ胞子、粉じん、異物などが区域間を移動することがあります。
入室手順が守られているか
作業着や帽子の着用状態が適切か
手洗い設備が正常に使えるか
手洗い・消毒の手順が掲示されているか
靴や長靴の使い分けができているか
清潔区域と汚染区域の動線が交差していないか
外部業者の入室管理ができているか
私物が製造区域へ持ち込まれていないか
教育記録が残されているか
ルール違反があった際の是正方法が決められているか
設備や建物が適切に管理されていても、人の動線に問題があると汚染が広がる可能性があります。
12.温度・湿度管理の確認項目
カビの増殖を抑えるには、湿度管理が重要です。
室温だけを記録していても、湿度の上昇や結露リスクを把握できない場合があります。
区域ごとの温度と湿度を記録しているか
測定器の設置場所が適切か
測定器の校正や確認を行っているか
湿度が高くなる時間帯を把握しているか
洗浄後の湿度上昇を確認しているか
空調停止後の湿度を確認しているか
季節ごとの変化を把握しているか
異常値が出た際の対応基準があるか
結露が発生する場所と温湿度記録を照合しているか
設定値変更の記録が残されているか
測定値は、記録するだけでは意味がありません。
異常値が出た場合に、誰が確認し、どのような対応を取るかを決めておくことが重要です。
13.真菌検査の確認項目
見た目だけでは、工場内のカビ汚染状況を正確に判断できません。
監査前に真菌検査を行う場合は、目的と評価方法を明確にします。
検査の目的が明確になっているか
製造工程に応じた採取場所を選んでいるか
空中浮遊真菌と付着真菌の必要性を検討したか
屋外の空気も比較対象として調べたか
採取時の温湿度や設備状態を記録したか
過去の検査結果と比較しているか
高い数値が出た場所の原因を調査したか
対策後に再検査を行ったか
結果に対する評価が記録されているか
検査結果を衛生管理の見直しへ反映したか
検査結果の数値だけを保管するのではなく、なぜその場所を検査したのか、結果をどう評価し、何を改善したのかまで整理します。
14.建物内部の水分・劣化確認
カビが繰り返し発生する場合、壁や天井の内部に水分が残っている可能性があります。
水染み周辺の含水率を測定したか
正常な場所と数値を比較したか
水分の広がりを図面に記録したか
雨天後や設備稼働後の変化を確認したか
内部結露の可能性を検討したか
配管漏水の有無を確認したか
洗浄水の浸入経路を確認したか
必要に応じてファイバースコープ調査を行ったか
改善後に含水率が低下したことを確認したか
一定期間後に再発確認を行ったか
建材内部に水分が残っている状態で表面だけを清掃しても、根本的な改善にはなりません。
15.記録類の確認項目
HACCP監査では、適切な管理を行っていることを記録で説明できる必要があります。
実際に点検や清掃を行っていても、記録がなければ実施状況を証明しにくくなります。
日常清掃の記録があるか
定期清掃の記録があるか
空調設備の点検記録があるか
フィルター交換の記録があるか
温度・湿度の記録があるか
結露発生時の対応記録があるか
カビ発見時の是正記録があるか
真菌検査の結果が整理されているか
含水率や風量測定の記録があるか
修繕・改善の記録があるか
改善後の確認結果があるか
担当者と確認者が明確か
記録に空欄や記入漏れがないか
保存期間が決められているか
過去の指摘事項が再発していないか
記録は、監査のためだけに作成するものではありません。
設備や環境の変化を早期に発見し、異常の傾向を把握するためにも重要です。
カビを発見したときの対応フロー
監査前の点検でカビが見つかった場合は、慌てて清掃する前に、発見時の状態を記録します。
推奨される基本的な流れは次のとおりです。
1.発見場所を記録する
発見日時、場所、範囲、色、臭い、水分の有無などを記録し、写真を撮影します。
2.製品への影響を確認する
製品、原材料、包装資材、製造設備への落下や接触がなかったかを確認します。
3.必要な隔離・応急対応を行う
影響が疑われる区域や製品について、社内ルールに基づく対応を行います。
4.原因を調査する
結露、漏水、空調、換気、負圧、洗浄水の浸入、建物内部の水分などを確認します。
5.必要な改善を行う
目に見えるカビへの対応だけでなく、水分や空気の流れなどの原因を改善します。
6.効果を確認する
目視、含水率測定、真菌検査などによって、改善効果を確認します。
7.再発防止策を記録する
点検頻度、清掃方法、設備管理、温湿度管理などを見直し、継続的な管理へつなげます。
この流れを記録として残すことで、監査時にも組織的な対応を説明しやすくなります。
監査で説明できるように原因と是正を整理する
監査担当者からカビや結露について質問された場合、次の内容を説明できるように準備しましょう。
いつ、どこで異常を発見したか
どの製品や工程へ影響する可能性があったか
どのような応急対応を行ったか
原因をどのように調査したか
原因は何だったのか
どのような改善を行ったか
改善の効果をどう確認したか
再発防止のために何を継続しているか
たとえば、「天井にカビがあったので清掃した」だけでは、原因と再発防止が不明確です。
「天井の変色を発見し、製品への影響がないことを確認した。含水率測定と天井裏調査を行った結果、冷水配管の保温材劣化による結露が原因と判断した。保温状態を改善し、乾燥後に真菌検査と含水率の再測定を行い、問題が改善したことを確認した」という流れで整理すると、対応の根拠が明確になります。
自社点検は製造中の状態でも行う
監査前の点検を、製造停止中や清掃直後だけに行うと、通常稼働時の問題を見落とす可能性があります。
設備が稼働すると、熱、蒸気、排気、冷却、扉の開閉、人の移動などによって工場内の環境が変化します。
製造中だからこそ確認できる問題もあります。
蒸気が天井へ滞留していないか
配管に結露が発生していないか
排気によって強い負圧が起きていないか
扉を開けたときに汚染区域から風が流入しないか
空調の風が製品へ直接当たっていないか
製造設備の下に水がたまっていないか
人や物の動線が交差していないか
洗浄後に十分乾燥しているか
停止中、製造中、洗浄後など、条件の異なる時間帯に点検することで、実際のリスクを把握しやすくなります。
チェックリストは記入することが目的ではない
衛生管理チェックリストは、項目へ丸を付けるためだけの書類ではありません。
異常を早期に発見し、必要な改善へつなげるための道具です。
毎日同じ場所を見ていると、小さな変化に気づきにくくなることがあります。
そのため、定期的に担当者を変える、品質管理担当者と製造担当者が一緒に点検する、過去の写真と比較するといった工夫も有効です。
チェック項目で「異常あり」となった場合は、次の行動まで明確にします。
誰へ報告するのか
製造を継続できるのか
製品への影響を誰が判断するのか
いつまでに原因を調査するのか
改善後に誰が確認するのか
記録をどこへ保存するのか
異常発見後の対応ルールがなければ、チェックリストを作成しても衛生改善へつながりません。
監査指摘ゼロを目指すには日常管理が重要
HACCP監査での指摘を減らすために重要なのは、監査直前だけ工場を整えることではありません。
日常的に異常を発見し、原因を調査し、改善を続ける仕組みをつくることです。
特にカビや結露は、季節、天候、設備の運転、製造量、清掃方法などによって状態が変化します。
一度問題がなかった場所でも、空調設備の劣化、製造設備の増設、断熱材の劣化、給気口の目詰まりなどによって、後からカビリスクが高まることがあります。
そのため、次の管理を継続することが大切です。
日常的な目視点検
温度・湿度の記録
結露発生場所の記録
空調・換気設備の定期点検
給気・排気風量の確認
建材の含水率測定
必要に応じた真菌検査
壁内・天井裏の確認
改善後の再点検
従業員教育
監査対応は、書類をそろえることだけではありません。
工場内の衛生リスクを正しく把握し、食品汚染を防ぐ管理が実際に機能していることが重要です。
専門調査を検討したい危険サイン
監査前の自社点検で次のような状態が見つかった場合は、専門的な調査を検討してください。
同じ場所でカビが繰り返し発生する
天井や壁からカビ臭がする
空調吹き出し口に黒ずみがある
原因不明の真菌数上昇がある
天井や壁に水染みがある
配管や冷却設備の結露が続いている
建材の含水率が周囲より高い
製造室の扉が強く引かれる
排水口から空気が逆流する
製造室の一部だけ湿度が高い
雨の日にカビ臭が強くなる
壁や天井の内部状況が分からない
過去の監査でカビや結露を指摘された
清掃しても短期間で再発する
これらの症状がある場合は、表面の清掃だけでは解決しない可能性があります。
監査前の確認から再発防止までを一つの流れにする
食品工場のHACCP監査対策では、カビを見えない状態にすることが目的ではありません。
カビ、結露、水分、空気の流れなどの異常を発見し、食品への影響を評価し、原因を改善して再発を防ぐことが本来の目的です。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程、衛生区域、建物構造、空調・換気設備を確認し、監査で指摘されやすいカビリスクを総合的に調査します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査によって、目に見えないカビ菌を数値化し、建材の含水率測定によって壁や天井に残る水分を確認します。
さらに、風量計を用いて給気と排気のバランスや負圧状態を調べ、必要に応じてファイバースコープで壁内・天井裏の結露、漏水、カビを確認します。
監査前にカビや結露が見つかった、過去に同じ指摘を受けている、空調設備や建物内部の状態が分からない、真菌検査による客観的な確認が必要という場合は、早めの専門調査が重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場を対象に、HACCPの視点を取り入れたカビ調査、真菌検査、含水率測定、負圧・風量調査、ファイバースコープ調査を通じて、監査指摘の予防と衛生管理体制の強化をサポートいたします。
実際にあった食品工場のカビトラブル事例
天井結露・空調汚染・壁内部の水分など、カビが再発する原因を事例から学ぶ
食品工場で発生するカビトラブルは、工場ごとに場所や規模が異なります。しかし、詳しく調査すると、発生原因には多くの共通点があります。
特に多いのが、次のような問題です。
天井や配管に発生した結露
空調設備内部の汚染
給気と排気のバランス不良
壁や天井の内部に残った水分
洗浄後の乾燥不足
冷蔵庫や冷凍庫周辺の温度差
パネルの継ぎ目から浸入した洗浄水
建物の隙間から流入する湿った外気
清掃しても確認される高い真菌数
表面に見えるカビを除去しただけでは、これらの原因は解消されません。原因が残った状態では、同じ場所にカビが再発したり、別の場所へ汚染が広がったりする可能性があります。
ここでは、食品工場で実際に起こり得る代表的なカビトラブルを、個別の工場が特定されないよう一般化した事例として紹介します。
