クロコウジカビとは? 特徴や健康への影響から正しい除去方法まで解説
2026/08/03
目次
正式名称はAspergillus niger
クロコウジカビの代表的な学名はAspergillus nigerで、アスペルギルス属に分類されるカビです。菌糸を伸ばして増殖し、成熟すると黒色から黒褐色の胞子を大量に形成します。アスペルギルス属は土壌やほこりのほか、パン、穀類、ナッツ類などにも広く分布しています。特別な場所にだけ存在する菌ではなく、空気中を漂う胞子が窓や換気口、人の衣服などを通じて住宅内へ入り込む可能性があります。
黒カビや黒麹菌とは同一ではない
住宅で黒く見えるカビが、すべてクロコウジカビとは限りません。一般的に黒カビと呼ばれるものには、クラドスポリウム属をはじめとする複数の菌が含まれています。また、焼酎や泡盛の製造に使用される黒麹菌は、クロコウジカビに近縁ですが、同じものとして扱うべきではありません。発酵食品に用いられる黒麹菌は、食品製造に適した菌株が選抜され、管理された環境で使用されています。住宅内や食品に自然発生した黒いカビを、安全な発酵用の菌と判断することはできません。
浴室やキッチンは特に要注意
クロコウジカビは、水分が残りやすく、皮脂、石けんかす、食品残渣などの栄養がある場所で増殖しやすいカビです。浴室の目地やゴムパッキン、洗面台の裏側、キッチンのシンク周辺、排水口、冷蔵庫のパッキンなどは、特に注意が必要です。表面が乾いているように見えても、部材の内部や家具の裏側に湿気が残っている場合があります。水漏れや結露を放置すると、カビを清掃しても短期間で再発する可能性が高まります。
食品やほこりにも発生する
クロコウジカビは、パン、果物、穀粉、乾燥食品などにも発生することがあります。室内では、空気中の胞子がほこりと一緒に家具の裏やエアコン周辺へ堆積し、湿度が高くなったときに発芽します。食品庫や床下収納も、換気不足や温度差による結露があると発生場所になり得ます。開封後の食品は密閉し、商品に表示された保存方法を守りましょう。棚にこぼれた粉や食品片を残さず、定期的に清掃することも重要です。
黒い粉状の胞子が特徴
クロコウジカビは成長すると、表面に黒色から黒褐色の粉をまぶしたような集落を形成する場合があります。古くなると胞子が飛散しやすく、軽く触れただけで周囲へ広がることもあります。ただし、カビの色や形は、発生した素材、温度、湿度、成長段階などによって変化します。黒い斑点があるという理由だけでクロコウジカビと断定することはできず、別のカビや単なる汚れである可能性もあります。
菌種の特定には専門検査が必要
正確な菌種判定には、試料採取後の培養検査や顕微鏡観察、必要に応じた遺伝子解析が必要です。写真や肉眼だけで菌種を判定することには限界があります。原因調査では、菌種だけでなく、カビが生育している範囲、水分の供給源、建材内部への浸透状況を確認することが大切です。健康上の不安、新築住宅の施工トラブル、賃貸物件の責任範囲などが関係する場合は、採取位置や検査結果が記載された報告書も重要な判断材料になります。
小範囲でも胞子を広げずに作業する
硬く水を通しにくい部分に発生した小規模なカビは、換気を確保し、手袋、マスク、保護メガネなどを着用して清掃します。最初から乾いたブラシや掃除機でこすると、胞子が室内へ飛散する可能性があります。市販のカビ取り剤を使用する場合は、製品に表示された使用方法を守ってください。塩素系製品と酸性洗剤を混ぜると有毒なガスが発生するため、絶対に併用してはいけません。作業後は洗浄成分と水分を残さず、十分に乾燥させましょう。
多孔質建材は表面清掃だけでは不十分
壁紙、石こうボード、木材、畳、断熱材などの多孔質素材では、カビの菌糸が内部まで入り込んでいる場合があります。表面の黒ずみが消えても、内部に菌体や水分が残っていれば、再び変色する可能性があります。水漏れで濡れた石こうボードや断熱材は、状態によって交換が必要です。薬剤で表面を漂白するだけで終わらせず、含水状態を確認し、雨漏り、漏水、結露などの原因を先に止めることが重要です。
建材内部まで広がったカビは相談する
壁や天井の広い範囲に発生している、カビ臭が消えない、壁紙の裏や床下まで広がっている、水害や漏水の後に急増した場合は、専門業者への相談をおすすめします。米国EPAは一般的な目安として、約10平方ft以上のカビ汚染や、大規模な水損があるケースでは、専門家への相談を案内しています。ただし、対応の判断は面積だけではなく、発生場所、建材の種類、居住者の健康状態、水分原因などを含めて行う必要があります。
依頼時は原因調査の内容を確認する
業者を選ぶ際は、黒い色を漂白するだけでなく、発生原因の調査、胞子の飛散防止、除去範囲、使用薬剤、乾燥確認、再発防止策まで説明できるか確認しましょう。必要に応じて、カビ菌検査や施工前後の写真、測定記録、報告書の作成を依頼すると、状況を客観的に把握しやすくなります。カビ取りの目的は、見た目を白くすることではありません。汚染を適切に除去し、カビが再び成長しにくい建物環境へ戻すことが重要です。
クロコウジカビは除去と湿気対策を同時に行う
クロコウジカビは、食品や住宅内に発生する身近なカビですが、黒い見た目だけでは正確に判別できません。小範囲のカビは安全に配慮して清掃し、食品に生えたものは食べずに処分してください。広範囲の発生や繰り返す再発には、漏水、結露、換気不足などの原因調査と専門的な除去が必要です。
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