なお、食品工場の構造、製造工程、空調設備、製造品目は施設ごとに異なります。似た症状がある場合でも原因が同じとは限らないため、現場の状態に合わせた調査が必要です。
事例1 製造ライン上部の天井に黒いカビが繰り返し発生
清掃しても数週間後に再び黒ずみが現れる
ある食品工場では、製造ラインの上にある天井の一部に、黒い斑点状の汚れが繰り返し発生していました。
工場内では、発見するたびに天井表面を清掃していました。一時的にはきれいになるものの、数週間から数か月すると同じ場所に黒ずみが再び現れました。
製造ラインの上部であったため、カビ片や結露水が製品へ落下する危険性があり、HACCP上も早急な原因確認が必要な状態でした。
表面清掃だけでは原因が分からなかった
天井の表面だけを見ると、大きな漏水跡はありませんでした。しかし、周囲を詳しく確認すると、次の特徴が見られました。
冷水配管が天井裏を通っていた
製造中は室内の湿度が高くなっていた
天井表面の一部だけ温度が低かった
雨天時や夏季に黒ずみが増えやすかった
天井の含水率が周囲より高かった
製造停止中より稼働中のほうがカビ臭を感じた
これらの状況から、天井表面の汚れだけではなく、天井裏で結露が発生している可能性が疑われました。
含水率測定とファイバースコープで天井裏を確認
まず、天井の複数箇所で建材の含水率を測定し、黒ずみがある場所と正常な場所を比較しました。
その結果、黒ずみ周辺では相対的に高い数値が確認されました。
さらに、点検可能な位置からファイバースコープを使用して天井裏を確認したところ、冷水配管の保温材に劣化と隙間があり、その周辺で結露した形跡が見つかりました。
配管表面で発生した結露水が周囲の建材へ影響し、天井材に水分が供給され続けていたと考えられます。
真菌検査で汚染範囲を確認
天井表面と製造区域の空気について真菌検査を行い、目に見える範囲だけでなく、周辺への影響も確認しました。
検査結果は単純な合格・不合格で判断するのではなく、次の情報と合わせて評価します。
採取場所
製造設備の稼働状況
温度と湿度
屋外の真菌数
空調設備の運転状態
過去の検査結果
カビ発生場所との位置関係
原因となる水分の供給を止めずに表面だけを清掃しても、再発を防ぐことはできません。
この事例から分かること
天井のカビが同じ場所に繰り返し発生する場合、天井裏の結露、配管の保温不良、雨水浸入、空調設備のドレン不良などが隠れている可能性があります。
監査前に見える部分だけを清掃するのではなく、含水率測定やファイバースコープ調査によって、天井裏の水分原因を確認することが重要です。
事例2 空調吹き出し口の黒ずみと製造室のカビ臭
吹き出し口を清掃しても臭いが消えない
別の食品工場では、製造室の空調吹き出し口に黒い汚れが付着し、室内でカビのような臭いを感じることがありました。
吹き出し口の表面を清掃すると、一時的に黒ずみはなくなりました。しかし、空調設備を運転すると再び臭いが感じられ、しばらくすると同じ場所に汚れが現れました。
このような場合、吹き出し口の表面だけでなく、空調機内部やダクト内部の確認が必要です。
空調設備内部に水分と汚れが残っていた
点検では、次の問題が確認されました。
フィルターに粉じんが蓄積していた
ドレンパンに水分とぬめりが残っていた
ドレン排水の流れが悪かった
冷却コイル周辺が十分に乾燥していなかった
空調停止後に設備内部の湿度が高い状態になっていた
清掃記録とフィルター交換記録に一部不足があった
空調設備は、空気を冷却する際に水分が発生します。ドレン排水や乾燥状態に問題があると、内部がカビの増殖しやすい環境になる可能性があります。
空中浮遊真菌検査で場所ごとの差を比較
製造室内、吹き出し口周辺、給気側、屋外など複数の場所で空中浮遊真菌検査を行い、数値の傾向を比較しました。
吹き出し口周辺の数値が他の場所より高い場合でも、それだけで空調設備が原因と断定することはできません。
空調の運転前後や、屋外との比較、空気の流れる方向、室内の発生源などを総合的に確認します。
この事例では、空調設備の内部環境、吹き出し口周辺の汚れ、運転時の臭い、検査結果の傾向が関連していると考えられました。
表面清掃ではなく設備全体の管理が必要
空調設備のカビ対策では、吹き出し口だけでなく、次の箇所を一つの設備として管理することが大切です。
フィルター
冷却コイル
ドレンパン
ドレン配管
送風機
ダクト
吹き出し口
吸い込み口
設備周辺の断熱材
また、清掃や点検を実施した後は、空中浮遊真菌検査などで環境の変化を確認することも再発防止に役立ちます。
この事例から分かること
空調吹き出し口に繰り返し黒ずみが発生する場合、見える部分だけを拭き取っても根本的な改善にはなりません。
設備内部の水分、ドレン不良、フィルターの目詰まり、ダクト内部の結露などを確認し、汚染源を特定する必要があります。
事例3 壁の表面はきれいなのに室内でカビ臭がする
目に見えるカビがないため原因を特定できなかった
ある工場では、製造室の一角でカビ臭がするものの、壁や天井の表面には明確なカビが見られませんでした。
日常清掃も行われており、床、壁、設備表面に目立った異常はありませんでした。
しかし、雨の日や洗浄作業の後に臭いが強くなる傾向があり、作業者からも同じ場所で臭いを感じるという報告がありました。
壁の下部で含水率が高くなっていた
壁面を複数箇所測定すると、床と壁の取り合い部分で、周囲より高い含水率が確認されました。
外観上は大きな変化がなくても、壁内部やパネルの芯材に水分が入り込んでいる場合があります。
考えられる水分の侵入経路として、次のようなものがあります。
洗浄水がパネルの継ぎ目から入った
床と壁の境目のシーリングが劣化していた
配管貫通部から水分が入り込んだ
外壁側から雨水が浸入した
温度差によって壁内部で結露が発生した
ファイバースコープで壁内部を確認
含水率の高い範囲を参考に調査位置を検討し、ファイバースコープで壁内部を確認しました。
その結果、パネル内部に変色と水分の影響を受けた形跡が確認されました。
壁表面がきれいでも、内部でカビが増殖すると、継ぎ目、コンセント、配管貫通部などから臭いや胞子が室内へ流出することがあります。
負圧によって壁内部の空気が吸い出されていた可能性
さらに、製造室の給気と排気を確認すると、排気量に対して給気量が不足し、室内が強い負圧になっていました。
室内が過度な負圧になると、壁内部や天井裏の空気が、わずかな隙間から製造室へ引き込まれることがあります。
壁内部にカビが存在し、そこから空気が室内へ流入すれば、表面にカビが見えなくてもカビ臭や真菌数上昇の原因になる可能性があります。
この事例から分かること
「見えるカビがないから問題はない」とは限りません。
カビ臭、水染み、含水率の上昇、雨天時の変化、負圧などが確認される場合は、壁内部や天井裏の調査が必要です。
含水率測定、ファイバースコープ調査、風量測定、真菌検査を組み合わせることで、見えない発生源を絞り込みやすくなります。
事例4 冷凍庫の外側に結露とカビが発生
冷凍庫内部ではなく外壁側に異常が現れた
冷凍食品を扱う工場では、冷凍庫の外側にある壁や天井に結露が発生し、その周辺に黒いカビが見られました。
冷凍庫内は低温に管理されており、温度記録にも大きな異常はありませんでした。
問題は、冷凍庫と常温区域の境界部分に集中していました。
温度差と湿った空気の侵入が影響
冷凍庫周辺では、低温側と高温多湿側の温度差が大きいため、断熱や気密に問題があると結露しやすくなります。
確認された主な問題は次のとおりです。
パネルの継ぎ目に隙間があった
扉のパッキンが一部劣化していた
冷凍庫上部の断熱材に水分の影響が見られた
常温側の湿度が高かった
搬入口の開閉時に湿った外気が流入していた
排気設備の影響で周辺区域が負圧になっていた
湿った空気が断熱材やパネル内部へ入り込み、低温部分に触れると、内部結露が発生する可能性があります。
表面の結露対策だけでは不十分
結露水を拭き取ることは必要ですが、温度差、湿度、気密、断熱、空気の流れを改善しなければ再発します。
この事例では、結露位置の温度と湿度を記録し、含水率測定で水分の範囲を確認しました。
さらに、パネルの継ぎ目や冷凍庫上部を調査し、湿った空気の侵入経路を確認しました。
この事例から分かること
冷蔵庫や冷凍庫周辺のカビは、単なる清掃不足ではなく、断熱性能、気密性、室内湿度、負圧が複合して発生することがあります。
温度管理記録だけで安心せず、庫外側の結露、パネルの継ぎ目、天井裏の水分も確認することが大切です。
事例5 洗浄室の壁下部でカビが再発
衛生管理のための洗浄が水分供給源になっていた
食品工場では、衛生状態を保つために床や設備を水洗いすることがあります。
しかし、使用した水が適切に排水・乾燥されなければ、カビを増やす原因になる可能性があります。
ある洗浄室では、壁の下部に黒ずみが繰り返し発生していました。
清掃頻度は高く、洗剤も使用されていましたが、数週間すると再び壁際にカビ状の汚れが現れました。
床と壁の境目から洗浄水が入り込んでいた
現場を確認すると、床と壁の取り合い部分にあるシーリング材が劣化し、一部に隙間が生じていました。
高圧の洗浄水が繰り返し当たることで、その隙間から壁内部へ水分が入り込んだと考えられます。
また、洗浄後も壁際に水分が残りやすく、清掃用具も十分に乾燥しない状態で保管されていました。
洗うことと乾かすことはセット
食品工場の洗浄では、汚れを落とすことに意識が集中しがちです。
しかし、カビ対策では、洗浄後にどの程度の時間で乾燥するかも重要な管理項目です。
次の状態があると、カビリスクが高まります。
床に水たまりが残る
壁の下部が長時間濡れている
排水溝にぬめりや残渣がある
換気が不足している
洗浄後に空調を停止する
湿ったモップやブラシを密閉保管する
パネルの継ぎ目へ高圧水を直接当てる
この事例から分かること
清掃や洗浄を増やせば、必ずカビが減るとは限りません。
洗浄方法、使用水量、排水、乾燥、換気、建材の防水性まで含めて管理する必要があります。
事例6 包装室の真菌検査で数値が高くなった
見た目に異常がないのに検査結果が悪化
ある包装室では、目立つカビや水染みは確認されませんでしたが、定期的に実施していた空中浮遊真菌検査で、過去より高い数値が確認されました。
包装室は製品が最終的に外気へ触れる重要な区域であり、原因の特定が必要でした。
数値だけでは原因は判断できない
真菌検査で高い数値が出た場合、すぐに一つの原因へ結びつけるのは適切ではありません。
まず、次の条件を整理しました。
検査日の天候
屋外の真菌数
搬入口や扉の開閉状況
空調設備の運転状況
清掃の実施時間
原材料や段ボールの搬入状況
製造量
作業者数
過去の測定値
検査地点の変更有無
その結果、検査日に外装段ボールの搬入が多く、包装室に近い搬入口が長時間開いていたことが分かりました。
さらに、給気フィルターの目詰まりによって給気量が低下し、室内が負圧になっていた可能性も確認されました。
屋外・搬入口・包装室を比較
屋外、搬入口、前室、包装室などで測定を行い、真菌数の変化と空気の流れを比較しました。
また、風量計で給気と排気の状態を確認し、扉の開閉時にどの方向へ空気が流れるかを調べました。
この事例では、単独の汚染源ではなく、次の要素が重なった可能性が考えられました。
屋外由来の真菌
段ボールや搬入物
給気量の低下
包装室の負圧
搬入口の長時間開放
この事例から分かること
真菌検査の数値が高くなった場合、単に清掃を強化するだけでなく、人、物、空気の動きを確認する必要があります。
検査結果は、風量測定、設備点検、動線確認と組み合わせることで、より実践的な改善につながります。
事例7 工場の増設後にカビと結露が増えた
新しい設備の設置後から環境が変化
ある食品工場では、生産量を増やすために製造設備と排気フードを増設しました。
増設直後は大きな問題がありませんでしたが、しばらくすると次のような異常が見られるようになりました。
製造室の扉が以前より重くなった
外部から風が強く入り込む
天井の一部に結露が発生する
排水口付近で臭いを感じる
壁の継ぎ目付近にカビが発生する
湿度が安定しなくなった
排気量だけが増え、給気量が不足していた
設備増設によって排気量が大きくなった一方、給気設備は増強されていませんでした。
そのため製造室が以前より強い負圧となり、次の場所から空気を吸い込んでいました。
搬入口
扉の隙間
天井点検口
配管貫通部
壁内部
排水口
夏季には高温多湿の外気が建物内部へ入り込み、低温部分で結露した可能性があります。
また、清潔区域へ意図しない方向から空気が流れることで、衛生区域の管理にも影響していました。
設備変更時には再評価が必要
HACCPでは、製造工程や設備に変更があった場合、その変更が食品安全へ与える影響を見直すことが重要です。
排気設備、加熱設備、冷却設備、間仕切り、出入口などを変更した場合は、次の項目を再確認します。
給気量と排気量
区域間の圧力差
温度と湿度
結露発生箇所
空気の流れる方向
清掃性
排水状態
真菌数の変化
この事例から分かること
以前は問題がなかった工場でも、設備増設やレイアウト変更によってカビリスクが変化します。
設備を追加した後は、製造能力だけでなく、換気、湿度、結露、衛生区域への影響を確認する必要があります。
事例8 過去の監査で指摘されたカビが翌年も再発
是正措置を行ったのに同じ場所を指摘された
ある工場では、前年の監査で倉庫の壁にカビがあると指摘されました。
その際は壁を清掃し、是正措置記録を作成しました。しかし、翌年の監査前点検で同じ場所に再びカビが確認されました。
記録上は「清掃済み」となっていましたが、発生原因の調査や改善後の確認が十分ではありませんでした。
倉庫の湿度と外壁側の結露が原因
調査すると、カビが発生していた壁は外壁に面しており、棚や保管品が壁へ密着していました。
空気が動きにくく、冬季には壁表面の温度が低下し、局所的に湿度が高くなっていたと考えられます。
また、倉庫全体の室温は記録されていましたが、湿度は測定されていませんでした。
是正措置には効果確認が必要
HACCPの是正措置では、対応を実施したことだけでなく、その対応によって問題が改善したかを確認することが重要です。
このような場合は、次の内容を記録します。
発見日時と場所
カビの範囲
製品や資材への影響
原因調査の内容
実施した改善
改善後の温湿度
含水率の変化
真菌検査の結果
一定期間後の再発状況
点検手順の変更内容
この事例から分かること
「清掃した」という記録だけでは、再発防止策として不十分な場合があります。
原因、改善、効果確認、継続管理までを一つの流れとして記録することが重要です。
カビトラブルには複数の原因が重なっていることが多い
食品工場のカビ問題では、一つの原因だけで発生しているとは限りません。
たとえば、天井にカビが発生した場合でも、次の要因が複数重なっている可能性があります。
配管の結露
高い室内湿度
給気不足
強い負圧
天井裏への湿った空気の流入
断熱材の劣化
清掃後の乾燥不足
空調停止後の湿度上昇
そのため、目に見えるカビだけを見て原因を決めつけるのは危険です。
製造工程、建物、空調設備、水分、空気の流れ、真菌検査結果を総合的に確認する必要があります。
事例調査で重要な五つの視点
食品工場のカビトラブルを調べる際は、次の五つの視点が重要です。
1.どこに発生しているか
天井、壁、床、空調設備、配管、倉庫、冷蔵庫周辺など、発生位置を正確に記録します。
2.いつ発生しやすいか
夏季、冬季、雨天時、製造中、洗浄後、空調停止後など、発生条件を整理します。
3.水分はどこから来ているか
結露、漏水、雨水、洗浄水、蒸気、高湿度など、水分の供給源を確認します。
4.空気はどこから流れているか
給気と排気、区域間の圧力差、扉、排水口、天井裏、壁内部など、空気の経路を確認します。
5.汚染はどこまで広がっているか
目視だけでなく、真菌検査、含水率測定、ファイバースコープ調査などを用いて範囲を確認します。
発見から改善までの基本的な調査手順
食品工場でカビトラブルが確認された場合は、次のような順序で進めることが大切です。
ステップ1 現状を記録する
発生場所、範囲、色、臭い、水分、周辺設備、製造状況を写真と文章で記録します。
ステップ2 製品への影響を評価する
製品、原材料、包装資材、製造設備への落下、接触、空気経由の影響などを確認します。
ステップ3 温度・湿度・水分を調べる
温湿度記録、結露状況、建材含水率などを確認します。
ステップ4 空調・換気・負圧を調べる
風量計などを用いて、給気量、排気量、区域間の空気の流れを確認します。
ステップ5 壁内や天井裏を調べる
必要に応じてファイバースコープを使用し、内部結露、漏水、断熱材の濡れ、カビの有無を確認します。
ステップ6 真菌検査を行う
空中浮遊真菌、付着真菌、屋内外比較などにより、汚染状況を客観的に確認します。
ステップ7 原因に応じた改善を行う
表面のカビだけでなく、結露、漏水、換気、負圧、断熱、乾燥などの原因を改善します。
ステップ8 改善効果を確認する
目視、含水率の再測定、風量の再確認、真菌検査などによって、改善後の状態を確認します。
ステップ9 日常管理へ反映する
点検項目、清掃方法、温湿度記録、設備管理、従業員教育を見直し、再発防止につなげます。
HACCP上級者コーディネーターの視点で事例を評価する
食品工場のカビ調査では、建物や空調設備だけを確認すればよいわけではありません。
カビが製品や製造工程へどのような影響を与える可能性があるかを考える必要があります。
HACCP上級者コーディネーターの視点では、次の点を確認します。
カビ発生場所と製造工程の位置関係
製品が開放されている工程か
カビ片や結露水が落下する可能性
空調によって胞子が拡散する可能性
清潔区域へ汚染空気が流入する可能性
原材料や包装資材への影響
清掃や点検の頻度
異常発見時の対応手順
是正措置後の効果確認
監査時に説明できる記録の有無
同じ大きさのカビでも、製造ラインの真上にある場合と、製品から離れた機械室にある場合では、食品へのリスクが異なります。
発生面積だけでなく、製造工程との関係を考えて優先順位を決めることが重要です。
真菌検査だけでも、目視調査だけでも十分ではない
食品工場のカビ問題を判断する際、真菌検査は非常に有効です。
しかし、検査結果だけで建物内部の原因や空気の流れまで特定できるわけではありません。
一方で、目視調査だけでは、見えない胞子や壁内部の汚染を判断できないことがあります。
そのため、必要に応じて次の調査を組み合わせます。
目視・臭気確認
温度・湿度測定
建材含水率測定
風量・負圧測定
空中浮遊真菌検査
付着真菌検査
屋内外の比較
ファイバースコープ調査
設備点検記録の確認
製造・清掃・空調運転状況の聞き取り
複数の情報を重ねることで、カビの発生源と再発原因をより正確に絞り込めます。
過去のトラブルを社内教育に活用する
カビトラブルが発生した場合、その事例を一部の担当者だけで共有するのではなく、個人や取引先を特定できない形で社内教育へ活用することも重要です。
たとえば、次の内容を整理して共有します。
どこで異常が見つかったか
最初にどのような兆候があったか
なぜ早期発見できなかったか
原因は何だったか
どのように改善したか
再発防止のため何を変更したか
日常点検で何を見るべきか
実際の事例は、一般的なマニュアルよりも現場の作業者が理解しやすく、異常を発見する力の向上につながります。
「小さな水染み」「わずかなカビ臭」「扉が以前より重い」といった変化が、大きなカビトラブルの初期サインであることもあります。
カビトラブルの早期発見が監査指摘と製品リスクを減らす
カビトラブルは、目に見える範囲が小さいうちに原因を調べることが重要です。
放置すると、壁内部、天井裏、断熱材、空調設備、ダクトなどへ汚染が広がり、調査や改善の範囲が大きくなる可能性があります。
また、製造ライン上部や包装工程でカビが発生すると、製品への影響評価、製造停止、追加清掃、検査、取引先への説明など、工場運営へ大きな負担が生じることがあります。
早期発見のためには、次の小さな変化を見逃さないことが大切です。
水染み
塗装の膨れ
シーリングの変色
結露水
カビ臭
湿度の上昇
含水率の変化
真菌検査値の上昇
扉の開閉状態の変化
排水口からの空気や臭い
空調吹き出し口の黒ずみ
同じ場所での繰り返す汚れ
原因を調べずにカビを除去すると再発しやすい
今回紹介した事例に共通するのは、見えるカビの裏側に、水分や空気の問題が隠れていたことです。
天井のカビには配管結露、空調吹き出し口の黒ずみにはドレン不良、壁内部のカビには洗浄水の浸入や負圧、冷凍庫周辺のカビには断熱と気密の問題が関係していました。
カビを除去することは必要ですが、それだけでカビ問題が解決したとは限りません。
重要なのは、なぜその場所にカビが発生したのかを明らかにし、水分の供給源と空気の流れを改善することです。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程と衛生区域を考慮しながら、カビの発生原因を総合的に確認します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査、建材の含水率測定、風量計による負圧・換気調査、ファイバースコープによる壁内・天井裏調査を組み合わせ、見えない汚染源や再発原因を追究します。
同じ場所でカビが再発している、空調設備からカビ臭がする、真菌検査の数値が高い、壁や天井内部の状態が分からない、過去にHACCP監査でカビや結露を指摘されたという場合は、表面清掃だけで終わらせず、早めに専門調査を行うことが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場に対応し、カビの発生箇所だけでなく、結露、漏水、換気、負圧、建物内部の水分まで確認し、衛生管理体制の強化と再発防止を支援します。
カビ除去だけでは再発する理由
見えているカビは結果にすぎない|水分・胞子・空気の流れ・建物内部の原因を改善することが重要
食品工場でカビを発見したとき、最初に行われることが多いのは、カビが付着した部分の清掃や除去です。
製品への落下や接触を防ぐため、目に見えるカビへ速やかに対応することは必要です。しかし、カビを取り除いて表面がきれいになったからといって、カビ問題そのものが解決したとは限りません。
食品工場でカビが繰り返し発生する大きな理由は、カビが発生した原因を改善せず、見えている部分だけを処理していることにあります。
カビは、何もない場所へ突然現れるものではありません。
水分、温度、栄養分、胞子、時間といった条件がそろうことで発芽し、菌糸を伸ばして増殖します。表面に見えている黒ずみや変色は、こうした条件がその場所に存在していることを示す結果です。
したがって、カビを除去するだけではなく、なぜその場所に水分が供給されたのか、なぜ湿った状態が続いたのか、どこから胞子が流入したのかを確認しなければ、再発を防ぐことは難しくなります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場のカビを単なる汚れとして見るのではなく、食品安全へ影響する可能性がある環境上の異常として捉えます。
目に見えるカビだけでなく、結露、漏水、空調、換気、負圧、建材内部の水分、製造工程との位置関係まで確認し、再発原因を総合的に調査します。
見えているカビは発生原因ではなく「結果」
天井や壁に黒いカビが見つかった場合、その黒ずみ自体が原因ではありません。
その場所に水分が供給され、カビが増殖しやすい状態が一定期間続いた結果として、表面にカビが現れています。
たとえば、天井のカビを清掃しても、天井裏の冷水配管で結露が続いていれば、天井材へ再び水分が供給されます。
壁のカビを取り除いても、パネル内部に洗浄水が入り込んでいれば、内部でカビが増殖し続ける可能性があります。
空調吹き出し口の黒ずみを拭き取っても、ドレンパンやダクト内部が汚染されていれば、運転時に胞子が再び拡散することがあります。
再発を防ぐためには、次のように考える必要があります。
カビが見つかった場所はどこか
いつから発生していたのか
どの時期や時間帯に悪化するのか
水分はどこから供給されているのか
空気はどの方向から流れているのか
建物内部に汚染が隠れていないか
製造工程や製品へ影響する可能性があるか
「カビがあるから清掃する」で終わらず、「なぜカビが発生したのか」を確認することが重要です。
カビ除去後も胞子が周囲に残る可能性がある
カビは、菌糸を伸ばして成長し、胞子を形成します。
胞子は非常に小さく、空気の流れ、人の移動、清掃作業、設備の振動などによって周囲へ広がる可能性があります。
目に見えるカビを除去しても、周囲の空気、設備、壁面、天井、棚、配管などへ胞子が付着していることがあります。
特に、乾いた状態のカビを強くこすったり、周囲を十分に隔離せずに作業したりすると、胞子やカビ片を広げる可能性があります。
食品工場では、次の場所への二次的な広がりにも注意が必要です。
製造設備
コンベヤー
作業台
包装設備
原材料
包装資材
空調吸い込み口
清掃用具
作業着
隣接する製造区域
除去作業後は、目視だけでなく、必要に応じて付着真菌検査や空中浮遊真菌検査を行い、周辺環境への影響を確認することが大切です。
水分の供給を止めなければカビは再発する
カビの増殖において、特に重要なのが水分です。
食品工場では、製造工程、洗浄、加熱、冷却、蒸気、結露などによって、一般的な建物よりも水分が発生しやすい場合があります。
カビを除去しても、次のような水分原因が残っていれば再発する可能性があります。
天井や配管の結露
空調設備のドレン不良
冷蔵庫や冷凍庫周辺の温度差
屋根や外壁からの雨水浸入
給排水配管からの漏水
洗浄水の建材内部への浸入
床に残る水たまり
洗浄後の乾燥不足
蒸気の滞留
高湿度状態の継続
壁内部や天井裏の内部結露
カビ除去後の再発防止では、「濡れた部分を乾かす」だけでなく、「なぜ濡れたのか」を確認する必要があります。
一度乾燥させても、結露や漏水が続けば、再び水分が供給されます。
表面が乾いていても建材内部に水分が残っている
食品工場の壁や天井では、表面が乾いて見えても、内部に水分が残っていることがあります。
特に、断熱パネル、石こうボード、木質材料、保温材、断熱材などは、内部へ水分が入り込むと乾燥に時間がかかる場合があります。
表面だけを清掃して乾燥させても、内部に水分が残っていれば、見えない場所でカビが増殖する可能性があります。
その後、次の場所から臭いや胞子が室内へ流入することがあります。
パネルの継ぎ目
シーリングの隙間
コンセント
配管貫通部
天井点検口
巾木周辺
壁と床の取り合い部分
見た目だけで乾燥状態を判断するのではなく、建材の含水率を測定し、正常な場所と比較することが重要です。
含水率が高い場所では、水分の侵入範囲や供給源を調べ、必要に応じてファイバースコープで壁内部や天井裏を確認します。
洗浄の回数を増やしても再発することがある
カビが発生すると、清掃や洗浄の回数を増やす工場も少なくありません。
衛生管理として清掃を強化することは大切ですが、カビの原因によっては、洗浄回数を増やすだけでは改善しない場合があります。
たとえば、床や壁へ大量の水を使用し、洗浄後に十分乾燥できていない場合、清掃作業そのものが水分供給源になる可能性があります。
また、高圧の洗浄水を壁パネルの継ぎ目や配管貫通部へ直接当てると、内部へ水分が入り込むことがあります。
次のような状況がある場合は、洗浄方法を見直す必要があります。
洗浄後も床に水たまりが残る
壁の下部が長時間濡れている
シーリング材が劣化している
排水が追いついていない
洗浄後に空調や換気を停止する
乾燥時間を確認していない
清掃用具が濡れたまま保管されている
必要以上の水量を使用している
「洗うこと」と「乾燥させること」を一つの管理として考えなければ、カビの再発リスクは残ります。
空調設備の内部に原因が残っている
空調設備は、食品工場の温度と湿度を管理する重要な設備です。
一方で、設備内部に水分や汚れが残ると、カビが増殖する可能性があります。
吹き出し口の黒ずみだけを除去しても、次の部分に問題が残っていれば、再発や胞子拡散につながります。
フィルター
冷却コイル
ドレンパン
ドレン配管
送風機
ダクト
吸い込み口
断熱材
吹き出し口の内部
空調機内部で増殖したカビは、送風によって広範囲へ影響する可能性があります。
そのため、吹き出し口にカビが確認された場合は、表面清掃だけで終わらせず、設備内部の汚れ、水分、排水状態を確認します。
また、空調設備を清掃した後は、空中浮遊真菌検査や付着真菌検査を活用し、環境が改善したかを確認することも大切です。
強い負圧が再発原因になることがある
食品工場では、加熱設備、排気フード、集じん設備、換気扇などによって大量の空気を排出することがあります。
排気量に対して給気量が不足すると、工場内が過度な負圧になる可能性があります。
強い負圧が発生すると、建物のわずかな隙間から空気を吸い込むようになります。
空気が流入しやすい場所には、次のようなものがあります。
扉やシャッターの隙間
壁や天井の継ぎ目
配管貫通部
天井点検口
壁内部
天井裏
排水口
外壁の隙間
夏季に高温多湿の外気が壁内部や天井裏へ流入し、冷えた建材へ触れると、内部結露が発生する可能性があります。
また、壁内部や天井裏にカビがある場合、その空気が製造室へ吸い出されることも考えられます。
カビを除去しても負圧状態が改善されなければ、湿気や胞子が再び流入し、カビが再発する可能性があります。
風量計などを用いて給気と排気の量を確認し、区域間で空気が意図した方向に流れているかを調べることが重要です。
壁内部や天井裏のカビを見落としている
食品工場のカビは、すべて表面に現れるとは限りません。
壁の内部、天井裏、断熱材、保温材、パネル芯材など、通常は見えない場所で増殖することがあります。
表面に現れたカビだけを除去しても、内部のカビが残っていれば、次のような状態が続く可能性があります。
清掃後もカビ臭が消えない
同じ場所へ黒ずみが再発する
真菌検査の数値が下がらない
雨の日に臭いが強くなる
空調を運転すると臭いを感じる
壁や天井の一部で含水率が高い
継ぎ目から変色が広がる
内部の状態が疑われる場合は、含水率測定で異常範囲を確認し、必要に応じてファイバースコープを使用します。
ファイバースコープ調査では、壁内や天井裏の結露、漏水、断熱材の濡れ、変色、カビ状の汚染などを確認できます。
ただし、映像だけですべてを判断するのではなく、含水率、温湿度、真菌検査、空気の流れなどと合わせて評価することが重要です。
シーリング材やパネルの隙間が残っている
食品工場では、壁や天井に衛生パネルが使われていることがあります。
パネル表面は清掃しやすくても、継ぎ目やシーリング材が劣化すると、内部へ水分や汚れが入り込む可能性があります。
次のような劣化がある場合は注意が必要です。
シーリング材のひび割れ
剥離
肉やせ
変色
パネルの浮き
継ぎ目の隙間
配管貫通部の隙間
床と壁の取り合い部分の劣化
表面のカビを除去しても、隙間から水分が入り続ければ再発します。
特に洗浄室、加熱工程、冷蔵・冷凍設備周辺では、温度差や水の使用量が大きいため、継ぎ目の状態を定期的に確認する必要があります。
断熱や保温の不具合が改善されていない
冷水配管、冷媒配管、冷蔵庫、冷凍庫などの周辺では、断熱材や保温材の劣化が結露の原因になります。
カビを清掃しても、冷たい表面と湿った空気が接触する状態が変わらなければ、結露が再発します。
特に次の箇所は注意が必要です。
配管の継ぎ手
バルブ周辺
配管支持金具
保温材の切れ目
冷凍庫パネルの継ぎ目
天井と冷却設備の境界
壁や床の断熱欠損部分
表面へ水滴が見えなくても、保温材内部で結露している場合があります。
保温材の変色、膨れ、異臭、水分が確認される場合は、内部の状態を調べる必要があります。
カビを除去した後の効果確認が不足している
カビ対策では、作業を実施した時点で終了するのではなく、改善効果を確認する必要があります。
見た目がきれいになったことは重要ですが、それだけでは水分原因や真菌数が改善したか分かりません。
改善後には、状況に応じて次の確認を行います。
カビや変色が残っていないか
カビ臭が改善したか
建材の含水率が低下したか
結露が再発していないか
給気・排気のバランスが改善したか
空中浮遊真菌数が変化したか
付着真菌の状態が改善したか
一定期間後も再発していないか
温度・湿度が適切に管理されているか
清掃や点検手順が見直されているか
改善直後だけでなく、数日後、数週間後、季節が変わった後など、継続的に確認することが重要です。
真菌検査を一度行っただけで安心してしまう
真菌検査は、目に見えないカビの状態を確認する有効な方法です。
しかし、一度の検査結果だけで、将来にわたって問題がないと判断することはできません。
カビの状態は、季節、天候、製造量、空調の運転、扉の開閉、原材料の搬入などによって変化します。
また、検査場所や採取条件が異なれば、結果の比較が難しくなることがあります。
真菌検査を再発防止へ活用するためには、次の点が重要です。
検査目的を明確にする
同じ条件で定期的に比較する
屋内外の状態を確認する
温度・湿度を記録する
空調の運転状況を記録する
製造や清掃の状況を記録する
高い数値が出た原因を調べる
改善後に再検査する
結果を点検や清掃計画へ反映する
検査結果を保管するだけでなく、環境改善の判断材料として活用することが大切です。
是正措置が「清掃しました」で終わっている
HACCPの衛生管理では、異常が確認されたときに、何を行ったかを記録します。
しかし、カビ発見時の是正措置が「清掃を実施した」という内容だけでは、再発防止まで説明できない場合があります。
より実効性のある是正措置記録には、次の内容を含めます。
発見日時
発生場所
カビの範囲
製品への影響評価
応急対応
原因調査の方法
判明した原因
実施した改善
改善後の確認方法
再発防止策
担当者と確認者
一定期間後の再確認結果
たとえば、「天井のカビを清掃した」だけでなく、「天井裏の冷水配管に結露があり、保温材の劣化が原因と考えられたため、設備状態を改善し、乾燥後に含水率と真菌状態を再確認した」と記録すると、対応の流れが明確になります。
除去作業によって胞子を広げてしまう可能性もある
カビの除去方法が適切でないと、作業によって周囲へ胞子やカビ片を広げる可能性があります。
特に食品工場では、製品、原材料、包装資材、製造設備への影響を考慮しなければなりません。
除去作業を行う際は、次の点を検討します。
製造を停止する必要があるか
対象区域を区分する必要があるか
製品や設備を保護する必要があるか
空調設備を停止・調整する必要があるか
作業者の動線を分ける必要があるか
使用した用具をどのように処理するか
作業後に周辺をどのように確認するか
真菌検査が必要か
カビの範囲や場所によっては、日常清掃と同じ方法で対応することが適切でない場合があります。
カビの範囲だけでリスクを判断しない
小さなカビだから問題が小さいとは限りません。
重要なのは、発生場所と製造工程との関係です。
たとえば、同じ数センチ程度のカビでも、製品が開放されている充填工程の真上にある場合と、製品から離れた倉庫の隅にある場合では、食品への影響が異なります。
リスク評価では、次の点を確認します。
製品が開放されているか
カビ片や水滴が落下する可能性
空調によって胞子が広がる可能性
製品や包材との距離
人や物の動線
清潔区域か汚染区域か
カビの発生範囲
原因が継続しているか
内部へ広がっている可能性
過去に再発しているか
カビの大きさだけでなく、食品安全への影響を考えて対応の優先順位を決める必要があります。
再発防止に必要な五つの基本対策
食品工場でカビの再発を防ぐには、次の五つを一つの流れとして実施することが重要です。
1.発生源を確認する
目視、臭気、真菌検査などを用いて、カビがどこに存在し、どこまで広がっているかを確認します。
2.水分原因を特定する
結露、漏水、洗浄水、雨水、高湿度など、カビへ水分を供給している原因を調べます。
3.空気の流れを確認する
給気と排気、負圧、区域間の圧力差、空調設備の風向などを確認します。
4.内部の状態を確認する
含水率測定やファイバースコープ調査を用いて、壁内、天井裏、断熱材、保温材の状態を調べます。
5.改善効果を確認する
目視、再測定、真菌検査、一定期間後の点検によって、再発していないことを確認します。
HACCP上級者コーディネーターの視点では「除去後」が重要
HACCPの考え方では、異常を発見して対応するだけでなく、その対応が有効だったかを確認し、管理方法へ反映することが重要です。
カビを除去した後には、次の点を確認します。
食品への影響が適切に評価されたか
発生原因が特定されたか
水分原因が改善されたか
空調や換気に問題がないか
周辺へ汚染が広がっていないか
真菌状態が改善したか
点検頻度は適切か
清掃方法を変更する必要がないか
従業員へ情報が共有されたか
是正措置と効果確認が記録されたか
「除去したから完了」ではなく、「原因が改善され、再発していないことを確認して完了」と考える必要があります。
原因調査を行うことで不要な対策を減らせる
原因を調べずに対策を進めると、清掃回数を増やす、除湿機を追加する、空調温度を下げるなど、効果が限定的な対応を繰り返す可能性があります。
たとえば、壁のカビの原因が内部漏水である場合、室内へ除湿機を置くだけでは根本的な解決になりません。
強い負圧によって湿った外気を吸い込んでいる場合、排気量をさらに増やすと状況が悪化する可能性があります。
空調内部が汚染源である場合、壁や床の清掃だけを増やしても真菌数が下がらないことがあります。
原因調査を行うことで、必要な場所へ優先的に対応でき、不要な作業や繰り返しの清掃を減らすことにもつながります。
再発を繰り返す食品工場では専門調査が必要
次のような状態がある場合は、目に見えるカビの除去だけでなく、専門的な原因調査を検討してください。
同じ場所にカビが繰り返し発生する
清掃後もカビ臭が残る
真菌検査の数値が下がらない
壁や天井に水染みがある
配管や空調設備で結露が続いている
壁や天井の含水率が高い
雨の日にカビ臭が強くなる
空調運転時に臭いを感じる
壁内や天井裏の状態が分からない
排気設備の増設後に結露が増えた
製造室の扉が強く引かれる
排水口から空気が逆流する
過去のHACCP監査で繰り返し指摘されている
これらは、水分、空調、負圧、建物内部などに問題が残っている可能性を示すサインです。
カビ除去と原因改善を分けて考えない
食品工場のカビ対策では、目に見えるカビへの対応と、発生原因の改善を一つの流れとして考える必要があります。
表面に現れたカビを取り除くことは重要ですが、水分、空調、負圧、断熱、建物内部の汚染が残っていれば、再発する可能性があります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程、衛生区域、空調設備、建物構造を確認し、食品安全の視点からカビの原因を調査します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査で、目に見えないカビ菌の状態を確認し、建材の含水率測定によって壁や天井に残る水分を調べます。
さらに、風量計を用いて給気・排気のバランスや負圧状態を確認し、必要に応じてファイバースコープで壁内・天井裏の結露、漏水、断熱材の濡れ、カビ状の汚染を調査します。
同じ場所にカビが再発している、除去後も臭いが残る、真菌検査の数値が改善しない、壁や天井内部の状態が分からないという場合は、表面の処理だけで終わらせず、発生原因を確認することが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場を対象に、カビの発生箇所だけでなく、その背景にある結露、漏水、湿度、換気、負圧、建物内部の水分まで確認し、衛生管理体制の強化と再発防止を支援します。
食品工場のカビ対策は専門調査が重要
見えるカビだけで判断せず、真菌検査・含水率測定・負圧調査・壁内確認で発生原因を明らかにする
食品工場でカビを発見したとき、まずは工場内の担当者が清掃や点検を行うことが一般的です。
日常的な目視点検、清掃、温湿度記録、設備点検は、カビの早期発見と衛生管理に欠かせません。しかし、同じ場所にカビが繰り返し発生する場合や、見えるカビがないのにカビ臭がする場合、空調設備の内部や壁・天井の裏側に原因が隠れている場合があります。
このような問題は、表面を見ただけでは正確に判断できません。
食品工場のカビ対策で重要なのは、カビを見つけて取り除くだけではなく、次の点を明らかにすることです。
カビがどこで発生しているのか
どこまで汚染が広がっているのか
水分がどこから供給されているのか
結露や漏水が発生していないか
給気と排気のバランスに問題がないか
壁内や天井裏にカビが隠れていないか
製品や製造工程へ影響する可能性があるか
改善後に再発していないか
これらを確認するには、真菌検査、建材の含水率測定、風量計による給気・排気の確認、ファイバースコープによる壁内・天井裏調査などを組み合わせた専門的な調査が必要です。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程、衛生区域、建物構造、空調・換気設備を確認し、食品安全の視点からカビの発生原因を総合的に調査します。
自社点検だけで対応できる範囲とは
食品工場における日常的な自社点検は、カビトラブルを防ぐうえで非常に重要です。
従業員が日常的に工場内を確認しているからこそ、普段とは異なる小さな変化に気づけることがあります。
自社点検で確認できる代表的な項目には、次のようなものがあります。
天井や壁に黒ずみがないか
結露水が付着していないか
水滴が製造設備へ落下していないか
床に水たまりが残っていないか
排水溝にぬめりや残渣がないか
空調吹き出し口に汚れがないか
カビ臭や異臭がしないか
壁や天井に水染みがないか
シーリング材が劣化していないか
温度や湿度に異常がないか
清掃後に十分乾燥しているか
冷蔵庫や冷凍庫周辺に結露がないか
配管の保温材が破損していないか
扉の開閉状態が変化していないか
排水口から空気や臭いが逆流していないか
こうした目視点検によって、異常を早期に発見することは可能です。
しかし、目視で確認できるのは、あくまでも表面に現れた異常です。
カビの発生源が壁内部、天井裏、空調設備内部、断熱材、保温材などにある場合、自社点検だけでは原因まで特定できないことがあります。
専門調査が必要になるカビトラブルの特徴
すべてのカビ問題で大がかりな調査が必要というわけではありません。
しかし、次のような状態が確認される場合は、専門調査を検討する必要があります。
同じ場所にカビが繰り返し発生する
清掃後、短期間で同じ場所にカビが再発する場合は、水分や湿度の原因が残っている可能性があります。
天井裏の結露、壁内部への洗浄水浸入、配管漏水、空調設備のドレン不良などを調べる必要があります。
カビを除去しても臭いが消えない
表面を清掃してもカビ臭が残る場合は、見えない場所にカビが存在している可能性があります。
壁の継ぎ目、配管貫通部、天井点検口、空調吹き出し口などから臭いが出ている場合は、内部調査が必要です。
目に見えるカビがないのに真菌数が高い
空中浮遊真菌検査で高い数値が確認されても、室内に目立つカビが見つからないことがあります。
この場合は、空調設備、天井裏、壁内部、搬入口、原材料倉庫など、見えにくい発生源や流入経路を確認します。
壁や天井に水染みがある
水染みは、漏水、結露、雨水浸入などが発生している可能性を示す警告サインです。
水染みが乾いて見えても、建材内部に水分が残っていることがあります。
空調設備を運転するとカビ臭がする
空調運転時に臭いが強くなる場合は、フィルター、冷却コイル、ドレンパン、送風機、ダクトなどが発生源になっている可能性があります。
雨の日や高湿度時に臭いが強くなる
天候によって症状が変化する場合は、外壁からの雨水浸入や湿った外気の流入、壁内結露などが疑われます。
製造設備の増設後に結露が増えた
排気設備や加熱設備を増設すると、工場内の温度、湿度、空気の流れが変化します。
給気量が不足し、過度な負圧が発生している可能性もあります。
HACCP監査で同じ項目を繰り返し指摘される
以前の監査でカビや結露を指摘され、清掃や補修を行ったにもかかわらず再発する場合は、是正措置が根本原因へ届いていない可能性があります。
専門調査では何を確認するのか
食品工場のカビ調査では、一つの測定だけで原因を判断するのではなく、複数の調査結果を組み合わせて評価します。
主な調査内容を詳しく見ていきましょう。
1.現場の目視調査と聞き取り
専門調査の第一歩は、現場の状態を詳しく確認することです。
カビの色や範囲だけでなく、周辺の設備、温湿度、製造工程、清掃方法などを確認します。
聞き取りでは、次のような情報が重要です。
最初にカビを発見した時期
発生する季節
雨天時の変化
製造中と停止中の違い
洗浄後の状態
空調設備の運転時間
過去に行った清掃や補修
過去の真菌検査結果
設備増設やレイアウト変更
過去の漏水や結露
HACCP監査での指摘内容
作業者が感じている臭いや違和感
カビは調査時に必ず症状が現れているとは限りません。
そのため、普段から現場を見ている担当者の情報が、原因特定の重要な手がかりになります。
2.真菌検査で見えない汚染を確認する
真菌検査は、目に見えないカビの状態を客観的に確認するために行います。
食品工場で活用される代表的な検査には、空中浮遊真菌検査と付着真菌検査があります。
空中浮遊真菌検査
工場内の空気中に浮遊している真菌を採取し、区域ごとの状態を比較します。
検査場所としては、次のような地点が考えられます。
製造室
包装室
充填室
原材料倉庫
搬入口
前室
空調吹き出し口周辺
カビ臭を感じる場所
屋外
屋内だけでなく屋外の空気も測定することで、屋外由来の胞子が流入しているのか、室内に発生源があるのかを考える手がかりになります。
付着真菌検査
天井、壁、設備、空調吹き出し口、棚、配管など、特定の表面に付着している真菌を調べます。
目に見える汚れがカビなのか確認したい場合や、清掃・改善前後の状態を比較したい場合に役立ちます。
ただし、検査結果だけで発生原因を断定することはできません。
温湿度、空調の運転状況、風量、水分、建物内部の状態などと合わせて評価する必要があります。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査を活用し、食品工場内の見えないカビリスクを確認します。
3.含水率測定で水分の広がりを確認する
カビの発生原因を調べるうえで、水分の確認は非常に重要です。
壁や天井の表面が乾いて見えても、内部に水分が残っていることがあります。
含水率測定では、カビや水染みがある場所だけを一点測定するのではなく、周辺を複数箇所測定します。
さらに、異常がない場所の数値と比較し、水分がどの範囲に広がっているかを確認します。
含水率測定が役立つ代表的な場所は、次のとおりです。
天井の水染み周辺
壁の黒ずみ周辺
床と壁の取り合い部分
冷蔵庫・冷凍庫周辺
配管貫通部
外壁側の壁
洗浄室の壁下部
空調設備周辺
雨水浸入が疑われる場所
測定値に異常がある場合は、漏水、結露、洗浄水の浸入、雨水浸入など、考えられる原因をさらに調べます。
4.風量計で給気・排気と負圧を確認する
食品工場では、換気扇や排気フードが動いていても、適切な空気環境が保たれているとは限りません。
排気量に対して給気量が不足すると、室内が強い負圧になり、意図しない場所から空気を吸い込む可能性があります。
風量計を使用した調査では、次の点を確認します。
給気口から入る空気の量
排気口から出る空気の量
区域ごとの給排気バランス
扉や開口部での空気の流れ
清潔区域と汚染区域の圧力差
空気がよどむ場所
設備増設前後の変化
フィルター目詰まりによる風量低下
排水口や壁内部からの空気流入
強い負圧によって湿った外気が天井裏や壁内部へ入り込むと、冷たい建材に触れて内部結露を起こすことがあります。
また、壁内や天井裏にカビが存在する場合、その空気が製造室へ吸い出される可能性もあります。
カビの発生場所だけでなく、空気がどこから入り、どこへ流れているかを確認することが重要です。
5.ファイバースコープで壁内・天井裏を確認する
表面から原因を確認できない場合は、ファイバースコープを使用して壁内部や天井裏を確認します。
ファイバースコープ調査によって確認できる可能性がある異常には、次のようなものがあります。
壁内部の結露
天井裏の水滴
配管からの漏水
断熱材の濡れ
保温材の劣化
パネル内部の変色
壁内のカビ状汚染
雨水の浸入跡
空気が流れる隙間
建材の腐食や劣化
ファイバースコープを使用することで、広範囲をすぐに解体するのではなく、必要な箇所を絞って内部の状態を確認できます。
ただし、見えた映像だけで断定するのではなく、含水率、真菌検査、温湿度、風量、臭気などの情報と合わせて判断することが大切です。
6.温度と湿度を測定して結露条件を確認する
カビが発生している場所では、温度と湿度の組み合わせによって結露が起きていないかを確認します。
工場全体の平均的な温湿度だけでは、局所的な異常を見落とすことがあります。
たとえば、次の場所では、室内の代表測定点とは異なる環境になっている可能性があります。
冷水配管の周辺
冷蔵庫や冷凍庫の外壁
天井付近
設備や棚の裏側
外壁に面した壁
空調の風が届かない場所
蒸気が滞留する場所
洗浄室
搬入口付近
また、製造中、洗浄後、空調停止後、夜間など、時間帯によって環境が変化することにも注意が必要です。
専門調査は「カビがあるか」だけを調べるものではない
食品工場の専門調査では、カビの有無だけを確認するのではありません。
重要なのは、食品への影響、発生原因、汚染範囲、再発防止策を明らかにすることです。
調査では、次のような流れで考えます。
1.異常の存在を確認する
目視、臭気、真菌検査などによって、カビや汚染の状態を確認します。
2.食品安全への影響を評価する
カビの発生場所と製造工程の位置関係を確認し、製品、原材料、包装資材への影響を考えます。
3.水分原因を調べる
結露、漏水、雨水、洗浄水、高湿度などの供給源を確認します。
4.空気の流れを調べる
給気と排気、負圧、区域間の圧力差、空調の風向などを確認します。
5.建物内部を確認する
含水率測定やファイバースコープ調査によって、壁内や天井裏の状態を確認します。
6.必要な改善を整理する
カビへの対応だけでなく、結露、漏水、換気、乾燥、断熱など、原因に応じた改善項目を整理します。
7.改善効果を確認する
再測定や真菌検査によって、対策後に状態が改善しているか確認します。
HACCP上級者コーディネーターによる調査が重要な理由
食品工場のカビ調査では、建物の異常を確認するだけでは十分ではありません。
同じカビでも、発生場所や製造工程によって食品安全上の重要度が異なります。
たとえば、製品が開放されている充填工程の上部に発生したカビは、製品へ落下する可能性があります。
一方、製造区域から離れた機械室のカビであっても、空調や負圧によって胞子が製造室へ流入する可能性があれば、無関係とはいえません。
HACCP上級者コーディネーターの視点では、次の項目を確認します。
カビ発生場所と製造工程の位置関係
製品が開放されている時間
結露水やカビ片の落下可能性
空調による胞子拡散の可能性
清潔区域への空気流入
原材料や包装資材への影響
人と物の動線
清掃・点検手順
異常発見時の対応
是正措置後の効果確認
監査時に説明できる記録
建物、設備、微生物、製造工程を別々に考えるのではなく、食品安全という共通の視点で評価することが大切です。
調査結果はHACCPの是正措置へ反映する
専門調査を実施しただけで、カビ対策が完了するわけではありません。
調査で判明した内容を、実際の衛生管理や是正措置へ反映する必要があります。
是正措置記録には、次の内容を整理します。
異常を発見した日時
発生場所と範囲
製品への影響評価
応急対応
実施した調査
調査結果
推定または特定された原因
実施した改善
改善後の確認
再発防止策
点検頻度の変更
従業員への周知
担当者と確認者
たとえば、天井にカビが発生していた場合、「カビを清掃した」という記録だけでは、原因改善を説明できません。
「含水率測定で周囲より高い数値を確認し、天井裏調査によって配管保温材の劣化と結露の形跡を確認した。原因箇所の改善後、乾燥状態と真菌状態を再確認した」という流れで整理することで、是正措置の根拠が明確になります。
改善後の再調査が必要
専門調査によって原因が分かり、必要な改善を実施しても、その改善が有効だったかを確認しなければなりません。
改善後には、次のような確認を行います。
目に見えるカビが再発していないか
カビ臭が改善したか
結露が止まったか
水染みが広がっていないか
建材の含水率が低下したか
給気・排気のバランスが改善したか
過度な負圧が解消したか
真菌検査の結果が改善したか
空調内部の状態が改善したか
一定期間後も問題がないか
対策直後は問題がなくても、季節や製造条件が変わると再び症状が現れることがあります。
夏季だけ発生する結露、冬季だけ発生する外壁面のカビ、雨天時だけ強くなるカビ臭などもあるため、必要に応じて条件の異なる時期に再確認することが重要です。
調査会社を選ぶ際に確認したいポイント
食品工場のカビ調査を依頼する際は、カビを除去できるかどうかだけで判断しないことが大切です。
再発防止につなげるためには、原因調査の内容を確認する必要があります。
食品工場とHACCPを理解しているか
食品工場では、製造工程、衛生区域、異物混入、微生物汚染、製品への影響を考慮する必要があります。
一般的な建物調査だけでなく、食品安全の視点を持っているかを確認しましょう。
真菌検査に対応しているか
目視だけで判断せず、必要に応じて空中浮遊真菌や付着真菌を確認できる体制があるかが重要です。
検査結果を数値として提示するだけでなく、採取条件や周辺環境と合わせて評価できることも確認します。
含水率測定ができるか
壁や天井の内部に水分が残っていないかを調べられることが重要です。
一点だけではなく、周辺や正常箇所と比較しながら測定できるかを確認します。
給気・排気と負圧を確認できるか
カビの原因は、水分だけでなく空気の流れにある場合があります。
風量計などを使用し、給気量、排気量、区域間の空気の流れを確認できることが望まれます。
壁内・天井裏を調査できるか
表面から原因が分からない場合に、ファイバースコープなどで内部を確認できる体制があるかを確認します。
原因と改善の考え方を説明できるか
「カビがあったから除去する」という説明だけでなく、なぜ発生したのか、何を改善すべきか、改善後に何を確認するのかを説明できることが大切です。
調査記録を残せるか
HACCP監査や社内管理に活用できるよう、写真、測定位置、数値、所見、改善項目などを整理できるか確認しましょう。
注意したい調査・対策の進め方
カビトラブルに直面すると、早く見えない状態にしたいという気持ちから、すぐに除去作業を始めることがあります。
しかし、調査前にすべて清掃してしまうと、発生範囲や水分の流れ、カビの状態など、原因を判断する手がかりが失われることがあります。
製品への影響を防ぐための緊急対応は必要ですが、可能な範囲で次の情報を残すことが重要です。
発見時の写真
発見日時
発生場所
カビの色と範囲
水滴や水染みの有無
カビ臭の有無
製造設備の稼働状況
温度と湿度
天候
空調の運転状況
製品との位置関係
また、原因が確定していない段階で、排気設備の増強や温度設定の大幅な変更を行うと、負圧や結露が悪化する可能性があります。
測定と調査に基づいて、必要な対策を選ぶことが重要です。
専門調査を早めに行うメリット
カビの範囲が小さい段階で専門調査を行うことには、さまざまなメリットがあります。
発生原因を早期に確認できる
汚染の拡大を防ぎやすい
製品への影響を早く評価できる
不要な清掃や補修を減らせる
対策範囲を絞り込みやすい
製造停止の長期化を防ぎやすい
HACCP監査前に改善できる
是正措置の根拠を整理できる
再発防止策を社内管理へ反映できる
小さな黒ずみや水染みであっても、内部では広い範囲に水分が広がっている可能性があります。
「まだ小さいから大丈夫」と放置するのではなく、変化が小さいうちに原因を確認することが重要です。
専門調査を検討すべきチェックリスト
次の項目に一つでも該当する場合は、専門的なカビ調査を検討してください。
同じ場所でカビが再発している
清掃してもカビ臭が消えない
天井や壁に水染みがある
建材が膨れている
壁や天井の含水率が高い
空調吹き出し口に黒ずみがある
空調運転時に臭いが強くなる
真菌検査の数値が高い
真菌数上昇の原因が分からない
冷蔵庫や冷凍庫周辺で結露が続く
配管の保温材が濡れている
雨の日にカビ臭が強くなる
壁内や天井裏の状態が分からない
製造室の扉が以前より重い
排水口から空気が逆流する
設備増設後に結露が増えた
洗浄後に長時間乾燥しない
過去のHACCP監査でカビを指摘された
是正後も同じ指摘を受けている
製造ライン上部にカビや結露がある
特に、製品が開放されている工程の上部にカビや結露がある場合は、発生範囲が小さくても早急な確認が必要です。
HACCP監査の直前ではなく平常時から調査する
専門調査は、HACCP監査の直前だけに行うものではありません。
監査直前は、製造計画や書類確認なども重なり、十分な原因調査や改善期間を確保できない可能性があります。
また、監査前に表面だけを急いで清掃すると、原因確認が不十分なまま監査日を迎えることになります。
平常時から次のような計画を立てておくことが大切です。
日常目視点検
月次・季節点検
温湿度記録の傾向確認
空調・換気設備の定期点検
給排気風量の確認
建材含水率の確認
必要に応じた真菌検査
過去のカビ発生場所の再確認
設備変更後の環境評価
改善後の効果確認
カビは、季節や製造条件によって発生状況が変わります。
監査時だけではなく、夏季の高湿度、冬季の温度差、梅雨、台風後、設備増設後など、リスクが高まる時期に確認することが効果的です。
調査・改善・確認を一つの衛生管理サイクルにする
食品工場のカビ対策は、単発の作業ではなく、継続的な衛生管理として取り組む必要があります。
基本となる流れは次のとおりです。
発見
目視点検、真菌検査、従業員からの報告などで異常を把握します。
影響評価
製品や製造工程へどのような影響があるかを確認します。
原因調査
水分、空調、換気、負圧、建物内部などを調べます。
改善
カビへの対応とともに、結露、漏水、給排気、断熱、乾燥などの原因を改善します。
効果確認
真菌検査、含水率測定、風量測定、目視点検などによって改善効果を確認します。
標準化
点検方法、清掃方法、設備管理、従業員教育へ反映します。
継続確認
一定期間後や季節変化後に再確認します。
この流れを記録として残すことで、HACCP監査時にも、異常に対して組織的な対応を行っていることを説明しやすくなります。
食品工場のカビ問題は原因を数値と映像で確認する
食品工場のカビ問題では、経験や見た目だけに頼らず、数値や映像を用いて状態を確認することが重要です。
真菌検査で目に見えないカビを確認する
含水率測定で建材内部の水分を確認する
風量計で給気・排気と負圧を確認する
温湿度測定で結露条件を確認する
ファイバースコープで壁内・天井裏を確認する
写真や図面で発生範囲を記録する
複数の情報を組み合わせることで、原因を一つずつ絞り込み、必要な改善を判断しやすくなります。
食品工場のカビ調査はMIST工法®カビバスターズ本部へ
食品工場のカビは、目に見えている場所だけに問題があるとは限りません。
天井裏の結露、壁内部への洗浄水浸入、空調設備内部の汚染、給気不足による負圧、冷蔵・冷凍設備周辺の断熱不良など、複数の原因が重なっている場合があります。
表面のカビを清掃しても、原因となる水分や空気の流れが改善されなければ、同じ場所に再発する可能性があります。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程と衛生区域を確認し、食品安全の視点からカビ問題を調査します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査によって、目に見えないカビ菌の状態を数値化します。
また、建材の含水率測定によって壁や天井に残る水分を確認し、風量計を用いて給気と排気のバランス、区域間の空気の流れ、負圧状態を調べます。
さらに、必要に応じてファイバースコープを使用し、壁内や天井裏の結露、漏水、断熱材の濡れ、カビ状の汚染を確認します。
次のようなお悩みがある場合は、早めの専門調査が重要です。
カビを清掃しても再発する
原因不明のカビ臭がある
真菌検査の数値が高い
空調設備から臭いがする
天井や壁に水染みがある
結露が繰り返し発生する
壁や天井内部の状態が分からない
過去の監査指摘が改善できていない
HACCP監査前に工場環境を確認したい
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場のカビトラブルに対応しています。
目に見えるカビだけで判断せず、真菌、水分、空調、換気、負圧、建物内部の状態を総合的に確認し、HACCPに沿った衛生管理体制の強化とカビの再発防止を支援いたします。
まとめ|食品工場のカビ対策は「発見・原因調査・改善・再確認」が重要
HACCPに沿った衛生管理でカビの発生原因を見逃さず、製品の安全と工場の信頼を守る
食品工場におけるカビ問題は、天井や壁に発生した黒ずみを清掃するだけで解決できるものではありません。
目に見えているカビは、工場内で起きている異常が表面に現れた「結果」である可能性があります。その背景には、結露、漏水、洗浄後の乾燥不足、高湿度、空調設備内部の汚染、給気不足、過度な負圧、断熱や保温の不具合、壁内部への水分浸入など、さまざまな原因が隠れています。
食品工場では、製品や原材料を取り扱うため、住宅や一般的な建物以上に慎重なカビ管理が求められます。
カビの胞子は非常に小さく、空気の流れ、人や台車の移動、空調設備の運転などによって工場内へ広がる可能性があります。
発生場所が製造ラインから離れていたとしても、空調や換気によって胞子が清潔区域へ移動する可能性があれば、食品安全上のリスクとして評価しなければなりません。
HACCPにおけるカビ対策では、単に「清掃したか」ではなく、次のような一連の管理が重要です。
カビや結露などの異常を早期に発見する
製品や製造工程への影響を評価する
水分、空調、換気、建物内部などの原因を調べる
原因に応じた改善を行う
改善後に再発していないか確認する
点検方法や衛生管理手順へ反映する
記録を残し、継続的に見直す
この流れを日常の衛生管理に取り入れることで、カビの再発を防ぐだけでなく、HACCP監査時にも根拠を持って対応状況を説明しやすくなります。
カビを「見つけたら取る」だけでは不十分
食品工場でカビを発見すると、まず清掃や除去を行うことが多いでしょう。
製品への影響を防ぐため、カビが確認された区域を隔離したり、対象設備の使用を停止したりする緊急対応は必要です。
しかし、カビを除去して見えなくなったからといって、問題が解決したとは限りません。
カビが発生するためには、主に次の条件が関係しています。
水分
適した温度
栄養となる汚れや有機物
増殖するための時間
食品工場内には、原材料の粉じん、油分、食品残渣など、カビの栄養となるものが存在します。
また、製造工程や洗浄工程によって、水分や水蒸気が発生しやすい環境でもあります。
そのため、表面のカビだけを取り除いても、結露や漏水、高湿度などの水分原因が残っていれば、再びカビが発生する可能性があります。
カビが再発した場合は、清掃不足だけを疑うのではなく、「なぜこの場所に水分が集まるのか」「どこから胞子が供給されているのか」「空気はどのように流れているのか」を確認する必要があります。
食品工場で特に注意したい場所
食品工場では、目につきやすい製造設備だけでなく、普段確認しにくい場所にも注意が必要です。
特にカビや結露が発生しやすい場所には、次のようなものがあります。
天井や梁
壁やパネルの継ぎ目
床と壁の取り合い部分
冷水配管や蒸気配管の周辺
配管の保温材
空調吹き出し口
空調機内部
ドレンパン
ダクト内部
冷蔵庫や冷凍庫の周辺
洗浄室
排水溝
原材料倉庫
包装資材倉庫
搬入口
天井裏
壁内部
断熱材
シーリング材の劣化部分
設備や棚の裏側
清掃用具置き場
これらの場所は、目視点検がしにくい、空気がよどみやすい、温度差が生じやすい、水分が残りやすいといった特徴があります。
製造室の中央だけではなく、天井、壁際、設備裏、空調周辺なども含めて確認することが大切です。
結露はカビ発生を知らせる重要な警告サイン
食品工場で見つかる水滴や水染みは、単なる湿気の問題として見過ごしてはいけません。
結露は、空気中の水分が冷たい天井、壁、配管、設備などに触れることで水滴になる現象です。
結露が繰り返し発生すると、建材や設備表面が湿った状態になり、カビが増殖しやすくなります。
特に注意したいのは、次のような結露です。
製造ライン上部の天井結露
配管から垂れる水滴
冷蔵庫や冷凍庫周辺の結露
空調吹き出し口周辺の結露
壁内部や天井裏の内部結露
洗浄後に残る水分
夜間や空調停止後に発生する結露
製造ライン上部から水滴が落下すれば、製品や設備を直接汚染する可能性があります。
また、天井裏や壁内部で結露が発生している場合、表面にカビが見えるまで異常に気づけないことがあります。
結露を発見した際は、水滴を拭き取るだけでなく、温度差、湿度、空調の運転状態、断熱や保温の状態、空気の流れを確認することが重要です。
空調と換気は温度だけでなく空気の流れを見る
食品工場では、温度管理ができていても、湿度や空気の流れに問題があればカビが発生することがあります。
換気扇や排気設備が稼働していても、給気量が不足している場合は、工場内が過度な負圧になる可能性があります。
強い負圧が発生すると、次のような場所から意図しない空気を吸い込むことがあります。
搬入口や扉の隙間
壁や天井の隙間
配管貫通部
天井裏
壁内部
排水口
汚染区域
屋外
湿った外気が壁内部や天井裏へ入り込むと、冷たい建材に触れて内部結露が発生する可能性があります。
また、壁内部や天井裏にカビがある場合、その胞子を含んだ空気が製造室へ流入するおそれもあります。
空調設備が動いているかどうかだけではなく、給気と排気の風量、区域間の圧力差、扉付近の気流、空気がよどむ場所を確認することが大切です。
真菌検査で見えないカビリスクを確認する
食品工場内に目立つカビが見つからなくても、空気中にはカビの胞子が浮遊している可能性があります。
目視点検だけでは、工場内の真菌状態を客観的に評価することは困難です。
そこで重要になるのが、空中浮遊真菌検査や付着真菌検査です。
空中浮遊真菌検査では、製造室、包装室、倉庫、搬入口、空調吹き出し口周辺、屋外などで空気を採取し、区域ごとの状態を比較します。
付着真菌検査では、天井、壁、設備、棚、空調吹き出し口など、特定の表面に付着している真菌を確認します。
真菌検査を活用することで、次のような確認ができます。
目に見えないカビ菌の存在
区域ごとの真菌数の違い
屋外からの胞子流入の可能性
室内に発生源がある可能性
清掃や改善前後の変化
定期管理における数値の傾向
異常値が出ている区域
ただし、検査結果は単純な合格・不合格だけで判断するものではありません。
採取場所、季節、天候、空調の運転状況、製造状況、屋外環境などによって数値は変化します。
真菌検査は、目視調査、含水率測定、温湿度測定、風量調査、壁内調査などと組み合わせて評価することが重要です。
MIST工法®カビバスターズ本部では、一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査を活用し、食品工場内の見えないカビリスクを確認しています。
含水率測定で建材内部の水分を見逃さない
壁や天井の表面が乾いて見えていても、建材の内部に水分が残っている場合があります。
特に、次のような場所では内部に水分が入り込む可能性があります。
天井の水染み周辺
配管貫通部
パネルの継ぎ目
シーリング材の劣化部分
洗浄室の壁下部
冷蔵庫や冷凍庫の周辺
外壁側の壁
床と壁の取り合い部分
雨水浸入が疑われる場所
含水率測定では、異常が見られる場所だけでなく、その周囲や正常な場所も測定して比較します。
水分が点ではなく面として広がっていることもあるため、複数箇所を確認することが大切です。
カビを除去した後も建材内部に水分が残っていれば、再発する可能性があります。
そのため、改善後には含水率を再測定し、建材が乾燥しているかを確認する必要があります。
壁内や天井裏はファイバースコープで確認する
カビ臭がするのに発生場所が見つからない場合や、含水率測定で異常が確認された場合は、壁内部や天井裏に問題が隠れている可能性があります。
ファイバースコープを使用することで、必要な箇所から内部を確認できます。
ファイバースコープ調査では、次のような異常を確認できる場合があります。
内部結露
配管漏水
断熱材の濡れ
保温材の劣化
壁内のカビ状汚染
雨水の浸入跡
パネル内部の変色
空気が流入する隙間
建材の劣化
ただし、内部映像だけで原因を断定するのではなく、含水率、真菌検査、温湿度、風量、臭気などの情報を組み合わせて判断する必要があります。
HACCP監査前に確認すべきこと
HACCP監査前には、製造室をきれいに清掃するだけでなく、異常の発見から是正、効果確認までの流れを確認しておくことが重要です。
主な確認項目は次のとおりです。
天井や壁にカビや水染みがないか
結露水が製造設備へ落下していないか
空調吹き出し口に黒ずみがないか
配管や保温材に結露がないか
床や排水溝に水分が残っていないか
清掃用具が十分に乾燥しているか
温湿度記録に異常な傾向がないか
真菌検査の結果が管理されているか
カビ発見時の対応手順が決められているか
是正措置の記録が残っているか
改善後の効果確認が行われているか
過去の指摘箇所が再発していないか
従業員へ衛生管理手順が周知されているか
監査直前だけに清掃を強化しても、原因が残っていれば再発する可能性があります。
平常時から点検、記録、改善、再確認を続けることが、監査指摘を減らすための基本です。
カビを発見した際の基本的な対応手順
食品工場でカビや結露を発見した場合は、慌てて清掃だけを行うのではなく、食品安全への影響を考えながら対応します。
基本的な流れは次のとおりです。
1.発生場所を記録する
発見日時、場所、カビの色、範囲、水滴や水染みの有無、臭いなどを記録します。
可能であれば、清掃前の状態を写真で残します。
2.製品への影響を確認する
カビの発生場所が製造ラインの上部にあるか、製品が開放されていたか、原材料や包装資材への影響があるかを確認します。
3.必要な範囲を隔離する
胞子の拡散や製品への影響を防ぐため、必要に応じて対象区域や設備の使用を制限します。
4.原因を調べる
結露、漏水、空調、換気、洗浄水、建物内部などを確認します。
5.改善を行う
見えるカビへの対応だけでなく、水分や空気の流れなどの原因を改善します。
6.改善効果を確認する
目視点検、含水率測定、真菌検査、風量測定などによって、問題が改善したかを確認します。
7.再発防止策を標準化する
点検頻度、清掃方法、設備管理、従業員教育などへ反映します。
カビ対策は記録まで含めて完成する
HACCPでは、適切な対応を実施するだけでなく、その内容を記録として残すことが重要です。
カビや結露が発生した際には、次の内容を記録します。
発見日時
発見者
発生場所
発生範囲
写真
製品への影響評価
応急対応
調査内容
測定結果
原因
改善内容
改善実施日
改善後の確認結果
再発防止策
責任者の確認
記録を残すことで、同じ問題が再発した際に過去の状況と比較できます。
また、HACCP監査時に、異常へどのように対応し、何を根拠に改善したのかを説明しやすくなります。
「清掃した」という記録だけではなく、「原因を調べ、改善し、効果を確認した」という流れを記録することが大切です。
食品工場のカビ対策で大切な7つのポイント
これまでの内容を、食品工場のカビ対策に必要な7つのポイントとして整理します。
1.日常点検で異常を早期発見する
天井、壁、配管、空調、床、排水溝などを継続的に確認します。
2.結露や水染みを放置しない
水滴を拭くだけで終わらせず、温度差、湿度、断熱、漏水などの原因を確認します。
3.給気と排気のバランスを確認する
換気設備の稼働だけでなく、風量や負圧状態を確認します。
4.真菌検査で見えない汚染を数値化する
目視では分からない真菌状態を確認し、区域ごとの傾向を管理します。
5.建材内部の水分を確認する
含水率測定によって、壁や天井内部に残る水分を調べます。
6.必要に応じて壁内や天井裏を確認する
ファイバースコープを活用し、見えない場所の結露や漏水を確認します。
7.改善後に必ず効果確認を行う
清掃や補修を行った後は、再発していないか、数値が改善したかを確認します。
専門調査が必要な危険サイン
次のような状態がある場合は、自社清掃だけで対応せず、専門調査を検討することが重要です。
同じ場所にカビが繰り返し発生する
清掃してもカビ臭が消えない
目に見えるカビがないのに真菌数が高い
空調を運転すると臭いが強くなる
天井や壁に水染みがある
壁や天井の一部が膨れている
冷蔵庫や冷凍庫周辺で結露が続く
配管の保温材が濡れている
雨の日にカビ臭が強くなる
洗浄後に壁や床が乾きにくい
製造設備の増設後に結露が増えた
扉が重くなった
排水口から空気が逆流する
壁内部や天井裏の状態が分からない
製造ライン上部にカビや結露がある
HACCP監査で同じ指摘を繰り返し受けている
特に、製品が開放されている工程の上部にカビや結露がある場合は、発生範囲が小さくても早急な確認が必要です。
HACCP上級者コーディネーターの視点で原因を総合評価
食品工場のカビ調査では、建物の状態だけでなく、製造工程と食品安全への影響を評価する必要があります。
HACCP上級者コーディネーターの視点では、次のような項目を総合的に確認します。
発生場所と製造ラインの位置関係
製品が開放されている時間
水滴やカビ片の落下可能性
空調による胞子拡散
清潔区域と汚染区域の空気の流れ
人や物の動線
原材料や包装資材への影響
清掃と乾燥の手順
異常発見時の対応
是正措置後の効果確認
HACCP監査へ提示できる記録
カビの大きさや色だけで判断せず、製品への影響と拡散の可能性を考えて優先順位を決めることが大切です。
手に負えない食品工場のカビ問題は早めにご相談ください
食品工場のカビは、発生場所が小さいからといって、問題も小さいとは限りません。
表面に見えるカビの裏側で、壁内部や天井裏に水分が広がっていることがあります。
また、空調設備や負圧によって、見えない胞子が製造区域へ運ばれている可能性もあります。
カビの再発、原因不明の臭い、天井や壁の水染み、空調吹き出し口の黒ずみ、真菌検査の異常などがある場合は、早い段階で原因を調べることが重要です。
HACCP上級者コーディネーター取得者が在籍するMIST工法®カビバスターズ本部では、食品工場の製造工程や衛生区域を確認し、食品安全の視点からカビ問題を総合的に調査します。
一般社団法人微生物対策協会との連携による真菌検査で、目に見えないカビ菌の状態を数値化します。
さらに、建材の含水率測定、風量計を用いた給気・排気と負圧の確認、ファイバースコープによる壁内・天井裏の調査を組み合わせ、カビが発生した根本原因を確認します。
MIST工法®カビバスターズ本部は、日本全国の食品工場のカビトラブルに対応しています。
自社で清掃しても再発する、HACCP監査前にカビや結露の状態を確認したい、真菌検査の結果をどのように評価すればよいか分からないなど、手に負えないカビ問題でお困りの際は、早めにご相談ください。
カビを一時的に見えなくすることではなく、原因を調べ、改善し、効果を確認することが、食品工場の安全と信頼を守る本当のカビ対策です。
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カビ取り・カビ対策専門業者MIST工法カビバスターズ本部
0120-052-127(平日9時から17時)
カビの救急箱
【検査機関】
一般社団法人微生物対策協会
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